Tennis -- MCタイチ

E zone 98 20222024-03-22

これは2年遅れのレビューになってしまいました。Ezone98の2022年モデル(2024年現在現行)です。

E zone100の方は発売後程なく試打しましたが、レビュー記事に書いたように柔らかい旧作とは違い、硬い打感の弾き系飛びすぎラケットになっていました。であれば、E zone98は旧作ですら硬かったのに、それ以上硬くなってしまったら話にならんと思って、試打すらしていませんでした。

ところが他の人のレビューを見ると、Ezone98は旧作より柔らかいとの事だったので、今回ようやく試打してみました。

外観/スペック

フェイス面積が同じ98平方インチのBlade98S V7と比較すると、意外な事に縦糸はEzone98の方が明らかに短かったです。それも中央部の縦糸は10mm以上短い上に、外側の縦糸ですら僅かに短いくらい。フェイス下部の絞り込みはBladeの楕円と殆ど同じで、下端だけ直線で切ったような形状になっています。

ではEzone98のフェイスは逆にどの部分がBladeより大きいのかと言うと、ショルダー(先端の角)部分です。フェイス幅もBladeより広いわけではない(寧ろわずかに狭い)ので、ショルダー部だけで面積を稼いでいる事になります。つまり、現行のVcoreほど極端ではないにせよ、図心が先端に寄った形状になっています。

これはスウィートエリアが先端寄りにするという、近年のトレンドに沿ったデザインですが、実際に玉突きをすると、フェイスの先端から40%位の位置が最もスウィートで、先端から60%くらいの場所でかなり硬くなってしまいます。

意外だった点はもう一つ、縦糸の間隔がSラケであるBlade98S並みに狭い事です。しかし縦糸の本数はEzone98が通常の16本に対してBlade98Sは18本あります。フェイス幅はほぼ同じなのに何故?と思って見たら、Ezone98は一番外側の縦糸がフェイスの両端より大分内側にあり、ストリングパタン全体が中央に集中している事が判りました。

一方横糸は通常の19本なので、16本しかないBlade98Sと比べたら密なのは当然ですが、それにしても間隔が狭く見えます(フェイス中央部ではマス目が正方形よりも横長)。しかも上述のようにフェイスの上下長が短い訳ですから、横糸もフェイス中央付近に寄っているという事です。つまりEzone98は縦横共に割と中央に寄ったストリングパタンであり、18*20程では無いにせよ面圧を高くしボールを潰すデザインなんだと思います。

製品名重量バランスフレーム厚重量(実測)バランス(実測)公式サイト
Ezone98 2022305g315mm23.5-24.5-19.5mm329g321mmEzone 98
Ezone100 2022300g320mm23.8-26.5-22.5mm315g328mmEzone100
CX200 2024305g315mm21.5mm316g325mmCX200
FX500 Tour 2023305g315mm23.0mm324g323mmFX500 Tour
Ezone98のガットは回転系ポリのロングセラー RPMハリケーン125が48ポンド

Yonexのラケットはスペック上のバランスは他社のラケットと同じでも、実際にはややトップライトなものが多いですが、このEzone 98も同様でした。ガット込みの実測バランスが321mm(ただしグリップテープ付き)というのは、近年のラケットとしてはかなりトップライトであり、お陰で実測重量が329gもある割には軽く感じました。手元が重く先端が軽いラケットの方が、振り抜きが良い上にある程度の打たれ強さもあるので僕は好きです。

参考にスペック重量とバランス同じCX200とFX500 Tourとも比較しましたが、特にCX200はスペック重量が信じられないほど実測重量が軽いです。比較的スペックとの乖離が少ないFX500Tourと比較すると、Ezone98は実際より重くよりトップライトです。なら実際のスウィングウェイトは似たような大きさになりそうですが、体感的にはFX500Tourの方が明らかに重々しかったです。

