Music -- MCタイチ

にしきた音楽祭 2013決勝2013-10-18

先日、予選会の様子をレポートしたLaLaLaミュージシャンコンテスト、今日は決勝を見に行ってきました。場所は関西でも屈指のグレードを誇る兵庫県芸術文化センターの中ホールです。僕も何度も通りかかったことがありますが、中には入るのは初めてです。

中ホールの中に入って印象的なのは、ビックリドンキーの店内を思わせるウッディでカジュアルな内装です。側壁は全面ログハウス的な整形木材(風?)ですが、音響的には木材独特のカンカンした音ではなくどっちか言うとマイルドな印象です。空間が縦長で響きがとてもリッチなベガホールと比較すると、普通の縦横比で普通の響き。なので、スタインウェイのフルコンもガンガン響きすぎず丁度いい感じでした。

入口で貰ったプログラムを見ると、ガーデンズの予選会から勝ち上がった2組が何と1番と2番になっていました。そして、観客一人ひとりに投票用紙が配られ、どれか人組だけ投票することができます。今回は撮影禁止だったので写真も動画もありませんが、演奏順に感想を書きたいと思います。

「約束」by Like a life

基本的には先日の予選会の通りで、高品位な歌と演奏でした。流石予選通過で「ホッとした」というだけあって、決勝でも上がること無く堂々とした歌いっぷりでした。

予選では審査員から指摘を受けていたコーラスのアラも、決勝では確かに自然に溶けこんでたと思います。ただ僕が予選で感じた通り、リードボーカルじゃない方のアコギの存在感が薄いというか、何を弾いていたか記憶に残らなかったです。

「With you」by 佐野仁美

この人も予選に勝るとも劣らない、クリーンでパワフルな歌いっぷりでした。上の人もそうですが、本戦の大舞台で緊張して実力が出せないなんて事は全く無いですね。毎回レコーディングしたものを再生したかのような安定感です。

予選と違うのはこの人の場合、使ってるピアノ:予選はデジタルピアノ(ヤマハのP-105かな?)で本番はスタインウェイのフルコンです。価格差1000倍くらいでしょうか^^;?その割には、どっちで弾いてもさほど印象は変わりませんでした(良い意味で)。基本的に演奏がしっかりしている人は何を弾いてもその安定感は判ります。

「僕たちの乾杯」 by タケ・コータロー

これ以降は全員僕が初めて聴く曲です。この人は大学交流センターで開かれた、一般部門(オリジナル曲・カラオケ不可)の予選からの決勝進出だそうです。

しかし・・・正直いっていきなりのグレードダウンでした(:_;)。ソロのギター弾き語りなんですが、まずアコギの音が五月蝿く硬いのです。声はそれなりにしっとり感はあるのですが、ギターがそれをかき消してしました。。曲もアレンジもありふれたバラードという感じで特筆すべき点はありません。

審査員も「今日は上がってました?」と言ってたし、ギターがキツイ件も指摘していました。予選ではもっとしっとりした演奏だったようです。ただ、ギターのセッティングは本番前にやることだから、緊張は関係ないと思いますが。

聞けばその人小学校の先生で、会場にも生徒が「ゾロゾロ」来てましたが、それも目に入らなかった様子。普段は酒場で弾き語ってるらしいので(先生なのに!)、いきなりの大舞台に圧倒されてしまったんでしょう。上の2組みのようにステージ経験豊富で場慣れしまくってる人じゃないと、このシチュエーションは非常に厳しいと思います。

「つなぐ」 by Flower market

このバンドも一般部門からの予選通過ですが、やはりちょっとウーンですね(ナンノコッチャ)。ピアノ、ベース、エレキ、ドラム、アコギ、ボーカルという、比較的大規模な編成ですが、アレンジがそれを生かし切っていないと思いました。

ピアノはバッキングだけで見せ場なし、エレキギターもソロはやってくれましたが、サウンド的にもアレンジ的にも至って普通。曲自体がありふれたアコースティック系なので、正直アコギとパーカッションくらいで事足りるように思います。

「忘れものの贈りもの」 by megri

この人も一般部門の予選通過者です。佐野さんと同じ、女性のピアノ弾き語りですが、こちらはもっと柔らかな歌い方と、優しい曲調/アレンジでした。

前の2組がちょっと期待はずれな事もあって^^;ふんわりしたサウンドが好印象。ただ、審査員も指摘していましたが、歌の音程が所々外れているように感じました。なので全般的にちょっと散漫な印象を受けました。

