パーセプト97は発売後程なく試打しましたが、壁打ちの段階であまりにも硬くて飛ばないので、早々に試打をやめてしまいレビューは書いていません。なのでパーセプト100にも興味が無かったのですが、ネットのレビューが意外と高評価なので、1年以上遅れて試打しました。
概要/スペック
Yonexとしては珍しく、今風の爽やかなパステルカラー。ただしピンクの刺し色は微妙です💦
試打ラケにはグリップテープが巻かれておらず、ちょっと滑りやすかったので、自分のラケットに巻いてあったテープ(バボラの薄いやつ)を巻きました。グリップサイズは2で太くはないですが、僕にはちょっと扁平率が高すぎて、Boom MPやCX200のような丸いグリップの方が好きです。
Percept 100 2023
Percept 100 2023
ストリングパタンは普通の16*19ですが、フェイス全体に弦が分散しており(つまり全般的に升目が広め)、特に横糸は先端ギリギリまであります(つまり先端で捉える前提の今風)。それと、フレーム厚は23mmで近年のラケットの中では薄めに見えますが、Boom MPと1mmしか違わないのは驚きです。Boomの方が断然分厚く見えたんですが…
☆使用ガットはポリツアーREV125、テンションは48ポンド。試打の約半年前に張り替え。 実測重量とバランスはガットとグリップテープ(※印が巻いてあるもの)込み
パーセプト100は意外とトップライトでスウィングウェイトが軽く感じ、Boom MPより僅かに重いくらいでしたが、実測重量とバランスもそれを裏付ける結果となりました。ただもっと実測値が近いのは意外にもPureAero100(Xcel仕様)でした。僕はアエロの方がもっとズッシリした印象でした(といっても黄金スペックの中では軽い)。
一方、同じYonexの黄金スペックであるVcore100は、体感的にも実測値も遥かにトップヘビーなんですよね。相変わらずカタログスペックは出鱈目ですねえ。もう黄金スペックなら売れるという時代でもないと思うので、Percept 100は現実に即した「300g 315mm」くらいのカタログスペックにしたら、最近流行り始めてる所謂「細マッチョ」になるのに。
試打インプレ
スペックのところでも触れましたが、Percept100は他の黄金スペックのラケット達に比べて実際のスウィングウェイトが明らかに軽いです。その前週に借りたBoom MPと同じくらいに感じました。因みに、これらに比べ僕のGrinta100 Lite(285g 330mm)はズッシリ重く感じます。
個人的にはやはりトップライトなラケットが合っていると再認識しました。理由はリストでコントロールするイメージが湧きやすいからです。トップヘビーだと、だた大きな慣性力に任せて雑に振ってしまうしかありません。もっとも一般的にトップヘビーなラケットの方がミスヒット時のブレや衝撃感は少ないですが。
打感はパーセプト97と比べると明らかに柔らかく、そしてよく飛びます。Boom MPも前作と比べ格段に衝撃が緩和されていましたが、しなり感はほぼゼロでした。だからフェイスのたわみだけで柔らかさやホールド感を出してる感じ。所謂面内剛性が低く、面外剛性が高い今時のコントロール系ラケットでした(CX200もこのパタン)。
それに対してPercept 100は、多少フレーム(スロート?)のしなりも感じられます。一方面内剛性は極端に低くはなく、ある程度分厚く当ててもガット面がぐちゃっと撓むのではなく、ボールの方が適度に潰れてホールド感とコントロール性を出しているように感じます。
勿論、前作のVcore Pro 100と比べたらしなり感やホールド感は少ないです。また、腕に来る衝撃という意味での「硬さ」は若干を感じました。BoomMPの方がシャキシャキした高周波振動はあるのですが、割合淡白というかあっさり振動が減衰する感覚はあります。またCX200もヒットした瞬間の硬さは感じますが、ガットやリムのたわみが大きく柔らかい打感になります。
Percept 100は当たりは一瞬ソフトですが、奥でガツンと重い衝撃を少し感じます(ある意味ヨネックスらしい高剛性感)。と言っても、数時間のゲームで肘が痛くなるレベルはありませんでした。ただ、試打ラケに張ってあるポリツアーREVは、世評も僕の経験からも柔らかめのポリなのに、何故か自社のラケットに張ると硬く感じるんですよね。Vcore 98 2023+ポリツアーREVも相当硬かったです。それに比べたらPercept100は大分マシですが。
パワーアシストはPercept100の方がBoom MPより若干強めで、かつ軌道は高め。スピンについても、ホールド感があるPercept100の方がやや掛けやすく感じました(これはポリツアーRevのお陰もあるかも)。もっとも、ハイパワー&高弾道ですから、不用意に叩くと簡単に吹かしてしまいます。勝手にスピンがかかるラケットではないので、特にチャンスボールは面の向きを意識してスピンをかける必要があります。
ちなみに、前作のVcore pro 100のレビューでは、重量やバランス的には重くないのに何故か鈍重に感じ、それは多分空気抵抗が大きいからだろうと書きました。しかし、今作(Percept100)のモールド(フレーム形状)は前作と変わってないようなので、空気抵抗も同じはず。ということは問題はそこではなく、打感が前作はかなりしっとり柔らかだったから、実は反発力は余りなくて鈍重に感じたのでしょうか?あるいは、僕が硬くて飛ぶ最近のラケットに徐々に適応し、ゆったり丁寧に振るようになったから空気抵抗の大きさを感じにくくなったのか?
脱線しましたが、サーブについてはパーセプト100はかなり打ちやすかったです。Boom MPもサーブは打ちやすく、入る確率が高いと書きましたが、パーセプト100はそれにスピンとスピードが少し増量されてる感じ。受けた人も「ボールが伸びてる」と言ってました。やはり自分の力だけで打つサーブは、振り抜きは良くパワーアシストは強めの方が良いみたい。
ボレーを打つ機会は余りありませんでしたが、普段はよくミスるネット際のチャンスボールを決めることが出来たので打ちやすい方だと思います。
というわけで、意外と良かったBoom MP 2024を少し上回り、目下のところPercept100が最有力候補となっています。纏めると、僕にとっての長所はトップライトでSWが軽い。その割にしなり感やホールド感はある方。そして見た目が爽やかな事です。短所は(少なくともポリツアーREVを張ると)やや衝撃感があること。そしてグリップの断面形状が扁平な事です。
トップライトなのは良いけど、打感が猛烈に硬かった前作(初代)のBoom MP。2024モデルが出た事を知らず、変わっても色くらいだろうと思っていましたが、「今作のBoomは打ちやすい」というネットのレビューで中身も変わった事を知り、試打する事にしました。
概要/スペック
とは言え、中身の変更点はヨークとグリップエンドにオーセンティック2.0が採用された事だけみたいです。この辺はメーカーサイト を見ても判りません。
Boom MP 2024
Boom MP 2024
ストリングパタンも変わってないと思いますが、改めて見ると縦弦の配置は程々に中央に集中してる感じです。対して横弦は結構分散しており、特にフェイス上部の余白が狭く、全般的にラケット先端に弦が集中している事が判ります。
☆使用ガットはポラリス115、テンションは48ポンド 実測重量とバランスはガットとグリップテープ(※印が巻いてあるもの)込み
カタログスペックは前作(2022モデル)と全く同じですが、ガット込みの実測では今作の方が1g重く、バランスは2mmトップヘビーとなっています(粗誤差)。つまりスペックと実際がちゃんとリンクしていますね。
上に挙げた他のラケットの中で、Boomと実測値が最も近いのはCX200です。ただCX200の試打ラケにはグリップテープは巻いててなかったので、もし巻いたら重量は5gほど重くなり、バランスは2-3mmトップライトになっている事でしょう。
しかし、理論的にはグリップ部分に荷重してもスウィングウェイトには殆ど影響しないし、実際に振った感じも軽やかでよく似てます。しかしカタログスペックでは、バランスは同じだけど、重量はCX200の方が10g重いんですね。毎度、カタログスペックは当てになりませんね。特にダンロップのそれは。
試打インプレ
冒頭に書いたように、僕にとっての前作Boomの長所はトップライトでスウィングウェイトが軽い事。短所は猛烈に硬い(衝撃が強い)事でした。それに対して新作は、長所はそのままで短所は粗消えていました。
僕は最近、長年使った古いプロスタッフ(かなりトップライト)ではなく、近年買ったGrinta100 Lite (トップヘビー)を中心に使っていて、それなりに慣れたかなと思っていたのですが、やはりトップライトなラケットの方がしっくりきます。又、スウィングウェイトが軽いお陰で、フレーム厚24mmの空力的に優れているようには見えないフレームでも、振り抜きはそれほど悪くなかったです。勿論、衝撃が各段に緩和されたお陰で、気にせず振り抜けるのは大きいです。
一般にスウィングウェイトが軽いラケットは、衝撃が大きくなりがちですが(最近ではSpeed MPL 2024がそれ)、その点Boom MP 2024は秀逸です。ただ、他の人のレビューの中には、Boomは元々マイルドだったとか、下手すると前作の方が少し柔らかかったというのもありました。まあ僕にとって前作は衝撃が強すぎてレビューどころではなかったけど、実はフレックス自体は柔らかかったのかもしれません。
とは言え、古いプロスタッフの本物のしなりが好きな僕に言わせれば、今作Boomもしなりは殆ど感じられず、HEADらしく硬く淡泊な打感でした。ただ厚めに当てると面が撓んでいる感じは確かにあります。つまりフレーム(しなり)剛性は高く、面剛性は低いという今時のコントロール系ラケットの特性ですね。
その意味でもBoom MP 2024はCX200 2024 に近いですが、CX200の方が面剛性が更に低く、それ故にフラットサーブなどでは腰砕け感もありました。また飛び自体もCX200の方が一回り上に感じました。だから最初の壁打ちではBoom MP 2024は、衝撃は無いが硬めであまり飛ばない印象でしたが、ゲームで使うと暴発し難いという長所に変わりました。
スピンについても、CX200のように勝手に掛かるような感じではなく、掛けようと思えばそれなりには掛かる程度。上であまり飛ばないと書きましたが、それは僕が無意識にやるフラットなスウィングの場合で、薄めに当てて擦り上げるようなスウィングだと、弱めの当たりでも意外とパワフルなボールになります。つまりフラットなショットでは飛びを抑えてコートに収め、スピンボールは簡単に飛ぶが落ちるのでアウトしないという、実に合理的な自動制御をしている事になります。
これはサーブの場合も同様で、トップライトなのでスピン系サーブが打ち辛い訳ではありませんが、敢えてスピンを意識せず、フラットサーブになっても、意外とちゃんと収まりました。なのでサーブの確率が上がり、テニス仲間からも「今日はサーブ良いですね」と言われました。ラケットに慣れてくると更にフラットサーブのイメージが固まって来るし、同時に疲れてもくるので、よりエネルギー効率の良いフラット系のサーブを多用したくなります。
それと、僕はフェイスの先端でボールを捉えるというか、先の方に外す傾向があるので、(特にサーブの場合)ミスが少なかったのはBoomのしゃもじ形状のお陰で、スウィートエリアが先端に広がっているからかも知れません。
ボレーについては、やはりフラット気味に当てる事が多いので、収まりが良いように感じました。タッチは僕にとっては弾き系になりますが、フェイスが撓んでボールを掴む感触も多少あります。好みを言えばもう少しボールを運ぶ感覚が欲しいですが、そうすると振り遅れっぽくなったりするので、この位のタッチが一番ミスしにくいかも知れません。
最後に、これも好みの問題ですが、グリップの形状も気に入りました。他のHeadのラケットは忘れましたが、Boomのグリップは断面形状の扁平率が低い(長辺と短辺の長さが近い)、円とか正8角形に近い形状でした。なのでグリップサイズが同じG2でも、他社のものより細く感じられて僕の小さな手にピッタリです。因みにグリップの断面形状は各社傾向があって、ダンロップは同じく円に近く細身。ウィルソンは中庸。ヨネックスとバボラはやや扁平で同じサイズでも太く感じます。
実は今、ナイロン弦ギターを製作中なのですが、ネックにトラスロッドを入れるべきか否か悩んでいます。伝統的にクラシックギターやフラメンコギターにはトラスロッドを入れませんが、最近はネックが薄目の楽器にはトラスロッドが入っています。と言う事は、本当は強度的に有った方が良いという事です。しかし、ロッドを入れるのはコストもかかるし技術も必要。何よりネックがやたら重くなり、楽器全体のバランスを崩してしまうので出来れば避けたい。
そこでまず、ネックにかかる曲げ荷重がどの程度になるのか計算してみる事にしました。しかし「ギターネックにかかる力」とかでググっても「弾かない時は弦を緩めるべきか?」論争やトラスロッドの使い方や仕組みの話しか出てきません。そのなかで唯一、荷重の程度を理論的に計算した情報が、こちらのYouTube画像 でした。
僕の方でもこの考え方に沿って再検証した結果、幾つか見落としがあったので修正しました。更に工学の基礎理論を交えて解説していきたいと思います。
曲げモーメントとは?
先ず、上の動画にも登場する「曲げモーメント」を説明します。「モーメント」は高校の物理で習ったと思いますが、回したり捩じったりする力の事で、トルクとも言います(例:エンジンのトルク、ボルトの締め付けトルクなど)。
理屈としては、てこの原理で、てこ(レバー)が長いほど、そして荷重が大きいほど大きな回転力が働くというやつです。従ってモーメントの大きさは【力×距離】 で表されます。で曲げモーメントとは、モノを曲げる力をモーメントで表現しただけです。
図1:片持ち梁の曲げモーメント
ここで図1のように、 梁の左端を固定し右端(自由端)に集中荷重Fを加えたとします(こういうのを「片持ち梁」と言います)。すると梁は薄紫のように下方向に曲げる力がかかりますが、これが曲げモーメントです。この時、棒の長さがLだとすると、固定端(梁の付け根)にかかる曲げモーメントMは;
$M=FL$
となります。尚、モーメントは慣習上、反時計回り=梁が下に撓む方向(ギターネックで言うと順反り方向)をプラスと表示するので、この場合は逆なのでマイナスとなります。
図2:片持ち梁に集中荷重を与えた時のBMD
因みに、梁上の固定端以外の点では、その点と力点L(自由端)迄の距離に荷重Fを掛けた値が曲げモーメントになります。つまり曲げモーメントは固定端で最大で、そこから先端(右)に行くほど小さくなり、力点Lでゼロになります(図2)。
モーメント荷重
さて、ここまでは梁に垂直の力を掛けた場合の話ですが、次は梁に平行な力を掛けた場合のモーメントを考えていきます。と言っても、梁上のどこかで梁と平行な力を加えても、梁は圧縮力を受けるだけで曲げモーメントはかかりません。
図3:梁に平行な力がかかった時の曲げモーメント
そこで上の図3のように、梁に垂直な部材(緑の部分)をくっつけて完全に一体化し、その先端に荷重Fを与えます。すると緑と紫からなるL字型の部材全体に曲げモーメントがかかる事が判るでしょう(これをモーメント荷重という)。その大きさは、梁の厚みの中心線から、力点までの高さをhとすると、Fhとなります。
このモーメント荷重は梁のどの位置でも同じだけ掛かっているいるので、グラフにすると次の図4ようになります。
図4:片持ち梁にモーメント荷重をかけた時のBMD
ギターのネックにかかる力
前置きというか予備知識が長くなりましたが、ギターのネックにかかる荷重を考えていきます。
下の図5はギターネックを横から見た図で、向かって左側の先にボディーがあり、右側がヘッドです。先ず弦のテンションをTとし、弦は点C1でナットと接しているとします(実際には面接触ですが、ここでは話を簡単にする為に点接触とします)。そこから弦は角度θ下向きになり、C2でペグに繋がっています。
尚、ここではナイロン弦ギターの横向きのペグになっていますが、鉄弦アコギやエレキギターの縦向きペグでも同じ考え方が出来ます。
図5:ギターネックにかかる荷重
中立面とは
ここでまた脱線というか基礎講座ですが、図5でネックと平行に走っている一点鎖線は「中立面」と言うものです。
梁に曲げモーメントがかかると、湾曲の内側の部分では圧縮方向の力がかかり、逆に外側では引っ張る力が働きます。と言う事は、梁の内部の何処かに引張力も圧縮力も掛からない(伸びも縮みもしない)面がある筈です。これが「中立面」と呼ばれる概念です。
図5:中立面の概念(出典:日本機械学会誌)
詳細は日本機械学会誌のWebページ をご覧いただくとして、部材の曲げを考える時にはこの中立面で考えます。尚、中立面が何処にあるかは梁の断面形状によります。これについては後程解説します。
再びネックの話
ここでようやく本題に戻ります(再び図5を貼っときます)。中立面からC1(弦)までの垂直距離をh1とし、中立面からC2(ペグ)までの垂直距離をh2とします。ここから中立面上の任意の点Pにかかるモーメントを計算していきます。
図5:ギターネックにかかる荷重
垂直荷重による曲げモーメント
先ずネックに垂直な力を考えます。先ずC1上で弦は張力Tで角度θ斜め下に引っ張っているので、この力を水平方向と垂直方向に分解します。すると垂直方向の力は下向きにTsinθとなります(下向きの青い矢印)。ここで、点PとC1の水平方向の距離をxとし、点Pにかかる曲げモーメントをM1とすると;
M1=-xTsinθ (逆反り方向なのでマイナス)
となります。これを少し直観的な表現をすると、テンションが掛かった弦は真っ直ぐになろうとするので、折れ曲がった点C1でナットを下に押し下げていると言えます。結果、ネックには逆反り方法の力が働くというわけです。
「えっ、じゃあネックの順反りは大分キャンセルされるのか?」とぬか喜びしそうですが(僕はしました)、残念ながらそうなりません。C2(ペグ)を見てください、ここでは逆に上向き(順反り方向)の力がかかっていますよね。
その力の大きさは先ほどと同じでTsinθですが、曲げモーメントはC2がPからより離れている分だけ大きくなってしまいます。具体的にはC1からC2までの水平方向の距離をx0とすると、PからC2間の距離はx+x0となります。従ってPにかかる曲げモーメントをM2とすると;
M2=(x+x0)Tsinθ (反時計回りなのでプラス)
となります。これに先ほどのM1も含めると、垂直荷重による曲げモーメントの合計Mは;
M=M1+M2=-xTsinθ+(x+x0)Tsinθ=x0Tsinθ
となります。何と、x(PからC1迄の水平方向の距離)が消えてしまいました。これは、曲げモーメントはネックのどの位置でも同じで、x0(ナットからペグまでの水平距離)だけに依存するという事です。これは冒頭の片持ち梁で言うと、図1の垂直集中荷重ではなく、図3のモーメント荷重と同じモデルですね。
水平荷重による曲げモーメント
さて次は、ネックと平行な荷重を考えていきます。
先ずC1(ナット)には有効弦の張力Tが、ネックと平行に左方向にかかっています。逆にC1から先では、張力Tが角度θ斜め右下にかかっている訳ですから、水平方向の荷重はTcosθ(右向き)となります。
従って、C1上では水平方向の荷重は;
T-Tcosθ=T(1-cosθ)
となります。cosθは1以下なので(cosθ-1)はプラス、つまり差し引き左方向の荷重です。するとネックにかかる曲げモーメントN1は順反り方向でプラスの値で、以下のようになります。
N1=h1T(1-cosθ)(順反り方向)
さて一方、C2(ペグ)上では、左向きにTcosθの力が掛かっています。右向きの力はここが弦の右端なのでありません。よって、ネック中立面から下にあるC2までの距離をh2とすると(※2)、曲げモーメントN2は逆反り方向(マイナス)で;
N2=-h2Tcosθ
となります。すると水平荷重による曲げモーメントの総和Nは;
N=N1+N2=h1T(1-cosθ)-h2Tcosθ=T{h1-(h1+h2)cosθ}
となります。ここで(h1+h2)はナットとペグの垂直距離なので、これをHと表すと:
N=T(h1-Hcosθ)
となります。ここで愈々、上述の垂直荷重による曲げモーメントMを足し合わせ、曲げモーメントの総和Mtを求めると;
Mt=M+N=x0Tsinθ+T(h1-Hcosθ)=T{x0sinθ+h1-Hcosθ}
となりました。ここでこの式をもう少し簡略化する為にネックの図5を振り返ると、H=x0tanθですよね。これを上の式に代入すると。
Mt=T(x0sinθ+h1-x0tanθ*cosθ)
となります。更に、三角関数の定義からtanθ=sinθ/cosθなので、これを代入すると、上の式は次のようになります。
Mt=T{x0sinθ-x0(sinθ/cosθ)*cosθ+h1}=T(x0sinθ-x0sinθ+h1)=Th1
ええええ!何とθもx0もHも全部消えちゃいました。これはつまり、ネックにかかる総曲げモーメントはT(弦のテンション)とh1(中立面からナットと弦の接点までの垂直距離)だけで決まると言う事です。しかもTh1という曲げモーメントは図3のケースそのもので、ただ水平荷重Fが張力Tに、力点の高さhがh1に替わっただけです。
計算ミスや考え違いが無いか何度も確認しましたが、結論は同じでした。ならばこの結論をどのように捉えれば良いのでしょうか? 例えば、ヘッド部分には様々な荷重がかかっているがそれ自体でつり合いが取れており、ネック部分(ナットからボディー側)には何ら影響を与えないとか。
そう言えば、エレキギターにロック式ナットというのがあります。あれはボルトで弦をナットに固定してしまうので、ヘッド部分の寸法や構造に関係なく、ネックにかかるのは上のモーメント荷重Th1しかない筈です。そして、このロック式ナットが通常のナットと比べて、ネックの反りに対して有利とか不利と言う話は聞いた事がありません。と言う事は、通常のナットも、ネックにかかる荷重はTh1でOKなのかも知れません。
今作のPure Aero (ピュア・アエロ)は打感が想像よりずっと柔らかく、かなり打ちやすかったので、より柔らかいと評判のAero98 を試してみる事にしました。
概要/スペック
並べて比較したわけではありませんが、ストリングが面の中央付近に集中していたノーマルのアエロに対し、アエロ98は割合均等に配置されているので、目の粗さは余り変わらないように見えます。しかもアエロ98は横糸が1本多い20本ですから、弦が面の隅々まで張ってある感じです。逆にAreo100は面の上下左右がスカスカで中央の密度が高い弦配置です(下図)。
Pure Aero 98
Aero 98 vs Grinta 100
Aero 100 vs Grinta 100
因みに、フェイス面積は100平方インチと98平方インチですから、面積比は1:0.98。と言う事はフェイスが相似形だとすると、縦横の長さは1:√0.98(≒0.99)しか変わらない計算になります。しかし実際は、横幅が5mm、縦の長さは10mm近く違っており、1%どころの違いではないですね。何時も通り、カタログスペックは当てになりませんね。
尚、試打ラケに張ってあるガットは縦がRPMパワー130で横がアディクション130 、テンションは48ポンド でした。
実測重量とバランスはガットとグリップテープ(※印が巻いてあるもの)込み
今回の試打ラケにもグリップテープが巻いてあったのでこれを外したところ、重量が4g軽く(325g)、バランスが4mmほどトップヘビー(327mm)になりました。
カタログスペックは305g/315mmで、最近流行りの「プラチナスペック」です。実測値はノーマルのアエロと比較すると、9g重く3mmトップライトでした。店で持ち比べると、98の方が明らかにズッシリと重く感じたので、実測値通りという感じです。
ただ、YonexやDunlopのプラチナスペックと比べると、実測値は全然違いますね💦 例えば、Vcore98はAero98と比べると実測値も体感も大分軽かったです。ただし、Ezone98とAero98の実測値は似ており、体感上もほぼその通りでした。
Dunlopはもっと酷く、CX200の実際のスウィングウェイトの軽さが際立ちます。また、FX500 TourはAero98より重々しかったのに、重量は1gの差(ほぼ同じ)でバランスは4mmトップライトと言う実測結果でした(両者グリップテープ無しで比較)。同じバランスでも、FX500 Tourの方が先端とグリップにより多くの質量が配分され、SWが重くなっているのでしょうか?あるいは、撓りが大きいラケットは重く感じるのでしょうか?それとも空気抵抗が小さく振り抜きが良いので、Aero98の方が軽く感じるのでしょうか?
