Tennis -- MCタイチ

前回のBlade98s V6が思ったより硬い打感だったので、今度はBladeシリーズ中、密なストリングパタンながら打つと最も柔らかいとの声もあるBlade98 (18*20) V7を試打しました。

試打インプレ

まず初めに、このラケットを借りた週に何時も使っている市のテニスコートがコロナ絡みで閉鎖されていた為、壁当てが出来ずフルスイングのストロークを試せませんでした。やったのは無料のコートで一人サーブ練習と、小さな壁で短いストロークだけです。なので完全なレビューではありませんが、ご了承ください。

先ず振るとズッシリと重みを感じますが、以前Blade98 (16*19) V7を借りた時の印象より若干マシな気もします。トップヘビーなラケットの扱いに慣れてきたのかも知れません。

注目の打感ですが、噂に違わぬ柔らかさ&モッチリ感でした。ガット面にボールが張り付くような感触を久しぶりに味わった気がします。ストリングが密だと面のたわみが小さいので硬い打感になると言いますが、昔のラケットってストリングパタンが同じでもフェイス面積が小さいので今より全然密だったんですよね。なのに今より全然柔らかい打感だったのは、フレーム剛性が低いからなんでしょうが、フレームだけが撓ってガット面が硬いって感じでもなかったんですよね。

理屈は良く判りませんが、兎に角このBlade98(18*20)V7は定説を覆す独特の柔らかさを持っています。試打ラケットに張ってあるガットがポリの中でも硬めと言われるルキシロン4G 130 (48p)である事を考えると、ラケット自体は今年モデルのVcore98やCX200より柔らかいと思います。

じゃあパワーはどうかというと結構あります。ガット面が撓みフレームもしなり、ボールを包み込んでから発射するイメージです。前回試打したBlade98s V6より何故かパワフルに感じました。今年モデルの中では最もパワフルに感じたVcore98と同程度でしょうか。ただVcore98の方が若干重く感じたのでパワーウェイトレシオではBlade98(18*20)V7の方が上だと思います。

スピン性能については、冒頭に書いた通り本来の壁で高さとスピードがあるストローク試せなかったので断言できませんが、悪くはないと思います。とは言えスウィングウェイトが重いので高速で擦り上げるようなスウィングには向きませんし、そもそもホールド感やしなり感が強いので分厚く当てて威力を出すタイプだと思います。だからグリグリトップスピナーには向きませんが、程々のスピンなら特に意識しなくても自然にかかる気がします。

サーブはラケットの慣性モーメントの大きさと、モッチリした打感によってドスンと打ち抜くようなイメージになります。なので僕の軽いBurnFSTと比べるとパワーは安定してありますが、薄く速く振り抜くようなスピンサーブは打ちづらいです。

ボレーもちゃんと当たった時の打感は非常にスウィートで威力も有りますが、やはり重くて取りまわしが悪いので速い動きは苦手です。同様にストロークで差し込まれた時やハーフボレー、ドロップショットの処理などは得意ではないと思います。

Blade98 (16*19) V7(ノーマル)との比較

実はこのレビューの後、通常のストリングパタン(16*19)のBlade98 V7がどんな感じだったか気になって、1年ちょっとぶりに借りてみました。

以前試打した時はとても柔らかく、ホールド感もパワーもありましたが、今回は何故か硬い打感になっていました。実は前回試打した時、ガットを張ってから半年ほど経っていましたが、更にそれから1年数か月後の今回まで、何と一度も張り替えていないらしいのです。つまりガットを張ってから2年弱も経っているわけですから、弾力性も何も無いでしょう。もっとも、前回の試打時点で初期の伸びは完全に済んでると思われますが、そこから経年劣化でドンドン硬い打感になったりするんですかね?

という訳であまり参考になりませんが、16*19には18*20のボールが面に吸い付くような感じは無く、どちらかと言うとBlade 98S CVの固くて飛ばない感じに近かったです。まあど真ん中に当てれば98Sよりパワーも弾力感も若干ありますが、スウィートエリアが狭い感じで簡単にガシャリ気味になります。これも(18*20)が多少ミスヒットしてもある程度いなしてしまうのとは対照的です。しかも何故かフォアハンドストロークでその傾向が顕著です。

ただサーブはフラット系であればそれほど打ちづらさはないし、それなりに重い球が打てますね。ボレーもちゃんと当たった時の打感は悪くないですが、やはり僕には取り回しが悪くて振り遅れます(振っちゃダメなんですけど)。最初に試打した時の記憶と推測でまとめると、パワーは同等、打感は18*20はボールがモッチリ張り付く感じ、16*19は面の弾力性で飛ばす感じでしょうか。

また今回はレッスンでこのBlade98 16*19 V7と僕のBurnFST99Sを打ち比べましたが、使用ボールが柔らかい為か16*19でもそんなに硬い感じは無く、ミスヒット気味でもフレームが柔らかくいなす感じで安定感はあります。ただBurnFSTの方が圧倒的に取りまわしが良いし、ナイロンマルチで良く飛ぶXR3を張った上に振動止めも付けているので、パワーも打感もBlade98 16*19より上でした。

