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CX200 2024 (更新)2025-01-19

【2025-01-16】

発売当初の試打から丁度1年後。ずっと気になっていたこのラケットの3度目の試打をしたら、印象が一転していました。概要とインプレ夫々に追記分があります。多分これがファイナルアンサー。

【2024/03/09】

別の店で借りた個体を試打したので、インプレを追記しました。

概要

2021年モデルの前作との違いは、フレックス(RA値)が上がって順しなり(フラットに押し出す方向)は少なく(硬く)なっているとの事。半面、縦しなり(スピンを掛ける方向)は前作と比べてかなり大きく(柔らかく)なっているようです。

一方、リム(フェイスの枠)のたわみ(内側に倒れる)と潰れ(面の中心に向かって縮む)を大きくし、ここで柔らかさを出しているようです。また、ストリングパタンは、前作が中央に行くほど密になるのに対し、新作は全体的に間隔が均一になっています。

色はスロート付近が写真ではワインレッドみたいに見えますが、実際は赤茶色(レンガ色)に近いです。リムのサイドは蛍光オレンジっぽい色でした。全体的にくすんだオレンジという感じで、個人的には一寸微妙です。

【2025-01-16 追記分】

参考に、2025年にSX300 2025と一緒に借りたので重ねてみましたが、SX300は正確な楕円に近い形ですが、CX200は思った以上にフェイスの先端が広がった形状でした(いかり肩で逆三角形に近い)。弦の配置はCX200はフェイスの先端で横弦の密度が高くなっていますが、一番先端の横弦は僅かながらSX300の方が先端にあります。つまりCX200は、先端付近の横弦を出来るだけ長くしたいという意図が伺えます。実際に計測すると、最先端の横弦は10mm、その下の横弦は7mm程度CX200の方が長かったです。

後に試打したスペックが似たラケットと比較しました。CX200とカタログスペックが同じなのはEzone98とVcore98ですが、Ezone98だけ何故か重くてトップライトです。ガットの重量が約14gでグリップテープは約5gなので、フレームだけで305gなら合計約324gの筈ですが、実際にはEzone98はそれより重く、CX200とVcore98はそれより軽いという事です。実際に使っても、後者の2つは黄金スペックより軽快ですが、前者はズッシリ重いです。

製品名重量バランスPフレーム厚重量(実測)バランス(実測)
Percept 100 2023300g320mm23mm319g※326mm※
Boom MP 2024295g315mm24mm316g※324mm※
Vcore 98 2023305g315mm322g326mm
CX200 2024305g315mm21.5mm321g※324mm※
Ezone98 2022305g315mm23.5-24.5-19.5mm329g※321mm ※
☆使用ガットはiconic ALL、テンションは55ポンド
実測重量とバランスはガットとグリップテープ(※印が巻いてあるもの)込み

試打インプレ

前作のCX200はスウィングウェイトが軽いのは良いのですが、インパクトでラケットがブレるというか打たれ弱いというか、スウィートエリアが狭く感じました。一方新作は、スウィングウェイトの軽さは同等ながら、ブレる感じは明らかに抑えられています。そして単純によく飛びます。コントロール系ラケットというより柔らかめの反発系と言った感じです。

実を言うと最初の印象は、打感が硬質で反発系っぽいくせにフレームはぐちゃッと潰れるようなチグハグな感じでした。そこで試行錯誤した結果、優しく丁寧にスピンをかけて打てばしっくり来る事が判りました。また打感が硬いと言っても、手に伝わる衝撃は殆ど感じず、後で肘が痛くなることも無かったので、振動吸収性はかなり良いと思います。よく考えたらダンロップのラケットは、振動がマイルドな割に打球音が甲高いものが多い気かがします。その上この試打ラケは、ガットのテンションが55ポンドとやや高めな為、余計に硬い気がしたのでしょう。

ショット別に見ると、ボレーくらいのインパクト(ボールとラケットの相対速度)なら、ホールド感がありアシストも十分でとても打ちやすいです。例えば地面すれすれで何とか当てただけのボールがちゃんとネットを超えて相手のコートに入ります。バックハンドスライスも同様で、コントロール性もパワーもスピン量も十分でした。バウンド後に思いのほか滑ったり、逆に止まって相手が手を出せないという、僕が得意なスライスが久々に打てました。

しかしフォア・ストロークは、ちょっと叩くとすぐ暴発してしまいます。僕の場合フォアは基本フラット系なので、このラケットだとパワーアシストが過剰な上に、ボールが予想より上がりやすいように感じました。そこで、強め・厚めの当たりは控えて優しく丁寧なスウィングを心がけると、いい感じにコントロールできるようになりました。特にスピンは掛けやすく、それによってコートに収める仕様だと思います。

