
Wilson Blade98(18*20) V72021-04-21
前回のBlade98s V6が思ったより硬い打感だったので、今度はBladeシリーズ中、密なストリングパタンながら打つと最も柔らかいとの声もあるBlade98 (18*20) V7を試打しました。
試打インプレ
まず初めに、このラケットを借りた週に何時も使っている市のテニスコートがコロナ絡みで閉鎖されていた為、壁当てが出来ずフルスイングのストロークを試せませんでした。やったのは無料のコートで一人サーブ練習と、小さな壁で短いストロークだけです。なので完全なレビューではありませんが、ご了承ください。
先ず振るとズッシリと重みを感じますが、以前Blade98 (16*19) V7を借りた時の印象より若干マシな気もします。トップヘビーなラケットの扱いに慣れてきたのかも知れません。
注目の打感ですが、噂に違わぬ柔らかさ&モッチリ感でした。ガット面にボールが張り付くような感触を久しぶりに味わった気がします。ストリングが密だと面のたわみが小さいので硬い打感になると言いますが、昔のラケットってストリングパタンが同じでもフェイス面積が小さいので今より全然密だったんですよね。なのに今より全然柔らかい打感だったのは、フレーム剛性が低いからなんでしょうが、フレームだけが撓ってガット面が硬いって感じでもなかったんですよね。
理屈は良く判りませんが、兎に角このBlade98(18*20)V7は定説を覆す独特の柔らかさを持っています。試打ラケットに張ってあるガットがポリの中でも硬めと言われるルキシロン4G 130 (48p)である事を考えると、ラケット自体は今年モデルのVcore98やCX200より柔らかいと思います。
じゃあパワーはどうかというと結構あります。ガット面が撓みフレームもしなり、ボールを包み込んでから発射するイメージです。前回試打したBlade98s V6より何故かパワフルに感じました。今年モデルの中では最もパワフルに感じたVcore98と同程度でしょうか。ただVcore98の方が若干重く感じたのでパワーウェイトレシオではBlade98(18*20)V7の方が上だと思います。
スピン性能については、冒頭に書いた通り本来の壁で高さとスピードがあるストローク試せなかったので断言できませんが、悪くはないと思います。とは言えスウィングウェイトが重いので高速で擦り上げるようなスウィングには向きませんし、そもそもホールド感やしなり感が強いので分厚く当てて威力を出すタイプだと思います。だからグリグリトップスピナーには向きませんが、程々のスピンなら特に意識しなくても自然にかかる気がします。
サーブはラケットの慣性モーメントの大きさと、モッチリした打感によってドスンと打ち抜くようなイメージになります。なので僕の軽いBurnFSTと比べるとパワーは安定してありますが、薄く速く振り抜くようなスピンサーブは打ちづらいです。
ボレーもちゃんと当たった時の打感は非常にスウィートで威力も有りますが、やはり重くて取りまわしが悪いので速い動きは苦手です。同様にストロークで差し込まれた時やハーフボレー、ドロップショットの処理などは得意ではないと思います。
Blade98 (16*19) V7(ノーマル)との比較
実はこのレビューの後、通常のストリングパタン(16*19)のBlade98 V7がどんな感じだったか気になって、1年ちょっとぶりに借りてみました。
以前試打した時はとても柔らかく、ホールド感もパワーもありましたが、今回は何故か硬い打感になっていました。実は前回試打した時、ガットを張ってから半年ほど経っていましたが、更にそれから1年数か月後の今回まで、何と一度も張り替えていないらしいのです。つまりガットを張ってから2年弱も経っているわけですから、弾力性も何も無いでしょう。もっとも、前回の試打時点で初期の伸びは完全に済んでると思われますが、そこから経年劣化でドンドン硬い打感になったりするんですかね?
という訳であまり参考になりませんが、16*19には18*20のボールが面に吸い付くような感じは無く、どちらかと言うとBlade 98S CVの固くて飛ばない感じに近かったです。まあど真ん中に当てれば98Sよりパワーも弾力感も若干ありますが、スウィートエリアが狭い感じで簡単にガシャリ気味になります。これも(18*20)が多少ミスヒットしてもある程度いなしてしまうのとは対照的です。しかも何故かフォアハンドストロークでその傾向が顕著です。
ただサーブはフラット系であればそれほど打ちづらさはないし、それなりに重い球が打てますね。ボレーもちゃんと当たった時の打感は悪くないですが、やはり僕には取り回しが悪くて振り遅れます(振っちゃダメなんですけど)。最初に試打した時の記憶と推測でまとめると、パワーは同等、打感は18*20はボールがモッチリ張り付く感じ、16*19は面の弾力性で飛ばす感じでしょうか。
また今回はレッスンでこのBlade98 16*19 V7と僕のBurnFST99Sを打ち比べましたが、使用ボールが柔らかい為か16*19でもそんなに硬い感じは無く、ミスヒット気味でもフレームが柔らかくいなす感じで安定感はあります。ただBurnFSTの方が圧倒的に取りまわしが良いし、ナイロンマルチで良く飛ぶXR3を張った上に振動止めも付けているので、パワーも打感もBlade98 16*19より上でした。
外観/スペック

縦糸はSラケ(18*16)である僕のFST99Sと同じ18本ですが、FST99Sのように極端に中央に集中してないので、余り間隔が狭い感じはしません。横糸はFST99Sが16本に対し、Blade98(18*20)は20本と4本も差があるので、特に中央部分は密になっています。
一方Blade98(16*19)との違いですが、同時に借りた訳ではないので何時ものピンボケ写真での比較ですが、面中央部分のガットの密集度は意外と変わらないように見えます。これは多分、18*20はガットが面全体に張り巡らされているのに対し、16*19はガット全体が真ん中付近に寄ってる(端の方が空いている)からだと思います。

スペック比較ですが、カタログ値は(16*19)も(18*20)も同じでBladeシリーズ中最も重く、最もトップライトです。ただ実際に持ってみると、僕には何方もトップヘビーですが、(16*19)の方が(18*20)より若干軽くトップヘビーに感じました。ところが実測してみると、重量はほぼ同じでバランスだけ(16*19)の方が3㎜ほどトップヘビーでした。(18*20)の方がガットの本数が多いので僅かにトップヘビーかと思ったのですが、違うんですね。
製品名 | 重量 | バランス | フレーム厚 | 重量 (実測) | バランスP (実測) |
---|---|---|---|---|---|
Blade 98(18*20)V7 | 305g | 320mm | 21mm | 330g | 327mm |
Blade 98s CV | 294g | 330mm | 21mm | 313g | 334mm |
Blade 100 V7 | 300g | 320mm | 22mm | 316g | 333mm |
Blade 98 V7 (16*19) | 305g | 320mm | 21mm | 331g | 330mm |
Blade 98 CV (16*19) | 304g | 325mm | 21mm | 330g | 337mm |
Burn FST99S 輪ゴムカスタム | 299g | 305mm | 19/22/19mm | 318g | 316mm |
まとめ
ストリングパタン的に本数が多いラケットは一般に打感が硬くて飛ばないのが定説ですが、このBlade98(18*20)には当てはまりませんでした。ただよく考えたらこの定説って物理的に説明できるのでしょうか?確かに本数が多いとガットはお互いに動きにくいので面のたわみは小さいように思ってしまいますが、本数は多くても均等にばらしてフェイスの端までガットを張るような配置なら、ガット同士の間隔は狭くならず、ボールに触れているガットの本数は変わらない筈です。