もっとも、Ezone98にはグリップテープが巻いてあるのに対し、FX500Tourには巻いてありませんでした。もしFXにも巻いたら実測重量とバランスは粗同じになると思いますが、やはり体感上のSWの違いは説明できません。

あとYonexのラケットは他のブランド(WilsonやDunlop)よりグリップが太い(横に長い)と思います。なので手がかなり小さい僕としては、G2サイズにグリップテープを巻くとちょっと太すぎるので、G1と迷いますね。

試打インプレ

先ず持つとズッシリ重いですが、トップライトなのでリストを使ってコンパクトに振ると意外と軽く感じます。そして何故か、通常より短いラケットを使ってるような感覚が有ります。

打球感としては、ショートラリーのように弱い当たりだと、ラケットもガットも殆ど変形せず、かなり硬く感じます。しかし厚めの当たりでちゃんと振ると、高い剛性感はそのままに、柔らかさ(たわみ感やホールド感)も出てきます。これは只管硬い印象しかなかった旧作より明らか進化していると思います。

ただ僕は肘を痛めやすいのですが、肘に優しいという意味での衝撃の少なさは、新作CX200の方が勝っている思います。これはEzone98の試打ラケに張ってあるガット(RPMハリケーン125)が硬いせいもあると思いますが、もし新型CX200の試打ラケと同じガット(ポリツアーRev+シンセティック125)にしても、Ezone98の方がやや衝撃が大きいと思います。

試しに僕がよく使う輪ゴムのダンパーを付けると、硬質な振動はマイルドになりました。ただし、「スウィートスポットを外しましたよ」というインフォメーションも希薄になる上に、実際に外すとガツンという鈍い衝撃が来ます。

もっとも、その衝撃も僕のBlade98S V7(同じ輪ゴムダンパー付き)と比較すれば大分マイルドなようで、肘の痛みにはあまり繋がっていないようです。そもそもEzone98の方が質量が大きい事と、「アイソメトリック」フェイスや複雑な断面形状そしてVDMのお陰で、ミスヒットした時のブレが少なく、結果的に衝撃の総和がより小さいのだと思います。

次にボールの飛び(パワーアシスト)ですが、旧作のEzone98より飛んでるように感じました。もっと言えば、硬くて飛ばないパーセプト97(レビューは書いていない)や、柔らかいけど飛ばないVcode pro97と比べても現行Ezone98は全然飛んでると思います。逆に、現行Ezone100ほどカンカン飛ばないのは勿論の事、新型CX200と比べてもやや飛ばない感じではあります。

スピン性能については、勝手にスピンがかかったりしないし、薄い当たりでジョリジョリ擦って掛けるタイプでも無いと思います。しっかり厚く当てた上で最後にワイパースウィングで持ち上げれば、ちゃんとスピンが掛かる感じ。スライスも厚い当たりで押し出すようにスウィングすれば、浮かずにパンチの効いたボールになります。

サーブはラケットが重いと特にスピン系は打ちにくいのですが、このラケットは意外と打ちやすかったです。それは多分、振り抜き(空力特性)がフレーム厚の割には良いのと、上述のように重めだけどトップライトなお陰でしょう。リストの返しでコンパクトに振るようにすれば、意外と楽にスピン系のサーブが打てました。また分厚い当たりでも、フレームが高剛性なのでヘタり感がなく、スウィングのエネルギーがちゃんとボールに伝わっている感じがします。

ボレーも弱いボールを乗せて運ぶような打ち方は苦手ですが、バシッとブロックするような打ち方なら、適度なホールド感があって低めにコントロールし易いです。

纏めると、基本的に剛性が高くブレにくいが、分厚く当てればしなやかさが感じられ、重量は重めだがバランスがトップライト。加えてVDMで振動を吸収しているので雑振動はなく、全体的に塊感としっかり感があるラケットだとおもいました。

↓↓ ♥ ♥ ♥ Share this post ♥ ♥ ♥ ↓↓