
フォーミラEの雑感とEVレースの展望2014-10-10
ちょっと遅いネタだけど、先月EVファン待望の(?)Formura Eが北京で開幕した。それを見て思ったことと、今後の展望・要望について書こうと思う。
北京GPの雑感
先ずは、TV中継を見た感想を箇条書きにしてみる。
- ファンブーストって意味不明。大体、世界から投票集めてちゃんと中継出来るのか?と思ってたら、案の定サーバーダウン。
- バッテリー載せ替えるなら判るけど、クルマごと乗り換えなんてかっこ悪いし、技術的にも意味なし。
- 使用電力や最高出力が決まってるのも面白くない。バッテリーの性能勝負にならないし、電力を取るか軽さを取るかという戦略性もない。
- クルマの動きを見てるとピョコピョコ跳ねてて落ちつきが無い。路面がバンピーらしいけど、それに合わせたセッティングが出来てない、というかワンメイクマシンのポテンシャルの低さの現れかも。
- ロープロファイルタイヤはルックスの向上を狙ったもののようだが、大径ホイールはバネ下重量の増加を招くし、エアボリューム低下によってレスポンスは落ちる。全天候型グルーヴドタイヤも耐久性やグリップが不安。タダでさえノウハウが足りない新カテゴリに、こうした不確定要素を態々加える必要があったのか?
- 幾ら市街地コースとは言え、北京のコースレイアウトは悪すぎ。直線でたった2車線しかないなんてあり得ない。
- 折角、佐藤琢磨が出てきたのにスポット参戦と聞いてガックシ。
- 最後のクラッシュはプロストが悪いでしょ。ハイドフェルドは早い段階でインに入ってたのに見てなかった? VIPのアラン・プロストが、息子をゴリ押しした感があるようではしらける。
- クラッシュの仕方がなんか重々しい。バリアに激突してもドライバはほぼ無傷みたいだからいいけど。
- モーター(インバーター?)の音がキンキン五月蝿い。勿論エンジンカーより録音・出力レベルを上げてるんだろうけど、故意に迫力を出そうとする必要はない。
- TV朝日はモータースポーツ中継に慣れてないのか、無駄が多くて間延びした感じ。フリー走行から決勝にかけて、地上波とBSを入れ違いで放映するというややこしさのために、録画しそこねた。
という訳で、ダメ出しばかりになってしまったが、実際良かった点は世界的なEVレースシリーズをスタートさせた事自体しか思いつかない。勿論、最初だからしょうがない今後に期待するという意見もあるだろうが、あまりにつまらないレースを続けていると、スポンサーもファンも離れていく危険がある。そこで次は、今後の展望について書きたい。
フォーミラ E 今後の展望
ウィキペディアによれば、来シーズン以降は「マシンに独自の改良を加えられるようになる」とある。しかし、裏を返せばワンメイクレースで有ることには変わりなく、複数のマニュファクチャーが参入してマシンの開発競争をする事は出来ない。
また、ワイヤレス給電を採用するともあるが、クワルコムとテクニカルパートナー契約を結ぶという事は、これもワンメイクということ。しかし、給電システムもEVのキモなので、バッテリー交換を含めて各チーム独自の方法で開発競争をさせるべきだと思う。
現在のF1の問題として、苛烈な技術競争の方向性が特殊化しすぎて、市販車の技術開発に殆ど役立って居ないという点が挙げられる。また、新しいアイデアを具現化し成功しても、安全を理由に(実際には速いものイジメ)直ぐにレギュレーションで禁止されてしまうという理不尽さ。
これに対してEVは、市販車の技術が未だ市場の要求に答えられていないのだから、走る実験室としての役割をレースが果たせる余地が大いに有るし(主にバッテリー性能において)、それこそがEVレースの意義だろう。なのに、落ちこぼれを出さないようにルールで縛って、皆で仲良くエコなパレードランみたいなことをやっても無意味だ(技術的にもエンタメ的にも)。
そこで、EVレースのレギュレーションとして、次のようなものを提案したい。
- 先ず、ワンメイクバッテリークラス(E2)と、無制限クラス(E1)に分ける。
- E2ではバッテリーサプライヤは一社で、1シーズン中の使用バッテリー(セル)も全チーム等しく制限される。ただしその制限内で、1台あたりのバッテリー搭載量や、給電及びバッテリー交換の有無や頻度は自由に決められる。
- E1はバッテリーのメーカーや年間使用量は完全に自由。ただし、スペースや安全上の観点から、1レースに持ち込めるバッテリーの総量(恐らく重量)は制限される。
- E1、E2共にBMSやモーターコントローラは好きなものが使える。また、セルメーカーから提供されるBMSでもOK。
- 車体については、E1、E2共に全長/全幅、ドライバーの乗車姿勢やクラッシャブル構造の規定、そして発電機などバッテリー以外のエネルギーソースを用いない事のみ。つまり、ウイングカーでもDRSでも4駆でもKERSでもなんでもあり。タイヤサイズも個数も自由。トラクションコントロールは勿論、ドライビングアシスト的なものもOK。限られたエネルギーを如何に効率的に利用するかを競う究極のエフィシェントレースにする。
2014-2015シーズンカレンダー(追記)
フォーミラEの今シーズンのカレンダーから日付と開催地だけ抜粋した。
- 2014-09-13 北京
- 2014-11-22 プトラジャヤ、マレーシア
- 2014-12-13 プンタ・デル・エステ、ウルグアイ
- 2015-01-10 ブエノスアイレス、アルゼンチン
- 2015-03-14 マイアミ、USA
- 2015-04-04 ロングビーチ、USA
- 2015-05-09 モンテカルロ、モナコ
- 2015-05-30 ベルリン、ドイツ
- 2015-07-27 ロンドン、UK
1年で9戦しかないから、数カ月開いちゃう時もあるね。あと、F1なんかと比べて北米/南米が多いなあ。まあ、時期的に南半球が有利というのもあるが、それならブラジルやオーストラリアが何故無いんだろう?
そして最後に、フォーミラEは是非とも日本で開催すべき。場所は東京の内堀通り!つまり皇居周辺だ。高速コーナーも結構あるし、ホームストレート(2重橋前)は広々。普通のモータースポーツだと騒音がちょっと問題だけど、EVならミカドをお騒がせ奉ることもないだろう(^^)。