I2S DACのセットアップと音質テスト2018-02-10
前回書いたジャンパワイヤが届いたので、遂にラズパイのDAC(NXP UDA1334A)を試す時が来た!
セットアップ
配線はAdafluitの公式説明の通りだが、通常使う端子の接続を簡単にまとめると;
DAC側端子 | 説明 | ラズパイの接続先 |
---|---|---|
VIN | 電源の入力 | 5V又は3.3Vピン |
GND | アース | GNDピン |
WSEL (Word Select or Left/Right Clock) | 左右何方のデータを出してるかを示す信号 | GPIO #19 |
DIN (Data In) | 音声データそのもの | GPIO #21 |
BCLK (Bit Clock) | 音声データを読み取るタイミングを示すクロック | GPIO #18 |
因みに、電源以外の3つの信号の意味は以前にも触れたこちらのサイトがわかり易い。I2Sってこういうプロトコルなんだ。CDプレーヤなんかも同じ仕組みなんだろうか?
以上の接続でオンボードのヘッドフォンジャックから音を聴くことができる。更に、LOUT、AGND、ROUTというラインアウト用の端子もあり、アンプなどに繋げるとスピーカーで聴くことも出来る。僕の場合はジャンパワイヤをステレオフォンジャックに半田付けし、さらにそこからYケーブルでミキサーに繋いだ。
というわけで完成したのが下の写真(ジャックへ繋ぐL/Rケーブルの色を逆にしてしまったw)。ラズパイ側のデータピンはなんでこんな離れたところに繋ぐのか最初は疑問だったけど、よく調べるとGPIOは皆同じではなく一応役割があるのだった。
ドライバのインストール
一方ソフトウェアのセットアップもAdafluitの解説通り。”Fast Install”に従って次の呪文をターミナルで唱える。
curl -sS https://raw.githubusercontent.com/adafruit/Raspberry-Pi-Installer-Scripts/master/i2samp.sh | bash
するとスクリプトを実行するには注意が必要というWarningが出てくるが、Continueするか?の問に構わずy(Yes)を押す。すると更にrebootするか聞いてくるので、またyesを選択。
Adafluitの解説には、再起動後にlog backしてスクリプトを再始動させろとか書いてあるが、同じ呪文を唱えるだけでよかった。すると再びスクリプトを実行するか聞いてくるのでyを押すと、更にスピーカーテストをするか聞いてくるのでまたy.
すると、Ubuntuのスピーカテストでもお馴染みの女性の声で、何度か”front left…”と言ってくる。これがちゃんと聞こえたら成功。因みに僕の場合、取り敢えずヘッドフォン端子を使ったが、出力レベルがわからないので最初はミキサーのライン入力に繋いで、フェーダーをゼロから徐々に上げていった。
サウンド・レビュー
さていよいよ音楽の視聴。予めPCからラズパイに転送しておいたハイレゾ音源(Mora等の無料のお試し版w)を、インストールしておいたVLCプレーヤーで再生する。先ずはヘッドフォン端子にヘッドフォンを繋いで、VLCのボリュームをミニマムから徐々に上げて様子を見る。
すると、30%くらいのボリュームで既に十分な音量。肝心の音質は正に鮮烈という表現が似合う、ダイレクトでクリーンなサウンドだ。何というか、途中の処理を何も介さずに音声データが直接耳に突き刺ささるような感じ。
続いてラインアウトのテスト。DACのラインアウト端子に繋いだステレオフォンジャックからYケーブルでミキサーに繋いでスピーカーでチェック。するとフェーダーを上げるに連れ、何故かカサカサしたノイズが出る。ミキサーやスピーカのホワイトノイズではない。色々とチェックしたら、実は左右のチャンネルで同じ音しか出てない事が判った。
原因はどうやら、Yケーブルに挿したミニフォンコネクタを標準フォンに変換するアダプタのようだ。というのも、ラインジャックにヘッドフォンを直接つなげてみたら、ちゃんと左右で違う音が出て来る。しかも音質はノイズが無いどころか、リッチで素晴らしいサウンドだった。これと較べてしまうと、ヘッドフォン端子は音が若干ザラツイてるというか、無理やり増幅して歪んでるような印象が無きにしも非ずだ(実際出力レベルは必要以上に高い)。
因みに左右の振り分けは次のコマンドでもテスト出来る。ただ出て来る音声が”front center”としか言わずに左右にパンするから、その時何方のチャンネルから音が出るべきなのか判らない。まあちゃんとステレオで出てることは確かだけど(;´∀`)
speaker-test -c2 --test=wav -w /usr/share/sounds/alsa/Front_Center.wav
PCオーディオとの比較
ここで、普段PCで聴いてる音とどのくらい違うのか比較してみた。僕が使っているPCのオーディオインターフェイスはM-AudioのDelta44というレガシーな製品で、今時珍しいPCIスロットにカードを挿すタイプだ。音質的には多分、現在の2万円弱のUSB接続タイプと同等だと思う。
先ず44.1kHz/16bitのCD規格の音源で比較してみたところ、ラズパイDACの方が明らかに良かった。ラズパイDACでは、音として認識出来ないような高周波音が頭部の血行を良くしてる感じが判る(^_^;) これに対しPCの方は何も感じないし全体にフィルターがかかったように解像感がない。
ただこの時、ラズパイDACのサンプリング周波数はデフォルトの48kHz設定だったのに対し、Delta44は44.1kHzの設定だった。そこでDelta44の方も設定を48kHzに変えてみると、音源は44.1kHzなのに何故か高音の伸びが良くなり、ラズパイDACとの差が大分縮まった。
更にDelta44はミキサーを通しているというハンディーがあるから、実際の音はもっと近づくかも知れない。試しにミキサーのEQでDelta44の2.5kHz付近をブーストしてやると、ラズパイDACの質感に近くなった。ただラズパイDACは単に高音が強いだけではなく解像感を伴っているので、周波数特性だけの問題では無いと思う。
次回は標準フォンコネクタのYケーブルを入手するか、ジャックをミニステレオに換えるかして、問題のアダプタを使わずに同条件(何方もミキサーを通す)で比較したいと思う。