試打インプレ
まず感じるのは打感の柔らかさです。今作はPure Aero100(ノーマル)もAeroとしては思いの外柔らかいものの、それなりに高剛性で弾く感じなのに対し、Aero98はガット面がボールを一旦掴んでボールを運べる感覚です。しかし何故面積が小さく、しかもフレックスは僅かに硬いAero98の方が柔らかく感じるのか不思議でしたが、よく考えたら試打ラケのストリングテンションが、Aero100の52ポンドに対し、Aero98が48ポンドで8%ほど緩いんですね。弦長は上述の通り98の方が縦横夫々2~3%程短いので、トータルではAero98の方が緩く(柔らかく)感じるのは理に適っています。すると、もし同じガットでテンションも同じにすれば、Aero100の方が順当に柔らかく感じるのでしょうか?
また、重さはそれなりにありますが、バランス的には割合トップライト。且つ薄いフレームのお陰で振り抜きが良く、100より98の方が楽に飛ぶ感じがします。上手くインパクト出来れば、左程頑張って振らなくても非常に重い球が打て、壁打ちでは「ミシっ」と壁が壊れそうな音が出て、物凄いボールが返ってきます。
ところがコートでは、威力があり過ぎてオーバーミスを連発してしまいました💦 Aero100もあまりスピンフレンドリーではないと書きましたが、Aero98は更に推進力が強大な分、ボールが突き抜けて行きます。本来ならもっとスピンを掛けるべきなのですが、重さとスウィートエリアの狭さにより、僕の技量ではどうしてもフラットな打ち方になってしまいます。また薄く擦るより、分厚く当てる打ち方の方が、このラケットの特性に断然マッチしていると思います。
なのでもし、ベースラインからの打ち合いなら、とても気持ち良くマッシブなショットが打てると思います。しかし、地元のテニスサークル等ではダブルスばかりなので(しかも中高年は全員コートの内側に立って、浅くて弱い球をちょこまか打ち合う展開)、残念ながらこのラケットのパワーを解き放つ機会は皆無でしょう。
勿論サーブなら完全に自分のリズムで打てますが、僕の低い打点(身長と腕の長さ)で強力なフラットサーブを打っても入る筈有りません。入れに行くと逆に入らなくなるので、気持ち良く打ってアウトミスを量産してしまいました(;´д`)トホホ。
敢えて言えば、重さを生かしてフラット気味で叩き込めばよいボレーは打ちやすいと思います(但し取り回しは悪いので接近戦は苦手)。またストロークでも、バックハンドスライスならボールを運べるのでAero100よりは大分打ちやすいし、トップスピンみたいにシバかないので、何とかアウトせずに済みそうです。
ナダルがイメージリーダーであるPure Aeroはグリグリスピンのイメージは強いですが、少なくとも今作のAero 98は、フラット系でガンガン攻めるサーブ&ボレーヤーに向きそうなラケットでした。勿論、推奨身長は180㎝以上です(^▽^)/
【2024 7/6追記】
前回の試打で思いの外好印象だったので、別の店でも借りて再び試打しました。前回のストリングはXcelでしたが、今回のは縦がRPM ブラスト ラフ 、横がTCSでテンションは50ポンドでした。レビューは各項目の末尾に【ポリ仕様追記】として追記しました(但し重複する内容も有ります)。
また、前回のレビューも内容は大体同じでしが、読みやすいように修正しました。
概要/スペック
近年はヨネックスの逆三角形程極端ではないにせよ、先端が広がったしゃもじ型のフェイスが多い中、Aeroシリーズは普通の楕円に見えます。
Pure Aero 2023
Pure Aero 2023
今回は同じ100平方インチのGrinta100と比較してみましたが、何故かAeroの方が全周で3-5mmづつ小さかったです。一方ストリングパタンはAeroが通常の16*19なのに対し、Grinta100は横糸が1本少ない16*18です。オマケにストリングの配置はAeroの方が全般的に中央部に集中しているので、大分目が細かくなっています。
実測重量とバランスはガットとグリップテープ(※印が巻いてあるもの)込み
Pure Aeroの試打ラケは分厚めのグリップテープ(6g)が巻いてあったので、試しに外してみると重量が314g、バランスが329mmとなりました。こうなると軽量でややトップヘビーな数値ですが、軽く振ってみると左程トップヘビーには感じませんでした。
グリップテープを外した状態で AeroとVcore100を比較すると、同じ黄金スペックなのに3g重く、バランスは5mmもトップヘビーです。一方、スペック上は5g重いVcore98は実測では2g重いだけ、バランスはスペック上5mmの差がありますが実測では3mmの差でした。
【ポリ仕様追記】
表の冒頭に今回追記した2本目の試打ラケ(ポリ仕様)の実測値を記載しました。同じグリップテープ付きのナイロン(Xcel 130)仕様と比較して何と5gも重いという結果に。バランスは1mm違い(誤差の範囲)なのでグリップテープの重さやストリングの重さの違いという訳でも無さそうです。ただ実際に使った感じとしては後述のように、スウィングウェイトの違いは感じませんでした。
試打インプレ
先ず、お店で手に取って最初に感じたのは、黄金スペックの中ではトップライトという事です。勿論、毎度言うように、カタログスペックは全くあてになりませんが(多分製造上のバラつきというより、そもそも設計上の目標値ですらない)、実測値でも左程軽くもトップライトでもありませんでした。試打ラケには厚めのグリップテープが巻かれていたので、試しにこれを外しても左程トップヘビーには感じませんでした。
これは、スウィングウェイトとは慣性モーメント(回転運動における慣性重量)なので、同じ重さ、同じバランス(重心位置)でも、質量が重心付近に集中している方が小さい(軽い)からだと考えられます。つまりPure Aeroはスロート部分に質量が集中し、逆にフェイスの先端とグリップエンド付近が軽い質量配分になっていると思われます。
また、Ezone98と同様に、やや短いラケットを振ってるような感覚があります。理由は質量配分が集中している事に加えて、全体に高剛性である事、そしてもしかしたらエアロ形状により回転運動時の空気抵抗が小さいのかも知れません。
次に打感ですが、思った以上にマイルドでした。ピュア・アエロを試打するのは初めてなので、過去モデルとの比較は出来ませんが、回転系(反発系)のイメージとは裏腹に、コントロール系の打感と飛び方だと思いました。
他のラケットと比較すると、一瞬で肘が痛くなる現行のPure Driveより遥かに柔らかいし、新作Speed MPL と比べても明確に柔らかい(剛性感、衝撃感共に)。そして2023 Vcore98/100(VDMで衝撃は抑えている)と比べても、今作のAeroの方がホールド感と言う意味では柔らかく感じました。
ネットのレビューを見ると、今作のAeroは僕と同じく柔らかくなったという人は多いです。しかし、逆に硬くなったという人も結構居るようです。何故真逆の感想になるのか考えてみるに、物性としての剛性は確かに下がっているので、恐らくフラット系で分厚く当てる人は今作の方が柔らかく感じ、逆に薄く擦る人は飛ばないし持ち上がらないので硬くなったと感じるのではないでしょうか?
冒頭で今作のアエロはコントロール系ラケットの特性だと書きましたが、これはスピンをグリグリ掛けるより、ボールを押してパワーとコントロールを得るタイプという意味です。即ち、飛びとしてはやや控えめで軌道は若干低め。だから、よく暴発させる僕としては「抑えが効く」という感想になりますが、パワーアシストや弾き感を期待する人には向かないと思います。
ただ僕も元々フラット系の打ち方であるが故に、吹かすミスも多いがネットミスも多く、やはりスピンをかけて確実性を上げたい所です。その点、今作のアエロのスピン性能はやや不満が残ります。しっかりとワイパースウィングする余裕がある時は良いのですが、軌道が低いサーブをコンパクトなスウィングでリターンする時などは、ボールが持ち上がらずネットしてしまう事が多いのです。因みに僕のGrinta100 Liteの方が楽にスピンが掛かりますし、新作CX200はもっとかかります。
今作のエアロは、打感が柔らかいと言っても、ボールの引っかかり感やホールド感は少ないんですよね。まあこれは張ってあるガット(エクセル130 )の特性とも言えますが。エクセルってナイロンマルチの割にホールド感が希薄だしあまり飛ばないので。
ショット別にみると、先ずストロークは、しっかり打ち込めたら重くて伸びるフラット系のボールになります。逆に、妙な体制で打たされた時は、ネットミスしたり逆に吹かしてしまいます。近接戦でなんとか当てるだけで返した場合も、相手の球威が十分あれば意外としっかり飛びますが、逆にヒョロヒョロ失速系のボールが来ると、小手先でひょいと返すのは苦手です。
スライス(バックスピン)はボールを乗せて運ぶような打ち方は難しいですが、ブロックするようにコンパクトに打つと、バック・フォア共に上手くいきます。故に、基本的にブロック系スライスであるボレーは、中々打ちやすいです。剛性感も重量感もそれなりにあるので、ラケットを振らずにぶつけていく打ち方に自然になります。
同様にサーブもフラット系が打ちやすいです。僕の身長とリーチでフラットサーブが入るという事は、スピードはあまり出ていない筈ですが、バウンド後に伸びているのか、相手は球威に押され気味に見えます。逆に擦ってもストロークと同様引っかかり感が希薄で、更に 分厚いリムは擦る方向に空気抵抗が大きいのか、スピン系のサーブはあまり得意ではありません。
【ポリ仕様追記】
先ず壁打ちで試したところ、今回のポリ(縦:ブラスト・ラフ / 横:TCS)仕様の方が、明らかにスピンが掛かると感じました。まあ流石に前回のナイロンマルチ(Xcel、しかも毛羽立ち気味)じゃあスピン性能を期待するのは酷というものでしょうが、しかし別の機会に試したAero Teamは、同じXcel、同じテンションと古さなのに滅茶苦茶スピン掛かります。
打感はポリとしてはかなり柔らかく、Xcel仕様と変わらないばかりか、より少ない力で飛ぶせいか、場合によってはより柔らかく感じる事も。尚、TCSの素材は正確にはポリエチレンで、通常のポリエステルとは違う物質です。TCSはポリエチレンの特性そのもので、元々しなやかですが直ぐに伸びてしまう事で有名です。更に全体のテンションも少し緩いので、結果的に打感はXcel仕様と変わらず、パワーとスピン量は1割以上増してる感じでした。
ただダブルスのゲームで使ってみると、接近戦のコンパクトなスウィングではあまりスピンはかかりません。この辺りは、Xcel仕様と同様『スピンを掛けるスウィングをした分だけ掛かる仕様』という印象です。一方飛びも、振った分だけ飛ぶ感じ。よって、Pure Aero TeamやCX200のように、勝手にスピンが掛かるとか、かなり自己抑制しないと暴発するような事は無かったです。
お陰で、ハイボレーやスマッシュと言った打ち下ろし系のショットが、僕としては珍しくコートに収まりましたした。勿論、バブリンカのバックハンドをイメージしてフェイスが上を向きすぎていたら、バックネットを直撃してしまう位のパワーアシストはありますが💦
サーブもスピンが掛かってる感触は左程ないけど、実際にはかかっているのか、それとも球速が適度に抑えらっれているからか、普段よりアウトミスが少なめでした。所謂『抑えが効く』飛びと打感ですね。ただ、スウィングスピードが閾値を超えると、それ以上はガットやフレームが弾性範囲を超え、球速が頭打ちになるような特性を感じました。
一方、相手のゆるふわボールをこちらもソフトタッチで返すようなショットはやりにくいです。相手か自分の何方かがしっかり打たないと、インフォメーションが希薄でコントロールし辛く、何処に飛ぶか判らないがネットは超えないという情けないミスになります。
これは多分、このラケットが振動吸収やガットの動きやすさの点ではそこそこ「柔らかい」ものの、フレーム自体の剛性は高いからだと思います。高剛性だからソフトタッチだと感覚が掴みづらく、故に普通のショットも無意識にボールをヒットするような打ち方をしているのかも知れません。
結局、どの程度のインパクト(相手のボールと自分のスウィングの相対速度)で最適になるようなラケットを選ぶかの問題で、そういう意味ではPure Aero (ノーマル)は僕にとって程よいパワーかも知れません。また、勝手にスピンが掛からないという意味でも、元来フラットドライブ系の僕のスタイルに合ってると言えます。
ただ、もうちょいしなり感が欲しいと同時に、(これは全く個人的に話ですが)僕のフラットドライブ系ショット(40歳以下のプレーヤーから見たら粗ドフラットかも知れない)だと、ネット上ギリギリ通さない限りオーバーミスみたいな状況が多く「やはり下から上へのモダンスウィングで確実性を上げて行かないと」とも考えています。そこで、勝手にスピンが掛かるようなラケットで、自分のテニスを改革したいという願望もあります。しかし、上述のAero Teamのように、激スピンラケットは大抵、激飛びラケットでもあるんですよね💦
Vcore 100 は硬く重く、僕には合わないラケットでしたが、店にガット付きで展示してあったVcore98 を持ってみると思いの他軽く感じたので試打してみました。
概要/スペック
Vcore100のレビューでも書きましたが、近年のヨネックスのトレンドである、逆三角形(しゃもじ型)です。Vcore100と重ねて比較すると(一番左の写真)、何と縦の長さが15mm以上違いました。形が似ているせいか、それぞれ単独で見るとそんなに差がある事に気付きませんね。あと横から見た時の厚みもかなり違います。
Vcore100/98
Vcore98
Vcore98
僕のBlade 98sのフェイス(普通の楕円)と比べると、先ず縦の長さ(縦糸の最大長)はVcore98の方が9mmほど短いです。
実測重量とバランスはガットとグリップテープ(※印が巻いてあるもの)込み
Vcore98は黄金スペックであるVcore100より5g重く、5mmトップライトなスペックです。一方実測では、重量はほぼ同じ、バランスはスペック通り5mmトップライトでした。もっともVcore100にはグリップテープが巻いてあったのに対し、Vcore98には巻いてありませんでした。よってもしVcore98にも巻いたら、重量は約5g重くなってスペック通り。バランスは更に3mmほどトップライトになりそうです。毎度カタログスペックはあてになりませんね。
試打インプレ
Vcore100より明らかにSW(スウィングウェイト)が軽く感じました。何時もそうですが、重量とバランスを計測する前に打ったので先入観ではありません。空気抵抗も小さいので、振り抜きは98の方が格段に良いです。当然、スウィングスピードは格段に上がるので、スピンもスピードも向上しているようです。
また、今作のVcore98はスウィートエリアが狭い(先端しか使えない)から、かなり難しいというYouTuberのレビューが複数ありましたが、それは特に感じませんでした。僕は逆にVcore100の方が面積が広くてSWが重い割に、スウィートエリアが狭いと感じました。
この感覚の違いは、想像ですがSWやバランスの好みよるものではないでしょうか?トップヘビーなラケットが好きな人はSWが軽いVcore 98は弾かれる感じがしてスウィートエリアが狭く感じ、僕みたいにトップライトなバランスを好む人は、Vcore100は重くて操作し辛いのでスウィートエリアに当たり難いと。
さてスピン性能ですが、冒頭で(100と比べて)スウィングスピードが上がるからスピンもかかってると書きましたが、宣伝や世評程にはスピンフレンドリーだとは感じはしませんでした。ボールの飛び出し角度は確かに高いですが、それがちゃんと落ちずにそのままベースラインを越えてしまう気がします。「気がする」というのは今回は壁打ちしか出来なかったからです( 申し訳ありません)が、インパクト時の引っかかり感と壁に当たったボールの跳ね具合からそんなにスピンは掛かってないと考えました。
打感ですが、100と同様に僕にとっては硬かったです。特にサーブではガットが針金になったかのような、ビンビン来る硬さを感じました。実際に張ってあったのはポリツアーREV125で、ポリとしては柔かくスピンが良く掛かるガットです。テンションは52ポンドとポリガットにしては高めな事を差し引いても、打感が硬くホールド感に乏しいラケットだと考えます。
もっとも、Vcore100と比較すれば、SWが軽くスウィングスピードが上がってるのに打感が同じ位硬いと言う事は、ラケット自体はVcore98の方がまだ柔らかいという事になります。しかし、今作のVcoreは全般的に前作よりも硬くなっている事は間違いないでしょう。スピン性能がそれ程でもない事も加味すると、Ezoneとのすみ分けがよく判らなくなってきました。特に98同士で比較すると、Ezoneの方がやや重めだがホールド感があってスピンが掛けやすく、Vcoreは軽く硬く直線的なスピードボールが打てる感じ。あくまで僕の主観ですが。
Speed MPLが余りにも硬かった(衝撃が強く肘が痛い)ので、やはりVDMを装備したYonexかなと思い、未だ試打していない現行(2023年モデル)のVcore100 を借りてみました。
概要/スペック
近年のヨネックスはフェイスの先端が広く手元が狭くなる、逆三角形(しゃもじ型)化が止まりませんね。スウィートエリアを先端に広げるのは良いとしても、なんで手元を狭めないといけないのか判りません。空気抵抗なら先端に行くほど効いて来るので、手元を狭めても大差ないと思いますし。
Vcore100
Vcore100
Vcore100
僕のBlade 98s(普通の楕円)と重ねてみると、当然ながら先端のショルダー部が広くなっています。最大幅は左右に5mm程広く(写真ではもっと差が大きいように見えますが)、手元付近ではBladeと粗同じ横幅になります。
そして今回はVcore98と重ねて比較出来ましたが(一番最後の写真)、何と縦の長さが15mm以上違いました。形が似ているせいか、それぞれ単独で見るとそんなに差がある事に気付きません。
実測重量とバランスはガットとグリップテープ込み
Vcore100は所謂黄金スペックですが、実測してビックリ。バランスが331mmとかなりトップヘビーなのです。一方重量も323gと軽くはないのでSW(スウィングウェイト)は相当重い筈なのに、不思議な事にそれほど重く感じないのです。全体重量とバランス(重心位置)が同じでも、このラケットは質量が中央付近に集中してる事になります。
試打インプレ
先ず打感ですが、思ったより(前作より)硬かったです。と言ってもSpeed MPLのように肘にビンビン来る硬さ(振動)ではありませんが、シャフトのしなりも面のたわみも感じられませんでした。ガッチリしてるけど何処となくしなり感や良い意味での鈍さがあるEzone98(2022)に対して、Vcore100はもっとキンキンした硬さを感じます。
それとSWですが、上述のように実測値から想像するほど重くはないとは言え、僕にはやや鈍重でした。またリムがかなり厚いので、縦振りだとそれなりに空気抵抗を感じます。つまり、SWと空気抵抗が大きめでスウィングスピードが上げ辛く、頑張って振っても硬いのでガシャると衝撃がデカいという、僕にとっては3重苦です💦
こういうラケットは(僕の感覚としては)面を合わせてボールをブロックするように打つと上手くいきます。しかし、僕は基本的にラケット振り回すタイプなので、その打ち方では中々上手く当たりません💦 弱く短く振るとタイミングが合わず、かと言って振り回すとSWが重いので振り遅れます。ただ、重めでとても高剛性なので、ガシャってもあまりブレずに、結果的に相手のコートに収まったりします(但し肘へのダメージは大きい)。
と言う訳で自慢のスピン性能を発揮するには至りませんでした。僕は基本フラット系ですが、意識してスピンをかける場合は、CX200のようにSWが軽く球持ち感がある方が遥かにスピンフレンドリーです。結局のところ、誰が使ってもスピンが良く掛かるラケットは存在せず、逆にその人にあったラケットを使えば、スピンもスピードもコントロールも全て向上するという事だと思います。
今作のSpeed はAuxetic2.0 になり、より打球感がマイルドになったらしいので試打ラケを借りてみました。ただ以前、前作のMPを試打しましたが(レビューは書いていない)、僕には余りにもスウィングウェイトが重すぎたし、今作のMPも持つだけで相当重く感じたので、今回はより軽いMPLにしました。
概要/スペック
フェイス面積は100平方インチながら、余り大顔に見えないのは、横幅が狭く面長だからだと思います。ストリングパタンは普通に16*19ですが、近年流行の中央が密になっている配置ではなく、割合均等に分散しているように見えます。
ルックスは今作からマッドフィニッシュになって、見た目も手触りもしっとりした高級感があります。白も真っ白ではなく、僅かにベージュと言うかグレーというかシックで良い感じ。
Speed MPL
Speed MPL
Speed MPL
スペック上前作から変わった点は、バランスポイントが330mmから325mmになった事です。僕はトップライトであればある程好きなので、この変化は歓迎です。しかしガット込みで実測すると、何とバランスポイントが340mmもありました。ただ後述するように、実際に使うとそこまでトップヘビーには感じませんでした。試打ラケにはグリップテープが巻いてなかったから、計測上はトップヘビーになったのかも知れません。
製品名 重量 バランスP フレーム厚 重量(実測) バランス(実測) Speed MPL 2024 280g 325mm 23mm 298g 340mm CX200 2024 305g 315mm 21.5mm 316g 325mm Ezone98 2022 305g 315mm 23.5-24.5-19.5mm 329g 321mm Blade 98S V7 295g 325mm 21mm 314g 332mm
Speed MPL スペック(実測重量とバランスはガット込み)
試打インプレ
流石にMPLなのでMPのような重々しくはありませんが、軽量モデルに有り勝ちなトップヘビーなバランス。個人的にはもうちょっとトップライトで全体重量が重い方が好みです。ただ正面から見て薄いフレームのお陰で、フラット方向の振り向きはかなり良いですし、逆に擦るような縦振りでも思ったほど空気抵抗を感じませんでした。
ガットの目の粗さと大きめのグロメットの穴の効果か、ガット面が程よくたわみ、ボールを掴んでいる感じが伝わってきます。なのでコントロール性もスピン性能も上々です。またフレーム剛性が高く、比較的スウィングウェイトが軽いのでパワフルなボールが打てるし、抑えが効くので暴発も起きにくいです。
ただ問題は打球感で、腕に伝わる振動がかなり大きい事です。最初、軽く丁寧に打ってるうちは上述の掴み感もあって軽量モデルにしては柔らかいなと思ったのですが、その後普通のスウィングスピードで振ると、シャープな振動が肘にガンガン伝わってきます。延べ30分程度の壁打ちで肘痛が再発してしまいました。
振動止めとして輪ゴムを付けると若干マシになりますが、やはりピリピリした高周波振動が残ります。Boon MPの時ほど酷くありませんが、それに似た打感ですね。今回のSpeedはテニスYoutuberのレビューでも公式サイトでも柔らかさを謳っていますが、少なくともMPLは僕には硬すぎでした。Headのラケットって振動吸収をあまり気にしてないように見えます。
今作のCX200は前作と比べてスウィートエリアと飛びが飛躍的に向上した代わりに、打感がやや硬くややボトムライトな重量配分という反発系の方向に変わっていました。そこで今作のCX200 Tour (16*19) ならこの傾向が和らぐのではないかと思い、試打してみました。
概要/スペック
Dunlopの公式サイトによると、前作から今作の違いは;
面内剛性ダウン、シャフトしなり剛性アップ
ストリングのマス目を中央部分が詰まった「パワーグリッド」から、中央部分を広げた(より普通のパタンになっている筈)
防振ゴムと発泡ウレタンをフレーム内に入れ、パワーアップと面安定性としなやかな打感を得た。
となっており、これはCX200の変更点の説明と全く同じでした(剛性などの数値を含む)。
CX200 / Tour 新旧 スペック (実測重量とバランスはガット込み)
FX500 Tourと比べると、実測重量は9gも重く、バランスは2mmトップライトなだけですが、僕にはCX200 Tourの方が遥かに軽く感じました。またEzone98と比べると、重量は4g軽くバランスは同じなのに、やはりCX200 Tourの方が軽く感じました。空気抵抗が小さいラケットほど軽く感じるのかも知れません。
フェイスサイズはプロスタッフTour90と比べても、全周5mmづつ変わるくらいで大差ありません。ただ玉突きをした場合、CX200 Tourの方がスウィートエリアは広いと感じました。
試打インプレ
先ず、バランスがトップライトで全体の質量は大きめという、とても僕好みの質量配分でした。上述のように実測重量とバランスからすると、寧ろ軽く感じる筈のFX500 Tourと比べて、明らかに軽く振れます。薄ラケかつフェイス面積が小さい(95平方インチ)事も相まって、振り抜きが大変良好です。
しかしボールを打ってみると、想像以上に硬く感じました。試打ラケットに貼ってあるガットはアスタポリ125(テンションは48ポンド) だったので、95平方インチにしてはややハードなセッティングだと思いますが、それでもポリツアープロ125を張った旧作 と比べて大分硬さを感じたので、新作はメーカーの説明通りラフレームが硬くなってると思います。
新作CX200(ノーマル)も旧作と比べシャフトのしなり剛性は上がりましたが、面内剛性を下げる事で柔らかさを出し全体のバランスをとっています。一方新作CX200 Tourはしなり剛性が上がっているのに、面内剛性は面積が小さいため恐らく高止まりし、全体としては硬いラケットになっているのだと思います。
