DR-Z400SM 発表試乗会2004-12-15
かねてより世間の期待を一身に浴びながら、なかなか出なかったDR-Z400Sのモタード版がようやく発売されました。それも11月という奇妙な時期に。
しかし、発売間もない12月初旬に東京サーキットで試乗会をやるというでは無いですか!このような試乗会は全国各地で行われていたようで、スズキの気合の入りようが判ります。早速僕も近所のスズキワールドに行って、申し込みをしてきました。
DRZの試乗(¥500)の他に、マイバイク体験走行(スズキ車はタダ!それ以外は¥1000)というのがありました。これは文字通り、自分のバイクでコースを走るのですが、チラシには「フルフェイスヘルメット、レザースーツ着用」と書いてあるのです。僕は「どちらも持っていないので、ダメですよね?」と一応店員に聞いてみたら、「その条件では厳しすぎるので、止めにしたはずです。」と言って、何処かに電話して確認を取ってくれました。やはり普通
の格好でOKとの事だったので、このマイバイク走行にも申し込む事にしました。
試乗会当日、曇って肌寒い中、湾岸&京葉道路を突き進みます。前日に「9:30までに受付をしたください」というスズキワールドからのお達しがあり、それに間に合わせるために今回は有料道路のフルコースです。すると、案外あっさりと市原ICに到着。料金所を抜けると、路肩にスズキのバイクがズラッと並んでいました。僕は辞退したのですが、店単位でお客を集めて、一緒に会場に行っているようです。
東京サーキットは都心に一番近いカートコースというのが売り文句なのですが(確かに嘘ではない)、どう考えても千葉の典型的な田舎。浦安や船橋ならまだしも、ここを「東京」と名乗るのは非常に無理があるような。
途中で曲がるべき道を通り過ぎてしまい、寄り道をしてしまいましたが、会場に着いたら家を出て丁度1時間経っていました。砂利の駐輪場の手前で、係員にマイバイク走行をする旨を伝えると、早速ピット裏に通されました。そこは「練馬」とか「新宿」とか看板があって、どうやら申し込みをした店毎にかたまって駐車するようです。何だか「店別対抗レース」でもやるかのようです。
DR-Z400SM試乗開始
受付で試乗順のカードをもらってから、コースを散策しました。小さいながらも観客席のようなものもあるし、ピットもカートコースとしては広めで綺麗です。コース自体も極端に低速・タイトコーナー主体ではなく、道幅も割とあります。
コース上では、レース装備のライダーが2・3名DR-Z400SMでかっ飛ばしていました。「おいおい、試乗もこんなペースでやるんじゃ・・・」と一瞬思いましたが、実はお昼にプロライダーによるデモレース(もちろんDR-Z400 SMのワンメイク)があってその練習でした。
レーサーのフリー走行が終わると、いよいよDR-Z400SMの試乗会の始まりです。試乗第一組の人がバイクに跨りスタンバイします。一組15台くらいあるので結構な数ですが、これでサーキットを5周します。
そして、いよいよ緊張のスタート!ところが、コースインして間もなく様子がおかしい。どうも転倒者が出たようです。おそらく朝一でタイヤも冷えた状態で、少々無理をしてしまったのでしょう。事前の説明では「誰か一人でも転倒したら、試乗を終了しピットインしてもらいます」との事だったので、この集団は2周で試乗終了。おお何と可愛そうに!究極の連帯責任ではないかこれは。転倒した本人だっていたたまれない気持ちでしょう。(実
はこの話にはオチがあって、試乗会の一番最後にこのグループの人はもう一度(つまり5周)走る事を許されたのでした。良かったね。)
次に第2グループがコースイン。気のせいか、第一グループより格段に遅い・・・しかし、これをのんびり見ている暇はありません。僕は第4グループなのです。すぐにピット裏に集められ、程なく第3グループを見送る事になります。
第3グループがピットインして下車すると、すぐに我々がバイクに跨ります。全員スタンバイした事を確かめて前の人からスタート。いよいよ僕が何気なくクラッチをつなぐと・・・何とエンスト!すかさず再起動を試みるも、エンジンがかからない。
前のバイクが大分離れていくので、F1ドライバーの如く両手を振って助けを求めたら、オフィシャルが駆けつけます。それでもエンジンがかからず、「ニュートラルに入れてもらえますか?」と言うので僕がそうすると、エンジンがかかりました。あれ?Nに入れないと始動できないのか?スタンドが上がっていたら普通は始動出来ると思うのですが、おかしいな。
その間、後ろのバイクを先に行かせていたので、僕は最後尾から集団を追いかけます。程なく追いついて事なきを得ましたが、大変はずかシー思いをしました(^^;しかしその後は、そ知らぬ顔でDR-Z400SM@東京サーキットを楽しみました。では早速インプレに・・・
DR-Z400SMの試乗インプレ!
