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Wilson Burn FST 99/S レビュー2019-07-24

私の長いラケット選びの旅もようやく終わりの時が来ました。そう、遂に購入したのです!

Bladeを試打した後、打感は最高だけどトップヘビー過ぎで私には使いこなせる気がしませんでした。そこで何時も試打ラケットを借りているショップのご主人に「昔のようなトップライトなラケットはもう無いんですかね?」という話をしたら、店内にある様々なラケットの中から探し出してくれたのがこのBurn FST99Sです。

しかしただのBurnなら有名ですが、Burn FSTというモデルは他の店舗でもWilsonのサイトでも見たことが有りませんでした。ネットで調べると2016年に発売されたモデルで既に生産終了になっていました。バリエーションとしてはBurn FST 99というノーマルバージョンとBurn FST 99Sというより軽量でストリングパタンが特殊な(縦糸*横糸=18*17)モデルがあります。

両モデル同時にお借りましましたが、一見キワモノ的な99Sの方が断然気に入りました。ストリングパタンは特殊でも打感は良い意味で普通だし、何しろ断然トップライトなのです。しかも旧モデル故に定価の半額に値引きしてくれるといいます。喉から手が出そうでしたが、一応気になっていたClash98を試打し、99Sの方が良いことを確認してから購入しました。

なのでこのレビューは殆どがこのFST 99Sに関するもので、同時に借りたノーマルのFST 99についてはあまり触れておりませんがご了承ください。

外観/スペック

下の写真で上にある黄色いガット(ルキシロン・4G)の方がノーマルのFST99で、下のグレーのガット(ルキシロン・アルパワーラフ)がFST99Sです。

Wilson clash

フレーム自体は全く同じにしか見えませんが、99Sのガットは縦糸の間隔が極端に狭く(密度が高く)なっており、逆に横糸は本数が少なく間隔が広くなっています。結果的に縦横の糸が作る長方形が異様に縦長であることが分かるでしょう。こうしたストリングパタンは他の製品でも時々見られますが、ボールを擦るスイングをした時(スピンを掛けたい時)に縦糸がより撓みやすくなり(恐らく抵抗となる横糸が少ないから)、それが戻る時にボールにより強い回転を掛ける「スナップバック効果」を狙ったものらしいです。

ただノーマルと表現したFST 99の方も、スペックを見ると18*19というストリングパタンで通常のパタン(16*19)より縦糸が多いんですね。つまり縦糸の本数は99S(18*17)と同じですが、中央部分の縦糸の間隔は99Sの方が明らかに狭いです。よく見ると99Sの縦糸は中心付近が密で外側が疎なのに対し、99の方は縦糸がより均一に広がっていますね。

フレームの厚みはBladeより僅かに薄い感じで、試打した中ではトップクラスの薄さです。しかもリムの断面が菱形っぽいので空気抵抗も少なそうです。

さてスペック比較ですが、今回もやや特殊なスペックのラケットなので、今まで試した全てのラケットに登場してもらいました。

製品名 重量 バランスP フレーム厚 重量(実測)
Burn FST 99 310g 315mm 19/22/19mm 335g
Burn FST 99S 299g 305mm 19/22/19mm 320g
Blade 98 CV 304g 325mm 21mm 330g
Clash 100 Tour 310g 306mm 24mm 326g
Clash 100 295g 310mm 24mm 308g
Pure drive team 285g 320mm 23-26mm 300g
Vcore 98 (G) 305g 315mm 22/22/21mm 335g
Vcore 100 300g 320mm 24/25/22mm 323g
CX200Tour 310g 310mm 20.5mm 333g
Vcore pro 97 310g 310mm 20.0mm 328g
Prince Tour 95 310g 310mm 22/22/20mm 336g
Pro Staff 97CV 315g 310mm 21.5mm 330g
Pro Staff Tour90 315g 315mm 17mm 336g

先ず無印のFST99は重量もバランスもツアーモデルとしては標準的。実測重量も335gでこの中では一番重い部類です。一方FST99Sは重量はスペックも実測も黄金系。しかし他と大きく違うのがバランスポイントがダントツで手元にある(トップライト)という事です。実測でもなんと私のTour90とぴったり一致しました。

試打レビュー

先ず室内でリフティングしたところ、FST99はかなり柔らかいというか粘りのある打感でした。これはフレームが薄く靭やかで重量も割とあるからだと思いますが、張ってあるガット(4G)もポリエステルにしては相当靭やかで弾力性があるんだと思います。ただボールを打つとビーンというサスティーンの長い音がします。グロメット付近がビビってるような気もしましたが、多分このガット自体の音でしょう。

グランドストロークでも靭やかさやホールド感は変わりませんが、やはりスイングウェイトが私には重すぎです。ドスンドスンとフラットドライブのボールを打つ以外、様々なスピンやコースの打ち分けが出来ないというか試す気が起きません。

という訳で、早々に切り上げてFST99Sの試打に移りました。兎に角軽さが素晴らしく、手首への負担が少ないし取り回しが良いのでミスヒットが少ないようです。勿論、重量は軽いけどトップヘビーな「ゴールデンスペック」とは似て非なる軽さです。バランスは最高(だけど打感が硬すぎ)だと思ったVcore Pro 97を全般的に10%ほど軽くした感じでしょうか。

打感はコンコンと固く淡白な感じですが、これはアルパワー(柔らか系ポリのはしり)が今となっては割合硬い部類のガットなのかもしれません。しかもこの個体はガットを張ってから3年近く経っていますから、張りたての頃の弾力性も反発力も無くなっているはずです。

ただその割にはボールの飛びは悪くないと思いました。打感にしても同じく上述のVcore Pro 97と比べたら全然柔らかいです。実は念のため時間を空けて2回目の試打をしたのですが、同時に借りたガット張りたてのPS 97CVと比べても打感は柔らかかったです。特にミスヒットした時のガツンと来る厚ラケ的な衝撃がFSTには無いので、実質的なスウィートエリアはこれまで試したどのラケットより大きく感じます。

というわけで、購入後のレビューに続きます。

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