なので新作CX200 Tourは丁寧にコンパクトに振ってちゃんとスウィートスポットに当てるとある程度の柔らかさは感じられ、パワーアシストも旧作よりあると思います。しかし、そもそもフェイスの小さいBOX系ラケットというのは、振り抜きの良さと柔らかさを生かしてビュンビュン(何方かと言うとフラット系で)振っていく為のラケットだと考えているので、その意味で今作のTourはチグハグな特性に思えました。
ゲームで使ってみましたが、全てのショットで何処か特別悪い所は感じませんが、全体的にしっくりこない感じでした。諦めて自分のプロスタッフTour90に持ち替えると何と打ちやすい事でしょうw 打ちやすさとスペック(今回は特にスウィートエリアの大きさ)は全然比例しないと再認識しました。
これは2年遅れのレビューになってしまいました。Ezone98の2022年モデル(2024年現在現行)です。
E zone100の方は発売後程なく試打しましたが、レビュー記事 に書いたように柔らかい旧作とは違い、硬い打感の弾き系飛びすぎラケットになっていました。であれば、E zone98は旧作ですら硬かったのに、それ以上硬くなってしまったら話にならんと思って、試打すらしていませんでした。
ところが他の人のレビューを見ると、Ezone98は旧作より柔らかいとの事だったので、今回ようやく試打してみました。
外観/スペック
フェイス面積が同じ98平方インチのBlade98S V7と比較すると、意外な事に縦糸はEzone98の方が明らかに短かったです。それも中央部の縦糸は10mm以上短い上に、外側の縦糸ですら僅かに短いくらい。フェイス下部の絞り込みはBladeの楕円と殆ど同じで、下端だけ直線で切ったような形状になっています。
ではEzone98のフェイスは逆にどの部分がBladeより大きいのかと言うと、ショルダー(先端の角)部分です。フェイス幅もBladeより広いわけではない(寧ろわずかに狭い)ので、ショルダー部だけで面積を稼いでいる事になります。つまり、現行のVcoreほど極端ではないにせよ、図心が先端に寄った形状になっています。
これはスウィートエリアが先端寄りにするという、近年のトレンドに沿ったデザインですが、実際に玉突きをすると、フェイスの先端から40%位の位置が最もスウィートで、先端から60%くらいの場所でかなり硬くなってしまいます。
意外だった点はもう一つ、縦糸の間隔がSラケであるBlade98S並みに狭い事です。しかし縦糸の本数はEzone98が通常の16本に対してBlade98Sは18本あります。フェイス幅はほぼ同じなのに何故?と思って見たら、Ezone98は一番外側の縦糸がフェイスの両端より大分内側にあり、ストリングパタン全体が中央に集中している事が判りました。
一方横糸は通常の19本なので、16本しかないBlade98Sと比べたら密なのは当然ですが、それにしても間隔が狭く見えます(フェイス中央部ではマス目が正方形よりも横長)。しかも上述のようにフェイスの上下長が短い訳ですから、横糸もフェイス中央付近に寄っているという事です。つまりEzone98は縦横共に割と中央に寄ったストリングパタンであり、18*20程では無いにせよ面圧を高くしボールを潰すデザインなんだと思います。
Ezone98のガットは回転系ポリのロングセラー RPMハリケーン125が48ポンド
Yonexのラケットはスペック上のバランスは他社のラケットと同じでも、実際にはややトップライトなものが多いですが、このEzone 98も同様でした。ガット込みの実測バランスが321mm(ただしグリップテープ付き)というのは、近年のラケットとしてはかなりトップライトであり、お陰で実測重量が329gもある割には軽く感じました。手元が重く先端が軽いラケットの方が、振り抜きが良い上にある程度の打たれ強さもあるので僕は好きです。
参考にスペック重量とバランス同じCX200とFX500 Tourとも比較しましたが、特にCX200はスペック重量が信じられないほど実測重量が軽いです。比較的スペックとの乖離が少ないFX500Tourと比較すると、Ezone98は実際より重くよりトップライトです。なら実際のスウィングウェイトは似たような大きさになりそうですが、体感的にはFX500Tourの方が明らかに重々しかったです。
もっとも、Ezone98にはグリップテープが巻いてあるのに対し、FX500Tourには巻いてありませんでした。もしFXにも巻いたら実測重量とバランスは粗同じになると思いますが、やはり体感上のSWの違いは説明できません。
あとYonexのラケットは他のブランド(WilsonやDunlop)よりグリップが太い(横に長い)と思います。なので手がかなり小さい僕としては、G2サイズにグリップテープを巻くとちょっと太すぎるので、G1と迷いますね。
試打インプレ
先ず持つとズッシリ重いですが、トップライトなのでリストを使ってコンパクトに振ると意外と軽く感じます。そして何故か、通常より短いラケットを使ってるような感覚が有ります。
打球感としては、ショートラリーのように弱い当たりだと、ラケットもガットも殆ど変形せず、かなり硬く感じます。しかし厚めの当たりでちゃんと振ると、高い剛性感はそのままに、柔らかさ(たわみ感やホールド感)も出てきます。これは只管硬い印象しかなかった旧作より明らか進化していると思います。
ただ僕は肘を痛めやすいのですが、肘に優しいという意味での衝撃の少なさは、新作CX200の方が勝っている思います。これはEzone98の試打ラケに張ってあるガット(RPMハリケーン125)が硬いせいもあると思いますが、もし新型CX200 の試打ラケと同じガット(ポリツアーRev+シンセティック125)にしても、Ezone98の方がやや衝撃が大きいと思います。
試しに僕がよく使う輪ゴムのダンパーを付けると、硬質な振動はマイルドになりました。ただし、「スウィートスポットを外しましたよ」というインフォメーションも希薄になる上に、実際に外すとガツンという鈍い衝撃が来ます。
もっとも、その衝撃も僕のBlade98S V7(同じ輪ゴムダンパー付き)と比較すれば大分マイルドなようで、肘の痛みにはあまり繋がっていないようです。そもそもEzone98の方が質量が大きい事と、「アイソメトリック」フェイスや複雑な断面形状そしてVDMのお陰で、ミスヒットした時のブレが少なく、結果的に衝撃の総和がより小さいのだと思います。
次にボールの飛び(パワーアシスト)ですが、旧作のEzone98より飛んでるように感じました。もっと言えば、硬くて飛ばないパーセプト97(レビューは書いていない)や、柔らかいけど飛ばないVcode pro97と比べても現行Ezone98は全然飛んでると思います。逆に、現行Ezone100ほどカンカン飛ばないのは勿論の事、新型CX200と比べてもやや飛ばない感じではあります。
スピン性能については、勝手にスピンがかかったりしないし、薄い当たりでジョリジョリ擦って掛けるタイプでも無いと思います。しっかり厚く当てた上で最後にワイパースウィングで持ち上げれば、ちゃんとスピンが掛かる感じ。スライスも厚い当たりで押し出すようにスウィングすれば、浮かずにパンチの効いたボールになります。
サーブはラケットが重いと特にスピン系は打ちにくいのですが、このラケットは意外と打ちやすかったです。それは多分、振り抜き(空力特性)がフレーム厚の割には良いのと、上述のように重めだけどトップライトなお陰でしょう。リストの返しでコンパクトに振るようにすれば、意外と楽にスピン系のサーブが打てました。また分厚い当たりでも、フレームが高剛性なのでヘタり感がなく、スウィングのエネルギーがちゃんとボールに伝わっている感じがします。
ボレーも弱いボールを乗せて運ぶような打ち方は苦手ですが、バシッとブロックするような打ち方なら、適度なホールド感があって低めにコントロールし易いです。
纏めると、基本的に剛性が高くブレにくいが、分厚く当てればしなやかさが感じられ、重量は重めだがバランスがトップライト。加えてVDMで振動を吸収しているので雑振動はなく、全体的に塊感としっかり感があるラケットだとおもいました。
概要
新作のCX200の方がレビューは先になりましたが、このFX500シリーズは1年くらい前に発売されたモデルです。以前、ウィンザーラケットの試打ルームで打って感触が良かったのでずっと気になっていた所、最寄りのラケットショップで借りる事が出来ました。
FX500の鮮やかなブルーは現行製品の中では個人的に最も好きな色です。FXそころかDunlopのラケットは1本も持ってないのに、同色のラケットバックを昨年買いました。
FX500 Tourと僕のBlade98Sを比較すると、フェイスは同じ98平方インチでもFXの方が僅かに大きいようです。それより驚いたのはラケットの全長がFXの方が4mmほど長い事です。スペックは何方も27インチの標準サイズです。僕の他のラケット(何れも27インチ)と比較すると何とBlade98Sだけが短かったのでした💦
製品名 重量 バランス フレーム厚 フレックス 重量(実測) バランス(実測) FX500 Tour 2023305g 315mm 21-23mm RA 66 324g 323mm CX200 2024 305g 315mm 21.5mm RA 65 316g 325mm SX300 Tour 305g 315mm 23-26mm RA 68 331g 322mm (旧) CX200 Tour 310g 310mm 20.5mm 330g 322mm (旧) CX200 305g 315mm 21.5mm 320g 326mm
Dunlopラケット、スペック比較
スペック重量とバランスはFX500 Tour、CX200、SX300 Tour共全く同じですが、実測重量はバラバラでした。これは生産上のバラつきや張ってあるガットの種類、或いはモデル毎のガットの総延長のせいというには差が大きすぎると思います。尚、試打ラケットに貼ってあるガットはルキシロン4Gで、テンションは48ポンド でした。
恐らくカタログスペックは設計データから算出される理論値や試作品の実測値ではなく、「このモデルは代々このスペック」と決まっているのだと思います。そうしないと新作が出る度に微妙にスペックが変ってしまい(値も中途半端)、マーケティング上宜しくないのでしょう。ただこの中では、Tourの付かないCX200だけ実測値が軽くて当然なのに、スペックを同じにしてある理由は謎です。
何れにせよスペックから判る事は、同じシリーズ内で(例えばCX200とCX400)これはこれより重いとか、こっちの方がトップヘビーという事くらいだと思います。
試打インプレ
打感は柔らかで粘りがあり、ドスンとパワーがボールに乗る感じ。CX200はフラット系で打った時にフレームが潰れる(へたる)ような頼りなさがありましたが、FX500 Tourは断然しっかりしてました。その意味では寧ろSX300 Tourに近い打感で、違いはFXの方がややシャープで前進方向にパワーがある感じ。これは試打ラケットに張ってあるルキシロン4Gの一見硬質ながら粘っこい弾力性の影響もあるでしょう。
ただ問題はスウィングウェイトで、試打ルームで打った時は気にならなかったのに、実際にコートで打つとかなり重かったです。同じDunlopで言えば、スペック重量とバランスが同じCX200より明らかに重く、実測重量と実測バランスを反映した重量感でした。
僕自身はラケットを長く持ち、リストの返しでヘッドを加速させるタイプなので、意識してユッタリスウィングを心がけても、この重さは辛いものがあります。自分のBlade98SやPro staff Tour90と持ち替えながら、ダブルスのゲームを休憩を挟みつつ3時間程やりましたが、後半からはFX500Tourは重くて使う気が起きませんでした。
逆に言うと、この重さが気にならなずソフトなホールド感を好む人には、パワー・スピン・打感の全てが優秀なラケットと言えるでしょう。FX500なら重量的にはもっと軽いのでしょうが、トップヘビーになるでしょうし、もっとしなりが小さく弾き系の打感になってしまうと思います。
久々のラケットインプレですが、今回はダンロップの新型CX200です。
【2024/03/09】別の店で借りた個体を試打したので、インプレを追記 しました。
概要
2021年モデルの前作との違いは、フレックス(RA値)が上がって順しなり(フラットに押し出す方向)は少なく(硬く)なっているとの事。半面、縦しなり(スピンを掛ける方向)は前作と比べてかなり大きく(柔らかく)なっているようです。
一方、リム(フェイスの枠)のたわみ(内側に倒れる)と潰れ(面の中心に向かって縮む)を大きくし、ここで柔らかさを出しているようです。また、ストリングパタンは、前作が中央に行くほど密になるのに対し、新作は全体的に間隔が均一になっています。
試打ラケットに貼ってあるガットはアイコニック・オールで、テンションは55ポンド。
色はスロート付近が写真ではワインレッドみたいに見えますが、実際は赤茶色(レンガ色)に近いです。リムのサイドは蛍光オレンジっぽい色でした。全体的にくすんだオレンジという感じで、個人的には一寸微妙です。
カタログスペックは前作と全く変わっていませんが、実測では6gほど軽くなっていました。バランスポイントは1㎜の差なので誤差の範囲ですね。
製品名 重量 バランスP フレーム厚 重量(実測) バランス(実測) CX200 2024 305g 315mm 21.5mm 316g 325mm (旧) CX200 Tour 310g 310mm 20.5mm 330g 322mm (旧) CX200 305g 315mm 21.5mm 320g 326mm
CX200 2024 スペック
試打インプレ
前作のCX200はスウィングウェイトが軽いのは良いのですが、インパクトでラケットがブレるというか打たれ弱いというか、スウィートエリアが狭く感じました。一方新作は、スウィングウェイトの軽さは同等ながら、ブレる感じは明らかに抑えられています。そして単純によく飛びます。コントロール系ラケットというより柔らかめの反発系と言った感じです。
実を言うと最初の印象は、打感が硬質で反発系っぽいくせにフレームはぐちゃッと潰れるようなチグハグな感じでした。そこで試行錯誤した結果、優しく丁寧にスピンをかけて打てばしっくり来る事が判りました。また打感が硬いと言っても、手に伝わる衝撃は殆ど感じず、後で肘が痛くなることも無かったので、振動吸収性はかなり良いと思います。よく考えたらダンロップのラケットは、振動がマイルドな割に打球音が甲高いものが多い気かがします。その上この試打ラケは、ガットのテンションが55ポンドとやや高めな為、余計に硬い気がしたのでしょう。
ショット別に見ると、ボレーくらいのインパクト(ボールとラケットの相対速度)なら、ホールド感がありアシストも十分でとても打ちやすいです。例えば地面すれすれで何とか当てただけのボールがちゃんとネットを超えて相手のコートに入ります。バックハンドスライスも同様で、コントロール性もパワーもスピン量も十分でした。バウンド後に思いのほか滑ったり、逆に止まって相手が手を出せないという、僕が得意なスライスが久々に打てました。
しかしフォア・ストロークは、ちょっと叩くとすぐ暴発してしまいます。僕の場合フォアは基本フラット系なので、このラケットだとパワーアシストが過剰な上に、ボールが予想より上がりやすいように感じました。そこで、強め・厚めの当たりは控えて優しく丁寧なスウィングを心がけると、いい感じにコントロールできるようになりました。特にスピンは掛けやすく、それによってコートに収める仕様だと思います。
サーブもスピン系(スライスも含む)なら、柔らかなホールド感を伴ってかなりスピンがかかりました。しかしフラット系だとやはり抑えが効かなくなるというか、ラケットの剛性感が低すぎてコントロールし辛かったです。フラット方向に速いスウィングをすると順しなりの弾性域を超えてしまい、インパクトのエネルギーを反発力に変換しきれないのかも知れません。
という訳で新型CX200は、バコッた時の気持ち良さやパワーを諦め、制御技術や年齢(持久力)なりのクレバーなテニスに徹するならかなり実践的なラケットだと思います。言わば「打つ喜びより勝つ喜び」という感じw
なのでこのラケットが合う人は多分、男性ならスウィングスピードが中くらいかやや遅めだけどパワーUPは望んでおらず、スピンやプレースメント重視の方。女性の場合はフラットに打つ人が多いですが、全体的にスウィングスピードは遅めなので、バコラーでなければ多分大丈夫でしょう。弾き感よりホールド感を好む人や、ラケットの助けでもっとスピンを掛けたい人なら合うと思います。また男女とも、ボレーがし易いので(但し弾くタイプではない)、特にダブルス中心のプレーヤーに向いていると思います。
【3/9 追記分】
CX200の不思議な打感がずっと気になっていたので、別の店で借りて再び試打しました。今回の試打ラケットに張ってあるガットは、縦がポリツアーREVで横がシンセティック125のハイブリッド。テンションは48ポンドでした。
ポリツアーRevはポリガットの中では比較的柔らかく飛びも良いガットですが、前回の試打ラケに張ってあったアイコニックAll (ナイロンマルチ)と比べればやや硬い打感でした。僕は(ラケット本体もそうですが)『硬い=飛ばない』と感じてしまうようで、壁打ちでは暴発が抑えられている気がしました。
しかし実際にコートで使ってみると、やはり飛びますね💦 アイコニックALLのような弾力性でビュンビュン飛ぶような感じではありませんが、ポリツアーRevらしく弾くような飛び方です。オーバーミスは多少減ったもののそれなりにありました。
後で調べると、アイコニックAllもナイロンマルチにしては飛びもスピン性能もかなり高いガットのようです。新作CX200自体が飛びもスピンも良いラケットなので、その特性を更に伸ばすようなガットを何方の試打ラケにも張ってあるという事ですね。
ただ打感に関してはテンション高めとは言えナイロンマルチなので、上述のようなガット面がグチャっと潰れるような感触になったようです。対してポリツアーRev仕様ではそうした潰れ感は抑えられ、普通のラケットに近づいたと思います。そして振動吸収と言う意味ではポリツアーRev仕様でも優秀で、今回も肘の痛みは殆ど感じませんでした(振動止めは無し)。
という訳でCX200 2024の特徴はガットが変っても大体同じでした。即ち、腕に伝わる振動は少ないが、打球感は何故か硬質(しなりが少なくてボールを弾く感じ)。飛びもスピンも良好でオマケにスウィングウェイトがかなり軽いラケットだと思います。
良い事尽くめですが、個人的にはもう少ししなり感やホールド感が欲しいと思いました。なので、ガットを(そんなに飛ぶわけではない)普通のナイロンマルチにしたら、しなり感は無理だとしてもホールド感は出て、暴発も防げそうな気がします。
考察
YouTubeでお馴染みのウィルソンの道場氏は、「順しなりはパワーがロスするだけでなく、コントロール性も悪い」と言いますが(その意味で新作CX200を褒めていた)、僕はそうは思わないんですよね。長年使っている元祖薄ラケ:プロスタッフ・ツアー90や、近年のプリンス・ファントムO3なんかは相当RA値が低いと思いますが、パワーが無いかと言うとそんな事はありません。
コントロール性という点からも、順しなりが欠点だとは感じません。確かに、反発系ラケットのように追い込まれた時に合わせただけで返すようなショットは苦手ですが、早めに準備してしっかり丁寧に打てばコントロール性は高いです。またそのような正しいスウィングに自然になっていくという効果もあります。
ラケットの捻じれについては確かにパワーも方向性もロスしますが、捻じれる事によって腕への衝撃を緩和してるように感じます。もしねじれを最少化するなら「捻じり剛性は高いが、順しなり剛性は低い」という初代Clash100のコンセプトで良いと思います。
そして今回のCX200は、順しなりの小ささ(硬さ)を面剛性の低さで相殺し、縦しなりの大きさ(柔らかさ)でスピンを掛ける設計思想のようです。その結果、スピン性能と柔らかなホールド感を得る事に成功しましたが、個人的にはフラットに打った時のしっかり感を伴った弾力性がもう少し欲しいと思いました。もっともそれは、旧作のCX200 TourとかBlade98 V7のような重めのラケットの特性であり、僕が望むトップライトさとの両立を求めるのは無理かも知れません。少なくとも僕が2018年から試打したラケットの中には、それらを両立する製品は一つも有りませんでした。
長年プロスタッフTour90を気に入っていた僕が、2019年にテニスを再開して初めて試打したのはプロスタッフ97 CV(V12) でした。しかしこのラケットはTour90のような本当の薄ラケとは程遠いものでした。
次のV13は更に硬く飛ばなくなってるみたいなレビューを見て、一度も試打していませんでしたが、今回登場したV14のレビューで「前作は柔らかい打感だったが今作はちょっと剛性を上げて飛ばすようにした」との事。そこで初めてV13に興味が湧き、何時もの店で未だ試打ラケットがあったので打ってみました。
そしてその何週間か後、スポーツデポでテニスラケットの試打が復活した事を知り(しかも以前は2泊3日だったのに今回から1週間以上借りられる)、偶々あったプロスタッフ97 V14(最新作)を借りて試打してみました。よって今回はV14とV13の合同レビューです。
外観・スペック
多くの黄金スペックよりトップライトなバランスなので、重量の割に重さを感じません。スペックもV13とV14で全く変わっていません。ただ実際に使うとV14の方が若干トップヘビーに感じました(残念ながらV13は実測し忘れました)。これはV14のストリングパタンがより先端で密になったからなのか?それともスポーツデポの試打ラケに貼ってあるタグが意外と重いからかは判りません。
写真の写りが悪いですが、一番左がV13で残りの2つがV14です。V14は最近のWilsonの流行りで玉虫色ですが、ベースの色が茶色で本当に虫っぽいというか土っぽくて地味ですね。Bladeの緑やULTRAの青の方が僕は好きです。
試打インプレ
先ずV13のレビューです。上述のようにバランスがトップライトなので、多くの黄金スペックより軽く感じます。かなり軽いスウィングウェイトが好みの僕にはやや鈍重ですが、ユッタリ振る事を心がければドスンと重いボールを打つことが出来ます。ただスピン系のボール、特にスピンサーブは矢張り重すぎてちゃんと打てる気がしません。
打感については先ず貼ってあるガットが、Yonexのポリの中で最も硬いと評判のポリツアースピンなので、ちょっと打つだけで僕の繊細な肘にビシバシ響きます。ただそれでもホールド感やしなり感は多少あったので、ラケット自体は確かに柔らかめだと思います。V12の方がボール弾く感じなのでパワーはあると思いますが、僕はV13の方が好みです。
次にV14ですが、硬いけど意外と痛くはなく、案外飛ぶという印象です。特に僕はフェイスの先端寄りにスウィートスポットを外す事が多いのですが、その場合でもあまりブレたり失速したりしません。
試打ラケのガット種類やテンションを店は把握していませんでしたが、ガットに書かれた文字からNXT 16 だと判りました。このガットはナイロンモノっぽい見た目に反してナイロンマルチで、ネットのレビューでも普通に柔らかいそうなので、そのお陰で痛い振動をあまり感じないのでしょう。逆に言うと同じガットとテンションで比較したら、V14はV13より明らかに硬く、やや飛ぶラケットだと言えるでしょう。
ただ上述のように何故かV13よりスウィングウェイトが重く感じます。ゲームで使ってみたら疲れやすいし、特にサーブは全然タイミングが合わず空振りに近いショットまで出始めたので、早々にラケットチェンジしてしまいました。
とは言え黄金スペックが好きで、ある程度振り抜ける人なら、重さも問題なくパワーもそれなりあるので気に入るかも知れません。
まとめ
という訳で、V13は僅かながら薄ラケ的なしなりを感じたものの、V14は完全に先端で捉えてビュンビュン飛ばす今様の中厚ラケットといった仕上がりでした。Bladeよりフラットボール重視。ULTRAよりコントロール重視(飛ばない)という住み分けなのでしょうか?今のHEADで言うとGravityよりBOOMのような位置付けかも知れません。
だから色以外は決して悪いラケットではないと思いますが、僕が求めるプロスタッフ像は影も形もありませんでした。V13もV14もTour90より明らかにスウィングウェイトが重く、硬く、振り抜きも悪いです。飛びもパワーウエイトレシオと言う意味では、良くなっているとは思えません。
もっともこれは近年始まった事ではなく、フェデラー全盛期のSix-Oneシリーズ(90インチの真正薄ラケ)から97インチの中厚になった時点で確定した方向性だと思います(残念ながらこの時代のプロスタッフを打った事が無いので想像ですが)。
そしてそのフェデラーも引退し、イメージリーダーを失ったプロスタッフは今後何処に向かうのでしょうか?個人的にはレジェンダリーな薄ラケとして復刻して欲しいです。僕は(「試打ラケTV」じゃないですが💦)「この20年間、テニスラケットは本当に進化したのか?」と言う疑惑を持っています。現行のPhantom100/03がそうであるように、手元から先端まで薄めの断面形状が殆ど変わらないようなシンプルな形状を、良質のカーボン繊維で作るラケットが結局ベストなのではないかと。
ウィンザーラケット店内の試打コーナーで試打して素晴らしかったファントム100とそのO3。遂に梅田まで行かなくても借りれる店を見つけて借りてきました。ノーマルとO3タイプ合同のレビューです。
外観・スペック
正面から見ると瓜二つですが、側面から見ると同じ商品名の仕様違いとは思えない程違います。O3の穴がインパクトがあるのは当然ですが、見た目の厚みが両者で全く違います。
しかし何故かスペックだとリムの厚みはあまり変わらないので、ノギスで測ってみるとノーマルは最先端-中央(リムの4時/8時)-手元(スロート最下部のくぼみ)がスペックより夫々0.5~1㎜程度分厚くなっていました(下表参照)。厚みを測定するのは初めてですが、こんなに誤差があるもんなんでしょうか?