- 足つき性は期待以上に良かったのは嬉しい。多分Z750と大差ないレベルで(もちろん幅はスリムで背は高い)これなら街乗りでも多分問題なし。
- ハンドリングは思ったほど軽快でもクイックではない。XR250モタードの軽快感をイメージするとちょっと期待はずれかも(ホイールベースもDRの方が大分
長いと思う)。でも、車体は軽いしナチュラルなハンドリングで悪くない。逆にダートも走るスーパーモタードでは、これくらいの安定感が無いと不安かも。 - サスペンションは硬すぎず柔らかすぎずほどほどと言う感じ。特に高精度とか引き締まった印象は無いけど、一般道やダートでの使用を考えるとこれが妥当な線かも知れない。
- エ
ンジンの感触はちょっとドタバタ・ガサガサして、エンブレも割と強め。考えて見れば、普通のOFF車のエンジンの感触そのもので、至極当然の話なのだが、
シャープな直4に慣れてしまったせいか、どうしてももっさりした印象になる。パワーも凄くあるとは感じなかったが、と言ってZ750と比べて明らかに非力
という印象も無かったので、実際は結構パワフルなのかも。現に試乗を終えたある人が「凄くパワフルだった!」と感嘆していた。
という訳で、期待が大きすぎたせいか、凄く感動はしなかったけど、不思議と後味の良いバイクでした。
お楽しみタイム
DR-Z400SMの試乗は確か10幾つくらいのグループがあって、15をかけるとかなりの人数が試乗したことになります。僕の順番は速かったので、待ちくたびれずにすみました。
11時ごろ、炊き出しの豚汁が出来たというアナウンスがあったので、早速もらいに行って、グランドスタンド(?)で試乗車を見ながら食べます。この豚汁はサービス品にしては美味しくて、具も色々と入っていました。晴天の日光のおかげで体はほかほか。
結局僕は、あとで皆が一通りもらい終わって空
いた頃にもう一杯もらい、プラス売店でチョコシリアルのようなものを買ってこの日の昼食にしました。何と安上がりな食事なんでしょう。
正午ごろに試乗会は終わり、コース裏の特設ステージ(良くあるトラック)でイベント開始。なんと、JAJA馬ギャルのうち3人が来ていたんですね。こんなところまで・・・スズキの意気込みが伝わります。
あとは、この後レースをする選手の紹介。モタードはもちろんモトクロス・ロードレース・エクストリームなど、様々なジャンルから集めた選手数名です。
デモレース
次はいよいよデモレース。選手がコントロールライン付近に並び、一人ずつ紹介していきます。でも何故か、さっきより人数が増えている。急遽参加が決まった人がいるようで、アナウンサーも名前を知らない。自己紹介によれば、ダートトラックの選手のようです。
僕は、おそらく一番迫力があるだろうストレートエンドの第一コーナーに陣取ってカメラを構えていました。
レースがスタートし、各車ものすごい勢いでコーナーに突っ込んできます。エキジビジョンとは言え、レースともなるとファイティングスピリットに火がつくの
か、皆かなり本気モードです。それぞれ全く違うジャンルのレーサーなのに、終始団子状態の拮抗したレースでした。しかも何故か乗り方が割と似ている。
実はレース前半でトップに立った選手が、そのまま後続を引き離すかに思われたのですが、何故かいつもタイトコーナーではらんで、インをさされていま
した(最初はレースを面白くするためにわざとやっているのかと思いましたが)。結局終盤に黄色いツナギの選手が果敢に前をパスし、そのまま1位でゴールし
ました。
デモ・エクストリーム
レースの直後に今度はエクストリーム。演じるのは・・・何と先ほどレースで優勝した選手のようです。マイクを向けられて、未だハーハーと荒い呼吸をしているのに、そのままピット裏にある専用マシンに乗り込みコースイン。
ウイリー往路 |
ウイリー復路 |
