ULTRA 100 V4.02024-12-29
こういう如何にも反発系のラケットは好きではないので、全く注目していませんでしたが、テニス仲間の女性がULTRA TEAM V4をお持ちで、借りて打ってみたらかなり軽いのに意外にも柔らかな打感だったので、ノーマルのULTRA 100を試打してみました。
概要/スペック
カラーリングはスモーキーブルー(マッド塗装)で、見方によっては僅かに緑がかった感じ。Wilsonの玉虫色シリーズの中では一番シックで僕が最も好きな色です。
ストリングパタンは通常の16*19ですが、配置は最近流行りの均等升目ではなく、普通に中央部分に集中している感じ。特に上下左右の余白(縦弦か横弦しかない部分)が大きめに感じました。
今回一緒に借りたShift 99と重ねて見ると、フェイスの長さがヨークの厚み分(約13mm)位余裕で長かったです。フェイス面積が1%しか変わらないとはとても思えませんね。このラケットに限りませんが、フェイス面積のスペックは出鱈目です。
製品名 | 重量 | バランス | フレーム厚 | 装備重量 | 装備バランス |
---|---|---|---|---|---|
ULTRA 100 V4☆ | 300g | 320mm | 24/26.5/24mm | 321g※ | 328mm※ |
Shift 99 V1.0 | 300g | 315mm | 23mm | 318g | 329mm |
Percept 100 2023 | 300g | 320mm | 23mm | 319g※ | 326mm※ |
Boom MP 2024 | 295g | 315mm | 24mm | 316g※ | 324mm※ |
Pure Aero 2023 | 300g | 320mm | 23-26-23mm | 325g※ 320g※ 314g | 327mm(ポリ仕様)※ 326mm(Xcel仕様) ※ 329mm |
Vcore 100 2024 | 300g | 320mm | 25.3-25.3-22mm | 323g※ | 331mm ※ |
Vcore pro 100 2021 | 300g | 320mm | 23mm | 不明 | 不明 |
見るからに極太のフレームですが、実物をノギスで測ってみると、スペックより更に0.5mmほど分厚かったです。ただ、ごつい見た目の割に実測重量は重くなく、バランスも左程トップヘビーではありませんでした。
試打インプレ
壁打ちでの第一印象は極太フレームらしく絶大なる剛性感、コンコン弾くような強力なパワーアシスト。しかしその割に打感がマイルドな事でした。勿論、面外剛性は縦にも横にも捻じれにも極めて高く、一方、面内剛性もCX200やBoom MPのようにグチャッとガット面が潰れる柔らかさはありません。またガシャると高剛性故の逃げ場のない振動が腕に伝わります。
しかしラケットの重量配分に慣れてガシャリが少なくなると、打っているボールが軽く感じるようになりました。半面、ラケットが実際より大きく感じるような重量感がありますが、そのお陰でショットにとても安定感があります。また反発系とは言うものの、キンキンした衝撃は少なく、軽快だが角が取れた打感です。実はこれ、URTLA100 Tour(レビューは書いてない)とそっくりなんですよ。
「コッ」という短いサスティーンで振動減衰が速いので、軽快でありながらどこか柔らかさを感じます。喩えると、スネアドラムではなく、コンガやボンゴのような木製パーカッションですね。同時に借りたShift 99(300g)の方がしなりは大きいものの、振動はもっとビンビン来ました。
もっとも、使用ガットがUltraはナイロンマルチなのに対し、Shiftはポリなので硬さが出たとは思います。ポリツアーRevが張られたPercept100の試打ラケも、URTLA100より明らかに硬質でちょっと腕に来たので、同じナイロンマルチでどんな打感になるか知りたいところです。
さて、壁打ちでこんなに飛ぶんだから、コートだと暴発しまくるかも、と思いきや実際にはそうでもありませんでした。まあ気が緩んでフラットに叩いてしまうと、いつも通り簡単に吹かすくらいのパワーはあります。ただ、打感がキンキンしてないので、丁寧に打つイメージがし易いのだと思います。
スピン性能に関しては、引っ掛かるタイプでも撓んで持ち上げるタイプでもないので、勝手にかかるわけではありません。ただ一瞬ボールがガット面に張り付く感触もあり、ちゃんと縦振りすればそれなりにかかります。またパワーアシストが十分なのでそんなに分厚く強く当てなくても失速しません。
このように、安定性の高いフレームと、軽快かつ柔らかな弾き感は、ボレーに最適だと思いました。僕はボレーでもついつい振ってしまってミスしますが、ラケットにある程度の質量感があると、振らずにぶつけるイメージが湧きますし、多少外してもブレないので安定します。
一方サーブは最もスウィングスピードが必要ですが、意外にも打ちやすかったです。左程頑張ってスピンをかけてるわけではないのに割合収まるし、球速もそれなりに出てる気がします。重量感はShift 99(300g)より明らかにあるし、フレームがこれだけ分厚ければ空気抵抗も大きい筈ですが、その割にはあまり振り抜きの悪さを感じませんでした。それはやはり、潤沢なパワーアシストのお陰でしょうか。
まとめ
近年は、どのラケットもしなり剛性が高く、カンカン弾いて只管パワーを追求するか、面内剛性を落とすことでホールド感やマイルドさを出すかの2択になっているようです。そんな中、久々にしなり/戻りでボールを飛ばすラケットに出会った気がします。
こうした粘りのある(弾力感のある)反発性は、かつてはWilsonラケットの特徴だったように思いますが、ここ5年くらいでそれを感じたのはBlade 98 18*20 V7 とVcore98 2021くらいですね。結局どちらも僕にはSWが重すぎて購入には至りませんでした。また逆に、SWが軽めで弾力感があるラケットだと、ぐちゃッと潰れてしまう頼りなさが出てしまいます。
その点このUrtra100 V4は、僕がギリギリ振り切れるSWで且つ、ギリギリ耐えられる硬さで且つ、撃ち負けない弾力性を出しているように思います。願わくば、この特性でフレーム厚を23mm以下に抑えて頂けたらと(‘◇’)ゞ