Yonex VCORE 98 20182019-03-14
前回借りたVcore100は厚ラケらしからぬ柔らかい打感でしたが、手元が軽いタイプのトップヘビー(つまりボトムライト)なのが個人的に違和感がありました。そこで、同じシリーズでもう少し手元にバランスポイントが有るVcore98を借りてみました。
スペック
Vcore98にはLGという軽量バージョンがありますが、私が試打したのはノーマルのGの方です。ガットはアスタポリ130でテンションは確か50ポンドでした。
製品名 | 重量 | バランスP | フレーム厚 | 重量(実測) |
---|---|---|---|---|
Vcore 98 (G) | 305g | 315mm | 22/22/21mm | 335g |
Vcore 100 | 300g | 320mm | 24/25/22mm | 323g |
CX200Tour | 310g | 310mm | 20.5mm | 333g |
Vcore pro 97 | 310g | 310mm | 20.0mm | 328g |
Prince Tour 95 | 310g | 310mm | 22/22/20mm | 336g |
Pro Staff 97CV | 315g | 310mm | 21.5mm | 330g |
Pro Staff Tour 90 | 315g | 315mm | 17mm | 336g |
所謂「黄金スペック」であるVcore100に対してVcore98は重量が5g重く、バランスポイントは5mmだけ手元にあります。大凡の目安として『バランスポイントが1mm増える(先端に行く)と重量が1g増えたのとほぼ同じスイングウェイトになる』そうなので、それに従えばVcore98とVcore100のスイングウェイトは同程度ということになりますね。
しかし実際に持ってみると、Vcore100よりは手元に重心があるのは判るものの、トップライトというわけではなく意外と重たいです。実測重量も335gですから、所謂ツアースペックと同じくらい。スペック重量(フレーム単体)が305gなのに、ガットとグリップテープで30gも重くなるのはちょっと不可解です。また簡易バランス測定では、私のTour90より10mmくらい先端に重心があったので意外とトップヘビーですね。
試打レビュー
簡易データ通り、実際に打ってもスイングウェイトは結構重く感じました。CX200TourやTour95ほど重々しくはないものの、Vcore100と5gの差しかないようには思えないし、ツアースペックのVcore Pro97の方が余程軽快です。
打感はYonexのチャート通り、Vcore100とVcore Pro97の中間という感じです。Pro97のようなキンキンした硬さは無いものの、Vcore100のような靭やかさはなくガッツリ硬い感じです。もっとも、使用ガットがVcore100はナイロンで98がポリエステルだったので、もし同じガットなら差はもっと小さくなるかも知れません。それにしてもフレームが薄いラケットほど打感が硬いというヨネックスの法則は何か狙いが有るのでしょうか?
パワーについては、ちゃんと芯でしっかり捉えていれば、Vcore100と遜色ないと思います。弾力性や反発力に劣るポリエステルガットが張ってある事を考慮すれば、同一条件ならVcore100よりパワフルかも知れません。ただスウィートエリアがちょっと狭いのか(特に左右方向)、ミスヒットするとずっしり重い衝撃を感じ、方向性もパワーも大分ロスしてしまいます。
ショット別で言うと、ストロークはグリグリ擦るにはちょっと重すぎるので、フラットスピン系が合うと思います。ボレーもラケットの重さでドスンと打てますが、追い込まれてオフヒットすると逆に自分の手にズシンとショックが来てネットしてしまうでしょう。サーブはヨネックスらしく強力で、フラット系は勿論スピンサーブも悪くないです。
というわけで、Vcore100の打感が思いの外良かったので、この打感でバランスがよりトップライト(ボトムヘビー)なら良いなとVcore98を試したわけですが、なかなか期待通りには行きませんね。打感についてはナイロンマルチ系ガットを張れば個人的には許容範囲になると思いますが、バランスはトップライトとは言い難いものでした。
考察
今回もメーカーが公表するスペックがいかにいい加減か思い知る事になりました。例えば、Vcore98のスペック重量はPro97より5g軽いのですが、ガットを含めた実測重量はVcore98の方が7gほど重かったです。更にバランスポイントはスペック上Vcore98の方が5mmだけ先端にありますが、実測バランスでは10mm以上先端にありました。従って、実際のスイングウェイトは実測値通りVcore98の方が遥かに重く感じます。
一方、ほぼ同じ実測重量であるCX200TourやTour95は、スペック上はバランスPが手元にあるにもかかわらず、何故かもう少し重々しい印象でした。ただ、程度の差はこそあれスイングウェイトが重く感じたこの2製品とVcore98の共通点は、張ってあるガットがアスタポリ130だということです。
「そうか!このガットが重いんだ」と納得仕掛けたのですが、店のスタッフによるとガット一張り(ラケット1本分)の重さは15g程度であり、軽いガットと重いガットの差は全体で2-3gくらいしかないとのことでした。実際店頭で、ガットを張ってないVcore98とPro97を持って少し振ってみると、Pro97の方が軽かったです。するとやはりラケットのスペックが実際と乖離していることになりますね。
以前にも書きましたが、そもそもメーカーが公表するスペックとは、製造上の分散による実測値の平均ではないように思います。下手すると設計上の目標値ですらなく、一種の宣伝文句に過ぎないのではないかと疑っています。例えば、売れ筋狙いの製品は所謂黄金スペック(300g 320mm)で揃え、ツアーモデルなら310g 310mmというように、各社横並びの数値を出してるだけとか。
だから「ラケットはスペックでは判らない、使ってみないと」って事なんでしょうけど、試打するにしてもスペックで目星を付けられないので、片っ端から試していくしかありませんね。というわけで、理想のラケットを探す私の旅はマダマダ続きそうです。