Tennis -- MCタイチ

Yonex Vcore Pro97 20182019-02-12

ヨネックスのラケットはだし巻き卵のフライパンみたいな形状に抵抗があって今まで敬遠してましたが、このモデルは現行製品の中で一番薄ラケに近く見えたので試打してみました。

スペック

製品名 重量 バランスポイント フレーム厚 重量(実測)
Vcore pro 97 310g 310mm 20.0mm 328g
Prince Tour 95 310g 310mm 22/22/20mm 336g
Pro Staff 97CV 315g 310mm 21.5mm 330g
Pro Staff Tour 90 315g 315mm 17mm 336g

試打する度にスペック表が下に伸びて行くわけですが(^_^;) 矢張り私のTour90を除いて一番フレームが薄いラケットでした。ただ現物を比較すると、スロート部分は明らかに差がありますが、トップ部分は殆ど同じに見えます。なのでVcoreProはトップに向かってフレームが薄くなってるのかと思いきや、スペックを見ると全周同じ20mmでした。

VcorePro97

その他のスペックはどのラケットも申し合わせたように同じですが、VcorePro97は持った瞬間に軽く感じました。バネばかりで計るとTour90より10g近く軽いという結果に。これだけ差があると、製造上のバラツキで偶々軽い固体に当たったというより、実際の平均値に差があるように思えてなりません。この辺はマーケティング的な事情というか、各社ツアーモデルとして売り出す限りは、スペックをこのくらいにしてないとダメだと考えてるんでしょうか?

あとこのカラーリングですが、ベースの色がダークグレーだか濃紺だかとても地味で、差し色である蛍光っぽい赤も細かすぎてよく判りません。更によく見るとひび割れているようなグラフィックが施されています。なので全般的に地味なのにゴチャゴチャした印象で、恐縮ながらウイルソンが言うところのcontaminatedデザインという表現がしっくり来ます。

試打レビュー

実際に打ってもVcore Pro97は明らかに軽く、非常に取り回しがよ良いです。軽いからって打ち負けるとか、パワーがないとは感じません。また四角いフェイスのお陰か、軽い割にスイートエリアは狭くなく、特に先端部に広がってるようです(逆に手元の方はさほど広くない)。そのため、ボレーは操作性が良いし、サーブもシャキシャキ打てます。何よりストロークでビュンビュン振り回せるので、(トップもバックも)スピン系のボールが打ちやすいです。

VcorePro97

ただ問題は打感がかなり硬い事です。と言っても厚ラケのような全然しならない感じの硬さではなく、インパクト時の振動が硬いと言えば良いのでしょうか。厚ラケの場合「シャ!」という超高周波振動ですが、このラケットはもう少し低い周波数で減衰もやや遅く、「キーン」と金属的に響く感じかな。

そういう場合の硬さは実は打球音で判断してるというリサーチがゴルフクラブなどでもあり、確かに音から来る印象は大きいかも知れません。ただこのラケットは撓らせて飛ばすコンセプトの割には、ボールのホールド感もあまり無いんですよね。

例えば強いサーブを片手バックでリターンするような場合、Tour90だとボールに当ててからタッチでコントロール出来るイメージですが、Pro97は最初から最後までちゃんと振り抜かないとシッカリしたボールは返せないように思います。まあこれは下がった位置でいつもグリグリ振りまわす、ベースライナー向けのラケットなのかも知れませんが。

考察

試打3本目にして、私が最新のラケットに求める軽くてスピンが掛けやすいラケットに出会いました。四角いラケットは取り回しが悪そうという先入観は全くナンセンスでした。ワウリンカや大坂なおみと言ったヘッドスピードが速そうな選手がヨネックスのラケットを使う理由が判ったような気がします。

だから尚更、打感の硬さが惜しまれます。これはガットの種類やテンションの問題では無いと思います。というのは、試打ラケットに張ってあったのはモノフィラメントとは言えナイロンガットですから(テンション53P)、ポリエステル系と比べたら柔らかいはず。だからこれをマルチフィラメント系のナイロンガットに替えても、それほど打感が変わるとは思えません。

ヨネックスのサイトでも、このモデルは硬さ表示で一番硬い部類になっていたので、やはりラケット自体が相当硬いのは事実のようです。Namdとかいう新開発の高弾性カーボン(何とカーボンナノチューブを繊維表面に付着させた!)の剛性とか振動特性が硬いんでしょうね。球持ち感の少なさという意味では、ロックブースターというストリングの滑りを抑えるグロメットのせいかもしれません。

これはこれで方向性としては有りだとは思いますが、一方でヨネックスは「大きなねじれでボールを掴む」事によりスピン性能がアップするとしています。つまり素材は硬くしといて形状は捻れやすくしたって…一体何がしたいねん?という(^_^;) チグハグさを感じます。まあ他社でもこういうマッチポンプなコンセプトは時々ありますけどね。

もしこのラケットの軽快さとソフトな打感が両立していたら理想だったのですか、それは無い物ねだりというやつでしょうか。原理的に軽さとスイートエリアの広さは反比例し、ソフトさとブレの少なさ(つまりパワーとスイートエリア)も反比例しますからね。

ならば何処かで妥協する必要がありますが、重さを若干妥協してあとは粗全て満たしているのが私のTour90なのです。手前味噌みたいですが、これが今までに出会ったベストバランスです。聞くところによると、競技志向のベテランは薄ラケ的なラケットを好むらしいので、今でも需要はあると思うんですが、メーカーはもう作る気は無いみたいですね。だから私のTour90がヘタってしまったら、私のテニス人生も終わりかな…(T_T)

イヤイヤ、未だ諦めませんよ。最近Wilsonがクラッシュとかいう名前で、ねじり剛性は高い(面振れが少ない)けど曲げ剛性は非常に低い(打感が柔らかい)というラケットを出したらしいので、今度はそれを試しましょうかね。これもプリンスみたいにスイングウエイトが重かったらダメですけど。

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