一方O3は、最先端はスペックより1㎜厚く、中央で0.5㎜薄く、スロートの根元で0.8㎜厚くなっていました。つまりスペックとは違い先端から手元に向かって徐々に薄くなっていく形状で、しかも最薄部でも17㎜を超えており16.5㎜というスペックはちょっと極端でした。
製品名 重量 バランス フレーム厚 スウィング ウェイト 重量 (実測) バランス (実測) フレーム厚 (実測) Phantom 100 2022305g 315mm 20-22-20mm 290 327g 323mm 20.6-22.5-21 Phantom 100 03 2022310g 310mm 20-20-16.5mm 295 327g 323mm 21-19.5-17.3 Phantom 100 2019 305g 315mm 20-22-20mm 330g 323mm ProStaff Tour90 315g 315mm 17mm 336g 318mm 17.5-17.4-17.2 Speed MP 2022 300g 320mm 23mm 322g 330mm CX400 Tour 300g 320mm 23.0mm 322g 322mm
持った時の重量感も、ノーマルはズッシリ重く、対してO3はトップライトで軽快に感じます。ところが意外な事に、実測バランスと重量は意外にも両者完全一致してるんですね。ただこれは、ノーマルにはオーバーグリップが巻かれていたのに対し、O3の方には巻かれていなかったからというのもあるでしょう。もしO3にもオーバーグリップを巻けば、スペック通りやや重くややトップライトのバランスになる筈です。
因みに、O3のリムは大穴が空いているので一見華奢そうですが、フェイスの裏と表の部分はちゃんと繋がっているので、順しなり方向の剛性は見た目ほど低くないと思います。丁度、鉄道のレールの断面形状がI(アイ)の字になっていて、軽い(断面積が小さい)割に剛性や強度が高いのと同じです。
試打インプレ
先ずO3ですが、スロート部分は重量感がありますが先端が軽いのでスウィングウェイトとしてはノーマルより軽く感じます。因みにこれでも僕のProStaff Tour90と比べたらズッシリ重いので、重量がかなりあるのかと思いきやTour90の方が実測で9gも重かったです。その代わりバランスはO3より5㎜トップライトな318㎜(ガット、オーバーグリップ込み)です。
打感はとても柔らかくベリースウィートな味わいでした。店内の試打ルームでも感じましたが、ボレーや短いボールの処理などインパクトが小さいショットはタッチ/コントロール共に良好です。しかも、試打ラケットには振動止めは付いておらず、張ってあるガットがファントム ハリアー レスポンス というポリガット(テンションは46-44lbs)でした。もっともこのガット、中心部にエストラマー(ゴムの一種、但し商品イラストのようにドロッと溶けだしたりしないw)が入っているのは通常のポリよりは柔らかそうですが。
スウィングスピードを上げて行くと、最初はエネルギーが吸収されてパワーロスしているような感じを覚えましたが、ボールを押し出すように振るとラケットが撓みボールを掴んでからドカンと発射されるようなマッシブなショットが打てます。近年のラケットはいくら柔らかさを謳っていても、フレーム全体としては高剛性でこのように撓る感じはありません。
サーブもバシッと叩くように打つのではなく、重めのウェイトを生かしてゆったりドスンと打つ感覚が合っています。というか、ラケットの特性上自然にそういう打ち方になります。じゃあスピン系のサーブはどうかというと、O3の大きな穴のお陰か面と平行に擦る方向には自然と速度が出るようです。
もっともストロークは、僕が基本フラットドライブ系だからか、Tour90やBlade98Sと言った薄ラケと比べ、明らかに振り抜きが良いとは感じませんでした。また勝手にスピンが掛かるような特性ではなく、あくまでしっかり擦ってスピンを掛けるタイプだと思います。何れにしろ、他のレビュアーも言うように、普段のラケットと空力特性が違い過ぎて、それを生かすようなスウィングをするには、もっと使い込む必要がありそうです。
次にノーマルのPhantom100ですが、これはひとことで言うと普通に黄金スペック的なラケットでしたw 勿論、これも振動止め無しでポリガット(ファントムタッチ17 。46lbs)という条件にしてはかなりマイルドな打感です。しかし、O3のようなしなり感はなく、中厚系の剛性の高さ(弾きの良さ)を感じます。また、振り抜きの問題なのかO3と同じ実測重量とバランスなのに、何故かトップヘビーで鈍重に感じます。
スピンも巷で言われるほど良く掛かるとは思いませんでした。勝手にスピンがかかるのではなく、スピンを掛ける打ち方をすればちゃんと掛かる感じです。まあ僕はスピン性能を謳うラケットを使っても、あまりスピンが掛からない質ですけどねw 寧ろ18*20の薄ラケの方が良くスピンが掛かったり。
まとめ
という訳で、ノーマルのPhantom100はソフトでパワーもあり十分良いラケットだと思います。ただ振り抜きと言い反発の仕方と言い、薄ラケというより黄金スペックとか中厚系に近い感じでした。だから比較するならVcore98やVcorePro100、Speed MP、SX300Tour、CX200Tourあたりでしょうか。それらと比べて傑出した点も無ければ劣った点も無く、無難な選択だと思います。
あと旧作(2019モデル)も試打した事が有りますが、これはもっと硬くて飛ばない印象でした。もっとも張ってあるガットがプロハリケーンツアー (48ポンド)という硬めのポリだったせいでもありそうです。そして実測重量が3g重く、実測バランスは同じなのに今作より僅かに軽く感じました。
そして注目のPhantom100 O3ですが、これは打感的にも振り抜き的にも正真正銘の薄ラケでした。このようなラケットはあらゆるブランドの現行モデルの中で唯一無二だと思います。ただ…じゃあ買うのかと言われると、残念ながら答えはNOです。何故なら僕のプロスタッフ ツアー90と比べて明らかに優れているとは言えないからです。
先ずスウィングウェイトですが、冒頭に書いたようにTour90より9gも軽いにも関わらず、バランスがややトップヘビーなので、若干鈍重で振り回すのがしんどい感じがしました。勿論今のラケットの中ではかなりトップライトなんですが、僕が好むTour90のバランスと重量のラケットは最早存在しないという事でしょう。
じゃあやや重めで面積が広いのだからパワーはあるのかというと、実はこれも微妙なんです💦 意外にもTour90の方が若干反発感のある打ち応えでパワーがあり、ボールをしっかり捉えた時にすっと振動が消える、所謂ポケットフィーリングが気持ち良いです。Phantom100 O3はスウィングスピードが遅くても速くても同じ柔らかい打感なので、小技は打ちやすいのですが、取り回しがやや悪く感じます。勿論、実験室で測定したらPhantom100 O3の方がパワフルなんでしょうけど、スウィングウェイトとの対比であるパワーウェイトレシオと言う意味ではTour90の方が僅かながら有利に感じました。
最後にスウィートエリアは流石にPhantom100 O3の圧勝!…かと思いきやこれも大差ないんですよね💦 勿論細かくチェックすればO3の方が広いですが、無意識に打った時にあまり差を感じないという意味です。まあこれは僕がTour90に慣れているという事と、今回は壁打ちしか出来なかった事もあるでしょう。もしダブルスゲームでネットプレーをやると、Phantom100 03のスウィートエリアの大きさが体感できたと思います。ただその場合は、スウィングウェイトの大きさがネックになるかもしれませんが。
まあ古い薄ラケとの比較など気にしてる人は滅多に居ないのに、個人的な「まとめ」が長くなってしまい申し訳ありません。一言で言うとO3はノーマルのPhantom100とは、全く別物のラケットです。これらを同じモデル(製品名)の仕様違いで売り出す意味があったんでしょうか。比較レビューもあまり意味が無かったですね💦
実はウィンザーラケットの試打コーナーでファントム(O3ではないノーマル)を試打したら素晴らしかったのですが、借りてまた返しに行くには遠すぎだし、駐車代が高い。そこで何時ものテニスショップに問い合わせたところただのファントムは無いとの事。代わりに借りたのがこのファントムF1です。
外観・スペック
公式サイトを見ると「フラットボール専用」とか「超攻撃型ラケット」と言った過激なキャッチフレーズが並びますが、人のレビューを見ると中々打ちやすいようです。
僕のBlade98Sと比較するとフェイスは一回り大きいですね。特に先端部分が広く、逆にスロート側は細く尖った形状です。Prince伝統の苺型とでも言いましょうか。Boonのうちわ型とはまた違いますね。
形状的にユニークなのは、どこかの缶コーヒーのようなリムのディンプルです。ゴルフボールのディンプルは空気抵抗を大幅に低減しますが、これは球という空気抵抗が非常に大きい形状だから効果が大きいのであって、ラケットのリムのように小さな断面でどこまで効果があるのか判りません。
それとカラーリングですが、紺と白のツートンはコントラストが強い上、リムとスロートでいきなり色が切り替わるのでややチグハグな印象を受けます。同じ配色ならベースは紺でグロメットとロゴは白(又はその逆)とかが良いと思いました。
スペックは黄金系より5gだけ重くがバランスは同じ。フレームは先に行くほど分厚くなるというやや珍しい形状です。ただ、実測重量とバランスは黄金スペックそのものですね。
製品名 重量 バランス フレーム厚 重量(実測) バランス(実測) Phantom F1 305g 320mm 24.5-22-21mm 320g 327mm Phantom 100 03 310g 315mm 24mm 327g 323mm Speed MP 2022 300g 320mm 23mm 322g 330mm CX400 Tour 300g 320mm 23.0mm 322g 322mm
試打レビュー
実測重量とバランスが黄金系である割には、重々しさはあまり感じません。打感は兎に角柔らかく、そして良く飛びます。これは張ってあったアルパワーソフト(45ポンド)の特性そのものだと思いますが、ガットだけでこうはならないと思います。
高い打点から押し込むような力の入り辛いショットでも、ラケットのパワーによってマッシブなショットになります。ただそのパワフルさ故に、残念ながらすっぽ抜けたように暴発することもしばしばです。ホールド感は良いのでスピンが掛かりそうな雰囲気はあるのですが、いかんせん直進方向にパワーがあり過ぎて、擦り上げる前にガットから飛び出してしまう感じです。これが「フラット専用ラケット」という訳でしょうか。
まあでも、近年試したPrinceのラケット:Tour95/100は僕には硬くて飛ばない印象しか無かったのに対し、今回のPhantomF1やPhantom100は印象ががらりと変わり、柔らかくて良く飛ぶラケットでした。
テニスのサーブはサイドアウトのミスより、ネットかオーバーのミスの方が多いと思います。これは当然、サーブを入れる為の上下方向の許容範囲が狭いからです。もしボールの軌道が直線だと仮定すると、ギリギリサーブを入れるには打点は3mくらい必要。だから「サーブはスピンを掛けなければ入らない」等とよく言われます。
確かにサーブを入れるのは難しいですが、よく考えてみてください。ボールが直線軌道で飛ぶという前提は、重力の影響を無視しています。実際にはボールの軌道は重力で引っ張られて山なり(所謂「放物線」)になるので、そこまで条件は厳しくありません。
そこで今回は、打点の高さが何mなら最高何km/hのサーブが入るのか?を検証したいと思います。尚、スピンの影響や空気抵抗(正確には「効力」)による減速と言ったエアロダイナミクスは無視します(次回以降にやる予定)。皆さんが高校までに習った筈の三角関数とニュートン力学だけで計算していきます。
サーブの軌道計算
下図は3D CADでテニスコートの図と寸法を描いたものです。先ずは上述の直線軌道でギリギリ入る打点を計算します。(もう結論が描いてありますが💦)
テニスサーブのジオメトリ
前提条件として、話を簡単にする為に、打点の位置はベースラインのセンターマークの真上とし、一方の落下ポイントは相手のサービスラインとセンターラインの交点とします。すると当然、ボールはネット中央の一番低い部分(0.914m)の上空を通過します。つまり一番入れやすく到達時間が短いケースです。
次に、テニスボールのサイズ は直径6.54~6.86cm、半径だと3㎝ちょいです。なので若干余裕を見て、ボールの中心からネット上端まで4㎝(0.04m)あれば、レットせずに通過出来る筈です。その場合、地面から見たボールの(中心の)高さは、ネットの高さ(0.914m)に0.04m足して0.954mとなります。
これで高さ0.954m(ネット上通過位置)、底辺長さ6.4m(ネットから相手のサービスラインまでの距離)の直角三角形が出来ました。この三角形の斜線をサーバーのベースラインまで伸ばしていけば、打点の高さ(H)が判ります。関係式は;
6.4/0.954 = (6.4+11.885)/H
となるので、これを変形すると;
H = (6.4+11.885)*0.954/6.4 = 2.7256 ≒ 2.7 (m)
となります。よく言われる3mには及びませんが、2.7mの打点で打つには日本人としてはかなり高身長(手もそれなりに長い)な男性でないと無理でしょう。
因みに僕は、身長も腕の長さも日本人男性の平均以下ですが、打点の高さを測ったら、2.4m弱しかありませんでした(;´д`)トホホ。道理で速いサーブが入らない訳だ(‘◇’)ゞ 皆さんもご自分の打点の高さを測ってみてください。
測り方は、僕の場合は伸縮出来る孫の手があったので、先ず自分のラケットのグリップエンドからスウィートスポットまでの長さに調整しました(約50㎝でした)。勿論この棒は自撮り棒や指示棒でも良いと思います。何なら50㎝の物差しでも。
そして壁の傍に立ち、その棒をラケットのように持ってサーブのインパクトの形を作り、棒の先端の高さにある何らかの目印を壁上に見つけます。後はコンベックス(鉄製の巻き尺)で地面からその目印までの高さを測ります。
僕の場合は、偶々その高さが部屋の天井付近だったので判り易かったですが、そんなに都合よい目印が無かったり、そもそも天井の高さが足りないかも知れません。その場合は、分かり易い目印の高さになるように棒の長さを調整し、後でラケットのグリップエンドからスウィートスポットまでの長さと比較し、差分を足し引きしたら良いのではないでしょうか?