外観/スペック

Blade98 V7 18*20 Blade98 V7 18*20

縦糸はSラケ(18*16)である僕のFST99Sと同じ18本ですが、FST99Sのように極端に中央に集中してないので、余り間隔が狭い感じはしません。横糸はFST99Sが16本に対し、Blade98(18*20)は20本と4本も差があるので、特に中央部分は密になっています。

一方Blade98(16*19)との違いですが、同時に借りた訳ではないので何時ものピンボケ写真での比較ですが、面中央部分のガットの密集度は意外と変わらないように見えます。これは多分、18*20はガットが面全体に張り巡らされているのに対し、16*19はガット全体が真ん中付近に寄ってる(端の方が空いている)からだと思います。

Blade98 V7 18*20 ↑

Blade98 V7 16*19 ↑

スペック比較ですが、カタログ値は(16*19)も(18*20)も同じでBladeシリーズ中最も重く、最もトップライトです。ただ実際に持ってみると、僕には何方もトップヘビーですが、(16*19)の方が(18*20)より若干軽くトップヘビーに感じました。ところが実測してみると、重量はほぼ同じでバランスだけ(16*19)の方が3㎜ほどトップヘビーでした。(18*20)の方がガットの本数が多いので僅かにトップヘビーかと思ったのですが、違うんですね。

製品名 重量 バランス フレーム厚 重量
(実測)
バランスP
(実測)
Blade 98(18*20)V7 305g 320mm 21mm 330g 327mm
Blade 98s CV 294g 330mm 21mm 313g 334mm
Blade 100 V7 300g 320mm 22mm 316g 333mm
Blade 98 V7 (16*19) 305g 320mm 21mm 331g 330mm
Blade 98 CV (16*19) 304g 325mm 21mm 330g 337mm
Burn FST99S
輪ゴムカスタム
299g 305mm 19/22/19mm 318g 316mm

まとめ

ストリングパタン的に本数が多いラケットは一般に打感が硬くて飛ばないのが定説ですが、このBlade98(18*20)には当てはまりませんでした。ただよく考えたらこの定説って物理的に説明できるのでしょうか?確かに本数が多いとガットはお互いに動きにくいので面のたわみは小さいように思ってしまいますが、本数は多くても均等にばらしてフェイスの端までガットを張るような配置なら、ガット同士の間隔は狭くならず、ボールに触れているガットの本数は変わらない筈です。

前回のTour100が思ったより大分硬い打感だったので、今度は柔らかさを重視してBladeシリーズに再び注目しました。その中で今まで試打した事が無いBlade98sを持ってみたところ、思いのほかトップライトに感じたので試打する事にしました。ただV7世代のBlade98sは試打ラケットが中古として売れてしまったらしく、仕方なくV6世代の98Sをお借りしました。

試打インプレ

第一印象は「Bladeにしては打感が硬い」でした。一番柔らかいのはただの98で100はもうちょい硬くなりますが、98Sは更に硬く感じました。まあ硬いと言ってもガツガツ、キンキンした硬さではないんですが、打感が淡泊と言うかBladeらしいしなり感とか粘り感が希薄なのです。使用ガットはナイロンマルチのアスタリスタ135(50ポンド)ですから、ガットのせいで打感が硬くなっているとは考えづらいです。但し、張ったのは1年以上前なので、弾力性やパワーは落ちていると思われます。

パワーアシストは可もなく不可もなく。この古いガットを考慮して、2021年モデルのCX200よりちょい上、Vcore100よりちょい下くらいかな?自慢のスピン性能も悪くは無いけど特に高いとも感じませんでした。

外観/スペック

これまで試打したBladeシリーズのスペックを並べてみました。今回の98s CVは重さはスペック/実測共に最軽量。バランスも最もトップヘビーですが、実測では100 V7と殆ど変わらず(誤差の範囲)重量の差も3gしかありません。その割に体感的には98S CVは軽く感じるんですよね。

製品名 重量 バランス フレーム厚 重量
(実測)
バランスP
(実測)
Blade 98s CV 294g 330mm 21mm 313g 334mm
Blade 100 V7 300g 320mm 22mm 316g 333mm
Blade 98 V7 (16*19) 305g 320mm 21mm 325g 331mm
Blade 98 CV (16*19) 304g 325mm 21mm 330g 337mm
Pro Staff Tour90 315g 315mm 17mm 336g 315mm

配色としては真っ黒に蛍光っぽい緑なのでちょっとコントラストが強すぎかな。グレーが入ってるV7の方が爽やかな感じがします。

そう言えば、写真の通り試打ラケットにはフェイスの2時と10時方向に鉛テープが貼ってありましたが、これは外して試打しています。ただ振った感じは鉛有でも無しでも思ったほど差がありませんでした。

まとめ

期待が大きかったせいかネガティブなレビューになってしまいましたが、出回ってるラケット全体からすれば悪い方ではないと思います。ただ最近のYonexやDunlopの製品が打感とパワーを両立して来てるのに対し、このラケットはさしたる欠点も無ければ長所もない凡庸な評価になってしまいます。現行のV7世代はもうちょいトップライトで縦しなりが大きいらしいのでBlade98s V7も出来れば試打したいのですが、スタテニのレビューではこれも硬いとあるのであまり期待できないかな?