「明日への希望」 by LeLeO

この人は「学生・おやじ・ママさん部門」(要はカラオケ可、オリジナルじゃなくてもOK) からの決勝進出です。キャラ的には、この日最もインパクトがありました。

ハイジに出てきそうなニッカポッカ風の出で立ちのお爺さんが、ウクレレで切々と弾き語ります。と言っても、白いインカムマイクが遠目に顎髭に見えただけで、実際にはそこまで高齢ではないようですが^^;

ウクレレの弾き語りが珍しいからだけでなく、審査員も言ってたようにとても丁寧に弾いているので存在感があるんでしょうね。アロハシャツ来てジャカジャカハワイアンみたいなのとは全然違うウクレレの使い方でした。

「IRONY」 by COZMIC SPOON

このバンドも「学生・おやじ・ママさん部門」からのエントリーですが、生演奏だから曲がオリジナルではないという事でしょうか?しかしその割に、曲もアレンジも最も個性的でした。

ブルージーなサウンドにけだるいボーカル。ちょっと場末の酒場感とファンク系をミックスしたような感じ。オーバードライブのエレキも雰囲気にあったいい音でした。ただ女性コーラスの音域がちょっと低すぎて唸り気味だし、リードボーカルやその他のコーラスを含めた全体のハーモニーがちょっとバラけてたかな。

演奏後はボーカルの人がステージ脇に呼ばれて司会者のインタビューを受けるのですが、このバンドのボーカルは「うん、そうだね」みたいな感じでどっちが司会者か判らないほど場を仕切っていました。コンクール向きでは無さそうですが、ライブパフォーマンス上のキャラは完成されてますね。

ゲスト出演:matoca

全エントリーの演奏が終わって、審査員が会議室に引きこもります。その間のゲスト出演は昨年の覇者motocaさんです。

ガーデンズの時とは選曲が違うのか、それともコアの2人だけでバックバンドが居なかったせいか、前回感じた「オレンジペコー」的な印象はありませんでした。生ピアノだけでなくエレピサウンドを使って変化を出したのは良かったです。全般的にバート・バカラックにも通づるオシャレなコードは、オレンジペコー同様に僕好みですね^^

ただ、ピアノのヴォイシング的に中低音域に音がかたまっているというか、やや篭っているようにも感じました。全般的にもうちょっとオープンなヴォイシングにしたり、かっこいいリフを混ぜたりしたらグッと良くなると思います。あと、ピアノ演奏自体がやや散漫な印象を受けるので、もうちょっと音を揃えるというか正確性を増したほうが良い気がします。

まあ、曲そのものはゴージャスなので、このバンドは逆にもっと大編成の方が合うと思いますね。ストリングスとは言いませんが、バイオリン1本でも対旋律やロングトーン系をやると良さそう。同様にフルートとか、曲調によってはサックスでもいいかな。バックコーラスも合いそう・・・とか言ってると、パーカッションやベースなどリズム系も欲しくなりますね。

審査結果

私的感想

ぶっちゃけ、僕の中では最初の2人の圧勝で、あとはどっちが勝つかの問題です。僕は迷った末に佐野さんに入れました。冷静に考えると、Like a lifeの方が若干曲も歌も繊細でテクニカルかもしれません。ただ問題は、「この曲を聴いたら、皆ほのぼのするよね」的な計算や確信を演奏から感じてしまったのです。予定調和的に演奏をこなしているというか・・・

勿論、佐野さんの方もJKとは思えない程場慣れしていますが、パワーと気迫で勝った感じですかね。なんだかんだ言っても、コンテストでは熱唱型の方が癒やし系より有利だと思います。まあ、完成度が上がるほど聴き手は冷めてしまうというのは一種の自己矛盾ですが、今回はその程度しか差がなかったという事で^^;

という訳で、本物の審査員の審査結果は次のとおりでした。

西宮市長賞(実質第3位)

Flower marketさんです!正直僕は「工エエェェ(´д`)ェェエエ工ー?」ですね。上位2人を除いてよかったのは、ウクレレの人か最後のブルージーなバンドだと思いましたけど。

審査員特別賞(実質第2位)

Like a lifeさんです!ああ、キタかぁ。発表した審査委員長の言い方も「すまん、残念」的なニュアンスが出てた気が^^;

当然本人達もやったぜ!的な表情ではあありませんが、終わって有る意味ホッとしたのではないでしょうか。勝敗については、スーパーJK相手じゃしょうがないかと思ってたりして(僕の勝手な想像です)。