重力を考慮したサーブの軌道
という訳で、皆さんの打点の高さはどうでしたか?もしそれが思ったより低くても、ドッカン・フラットサーブを諦めるのはまだ早いですよw
冒頭で述べたように、スピンが全く掛かっていなくても、重力によってボールの軌道はドンドン下向きになり、全体として山なりの軌跡(所謂「放物線」)を描きます。逆に言えば、軌道が直線になるのは速度が無限大の時だけです。速度が有限なら、速いほどボールは直線軌道に近くなり、遅いほど下に向かって垂れ下がるような軌道になります。
赤線:重力なし 青線:重力あり
では実際にボールがどんな軌道を描くのか計算してみましょう。
先ずニュートン力学のおさらいですが、地球上にある物体は皆、地球の重心に向かって引き寄せられます。つまり空中にあるモノは「落ちる」訳ですが、地球がモノを引っ張り続けるので、その速度はドンドン増していきます。
この時の加速度は「重力加速度」 (G)と呼ばれ、どんな物体でも一定です(つまり質量が大きな物体ほど、強い力で地球に引っ張られる)。具体的には毎秒9.8m/sづつ速度が増していきます(G=9.8m/s^2) 。という事は、ボールの落ち初め(サーブのインパクト)から着地迄の時間が判れば、ボールが直線軌道から外れて「落ちる」距離が判るのです。
では先ず、ボールの速度をV、ボールの飛行距離をL、ボールの飛行時間をTとすると、次の式が成り立ちます。
L = VT
距離=速度x時間ですから自明ですね。正確には飛行距離Lは放物線(2次関数)の長さですが、計算がややこしいのでざっくり直線軌道の長さとして計算していきます。
冒頭のテニスコートの図に戻って頂き、大きい方の直角三角形を考えます。この三角形の高さ、つまり打点の高さですが、2.7mは現実的ではないので、キリが良い2.5mとします(これなら多分日本人男性の平均くらいでしょう)。一方、底辺の長さはベースラインから相手のサービスラインまでの距離=(6.4+11.885)m です。するとこの三角形の斜線が飛行距離Lになるので、ピタゴラスの定理を使うと次の式が得られます;
L^2 = 2.5^2 + (6.4+11.885)^2
ここから飛行距離Lを計算すると
L = 18.455 ≒ 18.5(m)
となります。次にボールの初速Vを仮に180km/h(=50m/s)とすると、飛行時間Tは;
T = L/V = 18.5 / 50 = 0.37 (s)
となります。最短コースとは言え、0.4秒足らずで到達するんですね。トッププロでもセンターサーブを警戒していなければ反応できない時間でしょう。
では、落下距離はどうなるかというと、経過時間とボール速度のグラフの面積に一致します。一般的には積分で求めますが、この場合は等加速度運動なので、底辺が経過時間(0.37s)、高さが最終速度(0.37*9.8m/s)である三角形の面積が落下距離になります。つまり落下距離をHgとすると;
Hg=T*T*G/2=(0.37*0.37*9.8 )/2 = 0.67(m)
となります。勿論これは打点から67㎝下がった位置という意味では無く、同じ打ち出し角の直線軌道と比べて最終的に(相手のサービスラインの位置で)67㎝下がるという意味です。
因みに、67㎝というと180㎞/hも出てる割には落ちてると思いませんか?ところがこれを「67㎝の高さからテニスボールを落としたら0.37秒で着地」と言い換えたら「まあそんなもんかな」と思うのではないでしょうか?重力って意外と強力ですね。
関数グラフでボールの軌道を描画する
次は、打ち出し角を一定にして初速を変えていった時にボールがどんな軌道になるのかを、関数グラフで表現します。
サーブの速度と軌道
上のグラフはテニスコートを真横から見た図で、X軸は地面、Y軸はコートの真ん中、つまりネットの位置です。右の「打点」から向かって左方向にサーブを打つとします。
先ず直線軌道のグラフですが、打点の高さをh、打ち出し角度(水平から何度下がったか)をa、とすると、グラフの傾きはtan a (タンジェントa)となります。また、x = 0の時のyの値は、打点高さhから11.85(ネット ー ベースライン間)* tan a を引いた値になります。従ってグラフの関数は次の通りです。
y=h – 11.85 * tan a + x * tan a
これに対して現実の放物線は、重力加速度Gの分だけ高さ(つまりyの値)が減少します。この減少幅(落下距離)は、インパクトからの経過時間 t を底辺とし、最終速度を高さとする直角三角形の面積 s に等しいので次の式が成り立ちます。
s = t * t * G / 2
ここでtを求める為に移動距離 d を直線軌道の距離に近似すると;
d = (6.4+11.885)/cos a
となります。更に経過時間 tを速度Vや変数xで表すと;
t = {(6.4+11.885)/cos a} /V * (x-11.885)/(6.4+11.885)
となり、このtを上述の落下距離の式に代入すると;
[{(6.4+11.885)/cos a} /V * (x-11.885)/(6.4+11.885)]^2*G/2
となり、直線軌道の関数からこの落下距離を引くと;
y=2.5 – 11.85 * tan a + x * tan a – [{(6.4+11.885)/cos a} /V * (x-11.885)/(6.4+11.885)]^2 * 9.8/2
という関数が出来ました。この式を(単位は適宜揃えます)グラフ描画ソフトに入力し、速度Vを100, 140, 180km/hとした場合のグラフが上と下の図です。
先ず上のグラフは、打ち出し角度a を100km/hの時にギリギリネットを超えるように調整しています。そうすると、100km/hの時はサービスラインの内側に余裕で入っているのに、他の速度では全てオーバーしています。
そこで相手のサービスライン地点の高さを見ると、100km/hでは直線軌道(速度∞)の場合と比べ2m以上低くなっているのに対し、100km/hと140km/hの場合の比較だと高低差は1mちょいになります。更に140km/hと180km/hでは(同じ40㎞/h違いなのに)50㎝くらいしか高低差がありません。
理由はこのグラフが速度の2次関数になっているからです。つまり初速が速くなるほどサーブの難易度が「加速度的」に上がっていくわけです。
次に打ち出し角度をもう少し下げていき、180km/hのサーブがネット上ギリギリを通過する程度に打ち出し角を下げるとギリギリ入りました(上図)。ですので当記事の結論は;
打点の高さが2.5mであればフラットサーブは約180km/h迄なら入る
となります。しかしネットの上スレスレを通って粗サービスライン上に落ちるのですから、文字通り寸分の狂いも許されません。これでは喩えジョコビッチ並みに正確なショットの持ち主でも現実的なサーブとは言えません。
因みに、ボールの初速を徐々に変化させていくと軌道がどう変化するか、アニメーションで表現してみました。今回は判りやすいように打ち出し角度は水平にしたので、下に向かうベクトルは全て重力によるものです。
画面左端の数式の中で「v=○○」と表示されているのがボールの初速です(範囲は0~200km/h)。初速が0の時は当然真下に落ちるだけですが、速度が上がるにつれ軌道が持ち上がり、200km/hの時には大分水平に近くなっているのが判ります。
ここで注目して欲しいのは、ボール速度の変化率は一定にしてあるのに、速度が高くなる程、軌道の変化がゆっくりだという事です。これが何を意味するかというと、高い速度域のサーブを少々減速しても、入れやすさは殆ど変化しないという事です。つまり180km/hのサーブが余裕で入る打点で打てる人なら、200km/hで打っても確率は左程落ちないという事です。テニスにとってプレーヤーの身長(正確には高さ方向のリーチ)が如何に重要かという事ですね。予想された事とは言え、低身長の僕には絶望的な結論になってしまいました😿
気を取り直して次回は、ボールがネット上を通過する時の高さ(x=0の時のyの値)を決め、打ち出し角を逆算したいと思います。そしてその結果から落下位置も判るので、結局何km/hまでならサービスボックスに入るのか算出できます。
Grinta100を買う前に昨年試打したラケットのレビューが溜まっていますが、今回はその一つヘッドの新シリーズBOOM(ブーン)です。ミントチョコみたいな色はポップでお洒落ですが、インスティンクトの後継という訳ではなく、ガウフが使っているようにもっと中上級志向のようですね。
外観・スペック
ぱっと見特徴的なのは先端に行くほど幅が広くなるフェイス形状。ヨネックスのラケットと違って楕円で先広がりなのでうちわみたいに見えます。ストリングパタンは通常の16*19ですが、その割に密に見えるのは、フェイスの中心に向かって密になる度合いが大きめなのか?
それとフレームは、正面から見ると薄めで横から見ると厚め(24㎜)という、フラットな当たりに対して高剛性かつ低ドラッグな形状ですね。また、うちわ形状のフェイスはスロートとの繋がりがスムーズで、かつスロート三角のコーナーにRが付けてあるので、捻じり剛性も高いかも知れません。
黄金スペックよりやや軽く、ややトップライトなバランス(つまりスウィングウェイトが小さい)。ガット込みの実測値でもスペック通りという感じ。尚、今回の試打ラケットには振動止めもオーバーグリップも付いていなかったので、その状態での実測値です。
※振動止めとオーバーグリップが無い状態。これらを付けると315g
試打インプレ
先ずスペック通り、体感上もトップライトで僕の好みです(⌒∇⌒) 今までのヘッドのMPは僕にはスウィングウェイトが重すぎ、かと言ってLiteだと軽いけど更にトップヘビーなので違和感がありましたが、新世代のMPはエクストリームも含めて、質量とバランスが丁度良いです。
打感も軽く打った時には硬すぎず粘り過ぎずちょうど良い感じ。特にボレーのタッチとコントロール性は抜群だと思いました。
しかし!スウィングスピードを上げて行くと、硬い振動がガシガシと腕に響くようになります。剛性が高いというより、素材の振動特性が硬い(高周波成分が多い)ような印象です。10分くらいストロークを打ち続けると、肘が痛いを通り越して痺れてしまいました💦
なお上述のように、今回の試打ラケットにはオーバーグリップも振動止めも付いていなかったので、そのせいで硬いのかと思い、自分でつけてから後日試打しました。しかし、若干マシになった程度で硬い事には変わりません。両方つけてある自分のBlade98S V7より硬いですね。
他のラケットもそうですが、トップライトなモデルはたとえ重量がそこそこあっても何故か硬い打感になってしまうんですよね。ガットは縦がRPMラフで横がXR3125のハイブリッドになっていたので、縦糸の硬さが効いてるかも知れませんが、ガットだけでこれだけ打感が硬くなるとは思えません。
サーブはシャキシャキとパワフルなボールが打てて良いのですが、やはりちょっとスウィートエリアを外すと腕にビシバシ来ます。
スノワートのGrinta100 liteを購入しましたが、グリップが何時ものG2の割に太い事に気付きました。グリップは同じサイズ表記でもブランド毎にサイズや形状が微妙に違うようですが、スノワートラケットは太目で扁平率が高いようです。例えば僕のBlade98SのG2に薄め(0.4㎜)のオーバーグリップを巻いた状態と、Grinta100のG2に何もまかない状態がほぼ同じ太さに感じます。
そういう場合は、オーバーグリップ無しで元グリップのまま使えば良いやと思ってたんですが、実際に使うと汗で直ぐに滑ってしまいます。なら元グリ自体を換えようとテニスショップで相談しましたが、汗で滑らない元グリは今の所無いとの事。昔の皮の元グリは吸湿性が良いのでそのまま使ってましたが、何年かするとやはり滑って来るんでしょね。今の合成皮革の元グリはオーバーグリップを巻くのが前提のようです。
これはよく考えたら当然で、オーバーグリップは頻繁に交換する前提で、汗や汚れを吸収し易くなっていますが、同じような素材で元グリを作ってしまうと、それを頻繁に交換する必要があります。これはコスト面だけでなく、両面テープでくっ付いてる元グリ交換のし難さから言って現実的ではありません。なので、手汗をかかない人は別として『グリップが太過ぎたら元グリだけで』という作戦は通用しない事になります。言い換えると、グリップサイズに迷ったら細い方を選択し、もし細過ぎたら太めのオーバーグリップを巻くか、元グリの下に何か噛ませて太くするのが原則という事です。
とは言え、ガット張り上げラケットを買い手都合で交換は出来ないと思うので、せめてグリップエンドくらいは細いモノに変更しようと思いました。ネット通販なら汎用グリップエンドを売ってますが、サイズや形状が全く判りません。そこでこのラケットのグリップエンドを外して(やり方は後述)リアル店舗に持っていき、おいてある製品と比較しようとしましたが、何処の店にもグリップエンドなんて置いていません。店員に尋ねるとメーカーの純正品しか扱っておらず、しかも取り寄せになるとの事。メーカー純正品なら今と同じなので、それなら付いてるグリップエンドを削る事にしました。
加工作業
元グリを外すのは多分初めてですが、このラケットに関しては両面テープ(写真の青い部分)が白い合成皮革と1列ズレて捲れてきて意外と簡単に捲れました。
グリップエンドはごついタッカー4か所で固定されていたので、目抜きで何とかこじ開けて外しました。そして長辺の両端の面を片側0.5㎜くらいサンドペーパーで削りました。後で考えたらグリップエンドを付けたままでも削れましたけど、ラケットが嵩張るのでやはり外した方がやり易いと思います。
ところで、グリップエンドを外して中を見ると、日の字断面の一方の口に粘着性のゴムのようなものがこびりついていました。これで重量やバランスを微調整しているのかも知れませんが、汚らしいし剥がれて中で暴れるのも嫌なので取りました。本当は代わりにウレタンフォームでも充填した方が振動吸収でもバランスの面でも良いかなと思いましたが、面倒なのでやめました。
で外した元グリですが、くっ付いてる両面テープは捲ってしまい、表皮の裏にこびり付いた分も除去しました。その状態で巻き直すと最初より大幅に長さが余ってしまったので、ディンプルが無くツルツル滑る方(元々グリップエンド側だった)の端を切り取って巻きなおしました。その結果、グリップ全体が大分スリムになりました。これならグリップエンドはそんなに削らなくても良かったかも💦
結果的にグリップの長辺と短辺の長さを測ったら以下のようになりました。改造後のGrinta100はBlade98Sより夫々1㎜づつ短くなっていますね。
長辺 短辺 Grinta 100 グリップテープ無し 31mm 27mm Grinta 100 改造元グリのみ 33mm 29mm Blade 98S V7 元グリのみ 34mm 30mm
そしてこの上からお気に入りのバボラFeel(0.4㎜)を巻いたらGrinta100はやや細めの良い感じのサイズになりました。同じオーバーグリップを巻いたBladeと比較したのが最後の写真で、左がGrinta、右がBladeです。Bladeの方がグリップエンドの凸がシャープで全体に太目ですね。
昨年からずっと試打して気に入ってたけど、高くて買えなかったGrinta100。2022年中ごろからアマゾンや楽天でガット込み16,900円になり、年末には12,900円になっていたので遂に購入しました。
サービスガットは標準装備のサニーコアではなく、何故かトアルソンのゴールド1.30㎜でした。テンションは縦横50ポンドで注文しました。
因みに、ラケットにはGrinta100とプリントされているだけで、Liteという表記は無く、重量とバランスポイントが表示してあるだけです。これは、本家スノワート ではGrinta100 LIteというモデルは存在しないので、多分このスペックのものを日本ではLiteと呼んでるだけでしょう。
スペック
バランスを測ってみると、僕の試打史上最もトップヘビーな340㎜でした💦重量は最軽量のひとつ300gでした。ノーマルのGrinta100は勿論、最初はトップヘビーに感じたBlade98S V7よりも明確にトップヘビーです。勿論これはスペックだけでなく体感上も明らかです。もっともこれはオーバーグリップを巻いていないのと、ガットが太めなのも若干影響してると思います。
※ オーバーグリップテープ無し。
尚、グリップが思ったより太かったので、加工して細くしました。詳しくはこちらのページ をご覧ください。
壁打ちレビュー
今の所壁打ちしかしていませんが、軽くレビューをば。
バランスはやはりトップヘビーでやや鈍重さが残るものの、重量がかなり軽いので十分扱えます。
打感は気温の低さのせいかガットのせいか、昨年夏にスクールで試打した時のような吸い付くような柔らかさはありません。とは言え十分柔らかい打感だしホールド感があるのでコントロールし易いです。しっかり押し出すスイングが出来るので、パワーも出るしスピンもちゃんと掛かってると思います。
ストロークにしろボレーにしろ「昔はこうだったよなあ」という感覚が蘇り、自然に手が順応します。特に恩恵を感じるのは元々得意だったバックハンドスライスです。ちゃんとボールを掴んで押し出す事が出来るので、ボールが浮かないパワフルなスライスが打てます。
これに比べるとBlade98Sは何と硬く、キンキン弾いてしまう事か。特に今張っているポリツアーREVは猛烈にパワフルなので、ホールド感を得る前にぶっ飛んでしまいます。次にガットを張り換える際はナイロンに戻すと思いますが、それでもGrintaの柔らかさやホールド感には及ばないでしょう。
軽量ヴァージョンのGrinta100 Liteをスクールで試打してから約一年。ようやく通常バージョンのGrinta100の試打ラケットがあるショップを見つけ、借りる事が出来ました。
外観
Blade98sと重ねて見ると一回り大きいフェイスですね。通常、100平方インチと98平方インチでは見た目も大差ない事が多いのですが、今回は面積が2%しか違わないとは思えない程差が有ります。
横から見た厚みの差も結構あります(写真ではわかり難いですが)。Blade98Sはスロート部分はソコソコ厚いですが、リム部分が薄いので差が顕著に出ます。Grinta100は先端から手元まで中厚ですね。
スペック
Grinta100の4つの仕様と他社の黄金系ラケットと比較しました。今回のGrinta100はスペック上は黄金スペックよりも5g重く、5㎜トップライトですが、実測では重量はほぼ同じで、バランスだけトップライトでした。
やはりスペックと実測の乖離の仕方はブランドによって異なりますね。他社製品の重量がスペックと実測で20g程違いますが、ガットの重さは15gもない筈。何時も言うように「黄金スペック」として売るための数値だと思われます。その点、スノワート(15gの差)には黄金スペック信仰は無いのか、比較的正確な値を出してるようです。
試打レビュー
先ず軽く振ったところ、スペックの割にはやや鈍重な感じがしましたが、打っているうちに気にならなくなりました。自分のBlade98s V7 に持ち替えて比較すると、矢張りGrinta100はトップライトだという事が判ります。
ただトップライトだから振り抜きが良いかというとそうでもないです。空力的な面でBlade98はリム部分が薄いので、特にストロークのトップスピンの縦振りがし易いですが、Grinta100は中厚なのでそれなりに空気抵抗が有ります。とは言えこれは完全な薄ラケと比較した場合の話であり、Grinta100も中厚系の中では縦振り抵抗が少ない方だと思います。
それより一番意外だったのは打感です。勿論、Blade98sと比較すれば遥かに振動はマイルドですが、昨年打ったGrinta100 Liteと比較して何故か硬い気がしました。通常、同じラケットの通常版と軽量版を比較すると、通常版(重い方)の方が柔らかい打感になりますが、このGrinta100は逆に通常版の方が硬く感じるという不思議さ。ただ硬いと言っても腕に伝わる振動がキツイという硬さではなく、剛性が高くしならない硬さです。
張ってあるガットはセット販売のサニーコア(ナイロンマルチ+ポリコーティング)でテンションは45ポンドと低めなので、それが硬さの原因とは思えません。実際ハードヒットするとすっぽ抜けるように暴発するので、ナイロンにしてはテンションが緩すぎだと思います。
にも拘わらず、Grinta100の方がLite版より硬く感じるのは何故なのか?1年も前に打ったLite版の記憶が改ざんされてしまったのか?その辺を確かめるために、両方同時に試打できるウインザーラケットまで行って、交互に打ってみました(但し狭い室内の試打ルーム)。
そうしたら、本当にLite版の方が柔らかいんですよ。昨年スクールで打った時の感覚が蘇ります。対してノーマルのGrinta100は特にスロート部分ががっちりした感じで高剛性です。普通ノーマルバージョンを軽量化してLiteバージョンにする時、フレーム手元側(内部)に付いている錘やフォーム(?)を抜いて調整すると言いますが、それだと打感は硬くなるはず。なのにGrinta100 Liteは硬くない(寧ろ柔らかい)のはカーボンフレームそのもの(例えばチューブの肉厚を薄くしたり?)を変更したんでしょうか?
理由は良く判りませんが、しなり感という意味ではGrinta100 Liteの方が僕の好みです。一方、スウィングウェイトは両者粗同じに感じたので、トップライトでやや重めのノーマル版の方が好みです。この辺はその人の好みで選べばよいのですが、剛性感の違いも含めて打つ人によって感じ方が違うかも知れません。結局、自分で試打して決めてくださいという何時もの結論になってしまいますね💦
クラビコード試奏記 とチェンバロ試奏記 の続きです。
な、何と!この小さなお店で、日本では音大か博物館にしか置いてないだろうと思っていたフォルテピアノ が2台も置いてありました。1台は跳ね上げ式の元祖シュタイン、もう一台はその弟子ヴァルターのフォルテピアノです(勿論レプリカですけど^^;)。
これを試奏するという事は、国宝正宗の短刀(のレプリカ)でスイカを切ってみるのと同じくらい恐れ多い事ですが、勿論弾かせてもらいましたよ(^^) 印象は音もタッチも割とチェンバロに近いです(特にシュタイン)。
勿論ピアノですからチェンバロのON/OFF制御とは違いますが、キーの質量感がかなり軽い割にクリック感が強いのでチェンバロっぽく感じます。多分、かなり短いキーストロークの間にハンマーを跳ね上げているんでしょう。音もチャンバロをやや丸くしたような感じで割と近いです。多分弦やケースの構造が殆ど同じだからでしょう。
だから、18世紀のフォルテピアノという楽器を知らない人が初めて弾いたら、「ちょっと変わったチェンバロだな」くらいにしか思わないのではないでしょうか?逆に、ピアノしか知らない現代人に「これがチェンバロだよ」と言って弾かせたら、「おお、これは確かにピアノとは全然違うな」と納得するかも(^^)
と言っても、現代のピアノに比べたらチェンバロ的なだけで、本当のチェンバロと比べたらやはりピアノです(なんのこっちゃ^^)。チェンバロのタッチが100%か0%なのに対し、フォルテピノは当然ながら弱い(あるいはゆっくりした)タッチにも反応してくれます。
一方ヴァルターですが、キーはシュタインより若干重く、音はかなり丸くなります。最初はモデレート(フエルトを弦とハンマーの間に挿入して音を丸くする)がかかってるのかと思ってチェックしましたが、かかってませんでした。多分ハンマーヘッドの素材がシュタインのものより分厚くなっているのでしょう。
当然ヴァルターの方がモダンピアノに近いのですが、何となく重厚感を出そうと無理してる気がするので、個人的には軽快なシュタインの方が好印象でした。跳ね上げ式の元祖にしてにしてこの完成度。流石にモーツァルトが一番欲しかった(でも高くて買えなかった(;_;)ピアノだけありますね。
まとめ
僕は単にバロックや古典派の音楽を演奏する目的でこれらの「古楽器」に興味を持ったのではありません。あまりにも重厚長大に発展し過ぎたモダンピアノに変わる楽器、ジャズやポップス等にも使える軽快な鍵盤楽器を探しているのです。
今回、3種類の歴史的な鍵盤楽器に初めて触れて大興奮し、これを昔の音楽の再現だけに使うのは勿体無い気がしました。よって、あえて現代的な視点で総括してみたいと思います。
クラヴィコード
先ず、クラヴィコードの弦に直接触れているようなタッチは何とも魅力的ですが、あまりにキーが軽すぎストロークが短く敏感に音が出過ぎですね。まあ、ストロークと重量感は自作して改良する事も出来そうですが^^ 独特のシャンシャンとした音色は個人的にはちょっと軽すぎるというかひ弱すぎかなと。
ただ、この音が結構好きで、なおかつ珍しい楽器をやりたいと思う人には、テルミンなんかよりは断然オススメですね。音楽表現の幅や適応ジャンルが断然広いでしょう。蓋を閉じちゃえばサイドテーブルみたいで家の中で全く違和感無いですし(あまり上にモノも置かれても困りますが^^;)。
普及が先か価格が先かという鶏と卵の問題はありますが、構造の単純さから言って大量生産すれば完成品で10万円位の小売価格にできるんじゃないでしょうか(?キットで5万円くらいならなお人気出ると思いますけどね(^^)
チェンバロ
一方、チェンバロの音は繊細さと力強さと華やかさを兼ね備えています(倍音成分が非常に多い?)。弦をピックで弾くというのは、弦楽器を鳴らす方式としては、音色的にもエネルギー効率的にもベストなんじゃないかと思いました。
だた、問題はやはり発音のON/OFF制御ですね。常にMaxの音量/音色しか出ないのもさることながら、弱いタッチは許されないのが個人的にはキツイです。チェンバロは見た目や出る音のエレガントさとは裏腹に、演奏者には「音出すのか出さんのかハッキリせんかい!」と要求してくる、かなりマッチョな楽器なんだと思いました^^;
ただ、演奏するのは大変でも聴いてるだけなら心地よいので 、コンサートホールには常備して欲しいですね。バロック音楽は勿論、弦楽器と組み合わせる場合は絶対ピアノよりチェンバロのほうが合ってると思います。何もアンティークで豪華なチェンバロでなくても良いんですから、コンサートグランドの何分の1かの予算で買えるはず。
フォルテピアノ
チェンバロに対するフォルテピアノ利点は音の強弱が付けられる事だと言われていますが、僕が弾いて先ず感じたのは、キータッチの許容範囲の広さでした。
クラヴィコードのようにちょっと触れただけで音が出てしまう事はないし、チェンバロのようにシッカリ押さないと発音しないわけでもない。(フォルテ)ピアノはある意味ルーズな弾き方をしてもそれなりに音は出てくれます。結果として3者の中で最も速いパッセージが演奏可能なんだと思います。
一方音については、チェンバロに近いとは言え、チェンバロの華やかな響き(豊かな倍音)はそれなりに失われています。代わりに弦を叩く「ゴワン」という音が若干混じってくる。これは、ハンマー・ダルシマーの幻想的な音とも違い、重めの金属的な音なのです。
因みにこれはヴァルターのレプリカを使ったベートーベン「悲壮」の演奏です。
VIDEO
ホールの響きやマイキングの関係もありますが、十分な音量だと思いませんか? この人のタッチが強すぎるのか、僕には寧ろ煩いくらいです。有名な第2楽章(ビリージョエルもコピーした部分)に入ると穏やかになるので、この楽器の適性ヴェロシティという感じになります。高音部はややカリカリかつ鼻にかかったような音色ですが、中低域は十分リッチな音色だと思います。
逆にモダンビアノでこの曲を弾くと無駄に重々しい音に感じます。タッチが強いと金属的な爆音になり、タッチが弱いと籠った音になるという。多分この曲のボイシングが割と中音域に集中しているので、そう聴こえるんだと思います。正にワルター向きの曲ですね。逆にモダンピアノはそれが完成した時代に作られた、ドビュッシーやラベルの曲が合っていると思います。
勝手に商品企画
というわけで、どれも一長一短という結論になってしまいそうですがさに非ず、夫々の長所を併せ持つ新たな鍵盤楽器が出来ないか考えてみたいと思います。
まず単純に、フォルテピアノを現在の技術で復刻するだけでも良いと思います。巻線を使ってコンパクトにしたり、アップライトにしても良いでしょう。これなら一般のご家庭にも完全フィット。今のピアノのように、音が大きすぎるから防音工事をしたり、消音器を付けるなんてマッチポンプをやる必要はありません。最初からそんなにでかい音は出ない楽器を作れば良いのです。
究極的には、チェンバロのように弦を弾く方式で強弱を付けられないか?と考えています。ピックでギターを演奏するとき、弦の摘みしろやピックを持つ強さで音量を調整してると思います。なので、チェンバロのジャックが爪を保持する力、又は爪の吐出量をキーベロシティーで変えられれば良いわけです。
実はアイデアが無くも無いのですが(内容は秘密(^o^/)、これは木材加工では手に負えず、クリストフォリや僕が家で試作できるモノではありません^^; プラスチックの精密加工技術があれば出来ると思います。誰か作ってくれませんかね?というか3Dプリンタに頼めば作れるか!
