EV -- MCタイチ

スーパーカブ電動化計画③-鉛電池2010-07-22

EVの肝は何と言ってもバッテリー。3月に車体を入手してから今まで何をしていたかと言うと、殆どバッテリー選びと仕様の決定です。それまでの長い道のりの前半部を紹介します。

ディープサイクル鉛バッテリー

EVというとリチウムイオン電池を想像するでしょうが、問題は何と言っても価格。しかもEVに使える容量のモノを個人向けに売っている店やメーカは殆どありません(日本では皆無)。そこで現実的な選択支として、昔ながらの鉛電池を探します。

先ず二輪車は傾けるので、電解液の入った開放型バッテリーは向きません。そこでシールされた所謂「メンテナンスフリータイプ」を探すのですが、楽天やWebikeなどネットショップでもかなりいい値段です。特に、パナソニックやGSユアサ、BOCSHなど有名ブランドはかなり高い。ACデルコやMKと言った海外ブランドは若干安いけどまだまだ。

しかも良く考えたら、エンジン車用のバッテリーは走りながら常に充電しますが、EVは走り始めたら放電しっぱなしです。つまり、EVには深い充放電に耐える「ディープサイクルバッテリー」が必要です。これは更に割高(^^;しかもバッテリーのように重い商品を海外サイトから購入すると、送料だけでヘタしたら本体と同じ位かかります。

なので国内ショップを探し回った結果、ようやく見つけた手ごろなのがFIAMMというブランド。イタリアの会社(多分生産は中国)で、GSユアサやBOSCHにOEM供給しているそうです(やっぱりブランド料を込みか)。そのFIAMMの製品も店によって値段が倍近く違うのですが、一番安いと思われるのは楽天に出店しているオリエンタルという会社 です。

電池容量とサイズ・重量

さて、バッテリー選択にあたり、全体でどのくらいの電力容量が必要かを考えます。

そこで先ず、航続距離は何km必要か?これは僕自身の普段の足として考えているので、 良く行くイオンショッピングモールと通院している皮膚科が片道8km位。よって往復16km、余裕を見て18kmくらいを目標に設定しました。商品として考えると物足りないでしょうが、重く高価なバッテリーを出来るだけ節約する為にギリギリの線で行きます。

では18km走るためのエネルギー(Wh)は? ・・・実験データなど無いので、他の原付クラスのEVの公称値を参考にします。

最後のは自作トライクなので別として、大体1kmあたり20Wh必要だとすれば、18kmなら360Wh必要と言う事になります。ただしこれは定地・低速走行でのデータなので、激しく走るとその2倍、平均すると1.7倍程度の消耗と仮定すると(ホンマかいな?)612Wh必要となります。果たして結果は如何に?

では次に、上記オリエンタルのラインアップの中でどのバッテリーを何個搭載すべきかを考えます。適当なサイズのものを選び約600Whになるよう個数を掛けたのが次の表です。

型番 電圧(V) 容量(Ah) エネルギー(Wh) 重量(kg) 単価(¥) 個数 総エネルギ(Wh) 総重量(kg) 総額(¥)
12SSP26 12 26 312 9.1 6,600 2 624 18.2 13,200
12SSP18 12 18 216 5.9 5,300 3 648 17.6 15,900
12SSP12 12 12 144 3.7 3,900 4 576 15.0 15,600

小型バッテリーの方がレイアウトの自由度は向上しますが、エネルギー当りの価格は高くなります。

バッテリ搭載方法の検討

デンキカブ鉛バッテリの検討では実際どのように搭載できるのか?右の写真のように、厚紙で同じサイズの箱を作り、バイクと並べて検討しました。グリーンの園芸用針金は特注予定のサブフレームのつもり。ダイソーの500円玉貯金箱はモーターのダミー。これが何と直径が購入予定のモータと同じなのです。

ちなみに、CADでもやりかけたんですが、フレームのモデリングが大変な割りに、イメージが沸きにくいのです。こういう場合、現物あわせの方が簡単でアイデアも沸き易いですね。

さて見ての通り、一番大きい26Ahタイプは2個目を積む場所が無い(^^;まさか重いバッテリーを荷台に積むなんて、重量バランスの点から有り得ません。真ん中の19Ahタイプは少々背が高く、フレーム上に3列に並べて何とか積めるかな?と言う程度。

一番手前の9Ahタイプは3個をフレーム上に置き、残る1個はシート下に詰め込んでみたけど、かなり絞り込んであるので、紙の箱をねじ込むのにも一苦労。と言う事は本物は無理か?しかも、バッテリーを裸で積む訳に行かず、防水ケースとまでは行かなくても、何らかの覆いは必要です。となると更にスペース的に厳しくなる・・・

更に、大きさもさることながら、重量も非常に問題。上の表にあるように、容量が少ない一番下のパターンを除き、全部で18kg程度。それにモータの重量約5kgを加えると全部で23kgほどになります。

一方、この部分に元々吊り下げられていたエンジン+ミッションアッシーの重量はと言うと、正式なデータはありませんが、バイク屋で持たせてもらった感じでは恐らく12~13kgといったところ(バイク屋も「15kg以下だと思う」とのこと)。果たして10kg近い差をサブフレームだけで支えきれるのか?しかも走行中に左右にバンクしたら重みでグラグラ揺れそう。

考えれば考えるほど、鉛電池ってあまりにも重くてかさばるものだと実感します。そしてスリムなスーパーカブのフレーム。 うーん困った・・・

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