ただ、完全無料コンサートを取りそこねたという意味では、今後のプロモーション活動的には大きな損失かもしれません。賞金の5万と3万なんて目じゃないほど、副賞に大差がついてますから。2位はコンサートがない代わりに、ラジオのヘビーローテーションがもらえるとかでも良いと思いますけど。

グランプリ(実質第1位)

となると当然、佐野さんです(^^)。本人は受賞コメントで完全に鳴き声になり「待ってる時にすごい不安で・・・」と言ってましたが、そりゃそうですよね。3位と2位には呼ばれなかったらあとはグランプリしかない訳で、それにも呼ばれず無冠だったら「あり得んだろ!」って僕も思います^^;

なおグランプリは複勝として、同じホールでソロコンサートが開けるそうです。会場代、音響、照明など一切の費用は主催者持ち!一体幾らに相当するんでしょうか^^;?

意見・感想

予選のグループ分けについて

ガーデンズの予選が非常にハイレベルだったので、決勝は一体どんな事になるんだろ?と思いましたが、結局あの予選が事実上の決勝になったようです。つまり、3回に分けた予選グループの実力がかなり偏ってしまったという事になります。

特に、大学交流センターでの予選は、出場者が多いとは言え3組も決勝に進出しています(その他は2組)。そしてその3組共、今回の決勝で聴く限り今一歩でした。逆にガーデンズの予選で惜しくも落ちた、ゆたゆうさんの方がよっぽど良かったです。彼らが決勝で3位に入っても僕は不思議ではありません。

予選のグループ分けはどうやって決めたんでしょうか?書類・音源審査で一応偏らないように決めたけど、イザ生で聴くと一番最後のグループは思いの外ハイレベルだったとか?それなら柔軟に本戦出場者を3組にしてしまうとかでも良いと思いますけどね。

あと、今年から「一般部門」と「学生・オヤジ・ママさん部門」に分けましたが、これって意味があったのでしょうか?決勝曲を聴く限り、学生・オヤジ・ママさん部門もオリジナル曲の自演みたいでしたし、既存曲のカラオケでは予選出場も難しいのではないでしょうか?

決勝の運営について

決勝の上位2人の結果は僕の判定と同じですが、審査員がどのような「激論」を交わしてそうなったかは判りません。あと、審査員票と観客票がどのように加重平均されるのか?あるいは、観客票は単なる参考として、審査員が決定するのか言ってくれないと消化不良ですね。

あと、細かい点を指摘すると次のようになります。

感想

なんか予選の時と比べて注文が多くなってしまいましたが、幾つかは会場で配布されたアンケートに書いたし、主催者も既に気づいてる点もあるでしょうから、来年以降改善してください。

出演者の演奏については(色々書きましたが)、全般的には地方のコンテストとしては非常にハイレベルだと思います。僕は昨年以前は全く聞いていませんが、審査員長によれば8年前にスタートした時とは雲泥の差で、毎年ハイレベルになっているそうです。

ゲスト出演した昨年のグランプリのmotocaさんも、「今年出場していたらグランプリは無理だった」と言っていましたが、実際そうだと思います。いや^^;これはmotocaさんが劣ってるという意味ではなく、寧ろ僕の好みでは上なのですが、一般受けという意味では今年のスーパーJKやスーパー癒し兄さんに勝てたかというと難しいと言わざるを得ません。そういう意味では、やはり「音楽に勝負をつけるべきなのか?」という疑問がまた湧いてきます。

いずれにせよ、ちょっと歌自慢で「カラオケで出てみるかな?」みたいに考えてる人は、全くお呼びじゃありませんから(恥ずかしながらそれは僕でした^^;)。アマチュアバンドコンテストとも最早言えないでしょう。グランプリの副賞がソロコンサートという事からして、十分な持ち歌やライブ経験が前提という事です。

つまり、既に経験が豊富なプロが、力試しと素晴らしいプロモーション機会をかけて出場する大会という感じですね。まあ、予選出場が目標くらいなら、そこまでの実力は必要無いですが。

観客として考えれば、無料でこんなレベルの高い演奏をハイグレードなホールで聴けた事はとてもラッキーだと言えるでしょう。このコンテストを切欠に色んなライブ情報をチェックして行くようになった僕ですが、探すと無料でハイレベルなライブって結構有りますね。コンテストや合同野外ライブなど、オムニバスイベントですが、特定の誰かのファンではない僕にはピッタリです。

↓↓ ♥ ♥ ♥ Share this post ♥ ♥ ♥ ↓↓