まあ、そんな苦労をしなくても、デジタルピアノやシンセを使えば良いじゃん!というご意見もあろうかと思いますし実際僕も使ってます。しかし、メモリチップに録音された音がスピーカーから出てくるデジタル楽器と、実際のメカで物理的に運動して音を出す生楽器とでは、演奏感というかフィードバックがまるで違うんですよね。
バンドなんかでも最近はギターはアコギが多いですが、ピアノやエレピなどの鍵盤楽器はデジタルが殆どですよね。だからもし、キーボードプレーヤーがクラビコードやスピネットを持ち込んで演奏したら、「何だ!あの楽器は?」と注目される事請け合いです(^^) あなたもお一つどうでしょう?
クラビコード試奏レビュー に続いてチェンバロの試奏レビューです。
フレンチ
超豪華なチェンバロも触らせてもらいました。クラビコードの音がか弱かったせいか、想像以上にブリリアントなサウンドに感激しました(^^) ピアノのように鉄筋をゴンゴン叩いてるような音ではなく、繊細でありながら華やかな音です。
音量的にはアップライトピアノをあまり頑張らずに弾いたくらいでしょうか。普通の住宅内では十分以上の音量です(環境によってはご近所に気を使う)。だから、小さなホールやよく響く中規模ホール(例:宝塚ベガホール)ならマイク無しで十分ではないかと。
ただ、キータッチはやはりクリック感の塊ですね(*_*;ONかOFF、0か100でその中間はありません。ピアノだと何げなくフワッと弾いても音は出ますが、チェンバロだとしっかり押さえる必要が有ります。クラビコードが気をつけないと余計な音を出してしまうのに対し、チェンバロは気をつけないと必要な音が鳴らないのです。
ご主人は「キーを下ろす速さで音色を変えられる」と仰るので試してみたら、確かに相当ゆっくり押せばシャカンという音になり(前後のジャックの僅かなズレ?)、スコンと一気に押せばズンと塊感のある音になるような気もします。ただ「出来てますよ」と言われても正直「うーん」と唸ってしまうような微妙な差ですね(*_*; これは聴き分けるのも弾き分けるのも相当訓練が必要そうです。
構造
このチェンバロはフレンチと呼ばれるタイプですが、後述のイタリアンとの違いはケースが上下に分厚い事だそうです(鍵盤が1段か2段かは関係ない)。よって、イタリアンと比べるとやや重厚で円やかな音がします。
初めて知ったのですが、チェンバロのケースって、響板・側板・底版で閉じてるんですね(この楽器は響板にロゼッタというバラ模様の小さな穴が開いてるが、無いものもある)。これはギターで言えばサウンドホールが無いのと同じなので、音が篭りそうですがそんなことはありません。
音域は(写真で数えると^^;)5オクターブ+1=61鍵かな?キーピッチは現在の標準鍵盤より狭そうだし、左右の枠はほぼ側板1枚分しかないので、幅というか間口は案外狭いです(900mmも無いらしい)。一方、(演奏者から見た)奥行きは多分2m以上あり、写真で見るよりかなり細長い楽器です。
上下の鍵盤の使い分けは、上がメロディーで下がベースとかではありません^^;上下段は同じ音程ですが、弾く弦の本数を変えて音色を変えています。
この楽器の場合、1音につき3本の弦が張ってありますが、内訳は8フィートと呼ばれる通常の弦が2本、そして4フィートと呼ばれる半分の長さ弦(1オクターブ高い)が1本です。上の鍵盤を押すと8フィートが1本だけ弾かれ、下の鍵盤を押すと8フィートと4フィートが1本づつ弾かれます。つまり、下段はユニゾンで弾いてるので、分厚く派手な音になります。
更に、上の鍵盤は手前に少し引き出して弾く弦の数を変えられます。このポジションでは、下の鍵盤を押せば上の鍵盤も連動して下がります(つまり3本すべての弦を弾く)。その時上段だけを押さえると・・・確か8フィートが2本鳴るんだったかな?(うろ覚えですみません^^;)
ちなみに、この2本の8フィート弦はテンションもゲージも弦長も同じですが、弾く場所が前後にズレているので音色が若干違います(弦の端で弾くほうが倍音が多く派手な音)。
イタリアン
写真は撮ってませんが、イタリアンのチェンバロも弾かせてもらいました(何とこれもキット販売してる)。鍵盤は1段で音域が狭く、間口は上述のフレンチより更に狭いのに(700mmちょと?)、奥行きは2mくらいあるという超細長い楽器です。これは広めの廊下に置けば良いのでしょうか^^;?
弦は各音につき2本で、1本だけ弾くことが出来たかどうかは確認してません。音はフレンチより明るくカラッとした印象です。実はサスティーンが短いとご主人に言われてフレンチと比べたら確かに短いですね。
ところで、商品情報 (置いてあった楽器とは外装違い?)を見ると何と重量が25kgしか無いそうです。デジタルピアノより格段に軽いじゃないですか!(重めのステージピアノと同じくらい)。ギターや管楽器などでは、良い楽器ほど軽いと言いますが、鍵盤楽器だってアコースティックなら同じはずですよね。
フィレミッシュ
フォレミッシュというのは初めて聞きましたが、これはフランドル地方(現フランス、ベルギー、オランダにまたがる地域)で作られたチェンバロだそうです。フレンチより歴史が古いというか、そもそもフレンチはフレミッシュを手本に発展したようです。
鍵盤は2段で、ゴージャスな見た目も音も上述のフレンチに似ていますが、フレンチより明るい音だと言われて比べたら、確かにちょっと明るいですね^^;
なおこれとは別に1段鍵盤のタイプもあるそうで、これは上のイタリアンより音域が広いにも関わらず、奥行きが間近いそうです。それはお買い得感がありますね、値段は未だ見てませんけど^^;
スピネットとヴァージナル
実は僕はスピネット を見たかったんですが、展示品も含む在庫が全て売り切れてしまったそうです(なんでも消費税UP前の駆け込み需要とか^^;)。
スピネットとは写真のような小型チェンバロで、弦が各音に1本づつしか張られていません。よって音色は1種類ですが、ジャックが各弦につき1本なので鍵盤に対して弦をかなり斜めに張ることが出来、奥行きが格段に短くなっています。これだったら普通の住宅に置けそうだし、見た目もオシャレですよね。
一方、ヴァージナルという小型チェンバロは置いてありました。これは上記のクラビコードを一回り大きくしたくらいの真四角の箱から鍵盤だけ飛び出しているような形状です。
スピネットと同様に各音につき弦一本ですが、低音弦が手前に来て高音弦が奥に張ってあります(スピネットは逆)。言ってみれば、スピネットはチェンバロの弦を右側に傾けていった形状で、ヴァージナルは左に傾けた・・・・というよりチェンバロの左側面に鍵盤をくっつけたような形態です。
でそのヴァージナルを弾いてみた感想は、ちゃんとチェンバロの音がします(^^/ ケースの蓋を閉じていたせいか、イタリアンチェンバロよりむしろ落ち着いた音に聴こえました。音量も家庭で弾くには十分以上です。ただ、音やタッチが同じなら、見た目がエレガントなスピネットの方が良いかな^^
振り抜きが悪いとレビューしたVcore pro 100 ですが、店頭で少し持ち比べてみたら此方の方が大分振り抜きが良く、バランスもトップライトに感じたので試打してみました。
概要/スペック
フレーム断面は100と同様、スロートからリム全体が粗同じサイズのボックス形状でした。ただ厚みは21㎜と言う割には厚めに見えました。フェイスの形状を僕のBlade98Sと重ねて比較してみたところ、縦横の長さはほぼ同じでVcore pro97の方が角張ってるので四隅が出っ張っています。という事は面積はBlade98より大きくないと辻褄が合いませんね(;’∀’)
使用ガットはアスタポリ125。テンションは48ポンドでした。
カタログスペックは重めでトップライト。実測重量も331gと重く、バランスは319mmとトップライトな部類です。今気付いたんですがこの実測値はVcore98と全く同じですね。しかし記憶を辿ると、Vcore98の方が重い印象が有りました。
試打レビュー
先ず振り抜きですが、コートでちゃんと振ってもVcore pro100より明らかに良いです。スイングウェイト感はよりトップライトながらより重いので100と同等でしょうか。SX300Tour やVcore98 より若干軽いですがEzone100 2022よりは若干重いと言ったところ。前作のVcore pro97と比べると、後期型(紺に金)と同等の重量感ですが、前期型(紺にオレンジ)と比べると明らかにトップヘビーで重々しいです。
さて、打った感想としては確かに非常に柔らかです。これはフェイス/リムが撓んでるとかスロートが撓っているというよりも、ラケット全体が柔らかい感じです。かなり硬く感じた前作の前期型と比べたら勿論の事、少し柔らかくなった後期型と比較しても明らかに柔らかいです。
ただ如何せん飛びません💦 これで僕のPro stuff tour 90くらいスウィングウェイトが軽ければ問題無いのですが、この重さでこの飛びは正直しんどいです。この後、Blade98S V7で打ってみるとカンカン飛ぶ感じがしましたw
このラケットが合うのは、かなりパワーがあるけど持ち球がフラット系で、暴発を防ぎつつタッチは出来るだけソフトなのが良いという人でしょう。最近までウッドラケットを使っていたという人に良いかも知れませんw
ダンロップのCXシリーズは何種類も試打してきましたが、SXシリーズは今回が初めてです。
ただラケットショップで他のラケット(Blade98 v8やピュアドラ、ピュアアエロ等)と持ち比べてみると、SX300はずっしりと重く感じました。一方、SX300Tourも重いですが若干振り抜きが良いように思いました。また、複数のYouTuberのレビューによると、今年のSX300は硬めでスピン向き、SX300Tourは柔らかくフラット向きとの事だったので、Tourを試打する事にしました。
概要/スペック
使用ガットはリンクス125というものでヘッドのポリガットのようです。テンションは50ポンドでした。
今回はスペックが似ているツアー系モデルとスペックを比較しました。実測重量とバランスも大体近い値になってますね。ただVcore95は実測の値通り、この中では明らかに軽く感じました。あとCX200Tourも数値の割には若干軽く感じました。
色は僅かに白っぽくマッドな感じなのでバナナっぽく見えました。一方黒い部分は真っ黒なのでコントラストが強すぎて黄色スズメバチか阪神タイガースみたい。
フェイスサイズは僕のBlade98Sと重ねて比較してみたところ(写真2枚目)、何と縦にも横にもCX300Tourの方がフェイスが小さいです。同じ98平方インチというスペックなのに実寸は全然違いますね。
試打レビュー
厚ラケ的なフェイスが撓むような柔らかさと、薄ラケ的なしなりが合体したような打球感です。そしてラケットの重さとしなりの戻りを生かして相当強力なショットが打てます。ストリングのテンションは50ポンドと、最近のポリのセッティングとしてはやや高めながら、打感的には遥かに緩いテンションで張ったかのように弾力性があります。これが縦横のストリングが動く方向を最適化したという新型グロメットの効果なのでしょうか?まあ重量的に高速縦振りは無理ですが、フラットドライブ的に押し出すだけで、スピンも十分に掛かった重い球が打てます。
しなり感や撓み感が強いだけでなく振動吸収性も良いようで、振動止め無しなのに痛い振動を殆ど感じません。ダンロップラケット定番のグリップ上部のゴムバンドは意外と振動止め効果があるのですが、試しに外してみても打球音が甲高くなるだけで手に伝わる振動はあまり変わりませんでした。他のラケットと比較すると、CX200 Tourと同等の柔らかさ。柔らかいと称されるClash V2やEzone100 2022より柔らかく感じました。
また、上の写真の通りBlade98Sより小さなフェイスにも関わらず、ミスヒットした時のブレは100平方インチのラケット並み、下手するとそれより小さく感じました。まあ重いラケットはブレが少なく実質的なスウィートエリアが広いものですが、それに加えて上述のグロメット形状がここでも効いてるのかも知れません。
スピンを売りにしたラケットというと、バボラの様にカチカチに硬いラケットを想像し敬遠していましたが、少なくともSX300 Tourにはそれは当てはまりませんでした。寧ろ最も柔らかい厚ラケと宣伝した方が良いと思います。ただ僕にとっては矢張り重すぎなので、特に疲れている時には打つ気が起きません(-_-;)
今回は一応これを持ってダブルスの練習に行き、最後の方でちょっとだけ使ってみました。既にかなり疲れている上に、これだけ重いと動きの速いダブルスではキツイだろうと思ったのですが、意外と打ちやすかったです。相手が中高年で球速が遅くバウンドしないせいもあるでしょうが、下手にエースを狙わず面を作って軽く押し出すテニスに徹すると、安定しかつ十分パワフルなショットが打てました。逆に自分から打って走らなければいけないシングルスの方が、こういう重いラケットは厳しいのかも知れませんね。
前作のEzone 100 2020モデルはしなやかでパワフルという素晴らしいラケットでしたが、新型はどうなったのか試してみました。
概要/スペック
今回は写真を撮り忘れてしまいました(;^_^A カラーはダークブルーになりましたが、個人的には前作の明るいブルーの方が好きでした。
ガットは柔らかくてあまり飛ばないとの評判のExel130が48ポンドで張ってありました。
スペック重量とバランスはお決まりの黄金系ですが、実測重量は他の黄金系と比べてやや軽いようで、体感上のウェイトも軽く感じます。
新旧で実測値がほぼ一致するので、これがEzone100の設計値でしょう。工作制度が非常に高いとも言えそうです。
試打レビュー
ストロークをしてまず感じたのは、ボールの軌道が高く良く飛ぶという事です。今回は壁打ちだけなので相手のコートの何処に落ちたか判りませんが、左程スピンを掛けた打ち方ではないのにポンポン弾いてしまうような感触だったので恐らくベースラインオーバー連発でしょう(;’∀’)
打感は一見新型Vcore pro 100と似たしっとり系ですが、何故か試打ラケットに立派な振動止めが付いており、これを外してみたら意外と硬くシャキシャキした打感でした。旧モデルは振動止め無しでも柔らかな感触だったので、新型は明確に硬くなってると思います。硬い分、エネルギーロスが少なく反発力があるんでしょうが、少なくとも僕の好みは断然旧型の方です。
旧型は軽く打っても撓る(撓む)手ごたえがあってパワーもある反面、分厚くハードヒットした時に撓り代を使い切ったかのように硬く感じる事がありました。今から考えるとこの特性は、軽く打ってもヒョロヒョロにならず、強く打っても頭打ちで暴発を防ぐという、ロバスト性が高い設計と言えるかも知れません。
振り抜きはBlade98程良くはないものの、新型Vcore pro 100より明らかに良く、スピンサーブも打ちやすいと感じました。振動止めを付けた時のしっとりとした打感は新型Vcore pro 100と似ているので、それなら振り抜きが良い分新型Ezone100の方が良いなと当初は思いました。ただ良くも悪くも鈍い感じで抑えが効くVcore pro 100に対して、ボールの軌道が思いのほか上がってしまう新型Ezone100はフラットドライブ系の僕には向いてないと思います。
何より、旧型Ezone100と比べてしまうと僕にとっては残念な変化になっていました。実は昨年、ネットショップで旧型のセールを狙っていたのですが、夏には品薄になってしまい逆に値上がりしていました。逃がした魚は大きいバイアスもあるでしょうが、旧型は多くのレビュアーの評価が高く売れ行きも大変好調だったのに、2年と言う短いスパンで恒例行事のようにモデルチェンジをする意味が判りません。後で聞いた話では、Yonexは現行モデルの生産を早めに終えるそうそうですが、売れ続ける限り同じモデルを継続した方が利益が大きいと思うのですが。何れにしろYonexのラケットは、気に入ったモデルがあれば発売後1年以内くらいで買った方が良さそうですね。
もう半年以上前に試打していたのですが、レビューをサボっており遅くなりました。
前作2018モデル(マイチェン?)は97インチモデルをレビューしましたが、今回は評判の良い100インチモデルです。
概要/スペック
使用ガットはアスタリスタ125、テンションは50ポンドでした。
そして何時もの重量とバランスの実測ですが、計測はしたはずが何と記録した紙を無くしてしまい、記憶もしていないので今回は無しです。
試打レビュー
実は前作のVcore pro 100はウィンザーラケット梅田店の小さな試打ルームで打った事がありますが、滅茶苦茶硬かった記憶が有ります。
ところが今作は打って変ってとてもソフトでホールド感がありました。またミスヒットしてもブレにくく、ねっとりとした安定感があります。パワーアシストも適度にあり、またあまり擦らなくてもホールド感である程度スピンが掛かるので、フラット気味に打っても暴発しにくいと思います。打たれ強く安定した実践向きのラケットという感じです。
ただ全般的に何とも鈍いというか重々しい印象が拭えません。と言ってもとりわけ重量が大きいとか、トップヘビーな訳ではありません(実測データは無いけど持った感じとして)。そこでふと、自分のBlade98Sに持ち替えた時に原因が判りました。Vcore pro 100は明らかに振り抜きが悪いのです。記憶を辿れば同じ100インチののEzone100やVcore100と比べても振り抜きが悪いと思います。
考えてみればこのラケット、所謂ボックス形状なのに分厚いフレームで、しかもその断面形状がスロートからリム全域に渡って殆ど変わりません。という事は縦振りした時は板が風邪を受けてるような状態になるので、空気抵抗がかなり大きい筈。普通の厚ラケなら場所によって厚みが様々で、例えばリムの中間部分はが最も分厚く、ラケット先端とスロート部分に近づくにつれて細くなったりします。断面形状も楕円やおにぎりのような形で縦振りでも左程空気抵抗が増えないようになっていると思いますが、このVcore pro 100にはそうした工夫が見られません。
勿論、横振り(フラット)なら逆に空気抵抗が少ない方向です。それにあまり縦振りをしなくても、上述のようにホールド感でそこそこスピンが掛かるので、持ち球がフラット系かつスウィングが比較的コンパクトな人ならフィットすると思います。ただ、問題があるとすればスピンサーブですかね。相手のボールの威力を使う事が出来ない上、頭上で高速で擦り上げないといけないので。
AKG K240を20年近く使ってきましたが、先日あるシンセベースの音を聞いたらビリビリ響くので(経年劣化なのかそういう仕様かは不明)そろそろ買い替えかと思って、ヨドバシと島村で視聴してきました。音源はスピーカー視聴の時と同じスマフォ版Kaossilatorのエレクトロニック系です(ローもハイもキッチリ使ってるしパタンの繰り返しなので比較しやすいから)。
そしてこれもいつも通り、サウンドハウスへのリンク(今回は写真から)を張っていますが、スポンサードの類は一切受けていないので、全く忖度無しのガチレビューです。
AKG
K240 Studio
これを買った2000年代初頭(未だオーストリア製)、ハイが弱くて地味な音というのが巷の評価だったと思う。しかし僕が視聴した所、同社の番号の大きなモデルはハイが強調され過ぎた感じなのに対し、K240はもっと自然な音でハイもちゃんと出てると感じた。それ以来、自分の音の基準としてこのヘッドフォンを使ってきたが、15年以上経ってイヤーパッドが割れて感触が気になったので、サウンドハウスでベロアの代替品を購入して交換した。
この代替品は、公式にはK240用とは書いてなかったので、サイズが違うのかかなりきつかったけど何とか入った。装着感は軽快なオリジナルに対し交換後はかなりタイトになったし重量も増したけど、その分音もタイトでクリアになっていた。イヤーパッドだけでこんなに音が変わるとは思わなかったなあ。
で今回店で視聴した現在の中華K240、良くも悪くも音が軽くソフトで聴き疲れしないタイプ。僕のK240もイヤーパッド交換前はこんな感じだったと思う。ただ店内が騒がしいせいもあり、開放型では詳しい音は聴き取り辛い。
K240 Mk2
マーク2という事は後継機種なんだと思うが、オリジナルと比べて高音が出てる印象で、やや解像度が高い気がする。ただ低域は相対的に引っ込んでる気がするし、後述の600番台や700番台と比べたら明らかに低域の伸びが少ない。イヤーパッドもオリジナルと同じツルツルでベッタリ、後年バキバキになるタイプなので進歩していない。
K271 Mk2
AKG にしては珍しく密閉型なので、騒がしいヨドバシの店内では静かさが際立つ。聴覚上の音量も開放型のそれに比べて大きく、音質は密度感があってクッキリはっきり。ただ低音域は後述のモデルと比べて伸びていない。
K612 Pro
先ず上述の200番台と比べて低域が明らかに伸びている。一方高域もK240等と比較するとやはり伸びており、シャカシャカ音が目立つ。全体の質感は良くも悪くもドライで素っ気なく、音楽を楽しむというより客観的に聴くタイプ。そういう意味ではモニター向きかなと思う。イヤーパッドも最初からベロア素材なので装着感は良い。K240 Mk2と実売2000円位しか変わらないし、次のK701とは5000円も違う。コストパと言う意味でもAKGでは目下最有力候補。
ただ一点気になるのはこのモデルだけインピーダンスが120Ωと高い事。視聴した時も他よりやや音量が小さかったが、僕のOppoのスマフォ側でボリュームを最大にしたら騒がしい店内でもまあ十分な音圧が得られた。その場合それなりにノイズは出ているかもしれないが、個人的には自宅でスマフォで音楽を聴くことはいので問題ない。普段、音楽・ビデオ鑑賞やDTMでは、ミキサーのヘッドフォンジャックにK240を繋いでいるが、ヘッドフォンのフェーダーは大分絞っても音量的には十分。だからK612で同じ使い方をしてもフェーダーをもう少し上げるだけで済むと思う。ただ、オーディオインターフェイスに直接刺す場合は、ヘッドフォンアンプが弱いものだと音質が落ちるかも。
K701
白やグレー好きには印象的な、神々しいばかりの白。「けいおん」のキャラが使っているらしいが、それは音云々ではなくルックスのせいだろう。
さて問題の音だが、K612 Proをベースにより艶っぽさとか奥行き感が増した感じ。極端に言えば全体にうっすらリバーブを掛けた感じかな。なので聴いていて気持ち良いが、音源に対して客観的かというとやや疑問。ショボい音でもそれなりにリッチに聴こえてしまいそう。それとサブベースが鳴る音源を聞いたところ、僕のK240 と同様にビリビリ歪んだ音が聞こえてしまった。繋ぎ直すと歪まなくなったが、これってAKGのくせなのかなあ?
