スーパーカブ電動化完成!2010-12-28
何時も現実よりかなり遅れている当サイトの記事。既にtwitterや掲示板でお伝えしたとおり、もう完成してしまった電気カブですが、ここで改めて紹介します。
フォト&ムービーライブラリ
スペック
- ベース車両:ホンダ・プレスカブ
- モーター:Unite社 スクータ用DCモータ 1000W 48V仕様
- バッテリー:Mottocel社 カスタム リチウムイオンバッテリー 51.2V*13.2Ah
- コントローラ:Kelly KDS48050E(48V 50A仕様)
- 装備重量:65kg(充電器含まず)
- 最高速:約52km/h(定地) 約60km/h(下り)
- 航続距離:約15km(住宅地アップダウンヒル)
- 充電時間:4.5時間強(電池切れ~満充電まで)
主要装備
クリーンでスムーズなDCモータを搭載
当然ながら、排ガスゼロ(※)、振動も限りなくゼロ、騒音も殆どない電気モータ。
ガチャガチャと煩わしいシフトチェンジも無く、マイルドでスムーズなパワー特性により、自転車より簡単に乗れます。下りなら60km/hの最高速(※)。上りも押して歩けば軽々運べて、脂肪も燃焼。
※連続登板走行をするとモータが加熱し、鉄の焦げる匂いと共に煙が出てくる事があります。
信頼と実績のカブ車体
世界中で愛されてきたスーパーカブ。その秘密は絶妙な車体ディメンジョンです。第一に、クラス最大17インチホールと細身のタイヤの絶妙なバランス。
そして、横型エンジン(&ミッション)をフレームから吊るすというユニークなレイアウト。しかし逆に言えば、エンジンを取去ってしまうとステップすら残りません。
そこで右図のようなサブフレームを構築(ホームセンターで売ってる材料だけで)。ここにモータとバッテリーを搭載する事で、オリジナルのカブとほぼ同じ重量バランスを実現しました。
これにより、安定感と軽快感を両立したナチュラルで扱いやすいハンドリングを実現。普通の原付スクータではフラフラするUターンも楽勝です。上述のマイルドなパワー特性も相まって、自転車に乗るより簡単。恐らく世界で最も乗りやすい2輪車と言えるでしょう。
先進のリチウムイオン電池
日本で販売される電気バイクの殆どは、鉛電池を搭載した中国製スクーターです。しかし、スリムなカブの車体には鉛電池は収まりません。無理に荷台などに積めば重量バランスを大きく崩してしまいます。
そこで、コンパクト&ハイパワーなリチウムイオン電池は必須。 しかし、日本で大型リチウムイオン電池を入手することは、限りなく不可能に近く、仮に出来たとしても極めて高額です。
そこで、中国深セン市のMottocell社と直接交渉し、カスタムバッテリーを作ってもらいました。上述のサブフレームにピッタリ収まる、タカチの防水ブラボックスにジャストフィットするバッテリーになりました。
簡単充電、1km=数円の経済性
充電はシート下の充電ポート(XLRプラグ)に充電器をつなぎ、もう一方をご家庭のAC100V電源プラグに差し込むだけ。充電時間は電欠から満充電まで4時間ちょい(終了後自動停止)。 この間の電気代は多分数十円。
航続距離はきつめのアップダウンで13km程度なので、電費は最大でも2円/km程度に収まるはず。
原付二種登録で維持費もお安く
電力カブは定格1kWモータなので、法律的には原付二種扱い(125cc相当)。なので、税金や保険料が大変お得。また原付一種(50cc)のように2段階右折の必要は無いし、速度制限も60km/hにアップ(実際には出ないけどToT)。
PCと接続しセッティング自由自在
搭載されるKellyコントローラはRS232ポート経由でPCと接続可能。フリーの設定ソフトで、電流や電圧のリミット、スロットルレスポンス等が簡単に設定できます。
その他の便利装備
- アウトスタンディングのミディーシートを装着し、自由度が高くリラックスしたポジションを取れるようになった。
- シート下にあったガソリンタンクがなくなったので、小さなキャップヘルなら入りそうなラゲッジスペースが出来た。
- コントローラのLEDインジケータを、メータパネルの「3速」ランプに装着。スタンバイ、及びエラーコードが確認できる。
- プレスカブのキャリア類を取去って、軽量化とすっきり感を実現。同時にヘッドランプとフロントウインカーも改造して、ノーマルカブ本来の位置に戻した。
- 不要になったポジションランプスイッチを使って、電装品のON/OFFスイッチにした(待機電流を抑えるため)。
価格(というか制作費など)
制作費の総額は約115,000円となりました。内訳は・・・
- バッテリー(充電器、送料、通関費込み):¥38,000
- モーター:¥9,000 +送料:¥5,000
- スプロケ/チェーン類:¥6,000 +送料:¥3,000
- コントローラ/スロットル/コンタクター:¥12,000 +送料:¥3,000
- カブ車体:¥8,000
- サービスマニュアル:¥3,700
- カブシート:¥5,500
- カブ電装品(ウインカーレンズ、バルブ、ホーン等):¥5,000
- タカチ防水ケース(大小2個)/付属品:¥6,000
値が張るものはこの位で、あとはホームセンターで買った電材やチャンネル材が合計1万円もしないと思います。
勿論、私の人件費は一切含でいません。プライスレスです。
製作日数:スケジュール概略
- 3月:ベース車検討~カブ車体入手
- 4月:モータ、バッテリーの情報検索
- 5~7月:バッテリー仕様検討~発注
- 8月:モーター、バッテリー、コントローラ入手
- 8月下~11月:製作作業
- 11月下:完成/登録
大まかに言うとこんなところですが、実際にはこの順番どおり整然と進めた訳ではありません。
バッテリーがキーになると予想したので、先ずそこから手をつけ最も時間をかけました。ただ、最初に全体構想・設計があったのではなく、作りながら考えるというスタイルでした。事前に様々なアイデアを練ったとしても、パーツを実際に手にして閃いた解決策が結局最も妥当なんですよね。
大体の行き先は決めるけど、スケジュールは全く決めない旅のようなものでしょうか。 これが一人ものづくりの醍醐味ですね。