サーブもスピン系(スライスも含む)なら、柔らかなホールド感を伴ってかなりスピンがかかりました。しかしフラット系だとやはり抑えが効かなくなるというか、ラケットの剛性感が低すぎてコントロールし辛かったです。フラット方向に速いスウィングをすると順しなりの弾性域を超えてしまい、インパクトのエネルギーを反発力に変換しきれないのかも知れません。

という訳で新型CX200は、バコッた時の気持ち良さやパワーを諦め、制御技術や年齢(持久力)なりのクレバーなテニスに徹するならかなり実践的なラケットだと思います。言わば「打つ喜びより勝つ喜び」という感じw

なのでこのラケットが合う人は多分、男性ならスウィングスピードが中くらいかやや遅めだけどパワーUPは望んでおらず、スピンやプレースメント重視の方。女性の場合はフラットに打つ人が多いですが、全体的にスウィングスピードは遅めなので、バコラーでなければ多分大丈夫でしょう。弾き感よりホールド感を好む人や、ラケットの助けでもっとスピンを掛けたい人なら合うと思います。また男女とも、ボレーがし易いので(但し弾くタイプではない)、特にダブルス中心のプレーヤーに向いていると思います。

【2024/3/9 追記分】

CX200の不思議な打感がずっと気になっていたので、別の店で借りて再び試打しました。今回の試打ラケットに張ってあるガットは、縦がポリツアーREVで横がシンセティック125のハイブリッド。テンションは48ポンドでした。

ポリツアーRevはポリガットの中では比較的柔らかく飛びも良いガットですが、前回の試打ラケに張ってあったアイコニックAll(ナイロンマルチ)と比べればやや硬い打感でした。僕は(ラケット本体もそうですが)『硬い=飛ばない』と感じてしまうようで、壁打ちでは暴発が抑えられている気がしました。

しかし実際にコートで使ってみると、やはり飛びますね💦 アイコニックALLのような弾力性でビュンビュン飛ぶような感じではありませんが、ポリツアーRevらしく弾くような飛び方です。オーバーミスは多少減ったもののそれなりにありました。

後で調べると、アイコニックAllもナイロンマルチにしては飛びもスピン性能もかなり高いガットのようです。新作CX200自体が飛びもスピンも良いラケットなので、その特性を更に伸ばすようなガットを何方の試打ラケにも張ってあるという事ですね。

ただ打感に関してはテンション高めとは言えナイロンマルチなので、上述のようなガット面がグチャっと潰れるような感触になったようです。対してポリツアーRev仕様ではそうした潰れ感は抑えられ、普通のラケットに近づいたと思います。そして振動吸収と言う意味ではポリツアーRev仕様でも優秀で、今回も肘の痛みは殆ど感じませんでした(振動止めは無し)。

という訳でCX200 2024の特徴はガットが変っても大体同じでした。即ち、腕に伝わる振動は少ないが、打球感は何故か硬質(しなりが少なくてボールを弾く感じ)。飛びもスピンも良好でオマケにスウィングウェイトがかなり軽いラケットだと思います。

良い事尽くめですが、個人的にはもう少ししなり感やホールド感が欲しいと思いました。なので、ガットを(そんなに飛ぶわけではない)普通のナイロンマルチにしたら、しなり感は無理だとしてもホールド感は出て、暴発も防げそうな気がします。

【2025-01-16 追記分】

上述の通り、昨年発売直後のインプレは「高剛性、飛ぶ、スピンが掛かる」というものでしたが、今回のインプレは良くも悪くも「コントロール系」らしいものに変わっていました。最大の理由は試打ラケのガット(アイコニックオール)を1年間一度も張り替えていないからでした(スポーツデポのスタッフによると試打ラケのガットは切れない限り張り替えないとの事💦)。

それに加え、昨年はもっと硬くて反発力のあるラケット達を試打し、それらに適応するために徐々に打ち方が変化していると思います(要するに振り回さない)。更に自分のメインラケットも 元祖薄ラケのプロスタッフ Tour 90から、良く飛んでスピンもかかる今日的なGrinta100 Liteに変更した事も影響していると考えらます。

と言うわけで、CX200は昨年感じた面の潰れ感や暴発が無くなり、適度な飛びとホールド感がある、制御しやすいラケットになっていました。ただしガットの滑りも悪くなったようで、スピン性能は大幅にダウンしていました。特に擦り上げる余裕のないリターンでは、ちゃんとスウィートエリアに当たってホールド感もあるのにボールが持ち上がらずネットしてしまいます。