2021年モデルのCXとVcoreシリーズを試打して、色々と感動はあったものの打感とスウィングウェイト共に自分好みのものはありませんでした。そこで昨年モデルでまだ打った事の無いラケットを物色していると、Prince Tour100のO3が振り抜きやガットの食いつきも良いらしいという事を知りました。ところが何時ものテニスショップに行ってみると、O3モデルは試打ラケットを用意していないらしく、仕方なく普通のグロメットタイプのTour100を借りてみました。

試打レビュー

まずバランスが310mmとは思えない程重々しいですね。そして打つとかなり硬めに感じました。硬めというのは、手に伝わる振動や打球音、フレームの剛性感全てにおいてです。その前に試打したCXやVcoreの柔らかさと比較すると、硬さの元となる高周波振動のケアを殆どしてない気がします。張ってあるガットはアスタポリ130で、これは柔らかめのポリらしいですが、少なくともこのラケットとの組み合わせではキンキンした感触でした。

パワー(飛び)の面でも最初はイマイチな感じでしたが、意識して丁寧にゆったり振ってスウィートスポットで捉えると一転、ホールド感が出てかなりのパワーボールが打てました。ただスウィートエリアはやや狭いようで、ちょっと芯を外すとやはりガッツリ硬さが出て飛ばなくなります。最近、柔らかい打感の反発系や反発力がある薄ラケが各社から出てる中、このように飛ぶけど硬いラケットの存在価値がイマイチ判らない、というのが率直な感想です。

外観/スペック

フェイス形状は今時のラケットとしては割と正確な楕円に近いと思います。よく見ると、スウィートエリアを先端に移動させるという今時のセオリーに従い、リムの上端の円弧は若干平べったく(曲率変形が大きく)なっていますが、YonexやDunlopと比べたらその度合いが小さいですね。特に下端が尖っているのと、ややフェイスが面長?のせいで楕円ぽく見えるのかも。

白いフレームにマリンブルーのガットが美しいです。スペックを見て気付いたのですが、ストリングパタンが16*18となっており、通常の16*19より横糸が1本少ないんですね。実物の見た目としては、ストリングの格子の形状や大きさは要準的だと思いますが、フェイスの下端の横糸が無いエリアが若干広い気もします。

製品名 重量 バランス フレーム厚 重量(実測) バランス(実測)
Tour100 310g 2020 310g 310mm 22-23-20mm 333g 320mm
Vcore100 2021 300g 320mm 24-25-22mm 320g 326mm
Vcore98 2021 305g 315mm 22.5-23-21mm 332g 319mm
CX200 305g 315mm 21.5mm 320g 326mm
CX400 Tour 300g 320mm 23.0mm 322g 324mm
Vcore 95 2021 310g 310mm 21.5-22-21mm 325g 320mm
Vcore pro 97 2019 310g 310mm 20.0mm 335g 318mm
Burn FST99S
輪ゴムカスタム
299g 305mm 19/22/19mm 318g 316mm
Pro Staff Tour90 315g 315mm 17mm 336g 315mm

実測重量とバランスポイントは先月試したVcore98とほぼ同じですね。ズッシリ重い体感重量も同じなので納得の結果です。ただこれらに比べ、僕のプロスタッフは3gほど重く、バランスは5mm手元にあるだけですが、遥かに軽々と振れるんですよね。じゃあバランスポイントが凄く効くのかと言うと、例えばVcore100は98と比べて13g軽く6㎜トップヘビーですが明らかに軽く感じますし、Vcore95も98と比べて7g軽くバランスは同じですが体感的には一回り軽いです。

このように僕のプロスタッフの場合を除いて、最近試したラケットは皆、バランスよりも重量が体感重量に比例しています。

まとめ

実は昨年、同じシリーズのTour90を試打しましたが、言われてるほど柔らかい打感でもトップライトでもなく、さりとてパワーがある訳でもスピンが掛かりやすい訳でも無かったので、レビューは書いていません。

で今回のTour100ですが、Tour90より易しいラケットかと思いきやそうでも無かったです。スウィートスポットに当たればパワーは90よりありますが、そのスウィートエリアがフェイスサイスの割には狭く感じます。そしてスペックの割にトップヘビーに感じるし打感も意外と硬いと言う意味では90と同じです。

なんかディスってばかりで申し訳ありませんが、今回のTourシリーズは少なくとも僕にはルックス以外に良い所が見当たりませんでした。