Yonex Vcore 100 20212021-03-26
新Vcoreシリーズ、95、98と来て最後は100のレビューです。
試打レビュー
スウィングウェイトの重さだけが難点と書いたVcore98と比べ、流石に一回り以上軽く、これなら僕でも振り回せそうです。
ただ打感は明らかに硬いというかシャキシャキしており、吸い付くようなフィーリングのVcore98とは打って変って厚ラケ然とした打ち応えです。また、前作のVcore100より柔らかい打感になったというレビューが多いですが、僕は逆に僅かながら硬くなった気がします。まあ最近の反発系は打感が柔らかい製品が多くくなったので、相対的に硬く感じるのかも知れませんが、それでも当時の反発系としてはかなりマイルドだった旧作と比べ、新型が更に柔らかくなったとは感じませんでした。
またこの弾くタイプの打感やフレーム厚の割にはパワーアシストは控えめな気がします。スイングが同じなら新型Vcore98の方が明らかにボールの伸びも威力もあると思います。ただVcore100は軽い分スイングスピードを上げられるので、実質的なパワーは五分と言ったところ。旧作と比べても若干パワーダウンしてる気がしますが、旧作は意外と重く感じたので、やはりパワーウェイトレシオでは同等でしょう。
また新型Vcore100はスピン性能を売りにしているようですし、実際にスピンが良くかかるというレビューも多いですが、僕はそれ程かかるとは思いませんでした。ただこれは、試打ラケットに張ってあるガットがバボラのパワジーというモノ系のナイロンだったせいもあると思います。実際ガットを触ると、滑りが悪くて中々動きません。これではスナップバックもし辛いのではないかと。
という訳で、最初はこれと言った取り柄が無い印象が薄いラケットでしたが、使ってるうちにこれはこれでアリな気もしてきました。と言うのも厚ラケに有り勝ちなトップヘビーさがこのラケットには余り無く、十分なパワーと取り回しの良さを両立しているからです。
他にはEzone100もあまりトップヘビーではない厚ラケで、更にホールド感と柔らかさを兼ね備えています。しかし残念ながら、分厚くヒットするとラケットのしなやかな部分を使い切ってしまい、それ以上は柔らかさもボールの伸びも無くなる『底付き感』がありました。ところが新型Vcore100はフレームの柔らかさはありませんが底付き感も無く、フラット系サーブを強めに打っても破綻せず、スパーン!と気持ちよく飛んでくれます。
軽いという事は、サーブもストロークも高いスウィングスピードで擦って行けますし、ガットをマルチフィラメントのナイロンかスピン系ポリエステルにすれば、売りのスピンをグリグリ掛けられるかも知れません。逆に押し出すようなショット、特にボレーはタッチが軽すぎてイマイチですが、取り回しは良いので速い動きには対応できそう。しかもガットを食いつくタイプにすれば、ホールド感が多少出てもっと打ちやすくなるかも知れません。
外観/スペック
今回は写真を撮り忘れました、すみません。ただ前の記事に書いた通り、正面から見た形状やサイズはVcore98とほぼ同じです。横から見た時の厚みは明らかに分厚いですが、フレーム厚のスペックとしては前作のVcore100と全く同じなんですね。
製品名 | 重量 | バランス | フレーム厚 | 重量(実測) | バランス(実測) |
---|---|---|---|---|---|
Vcore100 2021 | 300g | 320mm | 24-25-22mm | 320g | 326mm |
Vcore98 2021 | 305g | 315mm | 22.5-23-21mm | 332g | 319mm |
CX200 | 305g | 315mm | 21.5mm | 320g | 326mm |
CX400 Tour | 300g | 320mm | 23.0mm | 322g | 324mm |
Vcore 95 2021 | 310g | 310mm | 21.5-22-21mm | 325g | 320mm |
EZONE 100 | 300g | 320mm | 23.5/26/22mm | 315g | 326mm |
Vcore pro 97 2019 | 310g | 310mm | 20.0mm | 335g | 318mm |
Vcore100 2018 | 300g | 320mm | 24/25/22mm | 323g | |
Burn FST99S 輪ゴムカスタム |
299g | 305mm | 19/22/19mm | 318g | 316mm |
Pro Staff Tour90 | 315g | 315mm | 17mm | 336g | 315mm |
期せずして実測重量/バランス共にCX200と同じでしたが、Vcore100の方が若干軽く感じたのは球離れが良いからだと思います。それより意外なのは、Vcore100より遥かに重々しく感じたCX400Tourが2gしか重くなく、バランスは2mmトップライトな事です。これも球離れの良し悪しが関係してるとは思いますが、それだけでは説明が付かないような。CX400Tourのバランスを測り間違えたかな?
まとめ
重いけどパワフルでソフトな打感のVcore98に対して、軽いけど硬いVcore100という方向性は予想通りですが、その差は思った以上に大きかったです。新Vcoreシリーズは数字が少し違うだけで、性格が全く異なっていますね。寧ろVcoreシリーズとEzoneシリーズの棲み分けの方が良く判りません。
何れにせよ、Vcore100は第一印象はありきたりな厚ラケでしたが、暫く打っていると特徴が無い代わりに欠点もない、意外とオールマイティーなラケットに思えてきました。Vcore98は打感とパワーは素晴らしいですが、如何せん重すぎて自在に取りまわせる自信がありません。もし僕が何方かを使ってゲームをやったら、恐らくVcore100の方が強いでしょう。残念ながら、打った時の気持ち良さとゲームでの強さは必ずしも比例しないので。