K702
K701より低域がリッチ。サブベースの歪も無かった。一方高域もちゃんと伸びていて音楽をリッチに聴かせる高級オーディオ仕様と言う感じ。ただK701の透明感みたいなのはあまり感じない。価格はK701より1500円程高いだけなので、音のキャラクタと見た目の好みで選べばよいと思う。
audio technica
ATH M40x
密閉式だけあってAKGのものよりクッキリハッキリした音。ハイもローも良く伸びている。そして音の分離が良いというか、低音部と高音部が若干分かれて聴こえる(気がする)。だからと言って中音部が引っ込んでる訳ではないと思うが、音の広がりはあまり感じない。モニターヘッドホンは分析的に聴きたいのでこういう特性の方が向いてそう。それにヴォーカルとか管楽器を録音する時は密閉型の方が良いしね。
あとケーブルが普通のミニジャックで本体に繋がっている事や、コンパクトに折りたためるのも地味な長所。ただ僕は眼鏡をかけているせいか、装着感はあまり良くない(SONYより全然ましだが)。AKGのようにイヤーパッドが耳たぶをすっぽり覆う感じではなく、耳の後ろ上の方で若干引っかかってるような感じ。価格は有力候補のK612とほぼ同じで、音はよりワイドレンジで能率も高いが、装着感はやや劣る…何方にするかとても悩ましい。
ATH M50x
M40xよりやや広がり感があって華やかな音。上にも下にも帯域が伸びているのかも知れない。とは言え聴き比べたら判るレベルの差で、基本的にはよく似た傾向。実売価格では1.8万円弱でM40xの約1.4倍だが、そこまで中身に差があるとは思えない。
今回初めて取り上げるのは、スノワート(Snauwaert )というブランドのラケットです。この会社は、ウッドラケットの時代にはトップメーカーの一つでしたが、カーボン時代に入ると撤退してしまい、30年の歳月を経た2016年に突如復活したそうです(出典 )。日本では2019年頃から売られていたようですが、僕はリアル店舗で見た事が無く、偶々通ってるスクールの試打会で初めて知りました。
スノワートジャパンという日本の代理店もあるようですが、2021年8月現在公式サイトはどうやら無く、公式ツイッター で代用してるみたいですね。
概要/スペック
初めて取り上げるブランドのラケットなので、先ず概要を説明します。スノワートのテニスラケットは下のチャートのように5つのシリーズが有り、左に行くほど面が小さくコントロール重視、右へ行くほど面が大きくパワー重視だそうです。
で今回レビューするのは左から2番目のGrinta100(本家サイト) というシリーズのライトモデル Grinta 100 Lite (A1スポーツ) とそのツアーモデルであるGrinta 100 Tour Lite です。実は本家サイトにはこのライトモデルの記載が無いので、日本専用モデルかも知れません。上述のようにスノワートジャパンの公式サイトは無いので、扱いショップの商品ページにリンクしています。
勿論ノーマルのGrinta100も打ってみたかったのですが、何故か僕のスクールには試打ラケットが無かったので、レビューはLiteだけです。また借りて家に持ち帰る事は出来ないので実測データもありませんが、スペックだけ他社のラケットと一緒に載せておきます。
先ずGrinta100のノーマルとTourの違い ですが、ストリングパタンが違います。ノーマルは16*18で横糸が通常より1本少ないパタンですが、Tourは通常の16*19です。またノーマルにはSGTという円錐形状の穴でガットを動き易くしたグロメットが3時-9時方向に搭載されていますが、Tourには有りません。
これによりノーマルはガット面を撓みやすくして柔らかさやホールド感を出し、Tourは普通のストリングパタンとグロメットで比較的しっかり感を狙ったものと想像できます。実際の打感はこの後すぐ!
Grinta100 (tour) Lite
右がノーマルのLiteで左がTourのLiteです。写真で直ぐ判るのはグリップの色の違いだけですが、トップのバンパーがノーマルは黒でTourは挿し色であるオレンジになっています。
張ってあったガットは何方も同社のサニーコア125(ペンテイ氏のレビュー )というものでテンションは多分50ポンド弱でしょう。このガットは黄色いナイロンマルチに透明のポリのコーティングがしてあるそうで、打感としてはナイロンに近いようです。
試打レビュー
先ず持って振った感じはライトモデルにしては極端に軽い訳でも極端にトップヘビーな訳でもありませんでした。軽くボールをリフティングをすると、Grinta100 Liteは非常に柔らかくボールがラケットに吸い付く感じ。こんな感触を味わったのは17mm厚のピュアな薄ラケ以来な気がします。Tourの方はノーマルと比べると撓み感が少なくしっかりした打感ですが、他社の黄金スペックと比べたら甲高い振動が皆無で全然柔らかい印象です。
ただ、打ち込んでいくにつれ両者の違いは小さくなり、ちゃんと意識してないとどっちがどっちか良く判らなくなってしまうほどです。ただやはりノーマルの方がホールド感やスピンの掛けやすさは感じられるので、ここから先はノーマル(Grinta100 Lite)のレビューをします。
先ずストロークですが、パワーアシストが絶妙で多すぎず少なすぎず、楽に打てるのに反発系のように暴発する気配はありません。フレームのしなりとリムやガット面の撓みが何方も突出することなくバランスよくミックスされた柔らかさがあり、非常にナチュラルでコントローラブルです。ホールド感があるのでスピンもかけやすく、低くて浅いボールを擦り上げて相手のコートに収めるようなショットも容易です。一方で、高く浮いたボールをフラット気味に叩いても暴発しないし痛い振動もありません。
何より素晴らしいのは、オフセンターでヒットしても面ブレが少なく、ボールのパワーや方向性があまり損なわれない事です。メーカーも「スイートスポットを外した時にこそ仕事をするフレーム」を謳っていますが正にその通り。極端な話、ガシャリ気味に打っても、面をしっかり作って押し出せば大抵は相手のコートに入ってしまうと思います。そういうボールは意外と相手にとってはタイミングを外されて返しにくく、時々エースになったりするので「計算通り」と言って笑いを取ることも出来ます。
ぶっちゃけ我々のようなアマチュアがラケットのパワー不足やフレームの硬さを感じるのは、ちゃんと当たってないからでしょう。だからと言って反発系だと、ちゃんと当たったら時にパワーが有りすぎてコントロールし辛いと感じたり。だからこのラケットのように、スウィートスポットで捉えても凄く飛ぶわけではないが、外してもあまりブレない/減速しないというロバスト性の高さは、きわめて実践的で合理的だと思います。
ただブレないフレームは通常高剛性で振動が大きく腕に厳しい事が多いですが、このフレームは全く逆で振動止めを一切使っていないのに痛い振動が有りません。これはきっとYonexのような振動吸収材が入っているのだろうと思いきや、特に何も入っていないそうです。スノワートによると東レのカーボン繊維でしなやかで柔らかいものを使用し、あとはフレームの断面形状のデザインでしなりとブレの少なさを実現しているそうです。他社は高反発のカーボン繊維を使ったり、逆に振動吸収素材を使っている事を訴求しますが、それってある種のマッチポンプなのかも知れません。
また、黄金スペックの割には(空力的にも)振り抜きが良いのでサーブも打ちやすく、おまけにスピンも掛けやすいのでスピンサーブがとても打ちやすいです。勿論、上述のようにミスヒット耐性が高いので、サーブが安定します。
まとめ
大昔にウッドラケットを作っていたというだけで、実質的には新参のこのメーカーが、ここまで完成度の高いラケットを出してくるのはちょっとした衝撃です。またそれをしなやかなカーボン繊維と断面形状のデザインだけで実現してしまうのは目から鱗ですね。逆に他社のこれまでの様々な新技術は一体何だったのか?と言いたくなります。
ただ価格を調べると更なる驚きが(;’∀’) 定価は他社に倣って3万円ちょいかと思いきや、何と36,000円台(ツアーは37,000円台)。スクールでもネットショップでも、ラケットは定価から2割引きでガット&張り代無料のキャンペーンをやっていますが、それでも3万円を僅かに切る程度。スクールのコーチも「スノワートは値段が下がる売り方はしない」と言っていましたが、それだとシェアは伸びない→スケールメリットが出ない→卸価格を下げられないという悪循環になりそうな気が…
単一素材しか使ってないならコストは下がる筈ですが、数が見込めない分素材購入単価が高めになったり、中国のファウンドリーに製造を委託するにも製品単価が高くなってしまうんでしょうか?まあ大手ブランドのように多額の宣伝費を使って売りまくって製造単価を下げるというやり方は無理なので、少なくとも当面は「知る人ぞ知る」的な商法になるのは致し方なしか。製品やコンセプトが良いだけにもっとメジャーになって欲しいですが、それまでは本体1.6万円の投げ売りBladeを使いつつ気長に待っていたいと思います(;^_^A
もう1年近く経つ2021年の6月末、最近ネット通販で激安になっていたので買ってしまいました!何時もお世話になっている店では98Sの試打ラケットだけは無かったのですが、室内で軽く試打できる別の店を発見し、そこで好感触だったのでポチってしまったのです。
外観/スペック
Blade98シリーズは何度も借りているので見慣れた感はありますが、98Sの特徴は御存じ「スピン・エフェクト」というストリングパタンです。縦18本、横16本と縦糸が多いので、当然マス目が縦長になりますが、ストリングが極端に中央に集まっている僕のBurnFST99Sと比べたら全然普通に見えます。
スペック重量は旧作の98SCVと1g違いなので実質同じとして、最軽量のBlade100Lより10g重く、Blade100より5g軽いという位置づけですね。バランスは、100Lや旧作の98Sより5mmトップライト、100や全ての98V7より5mmトップヘビーになっています。
さて実測ですが、よく考えたら試打ラケットはオーバーグリップを巻いているものと巻いていないものがありました。自分の98S V7は有り無し何方も計測できるので、オーバーグリップ無しを上段、有りを下段に*(アスタリスク)付きで下の表に記載しています。オーバーグリップの重さは6gほどすが、バランスは10mmほど変わってしまうんですね。
その他の試打ラケットについても、数値に*が付いていないものはオーバーグリップ無しで、*が付いていればオーバーグリップ有と言う意味です。つまりBlade98(18*20)と旧作の98Sのみオーバーグリップ有りでしたが、他のモデルと公平に比較する為、もしオーバーグリップが付いてなかった場合の数値を予想して上段の括弧内に記載しました。ここで重量については6g引けば良いだけですが、バランスについてはどの位影響があるか不明な為、スペック的に近い旧作98Sは10mm、元々重い98(18*20)は7mmトップヘビーになると仮定しました。
製品名
重量
バランス
フレーム厚
重量
(実測)
バランス
(実測)
相対重量
/バランス
Blade 98S V7
295g
325mm
21mm
313g
319g*
336mm
326mm*
0g/0mm
Blade100L V7
285g
330mm
22mm
300g
347mm
-13g/11mm
Blade 98(18*20)V7
305g
320mm
21mm
(324g)
330g*
(334mm)
327mm*
11g/-2mm
Blade 100 V7
300g
320mm
22mm
316g
333mm
3g/-3mm
Blade 98 V7 (16*19)
305g
320mm
21mm
331g
330mm
18g/-6mm
Blade 98 CV (16*19)
304g
325mm
21mm
330g
337mm
17g/1mm
Blade 98s CV
294g
330mm
21mm
(307g)
313g*
(344mm)
334mm*
-6g/12mm
Burn FST99S
輪ゴムカスタム
299g
305mm
19/22/19mm
318g
316mm
下段 * オーバーグリップを巻いた状態
以上を踏まえ、私の98S V7を基準として、何g重いか/何mmトップヘビーかを記載したのが一番右の列です。先ず最軽量の100Lは13g軽くて11mmトップライト、という事は差し引きあまり変わらない筈ですが、体感的には100Lの方が明らかに軽かったです。旧作の98Sも6g軽く、12mmトップヘビーですからやや重く感じる筈ですが、体感的には若干軽かったです。
Blade100は3g重く、3mmトップライトですから、粗同じ重量感の筈ですが、実際には少し重く感じました。98(16*19)は18g重く、6mmトップライトですが、順当に一回り重く感じました。不思議なのは98(18*20)で、98(16*19)より軽くてトップヘビーなんですよね。体感上も微妙にトップライトに感じました。尚V6の98 CVはスペック上も体感上も一番重かったです。
という訳で、測定値と体感が合致したりしなかったりという、不可解な結果になってしまいました。ただ今回の結果を含めて最近判って来たのは、オーバーグリップを巻くとバランスは結構と変化しますが、体感上の重さは左程変わらないという事です。グリップは支点に近いので、重くても軽くても、スウィングウェイトに殆ど影響しないという事でしょう。
レビュー
通販でラケット単体で購入したので、先ずガットを張る必要があります。丁度スクールでガット張り代無料キャンペーンをしていたのでそれを利用しました。選択できるガットは限られていますが、FSTに張って非常に好印象だったテク二ファイバーのXR3にしました。但しゲージは130しか選べませんでした。テンションですが、このスクールでは縦横同一テンションでしか張れないそうなので、縦横50ポンドで指定しました。
さて、XR3 130を張ったBlade98Sの第一印象は…飛ばない
XR3は世評も僕の経験上も良く飛ぶガットの筈なんですが、何故か弾力性が無いというか反応が鈍いというか。以前FSTに張った125より太い130なので反発力が劣るのでしょうか?それともV6の98Sがそうだったように、V7 98Sも飛ばないラケットなのか?ただ、室内で試打したV7 98Sにはゴーセンのミクロスーパーが貼ってあったのですが、結構飛ぶ印象だったんですよね。
まあその辺は良く判りませんが、打感についてはFSTより明らかにソフトですし、Bladeに共通する良い意味での鈍さ(ブレにくさ)を感じます。バランスもトップヘビーなので、FSTのようにブンブン振り回す気にはなれず、自然とゆったりスイングするようになります。そうするとボールにパワーが乗るようになり、最初に感じた飛ばなさがあまり気にならなくなりました。
それにトップヘビーと言っても全体が軽量なのでスウィングウェイトが軽いのか、実際に持ったり打ったりした感じは左程重くありません。Blade100を含む所謂黄金スペックの方が重々しく感じました。流石に100Lだと98Sより更に軽量かつトップヘビーですが、僕には飛びすぎソフト過でした(;’∀’) そういうラケットはストロークはまだしも、ボレーが鈍重過ぎてやり難いのですが、98Sなら適度に柔らかいのでボレーも問題ありません。
売りのスピンエフェクトですが、特に「効果」は感じませんねw スピンのかかり具合から言うと、殆どの中厚・反発系のラケットの方が上だと思います。しかも何故かノーマルのBlade98と比べても、特にスピンが掛けやすいとは思いませんでした。寧ろストリングパタンが一番密なBlade98(18*20)の方がボールの掴み感が良く、スピンが自然に掛かる気がするんですよね。
僕は高速縦振りでチャキチャキスピンを掛けるタイプではないので、スナップバックを狙うより掴み感のあるラケットでフラットドライブを打つ方がしっくりくるのかも知れません。じゃあ何故通常のBlade98(16*19又は18*20)にしなかったというと、単に重いから。重いのでスピンサーブが難しく、ドスンドスンとフラット系のサーブばかりになってしまいます。逆に言えば98Sを選んだのはスピンエフェクトを期待したからではなく、Bladeシリーズの中では比較的スウィングウェイトが軽く、取り回しが良いと感じたからです。
因みに、スクールで若い上級者と打ち合う機会があったんですが、その人のラケットも偶然Blade98Sでした。その人のサーブは猛烈に横回転がかかっている(ように感じる?)しオマケにレフティーなので、それに気づく前はボールに当てる事すら出来ませんでした。ただ何とかリターンしたら、僕のボールはバックスピンが強く今度は相手が返球に苦労してました。つまりスピンを掛けるスウィングをしたらしたなりに掛かるラケットという事でしょう。因みにその人も、98Sにした理由は他のBladeと比べて一番シックリ来たからとの事で、スピンが凄くかかるからでは無いようでした。
纏めると、トップヘビーだしあまり飛ばないラケットなので、緩いボールを引っ叩くタイプではないと思いますが、逆にトップヘビーかつ振動吸収が良い素材なので、相手の強いボールに打ち負けないラケットだと思います。
ガット交換
という訳で何週間か使っていたのですが、表面のマルチフィラメントが急速にささくれてきました(でも切れないw)。実はスナップバックがちゃんと起きてる証拠なのでしょうか? FSTに張った125のXR-3もささくれ易かったのですが、今回のXR-3(130)はその上を行くペースでささくれていきます(;’∀’) 下の写真は延べ20時間ほど使った後の状態です。
流石にこんな状態では掛かるスピンも掛からんやろと思っていたところ、丁度スポーツデポでYonexガット張り代無料キャンペーンをしていたので張り替えることにしました。僕としては珍しく3か月ちょいしか経っていないのに(;^_^A 選んだガットはポリツアー・プロ120。ポリの中では柔らかく昔から定番のガットなので取敢えず試しとこうかと。しかもBladeに合う黄色が選べますし。
テンションは「リムの形状が変らないように」という注文はできないが、縦横別の数値を指定できるとの事。縦糸が多い分緩めという事で、適当に縦45/横47ポンドに指定して張ってもらいました。通常とは逆に縦糸の方が緩いと念押しして…
ところが、張りあがったラケットを見ると明らかに丸顔になっています。実はガット無しの場合のリムの縦横の長さを予め測っていたのですが、それと比べて何と縦が4㎜短く、横が4㎜も長くなってるではないですか!
XR-3を縦横50ポンドで張った前回は、縦が2㎜短く、横が1㎜長くなっていたので、今回それ以上に歪んでいます。という事は、縦横逆のテンションで張ってしまったんだと思います。ガット情報が書かれたシール(後述)には47ポンドとしか書かれていませんが、通常は縦糸のテンションを書くそうです。少しだけ打ってみると打感は柔らかく飛びも良い感じだったのですが、こんなにリムを変形させたら強度的にマズイと思い、スポーツデポに再度持ち込んでこの事を説明しました。
するとこのガットを張ったスタッフ(注文時のスタッフとは別)は休みだったので、今回対応したスタッフが電話で確認してくれましたが、本人は指定通り張ったとの事。とは言え僕が説明した状況から考えて、間違えて張った可能性が有る事を認めてくれ、無料で張り直して貰える事になりました。
上の写真は最初に張った時のラベル(上)と張り直した時のラベル(下)です。今回担当したのは「張人」で縦横の数値もちゃんと書いています。ラケットの見た目も今度は元の形に戻ってるように見えます。下の表はリムの縦横の長さを全パタンで比較したものです。
ガット無し
XR-3 (50/50lbs)
ポリツアー・プロ
1回目(47/45?lbs)
ポリツアー・プロ
2回目(45/47lbs)
縦長さ
327mm
325mm
323mm
325mm
横長さ
245mm
246mm
249mm
247mm
数値的にも今回は歪が緩和され、ガット無しの場合に近づいています。ただ縦糸を弱く張ったのに、XR-3の50/50の場合とほぼ同じ形状になっていますね。因みにXR-3の時は2本張で、ポリツアー・プロは1本張です。1本張りだと縦横に差をつけて張っても、繋がってるので結局均一化してしまうのでしょうか?
