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著作権法の大御所が斬る!2008-06-03

著作権法の第一人者とされる中山信弘(前東大教授・弁護士)と言う方が、只今大ブレイク中です。

通常、彼のような大御所は学問(法律)原理主義で浮世の事柄に疎かったり、既得権側のロビイストだったりすることが多いのですが、彼は全く逆です。

「著作権法に未来はあるのか」-知財研究会シンポジウム

そのシンポジウムに行った例の池田教授も絶賛していました。

池田信夫blog-中山信弘氏の情熱

・・・法律がイノベーションを阻害している。私たちが子孫に残せるのは、せめてこういうひどい制度を手直しして、彼らが新しいビジネスに挑戦できる社会にすることだ。

おおすばらしい!こんな前向きな視点をもった学会の権威が今までいたでしょうか。

しかし、こういう人は言ってみれば突然変異型であり、今後何十年も出てこないかもしれません。なので変な言い方ですが、彼の目が黒いうちに一気に著作権法を改正したいですね(勝手に自分も何かする気になってる)。そうしないと、TV局・Jasrac・映画会社などの既得権者がまた巻き返してきますから。

では著作権法の何が問題なのか、ここからは僕の見解をベースに語ります。

異様に長い著作権の保護期間

上のリンク先にも書いてありますが、現在日本の法律では、著作権の保護期間は「著作者の死後50年間」となっていて、これを「死後70年」にしようという動きがあるそうです。 むちゃくちゃだと思いませんか?

死後50年にしたって長すぎです。作品を発表してすぐにポックリ死んでも、あと50年ですよ。大体なんで本人の死後、子や孫やその他相続人にまで使用料を払わないといかんのかと。だったらがっぽり相続税払えよと。

こうなってしまった理由は、著作権法の基礎が出来た時代(約300年前とされる)は、本や楽譜の版元の利権くらいはあったでしょうが、今のように作品が加工されて世界中を流通し、ビックビジネスになるとは思いもよらなかったからです。

中山氏の著書「著作権法」(この手の教科書としては異様に売れてるらしい) にもありますが、どこぞの漫画家が作ったネズミキャラが、100年後も莫大な利益を生むなんて、全く想定外の出来事だったのです。

著作権と特許を比較してみる

著作権と同じ知的財産権で特許権があります。

著作権は何か作品らしきものを作った(表現した)時点で成立します。何処かに届け出たり、審査を受ける必要はありません(「無方式主義」)。ですから、あなたの鼻歌にも子供の落書きにも著作権はあります。

一方、特許を得ようと思えば発明するだけではダメで、 内容を文書にして(どう表現するかが難しい)特許庁に出願しないといけません。出願して審査をお願いするだけで、10万円くらいかかります。しかも、出願したら必ず特許として認められるわけではありません。「それは他の特許と同じじゃないか?」「すでに何処かの学会や文献で発表された内容じゃないか?」「誰でも知ってる、あるいは簡単に思いつく話じゃないのか?」・・・などなど厳しい審査に合格しないと特許にはなりません。

で、そんな大変な思いをしてGetした特許の保護期間はというと、出願後20年です。審査には通常数年かかりますから、実効期間はさらに短くなります。それに比べて、何にもしなくても成立する著作権の保護期間が死後50年って一体なんなのかと・・・

この違いが何故生まれるのか?それは、特許法の法目的は「産業の発展」だからです。特許はみんなで使って、バンバン新製品を開発しよう!という発想なのです。それでもまあ、最初から使い放題じゃあ発明をするインセンティブが無いので、最初の20年くらいは発明者(権利者)に独占させてあげるから隠さずに公開してねって事なのです。

著作権の未来

しかし先述のように、今や文書・音楽・画像と言ったコンテンツはネットで世界を駆け巡り、様々な形に加工されてさらに流通する時代です。よって著作権法もコンテンツ産業の発展を目的とし、特許法系列に組み込んでしまったら良いのではないかと思います。

アートなどビジュアル系は意匠法に組み込み、音楽は音を扱う別カテゴリーにする。小説や論説などの文書は「言語特許」かなんかにする。コンピュータソフトもこの言語特許で取り扱えば、今のようにハードに組み込むか、さもなくば著作権で取り扱うなんて事もなくなるでしょう。

勿論、どのカテゴリーも無方式ではなく、最低限登録は必要とします。ただ、特許要件は内容によってまちまちでよいでしょう。例えば、音やビジュアルは登録だけとか。そして保護期間はみんな登録後20年とします。

まあこれは単なる僕の夢で実現はしないでしょうが、中山先生は著作権法を「増改築を繰り返した古い旅館」に喩えたくらいですから、そういう違法建築は取り壊して新しく建て替えるのが一番だと思うのですが。

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