打感も昨年の「高剛性なのに面はグチャッと潰れるチグハグ感」から、普通に「柔らかい」打感になっていました。と言ってもすごく撓るとかガットが動いて撓むのではなく、衝撃が少ないという意味。ガットが古いせいで動きが悪くなり面内剛性が上がったのか、相対的に面外剛性が下がった(少しだけしなり感が出た)のだと思います。Boom MP 2024も似た特性ですが、面外剛性がもっと高く(硬く)、その分面内剛性の低さ(柔らかさ)が目立ちました。

スウィングウェイトは、体感的にも実測重量/バランスから言ってもBoom MPの方が軽いですが、CX200の方がフレームが薄い分振り抜きは良いです。そしてフラット気味に当てた時のボールの伸びもそれなりにあり、Boom MPのようなフラット=>減速作用がありません。一方、パーセプト100はスピン性能もボールの伸びもありますが、やや硬い(衝撃が大きい)事が難点でした。なので結局、昨年試打したラケットの中で、一番バランスの良いのはCX 200なのかも知れません。

CX 200 2024のガット選び

というわけで今回、ガットの種類やコンディションによって、想像以上にラケットの特性が代わる事を認識しました。僕も自分のラケットには年単位で同じガットを使いますが、徐々に劣化するせいかそれ程大きな特性変化を感じた事はありません。もしかしたらCX200はガットの種類やコンディションの影響を受けやすいラケットなのかも知れません。フレームのパワーで飛ばすタイプではない反面、ガットの動きでスピンをかける構造なので。

特にこの試打ラケは、CX200の発売直後でガット張りたてのものを、恐らく僕が最初に試打したものだと思います。だからスピンも飛びも最高の状態で打てたのでしょう。実はその後、自分のプロスタッフTour90に同じアイコニックオールを張ってみたのですが、XR3程の反発力はありませんでした。その代わりXR3より表面の毛羽立ちが少ないようで、これによりスピン性能はナイロンマルチにしてはある方だと思います。

一方昨年の3月に別の店で借りた試打ラケは、ポリとナイロンモノのハイブリッドで、ややしっかりした打感でした。ポリガットは初期劣化(伸び?)が大きくその後は安定すると言いますが、一方のナイロン特にマルチフィラメントは、経時や使用時間でコンスタントかつ長期にわたり劣化していくのかもしれません。

個人的には、張った直後でも1年後でもなく、2~6か月後くらいに適度なコンディションになるようにガット選定をしたいと思います。すると、CX200には滑りは良いけど反発力控え目のマイルド系のポリが良さそうです。となるとTCSか?あるいは反発力の経年劣化を前提に、滑りが良いナイロンが良いかもしれません。となるとアイコニックオール?

しなりは悪なのか?

YouTubeでお馴染みのウィルソンの道場氏は、「順しなりはパワーがロスするだけでなく、コントロール性も悪い」と言いますが(その意味で新作CX200を褒めていた)、僕はそうは思わないんですよね。長年使っている元祖薄ラケ:プロスタッフ・ツアー90や、近年のプリンス・ファントムO3なんかは相当RA値が低いと思いますが、パワーが無いかと言うとそんな事はありません。

コントロール性という点からも、順しなりが欠点だとは感じません。確かに、反発系ラケットのように追い込まれた時に合わせただけで返すようなショットは苦手ですが、早めに準備してしっかり丁寧に打てばコントロール性は高いです。またそのような正しいスウィングに自然になっていくという効果もあります。

ラケットの捻じれについては確かにパワーも方向性もロスしますが、捻じれる事によって腕への衝撃を緩和してるように感じます。もしねじれを最少化するなら「捻じり剛性は高いが、順しなり剛性は低い」という初代Clash100のコンセプトで良いと思います。

そして今回のCX200は、順しなりの小ささ(硬さ)を面剛性の低さで相殺し、縦しなりの大きさ(柔らかさ)でスピンを掛ける設計思想のようです。その結果、スピン性能と柔らかなホールド感を得る事に成功しましたが、個人的にはフラットに打った時のしっかり感を伴った弾力性がもう少し欲しいと思いました。もっともそれは、旧作のCX200 TourとかBlade98 V7のような重めのラケットの特性であり、僕が望むトップライトさとの両立を求めるのは無理かも知れません。少なくとも僕が2018年から試打したラケットの中には、それらを両立する製品は一つも有りませんでした。

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