電気バイクの法律上の区分2010-06-12
従来のガソリンエンジンバイクは排気量によって必要免許や税金、車検の有無などの区分がありますが、電気バイクの場合はモータの定格出力によって次のように分類されます。
- 原付一種 (50cc未満)・・・ 600W以下
- 原付二種(125cc未満)・・・ 1kW以下
- 軽二輪 (125~250)・・・1kW超
エンジンの排気量に相当する指標として、モーターの大きさ=定格出力で区分けしようという発想でしょう。しかし、この出力規定は昭和30年代から変わっていないそうで、現在の感覚からはあまりにも非力と言わざるを得ません。
電気バイクのパフォーマンス
最高出力は、大体定格出力の1.5倍~2位でしょうか。そこで仮に2倍で計算すると;
- 定格600W ⇒最大出力1200W=1.6hp
- 定格1000W ⇒最大出力2000W≒2.7hp
となり、現行の4ストエンジンより遥かに非力という事になります。ただ、電気モータにはエンジンより有利な点があります:
- 回り始めから最大トルクを発揮する
- 静かでスムーズな為、全開にしやすい。
- 変速機の損失が無い
- エンジンの出力と違ってほぼカタログスペックどおり出る
これらによって、モーターはエンジンと同じ最高出力なら、体感上は2倍程度のパワーがあると考えられます。すると・・
- 原付一種:体感上3.2hp⇒現在の4スト50ccに何とか届く
- 原付二種:体感上5.4hp⇒10hp位出てる125ccの約半分
となります。実際の600Wの電気スクータ(少々ショボイ)に乗ると、ほぼ中国製品を輸入しただけと思しきモデルは、最高速が50km/hに届きません。一方、純国産のヤマハEC-03は50km/hでリミッターが作動しますが、それが無ければ平地で60km/h位まで到達しそうです。
定格出力の謎
そもそも定格出力とは、通常「連続運転できる出力」(長時間運転しても発熱などで問題が生じない)といった意味です。Wikipediaによれば、本来の「定格」の意味は「指定された条件(使用される環境による)仕様、性能・・・」とのことです。
しかし、電気バイクについて言えば、この定格の意味がかなり曖昧らしいのです。一応、国が定めた運転条件があるようなのでこれに従えば、実際のモーターのパフォーマンスより高い数値だと言い張るのは限度があるでしょう。
しかし逆に、低く申告することは幾らでも可能なのではないでしょうか?例えば3kWで定格運転できるモーターは、1kWなら当然定格運転できる訳ですから、「定格1kW」のモータとしても反則ではない筈です。
まあ、実際にはメーカーの自己申告なので、書類さえ整っていれば通るようです。でも僕の電気カブは正直に申告していますよ。詳細までこのサイトで公開するつもりなので、そこから足が付くと拙いので。
もっとも、買ったモーターのメーカーのデータがいい加減かも知れません。どっちか言うと、実際の出力より数値を高めにしてる可能性が高いので、原付枠をはみ出す心配は無いと思いますが(^^;
軽二輪
ならばいっそのこと、軽二輪(250)のバイクにしてしまえば、どんなにハイパワーなモーターでも大っぴらに使えます。エンジンバイクのように中型とか大型の区分はありません。たとえ100kWのスーパースポーツでも250cc扱いです。素晴らし!
一応、サイズ上限があって2.5m以下/幅1.3m以下/高さ2.0m以下と 定められていますが、これって相当巨大なバイクなので普通は引っかからないでしょう。
だから僕も、軽二輪でEVを作ろうかと思いましたが、これはこれで問題があります。
先ずは、維持費が高い。特に2台目のバイクとなると、任意保険がかなり高くなってしまいます。僕はメインバイクの保険の等級は20等級まで進んでいるので、年間7000円程度の保険料で済みますが、2台目の保険はなんと最初の6等級(安くて 23,000円/年)からです。一方、原付ならファミリーバイク特約で6000円/年程度、普通に入っても7-8千円で済みます。
また、自作EV特有の問題として、陸運局に改造申請を出して承認を得る必要があします。これがどのくらい難易度が高いか判りません。一方原付なら、僕の住んでる川西市では市役所で改造申請の書類を出す(モータの出力の判る紙を添付)だけでよいそうです。
さらに物理的・金銭的な問題として、出力が上がればモータやコントローラのコストが飛躍的にアップします。重量やサ イズも大きくなるので、搭載の難易度も上がります。
改造電気バイクの原付登録方法
と言うわけで、結局原付登録にしました。方法は市役所に相談すれば教えてくれますが、非常に簡単で、次の書類を用意して提出するだけです。
- 廃車証明書:カブの車体を買ったときにバイク屋に貰いました。
- 車体ナンバーの石刷り:フレームの車体ナンバーが刻印された部分に、紙を当てて鉛筆で写し取ったもの。車体の現物の代わりになる。
- 軽自動車税申告書/原動機付自転車標識交付申請書:役所でもらえるので記入して提出
- 改造申請書:改造内容を簡単に記載したもの。これも用紙は役所で貰える。主に原動機を1kWのモータと記載するだけ。
- モーターの定格出力を示した書類:何でも良いそうですが、僕はメーカのサイトにあったスペックシートと購入した際のインボイスのコピーを付けました。
- 持ち物として、印鑑や身分証明書など
改造EV特有のものは5だけでしょう。4はエンジンをボアアップした場合などと同じだと思います。あとは普通の原付バイクの中古を購入して登録する場合と同じです。
審査や登録費の類は一切なく、税金は翌年6月に請求されるのでその時払うだけ。つまり登録時にお金は要りません。その場でナンバープレートと登録書が貰えます。
書類さえあればバイクの現物は一切必要なし。「こんなに簡単で良いの?」と思うほど簡単でした。もっとも、市区町村によっては配線図を要求されたところもあるようなので、お住まいの管轄役所に確認してください。
自賠責に加入
勿論、これだけでは合法的に走れないので、自賠責に加入する事もお忘れなく。 今時はコンビニでも自賠責に入れます。僕の場合、保険会社を選びたかったのでバイク屋で加入しましたが。