
Ezone 98 20252025-02-22
発売直後のAOでも上位選手の使用率が高く、今最もホットなブランドYonex. 中でも注目の新型Ezone98を試打しました。
概要
Ezone全体の旧作からの主な変更点又は新技術は次の通り。
- リム先端の直線部分が長く(両角のRが小さく)なった。つまりフェイス形状がより逆三角形に近い形状になった事で、スウィートエリアが先端に伸びた。
- リムの両角部分の(恐らくガット面の)たわみ大きくした一方、側面厚は増やして多分順しなりを小さく(剛性を高く)した。
- ミノムシの糸を使用した新素材「ミノロン」をスロート部に搭載して、振動減衰性を向上した。
- 加えてグリップにVDMを内蔵して振動を大幅カット。
それと公式サイトにはありませんが、RA値が旧作より5ほど下がったというYoutuberが居ました。実際に力を加えて曲げてみたら結構しなります。



旧作と同様に、僕のBlade98Sと比較しましたが、やはりEzone98の方が縦弦の最大長は5mm程短いです。その代わり先端の角の部分で面積を稼いでいるのも旧作と同じです。とは言え、Vcore98みたいに極端な逆三角形ではありません。また、フェイス外側の弦配置が結構粗く、結果的に中央部分の升目はかなり細かくなっています。
あと、賛否両論ある色柄ですが、僕もカタログ写真や店頭で見るとポリバケツのような安っぽさを感じました。しかし晴天の日光の元で見ると、より明るくややパステル調の華やかな色調になり(上の写真では一番左の色に近い)、悪くないと思いました。
製品名 | 重量 | バランスP | フレーム厚 | 重量(実測) | バランス(実測) |
---|---|---|---|---|---|
Ezone 98 2025 ☆ | 305g | 315mm | 23.5-24.5-19.5mm | 320g 325g※ | 327mm 325mm※ |
Percept 100 2023 | 300g | 320mm | 23mm | 319g※ | 326mm※ |
Boom MP 2024 | 295g | 315mm | 24mm | 316g※ | 324mm※ |
Pure Aero 98 2023 | 305 | 315mm | 21-23-22mm | 325g | 327mm |
Vcore 98 2023 | 305g | 315mm | 322g | 326mm | |
CX200 2024☆ | 305g | 315mm | 21.5mm | 321g※ | 324mm※ |
Ezone98 2022 | 305g | 315mm | 23.5-24.5-19.5mm | 329g※ | 321mm ※ |
実測重量とバランスはガットとグリップテープ(※印が巻いてある場合)込み
計測前に使った印象では、旧作より軽くトップヘビーになったかなと思いましたが、実測値もそれを裏付ける数値でした(重量5gダウン、バランス4mmトップへ)。
試打インプレ
まず打感ですが、前作Ezone98の当たりの硬さが無くなり、振動吸収と言う意味でもしなりと言う意味では柔らかくなっていました。という事は、現行のVcore98やPercept100/100Dと比べたら、明らかに柔らかく腕に優しいです。
とは言え決して柔らかすぎる事はなく、寧ろYonexらしくシッカリした印象です。多分、面外剛性は落ちた(しなるようになった)ものの、升目の詰まった弦配置と小さめの面積のせいで、面内剛性は高い(たわみにくい)のだと思います。
しかしその反面(と言うかそれ故に?)、あまり飛ばないしスピンもかかりません💦 比較で言うと、飛びもスピンもPure Aeroの約15%引き、CX200の8%引きと言ったところ。しかもこの試打ラケは僕が最初に借りて打った(ラケットもガットも新品)個体である事を加味すると、実際の差はもっと大きいと思われます。
ただし振り抜きが良いので、うまく打てれば低弾道かつ高速ボールが相手コートに付き刺さります(しかも暴発しない)。元々僕自身がそういうフラット系の球筋なので、良く言えば長所を引き出せますが、悪く言えば欠点も増幅します。例えば、相手のボールが思いのほか弱かったり、タイミングがズレて芯に当たらなかったり、走りながら打ったショット等はボールが持ち上がらず、アッサリとネットしてしまいます。
一方、ボレーは飛びすぎない事が幸いし、ボールをしっかり押すことが出来、しかもトップライトで取り回しが良いので打ち易いです。また(ストロークも含め)相手ボールが浮いた時は、暴発しにくいので安心して打ち込めます。しかしその反面、タイミングが合わなかったり、ソフトタッチで下手な小細工を試みると力なくネットしてしまいます。勿論これは本来僕の腕の問題ですが、ラケットによってはそういう時にガシャリながらもネットインしてエースみたいな事がままあります。ですが、このラケットではそうしたサポート機能は期待できないという事です。
サーブも振り抜きの良さ(空気抵抗の小ささと、ややトップライトな重量バランス)のお陰で、スウィングスピードが上がります。しかしスピンは余りかからないので、結果的にフラット系のサーブになりますが、飛びすぎないのでコートには収まるというバランスです。
ただセカンドサーブで擦り上げてスピンをかけ山なりのボールを打とうとすると、威力不足でネットしやすいです。かと言って、厚く当てるとスピン不足で突き抜けてオーバーしてしまいます。更にプレーが続き、疲れが溜まってくるに従い、このラケットの硬さと飛ばなさがドンドンしんどくなってきます。
身長とリーチが長い人ならフラットサーブだけで威力と安定性をある程度両立できますが、手足が短い僕が確率重視で緩いフラットサーブなんて打ったら、簡単にリターンされてしまいます。だからもし僕がこのラケットを使うなら、ダブルフォルト上等と開き直りダブルファースト(フラット)作戦で行くしかありません。
前作を含め、EzoneシリーズはYonexのラインアップの中ではパワー系と位置づけられています。しかし少なくともEzone98は「パワーアシストがある」と言う意味ではなく、「パワーのあるプレーヤー向き」と言う意味でしょう。実際、Ezone98を使っているシェルトンやキリオスはトッププロの中でもトップクラスのパワーを持っています。彼らのスウィングスピードをもってすれば、ボールを死ぬほど潰してスピンを十分かけられるでしょうし、そもそも身長もあるのでフラットでぶっ叩いてもコートに収まるでしょう。
一方僕は、日本人中高年アマチュアの中ではスウィングスピードはやや速い方だと思いますが、いかんせん手足が短すぎです。特にサーブについては、高身長は利点しかなく、低身長は弱点しかありません。そんな悲しい現実を思い起こさせてくれるラケット、それがEzone98なのです。