Wilson Blade 100L V72021-05-26
前回のBlade98 (18*20) V7 は打感もコントロール性能も素晴らしいものの、やはりスウィングウェイト的に重すぎたので、今回はBladeシリーズの中で2番目に軽量かつトップヘビーなBlade100Lを試打する事にしました。
試打レビュー
振った感じは、Blade100やBlade98s CV(2018モデル)は勿論の事、僕が試打した殆どのラケットより軽いです。ただバランス的にはかなりトップヘビーな感じなので、手元が相当軽いと思われます。
これだけ軽量だと打感はかなり硬いかと思いきや実は柔らかいです。そしてかなり飛びます。ショートラリーではチョコンと当てる位じゃないと相手の体を直撃してしまいます。ガットが1年以上前に張ったアスタリスタ135である事を考えると相当な飛びだと思います。なので普段の感覚でベースラインから振り抜くと、このパワーに加えて軽量・トップヘビー故にヘッドが走り過ぎるので、完全に暴発します。壁当てて暴発を気にせず打ち込むと、コンクリートブロックの壁が壊れそうな音がします。そこまでやると流石に打感は硬くなり、1時間も打ってるとちょっと肘が痛くなって来ました。
ただ、ボレーではホールド感があり過ぎるというか、ちょっと鈍重な感じになってしまいます。緩んだナイロンガット、柔らかいフレームそしてラケットがかなり軽い故にボールが相対的に重く感じるのかも知れません。スピン性能は低い訳ではないと思いますが、僕の分厚く当てるストロークだと前に押し出す力が強すぎて相対的にスピンが掛かってる感じは少ないです。サーブにも同じ事が言え、ボールを引っかけてスピンをかける前に弾いて飛ばしてしまう感覚があります。だからフラットなサーブの威力は絶大ですが暴発しそうだし、逆に入れに行くと打ちごろの球になりそう。一方、トップスピンロブや中ロブは、薄く擦り上げるように振ると前述のホールド感が生きて打ちやすいです。
外観/スペック
Blade98と重ねてみてもフェイスの大きさは殆ど変わりませんが、Blade100だけ見ると横幅が広く円に近い感じがします。見た目についてはややスリムな感じの98の方が僕は好きです。
スペックはこれまで試したBladeの中では断トツに軽いですが、実測重量(ガット込み)も300gしかありませんでした!これは2019年のPureDrive Teamと並ぶ歴代第2位の軽さです(トップはPureDrive Light)。そしてバランスは何と347mmという観測史上ブッチギリでトップヘビーな値でした。もっともピュアドラはバランスを測っていないのでもしかしたらこれに近い値を叩き出すかもしれませんが、いずれにせよこのBlade 100Lは史上最大級のトップヘビー(正確にはボトムライト)さと言っても過言ではないでしょう。
製品名 | 重量 | バランス | フレーム厚 | 重量 (実測) | バランスP (実測) |
---|---|---|---|---|---|
Blade100L V7 | 285g | 330mm | 22mm | 300g | 347mm |
Blade 98(18*20)V7 | 305g | 320mm | 21mm | 330g | 327mm |
Blade 98s CV | 294g | 330mm | 21mm | 313g | 334mm |
Blade 100 V7 | 300g | 320mm | 22mm | 316g | 333mm |
Blade 98 V7 (16*19) | 305g | 320mm | 21mm | 331g | 330mm |
Blade 98 CV (16*19) | 304g | 325mm | 21mm | 330g | 337mm |
Burn FST99S 輪ゴムカスタム | 299g | 305mm | 19/22/19mm | 318g | 316mm |
もっとも測定前に使ったところ、上述のようにそれほど極端にトップヘビーとは感じませんでした。記憶では寧ろBlade100の方がトップヘビーだと思います。まあスウィングウェイト通りとなのかもしれません。また借りた個体にはグリップテープが巻いていなかったので、もし巻いていたら実測ではもっとトップライトになる筈。と言っても約5gと言われるグリップテープの重さと同等のものをグリップ部分に載せて計測しても精々5mm程度バランスポイントが手元に来るだけでしたが。
まとめ
手元を軽くした軽量版(Lラケット)は確かに軽いけどトップヘビーで取りまわしが良くないし、その割に感触が硬くて飛ばないもばかりだと感じていましたが、このBlade100Lはパワーも柔らかさもBlade100に勝るとも劣らないラケットでした。軽さと飛びという意味では、PureDrive Teamと並ぶものが有りますが、Blade100L最大のアドバンテージはフラットに打ってもちゃんとエネルギーを受け止め反発力に換えてくれる事です。
ただフラットにしっかり打つと、余程低い弾道にしない限りホームラン性の当たりになるので、非力な女性や高齢者が無理なく打つ用途が向いているかも。或いはそこまで非力ではないが、薄めの当たりでそこそこのスピンをかける人には合う気がします。特に飛びは控えめでスピンが掛かりやすいガットを張れば、かなりいい感じの特性になりそう。勿論、ピュアドラほどのスピンはかからないと思いますが、Blade100Lの方が振動が断然マイルドで肘に優しいし、何ならチャンスボールはフラットなロケットショットで決める事も可能でしょう。