米は種をまき、日は沈む2008-02-25
良くは知りませんが、どうやらはてながアメリカに進出しようとしたが、失敗したみたいですね。僕が愛読しているブログで知りました。
はてなの近藤社長はシリコンバレーでどんな問題に直面したのか?
この人(分裂氏と呼ばせていただきます)の幅広い見識や洞察力、そして人をひきつける文章にはいつも感心します。
ただ、僕ははてな何をしてどうなろうと興味が無いし、この記事の眼目もはてな評論ではないと思います。
重要なのは日米のITベンチャーを取り巻く環境の違い。分裂氏によれば・・・
- 日本ではベンチャーが成功しても利益はオーナー社長と一部の株主が受け取るだけ。
- 米ではベンチャー立ち上げの為に募ったエンジニアは、当然キャピタルゲインを要求する。
- そうやって自己資本を得た個人がまたベンチャーを立ち上げたり出資したりする。
- その結果(という書き方はしていないが)、「ベンチャープロジェクトと、そこへ供給される優秀な人材の数が、シリコンバレーで1対5だとすると、日本の場合1対50ぐらい。」
- WEBサービスのレベルは日米で段違い。日本じゃ少々知られたベンチャーがアメリカに乗り込んでも相手にされない(かも)。
うーん、何と言う悲しき日米格差。これじゃ最初から勝負になりません。ベンチャーという木に実がなり、それが落ちて新たな木が育つ、という「生態系」がアメリカでは確立しているんですね。
勿論、種が全て木になる訳ではありませんが、10のうち1個成功すれば系としては充分存続するはず。逆に変化の激しいIT業界では、「数打ちゃ当たる」戦略の方が適していますからね。
一方日本では、そうした技術の種まきは主に大企業が担ってきました。ただ、ヒト・モノ・カネが内輪で完結しているので、一旦業績が悪くなるとたちまち機能不全に陥ります。
長老方を養う為に不採算部門でもなかなかカットできないとか、何をやるにも決断が遅い。外資が参入しようとしたらハゲタカ呼ばわりで国を挙げて排除に乗り出しますし。
それでも、国内市場はそれなりに大きいので「パラダイス鎖国」が成立してしまいます。よって、個々のIT企業の戦略としては、ITゼネコンの下請けとして人月で稼ぐのが一番確実だと。
しかし、この生態系は袋小路に入っていて、いずれは絶滅する運命ではないかと。と言うか、末端(最下層)にいる私自身はすでに死に掛けているんですけどね(^^;