Wilson Pro staff 97CV2019-01-13
【2019/6月修正版】一連のラケットレビューの最初がこの2018 Pro staff 97CV(白黒モデル)でしたが、約半年後に再び試打したので記事を修正しました。というのも、改めてスペックを見ると比較的トップライトなバランスでフレームもそれほど分厚くありません。だからいろいろ試打して最近のラケットに慣れた(筈の)今であれば、もっと扱いやすく感じるのでは無いかと思ったからです。
スペック
元々は本ラケットと私のTour90しかスペック表に載せていませんでしたが、今回は今まで試打した全てのツアー系モデルに登場してもらいました。
製品名 | 重量 | バランスP | フレーム厚 | 重量(実測) |
---|---|---|---|---|
Blade 98 CV | 304g | 325mm | 21mm | 330g |
Clash 100 Tour | 310g | 306mm | 24mm | 326g |
CX200Tour | 310g | 310mm | 20.5mm | 333g |
Vcore pro 97 | 310g | 310mm | 20.0mm | 328g |
Prince Tour 95 | 310g | 310mm | 22/22/20mm | 336g |
Pro Staff 97CV | 315g | 310mm | 21.5mm | 330g |
Pro Staff Tour 90 | 315g | 315mm | 17mm | 336g |
スペック重量はTour90と並んで一番重い315gですが、実測値は330gでプリンスやダンロップのモデルより僅かながら軽かったです。バランスポイントはスペックではTour90より手元にあるのに、ガットを含めた実測では逆に7-8mmほどトップヘビーでした。やはりツアーモデルの全社共通スペックに数値だけ合わせた感がありますね。
フェイスサイズは90インチと97インチですからかなり違う筈ですが、両者を重ねて置くと殆ど一致してしまいます(写真2枚目)。
ガットですが、前回試打した時から張り変わっていました。テンションは50ポンドで同じですが、前回は張ってから半年以上経っていたのに対し、今回は2ヶ月位しか経っていません。また試打された回数も、前回は発売直後だったので、今回より5倍は多いと思います。更に使われている製品も違っており、前回はアルパワーとナイロンの何だったのが、今回は横糸がToalson mugen 125で、縦糸がポリスター ターボになっていました。
因みにこのショップの店長によると、このラケットにハイブリッドで張るのはフェデラーがそうしてるからとのこと。イヤイヤ、フェデラーはナチュラルとポリのハイブリッドなんですけど(^_^;)
試打レビュー
ここからは前回のレビューを残して、今回のレビューを追加しました。
【前回のレビュー】
さて実際に使ってみると、素振りでも打っても97CVの方が明らかに軽く感じます。そのせいかボールに対して撃ち負ける感覚があり、より頑張って振らなければいけないように感じます。また、スイートエリアも拡大している筈なのにそれを余り感じないというか、少しミスヒットが多くなった気もします(-_-;)
もっともしばらく打つと、97CVを扱うコツが多少掴めてきます。例えば厚く当てようとすると打ち負け感がありますが、速めのスイングスピードで薄く擦るようにスピン系のボールを打つとしっくり来ます。また、私はどうもラケットの先端でボールを打つ傾向があったようで、意識して手元で打つと スイートエリアに入るようになりました。
ただ打感としては紛れもなく厚ラケのそれで、しなる感覚はゼロです。球持ち感も弱くTour90の吸い付くようフィーリングとは比べるべくもありません。その代りパワーアシストやスイートエリアの広さに秀でるかというとそうでもなく、慣れた後でも90Tourと大差は感じませんでした。
因みに97CVに張ってあったガットは、横糸がポリ (アルパワー) で縦糸がナイロンのハイブリッド。感触が硬いと言われるポリガット自体が初めてだし、ハイブリッドにすることでどの程度キャラクタが中和されるのかも分かりませんが、打っていてガット自体の硬さは余り感じませんでした。
97CVについて総じて言えば、良く言えば厚ラケ的な振りの軽さと衝撃吸収の良さを持ちながら、打感はそこまでガチガチ・キンキンしていません。しかし悪く言えば、薄ラケと大差無いパワーとスイートエリアなのに、硬い打感は厚ラケそのものということになります。
まあ近年のラケットで打ったのはこれが初めてなので、一つの基準にはなったと思います。これから他のラケットを試打してフィーリングを確認したいと思います。
【今回のレビュー】
先ずガットが新たに張り替えられたお蔭で、打感はよりソフトになり反発力は向上してると感じました。なので球持ち感が弱いという前回の印象とは違い、寧ろ厚ラケの中ではホールド感は有る方だと思います。ただ前回も厚ラケっぽいキンキンした振動は感じないと書いているので、その辺はラケットの特性(CVの効果?)でしょう。ガットが新しい上に種類も違うのですから、この程度の違いは当然でしょう。
ただフレームの剛性が高く、ミスヒットするとガッツリ手に来るところは不変でした。よってスウィートエリアが意外と狭いという感想も変わりません。もっともちゃんと当たれば、然程振らなくてもTour90よりパワフルなボールが打てます。
総括すると、やはりこのラケットは私にとっては厚ラケに属するもので、私が愛した薄くて靭やかなプロスタッフはもう無いんだなと思いました。外部リンク「Pro staffの系譜」