片足ウイリー |
サイドカー・デモ走行
お次は何故かレーシング・サイドカーのデモ走行。昼休みにはピット裏にカウルを外して展示してあったのですが、フレームが車体の端にある、なんとも
奇妙な構造です。
ドライバー(?)はカウルにうずくまったままですが、パッセンジャー(?)はコーナーの内側に体を乗り出して(ほぼ地面に寝ている状態)常に激しく動いて
います。
そして恐ろしく速い(特にストレートの加速が凄まじい)。GSXR1000のものをチューンしたと言うエンジンは、野太いサウンドを出しながらすっ飛んで
行きます。走行を終えたレイダーにインタビューしていましたが、パッセンジャーの方はハアハア息を切らせながら「結構しんどいんですよ。」とか言っていま
した。
次に、観客のうち誰か「パッセンジャー」として試乗できるらしいのですが、あれを見たあとで誰が乗りたいねんと思いました。しかし、手を挙げたのは
何と女性。しかもこの人、結構堂々としていて、もしかしたら乗った経験があるのかな?と言う感じ。正座を横に崩した女っぽい座り方が、妙にこのマシンに
あっているようでした。
マイバイク走行
しばらくの休憩をはさんで、最後のイベント・マイバイク走行です。
僕はしばらくトイレに入っていて戻ってみると、もうすでに誰かが走っていて、我が「葛西チーム」もみんなスタンバイしているではないですか。あわてて準備
したら、丁度良いタイミングでピットアウトとなりました。とは言え、ピットロードに並んだまま、前のグループを待っていたのですが。
いよいよJAJAギャルに見送られてコースイン。走り出してすぐは、タイヤが冷えているせいか、セルフステアが強めなのに動きが鈍い感じです。「タイヤ
ウォーマーを貸してくれ」と無茶を言いたいところですが、ウォームアップラップに相応しいゆっくりとしたペースなので、まあ問題はありません。
その後、ペースはそれほど上がらず、段々前のバイクを突っつく感じになってしまいました。それは古いGSX系のバイクで、こう言うコースでは曲がりにくそ
うに大回りしています。ただ、最終コーナーからストレートに向けて一旦加速を止めるようなそぶりには、ちょっと閉口しました。これって(DRの試乗の時も
少し感じたのですが)急加速を試みているのか知りませんが、こっちがスムーズに加速しようとしているのに結構うっとうしいです。
さて、自分のバイクの試乗インプレですが、DRと比べると当然ながら重さを感じるものの、大型バイクとしては無類の旋回性でしょう。まあ人の走りを見ても、こう言うタイトなコースではネイキッドが有利で、SSやツアラー系は苦労していたようですが。Z750はジムカーナ向きと言われますが、パイロンとかは嫌いなので、こう言うカートコースで自由に走って見たいなと思いました。
まとめ
スズキの試乗会は非常に少なく、地元の竜王以外でこのような大掛かりなイベントに参加できたのは、かなり貴重な体験だったと思います。しかも、
DR-Z400SMたった一車種の為にカートコースを借り切って、試乗会だけでなくプロのデモレースまでやるなんて・・・スズキがこのバイクに掛ける意気
込みのほどが判ります。
で、その期待のバイクはと言うと、ちょっと拍子抜けの普通のバイクでした。でも、シャシのポテンシャルは高いと思うので、エンジンパワーと質感をも
う少しUPしたら、もっとエキサイティングなバイクになると思います。とりあえず車重は据え置きで、450ccくらいまでボアUPしたら良いかも。その方
が大型2輪免許保持車の虚栄心を満足させられるしね(^^
ところで、雑誌のスクープでXR400のモタード版が出るのを知りました。DRと違って殆ど話題にならなかったのに、思わぬライバル出現です。今後モタードブームを背景に、ヤマハ等からも競合車が出て競争が激化し、レベルが上がる事を期待します。