因みに以上の話をツイッターで呟くと、ある人から「多分2ポンド程度の違いでは戻らないと思う、自分のSラケは45/50で張ってます」との事でした。https://twitter.com/metabon41234460/status/1454815393667710976
成程そう言う事かあ、しかし縦糸に対しそんなに横糸を強く張ったら、スナップバックが逆に起きにくいんじゃないかと思うんですが。
ポリツアー・プロ インプレ
経緯が長くなってしまいましたが、ポリツアー・プロ(120)を張ったBlade 98Sのインプレです。先ず打感としては残念ながら、間違って張った時より若干硬くて飛ばない印象があります.(;’∀’)
とは言えXR-3(130)の場合と比べて飛びは同等か僅かに良いくらいですし、打感は若干軽快になりましたが硬さはそんなに変わりません。打つと「シャキッ」と音がして、スピンも若干かかるようになった気がします。そして何より、いくら打ってもガットの表面が全然ささくれません(⌒∇⌒)
XR-3 130だと全般的にやや鈍い感じでしたが、ポリツアー・プロ120にするとシャキッと軽快になったと思います。このラケットには細めのポリが合うようですね。
2021年発売の新CX200/400シリーズ 、CX400TourとCX200のレビュー から間が空きましたが、CX200 Tour(16*19)を試打しました。
試打インプレ
ショップでCX200と持ち比べてみたところ、Tourの方が若干トップライトな感じでしたが全体的な重量はあるので、スウィングウェイトは同程度に感じました。という事は僕にとってはCX400Tourより軽いという事ですね。個人的にはもっとトップライトなのが好みですが、今のラケットとしてはそんなもんでしょう。
試打すると、最初はフレームショット気味の当たりが多くフェイスの小ささを感じましたが、慣れて来ると普通に当たるようになりました。但しスマッシュなど個人的にガシャリ易いショットは試してませんが。
パワーアシストについては意外にもCX200よりある印象で、CX400Tourと同程度でしょうか。これは使用ガットの影響(CX200 Tourはポロツアープロ125、CX200とCX400Tourはエクセル130)も幾分あると思いますが、同じガットを張っても多分CX200より若干パワフルだと思います。勿論これはバランスの好みや振り抜きやすさを含めた僕にとってのパワーなので、他の人が使えば感じ方は変わるかも知れません。ただメーカーの売り方も含め、Tourモデルは無印に比べて飛ばない(ハードヒッター向き)という一般論はあまりあてになりませんね。
打感については順当にCX200 Tourの方がCX200よりソフトというか弾力感はあります。ガットの影響と言う意味では、ただただ柔らかいエクセルに対してビヨーンという弾力感があるポリツアープロの性格が出てると思います。硬さで言うとポリの方が硬い筈なので、それでも硬くは感じないTourの方がフレーム自体はソフトなんだと思います。
尚、旧CX200Tourはインパクトでフレームがコクっと折れるような鈍さがありましたが、新型CX200Tourはもっと弾きが良くパワーを感じました。
外観/スペック
CX200と同時に借りた訳ではないので直接比較は出来ませんが、僕のBurn FST99SがCX200と瓜二つのフェイス面積・形状だったのでこれと比較できます。結果は下の写真の通り、CX200 Tourの方が一回り小さいフェイスで特に縦方向にはフレームの厚み分丸々短いですね。
ストリングパタンはCX200/CX200Tour共16*19なのに、面積の広いCX200の方が目が詰まっているように感じました(これも並べて比べたわけではありませんが)。多分CX200の方が、フェイスの外側で目が粗く内側で細かくなる「パワーグリッド」の度合いが強いからだと思います。
スペック上はTourの方が5g重く、5mmトップライトという有り勝ちなパタンですが、実際の重量差は10gありバランスは4mmの差でした。大体、バランスが1mmトップヘビーだと重量が1g重いのと同じように感じると言われており、それに従うとTourの方が重く感じる筈ですが、僕は同じくらいに感じました。
まとめ
上にも書きましたが、Tourが付くモデルは無印のノーマルに比べて、フェイスが小さいから飛ばないしスウィートエリアが狭いので難しいという定説は当てになりませんね。実は最近、スクールの試打会で再びCX200 を打ってみたのですが、スウィングウェイトが軽いせいか、オフセンターで打った時のパワーダウンが大きく、平均的に飛ばない印象のラケットでした。残念ながらCX200Tourは試打会には無かったので同じ環境では試せてませんが、もしあればCX200より重い分、打ち負け辛いラケットだと思います
前回のBlade98 (18*20) V7 は打感もコントロール性能も素晴らしいものの、やはりスウィングウェイト的に重すぎたので、今回はBladeシリーズの中で2番目に軽量かつトップヘビーなBlade100L を試打する事にしました。
試打レビュー
振った感じは、Blade100やBlade98s CV(2018モデル)は勿論の事、僕が試打した殆どのラケットより軽いです。ただバランス的にはかなりトップヘビーな感じなので、手元が相当軽いと思われます。
これだけ軽量だと打感はかなり硬いかと思いきや実は柔らかいです。そしてかなり飛びます。ショートラリーではチョコンと当てる位じゃないと相手の体を直撃してしまいます。ガットが1年以上前に張ったアスタリスタ135である事を考えると相当な飛びだと思います。なので普段の感覚でベースラインから振り抜くと、このパワーに加えて軽量・トップヘビー故にヘッドが走り過ぎるので、完全に暴発します。壁当てて暴発を気にせず打ち込むと、コンクリートブロックの壁が壊れそうな音がします。そこまでやると流石に打感は硬くなり、1時間も打ってるとちょっと肘が痛くなって来ました。
ただ、ボレーではホールド感があり過ぎるというか、ちょっと鈍重な感じになってしまいます。緩んだナイロンガット、柔らかいフレームそしてラケットがかなり軽い故にボールが相対的に重く感じるのかも知れません。スピン性能は低い訳ではないと思いますが、僕の分厚く当てるストロークだと前に押し出す力が強すぎて相対的にスピンが掛かってる感じは少ないです。サーブにも同じ事が言え、ボールを引っかけてスピンをかける前に弾いて飛ばしてしまう感覚があります。だからフラットなサーブの威力は絶大ですが暴発しそうだし、逆に入れに行くと打ちごろの球になりそう。一方、トップスピンロブや中ロブは、薄く擦り上げるように振ると前述のホールド感が生きて打ちやすいです。
外観/スペック
Blade98と重ねてみてもフェイスの大きさは殆ど変わりませんが、Blade100だけ見ると横幅が広く円に近い感じがします。見た目についてはややスリムな感じの98の方が僕は好きです。
スペックはこれまで試したBladeの中では断トツに軽いですが、実測重量(ガット込み)も300gしかありませんでした!これは2019年のPureDrive Teamと並ぶ歴代第2位の軽さです(トップはPureDrive Light)。そしてバランスは何と347mmという観測史上ブッチギリでトップヘビーな値でした。もっともピュアドラはバランスを測っていないのでもしかしたらこれに近い値を叩き出すかもしれませんが、いずれにせよこのBlade 100Lは史上最大級のトップヘビー(正確にはボトムライト)さと言っても過言ではないでしょう。
もっとも測定前に使ったところ、上述のようにそれほど極端にトップヘビーとは感じませんでした。記憶では寧ろBlade100の方がトップヘビーだと思います。まあスウィングウェイト通りとなのかもしれません。また借りた個体にはグリップテープが巻いていなかったので、もし巻いていたら実測ではもっとトップライトになる筈。と言っても約5gと言われるグリップテープの重さと同等のものをグリップ部分に載せて計測しても精々5mm程度バランスポイントが手元に来るだけでしたが。
まとめ
手元を軽くした軽量版(Lラケット)は確かに軽いけどトップヘビーで取りまわしが良くないし、その割に感触が硬くて飛ばないもばかりだと感じていましたが、このBlade100Lはパワーも柔らかさもBlade100に勝るとも劣らないラケットでした。軽さと飛びという意味では、PureDrive Teamと並ぶものが有りますが、Blade100L最大のアドバンテージはフラットに打ってもちゃんとエネルギーを受け止め反発力に換えてくれる事です。
ただフラットにしっかり打つと、余程低い弾道にしない限りホームラン性の当たりになるので、非力な女性や高齢者が無理なく打つ用途が向いているかも。或いはそこまで非力ではないが、薄めの当たりでそこそこのスピンをかける人には合う気がします。特に飛びは控えめでスピンが掛かりやすいガットを張れば、かなりいい感じの特性になりそう。勿論、ピュアドラほどのスピンはかからないと思いますが、Blade100Lの方が振動が断然マイルドで肘に優しいし、何ならチャンスボールはフラットなロケットショットで決める事も可能でしょう。
前回のBlade98s V6が思ったより硬い打感だったので、今度はBladeシリーズ中、密なストリングパタンながら打つと最も柔らかいとの声もあるBlade98 (18*20) V7を試打しました。
試打インプレ
まず初めに、このラケットを借りた週に何時も使っている市のテニスコートがコロナ絡みで閉鎖されていた為、壁当てが出来ずフルスイングのストロークを試せませんでした。やったのは無料のコートで一人サーブ練習と、小さな壁で短いストロークだけです。なので完全なレビューではありませんが、ご了承ください。
先ず振るとズッシリと重みを感じますが、以前Blade98 (16*19) V7を借りた時の印象より若干マシな気もします。トップヘビーなラケットの扱いに慣れてきたのかも知れません。
注目の打感ですが、噂に違わぬ柔らかさ&モッチリ感でした。ガット面にボールが張り付くような感触を久しぶりに味わった気がします。ストリングが密だと面のたわみが小さいので硬い打感になると言いますが、昔のラケットってストリングパタンが同じでもフェイス面積が小さいので今より全然密だったんですよね。なのに今より全然柔らかい打感だったのは、フレーム剛性が低いからなんでしょうが、フレームだけが撓ってガット面が硬いって感じでもなかったんですよね。
理屈は良く判りませんが、兎に角このBlade98(18*20)V7は定説を覆す独特の柔らかさを持っています。試打ラケットに張ってあるガットがポリの中でも硬めと言われるルキシロン4G 130 (48p)である事を考えると、ラケット自体は今年モデルのVcore98やCX200より柔らかいと思います。
じゃあパワーはどうかというと結構あります。ガット面が撓みフレームもしなり、ボールを包み込んでから発射するイメージです。前回試打したBlade98s V6より何故かパワフルに感じました。今年モデルの中では最もパワフルに感じたVcore98と同程度でしょうか。ただVcore98の方が若干重く感じたのでパワーウェイトレシオではBlade98(18*20)V7の方が上だと思います。
スピン性能については、冒頭に書いた通り本来の壁で高さとスピードがあるストローク試せなかったので断言できませんが、悪くはないと思います。とは言えスウィングウェイトが重いので高速で擦り上げるようなスウィングには向きませんし、そもそもホールド感やしなり感が強いので分厚く当てて威力を出すタイプだと思います。だからグリグリトップスピナーには向きませんが、程々のスピンなら特に意識しなくても自然にかかる気がします。
サーブはラケットの慣性モーメントの大きさと、モッチリした打感によってドスンと打ち抜くようなイメージになります。なので僕の軽いBurnFSTと比べるとパワーは安定してありますが、薄く速く振り抜くようなスピンサーブは打ちづらいです。
ボレーもちゃんと当たった時の打感は非常にスウィートで威力も有りますが、やはり重くて取りまわしが悪いので速い動きは苦手です。同様にストロークで差し込まれた時やハーフボレー、ドロップショットの処理などは得意ではないと思います。
Blade98 (16*19) V7(ノーマル)との比較
実はこのレビューの後、通常のストリングパタン(16*19)のBlade98 V7がどんな感じだったか気になって、1年ちょっとぶりに借りてみました。
以前試打した時はとても柔らかく、ホールド感もパワーもありましたが、今回は何故か硬い打感になっていました。実は前回試打した時、ガットを張ってから半年ほど経っていましたが、更にそれから1年数か月後の今回まで、何と一度も張り替えていないらしいのです。つまりガットを張ってから2年弱も経っているわけですから、弾力性も何も無いでしょう。もっとも、前回の試打時点で初期の伸びは完全に済んでると思われますが、そこから経年劣化でドンドン硬い打感になったりするんですかね?
という訳であまり参考になりませんが、16*19には18*20のボールが面に吸い付くような感じは無く、どちらかと言うとBlade 98S CVの固くて飛ばない感じに近かったです。まあど真ん中に当てれば98Sよりパワーも弾力感も若干ありますが、スウィートエリアが狭い感じで簡単にガシャリ気味になります。これも(18*20)が多少ミスヒットしてもある程度いなしてしまうのとは対照的です。しかも何故かフォアハンドストロークでその傾向が顕著です。
ただサーブはフラット系であればそれほど打ちづらさはないし、それなりに重い球が打てますね。ボレーもちゃんと当たった時の打感は悪くないですが、やはり僕には取り回しが悪くて振り遅れます(振っちゃダメなんですけど)。最初に試打した時の記憶と推測でまとめると、パワーは同等、打感は18*20はボールがモッチリ張り付く感じ、16*19は面の弾力性で飛ばす感じでしょうか。
また今回はレッスンでこのBlade98 16*19 V7と僕のBurnFST99Sを打ち比べましたが、使用ボールが柔らかい為か16*19でもそんなに硬い感じは無く、ミスヒット気味でもフレームが柔らかくいなす感じで安定感はあります。ただBurnFSTの方が圧倒的に取りまわしが良いし、ナイロンマルチで良く飛ぶXR3を張った上に振動止めも付けているので、パワーも打感もBlade98 16*19より上でした。
外観/スペック
縦糸はSラケ(18*16)である僕のFST99Sと同じ18本ですが、FST99Sのように極端に中央に集中してないので、余り間隔が狭い感じはしません。横糸はFST99Sが16本に対し、Blade98(18*20)は20本と4本も差があるので、特に中央部分は密になっています。
一方Blade98(16*19)との違いですが、同時に借りた訳ではないので何時ものピンボケ写真での比較ですが、面中央部分のガットの密集度は意外と変わらないように見えます。これは多分、18*20はガットが面全体に張り巡らされているのに対し、16*19はガット全体が真ん中付近に寄ってる(端の方が空いている)からだと思います。
Blade98 V7 18*20 ↑
Blade98 V7 16*19 ↑
スペック比較ですが、カタログ値は(16*19)も(18*20)も同じでBladeシリーズ中最も重く、最もトップライトです。ただ実際に持ってみると、僕には何方もトップヘビーですが、(16*19)の方が(18*20)より若干軽くトップヘビーに感じました。ところが実測してみると、重量はほぼ同じでバランスだけ(16*19)の方が3㎜ほどトップヘビーでした。(18*20)の方がガットの本数が多いので僅かにトップヘビーかと思ったのですが、違うんですね。
まとめ
ストリングパタン的に本数が多いラケットは一般に打感が硬くて飛ばないのが定説ですが、このBlade98(18*20)には当てはまりませんでした。ただよく考えたらこの定説って物理的に説明できるのでしょうか?確かに本数が多いとガットはお互いに動きにくいので面のたわみは小さいように思ってしまいますが、本数は多くても均等にばらしてフェイスの端までガットを張るような配置なら、ガット同士の間隔は狭くならず、ボールに触れているガットの本数は変わらない筈です。
前回のTour100が思ったより大分硬い打感だったので、今度は柔らかさを重視してBladeシリーズに再び注目しました。その中で今まで試打した事が無いBlade98sを持ってみたところ、思いのほかトップライトに感じたので試打する事にしました。ただV7世代のBlade98sは試打ラケットが中古として売れてしまったらしく、仕方なくV6世代の98Sをお借りしました。
試打インプレ
第一印象は「Bladeにしては打感が硬い」でした。一番柔らかいのはただの98で100はもうちょい硬くなりますが、98Sは更に硬く感じました。まあ硬いと言ってもガツガツ、キンキンした硬さではないんですが、打感が淡泊と言うかBladeらしいしなり感とか粘り感が希薄なのです。使用ガットはナイロンマルチのアスタリスタ135(50ポンド)ですから、ガットのせいで打感が硬くなっているとは考えづらいです。但し、張ったのは1年以上前なので、弾力性やパワーは落ちていると思われます。
パワーアシストは可もなく不可もなく。この古いガットを考慮して、2021年モデルのCX200よりちょい上、Vcore100よりちょい下くらいかな?自慢のスピン性能も悪くは無いけど特に高いとも感じませんでした。
外観/スペック
これまで試打したBladeシリーズのスペックを並べてみました。今回の98s CVは重さはスペック/実測共に最軽量。バランスも最もトップヘビーですが、実測では100 V7と殆ど変わらず(誤差の範囲)重量の差も3gしかありません。その割に体感的には98S CVは軽く感じるんですよね。
製品名
重量
バランス
フレーム厚
重量
(実測)
バランスP
(実測)
Blade 98s CV
294g
330mm
21mm
313g
334mm
Blade 100 V7
300g
320mm
22mm
316g
333mm
Blade 98 V7 (16*19)
305g
320mm
21mm
325g
331mm
Blade 98 CV (16*19)
304g
325mm
21mm
330g
337mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
配色としては真っ黒に蛍光っぽい緑なのでちょっとコントラストが強すぎかな。グレーが入ってるV7の方が爽やかな感じがします。
そう言えば、写真の通り試打ラケットにはフェイスの2時と10時方向に鉛テープが貼ってありましたが、これは外して試打しています。ただ振った感じは鉛有でも無しでも思ったほど差がありませんでした。
まとめ
期待が大きかったせいかネガティブなレビューになってしまいましたが、出回ってるラケット全体からすれば悪い方ではないと思います。ただ最近のYonexやDunlopの製品が打感とパワーを両立して来てるのに対し、このラケットはさしたる欠点も無ければ長所もない凡庸な評価になってしまいます。現行のV7世代はもうちょいトップライトで縦しなりが大きいらしいのでBlade98s V7も出来れば試打したいのですが、スタテニのレビュー ではこれも硬いとあるのであまり期待できないかな?
2021年モデルのCXとVcoreシリーズを試打して、色々と感動はあったものの打感とスウィングウェイト共に自分好みのものはありませんでした。そこで昨年モデルでまだ打った事の無いラケットを物色していると、Prince Tour100のO3が振り抜きやガットの食いつきも良いらしいという事を知りました。ところが何時ものテニスショップに行ってみると、O3モデルは試打ラケットを用意していないらしく、仕方なく普通のグロメットタイプのTour100を借りてみました。
試打レビュー
まずバランスが310mmとは思えない程重々しいですね。そして打つとかなり硬めに感じました。硬めというのは、手に伝わる振動や打球音、フレームの剛性感全てにおいてです。その前に試打したCXやVcoreの柔らかさと比較すると、硬さの元となる高周波振動のケアを殆どしてない気がします。張ってあるガットはアスタポリ130 で、これは柔らかめのポリらしいですが、少なくともこのラケットとの組み合わせではキンキンした感触でした。
パワー(飛び)の面でも最初はイマイチな感じでしたが、意識して丁寧にゆったり振ってスウィートスポットで捉えると一転、ホールド感が出てかなりのパワーボールが打てました。ただスウィートエリアはやや狭いようで、ちょっと芯を外すとやはりガッツリ硬さが出て飛ばなくなります。最近、柔らかい打感の反発系や反発力がある薄ラケが各社から出てる中、このように飛ぶけど硬いラケットの存在価値がイマイチ判らない、というのが率直な感想です。
外観/スペック
フェイス形状は今時のラケットとしては割と正確な楕円に近いと思います。よく見ると、スウィートエリアを先端に移動させるという今時のセオリーに従い、リムの上端の円弧は若干平べったく(曲率変形が大きく)なっていますが、YonexやDunlopと比べたらその度合いが小さいですね。特に下端が尖っているのと、ややフェイスが面長?のせいで楕円ぽく見えるのかも。
白いフレームにマリンブルーのガットが美しいです。スペックを見て気付いたのですが、ストリングパタンが16*18となっており、通常の16*19より横糸が1本少ないんですね。実物の見た目としては、ストリングの格子の形状や大きさは要準的だと思いますが、フェイスの下端の横糸が無いエリアが若干広い気もします。
製品名
重量
バランス
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
Tour100 310g 2020
310g
310mm
22-23-20mm
333g
320mm
Vcore100 2021
300g
320mm
24-25-22mm
320g
326mm
Vcore98 2021
305g
315mm
22.5-23-21mm
332g
319mm
CX200
305g
315mm
21.5mm
320g
326mm
CX400 Tour
300g
320mm
23.0mm
322g
324mm
Vcore 95 2021
310g
310mm
21.5-22-21mm
325g
320mm
Vcore pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Burn FST99S
輪ゴムカスタム
299g
305mm
19/22/19mm
318g
316mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
実測重量とバランスポイントは先月試したVcore98とほぼ同じですね。ズッシリ重い体感重量も同じなので納得の結果です。ただこれらに比べ、僕のプロスタッフは3gほど重く、バランスは5mm手元にあるだけですが、遥かに軽々と振れるんですよね。じゃあバランスポイントが凄く効くのかと言うと、例えばVcore100は98と比べて13g軽く6㎜トップヘビーですが明らかに軽く感じますし、Vcore95も98と比べて7g軽くバランスは同じですが体感的には一回り軽いです。
このように僕のプロスタッフの場合を除いて、最近試したラケットは皆、バランスよりも重量が体感重量に比例しています。
まとめ
実は昨年、同じシリーズのTour90を試打しましたが、言われてるほど柔らかい打感でもトップライトでもなく、さりとてパワーがある訳でもスピンが掛かりやすい訳でも無かったので、レビューは書いていません。
で今回のTour100ですが、Tour90より易しいラケットかと思いきやそうでも無かったです。スウィートスポットに当たればパワーは90よりありますが、そのスウィートエリアがフェイスサイスの割には狭く感じます。そしてスペックの割にトップヘビーに感じるし打感も意外と硬いと言う意味では90と同じです。
なんかディスってばかりで申し訳ありませんが、今回のTourシリーズは少なくとも僕にはルックス以外に良い所が見当たりませんでした。
新Vcoreシリーズ、95、98と来て最後は100のレビューです。
試打レビュー
スウィングウェイトの重さだけが難点と書いたVcore98と比べ、流石に一回り以上軽く、これなら僕でも振り回せそうです。
ただ打感は明らかに硬いというかシャキシャキしており、吸い付くようなフィーリングのVcore98とは打って変って厚ラケ然とした打ち応えです。また、前作のVcore100より柔らかい打感になったというレビューが多いですが、僕は逆に僅かながら硬くなった気がします。まあ最近の反発系は打感が柔らかい製品が多くくなったので、相対的に硬く感じるのかも知れませんが、それでも当時の反発系としてはかなりマイルドだった旧作と比べ、新型が更に柔らかくなったとは感じませんでした。
またこの弾くタイプの打感やフレーム厚の割にはパワーアシストは控えめな気がします。スイングが同じなら新型Vcore98の方が明らかにボールの伸びも威力もあると思います。ただVcore100は軽い分スイングスピードを上げられるので、実質的なパワーは五分と言ったところ。旧作と比べても若干パワーダウンしてる気がしますが、旧作は意外と重く感じたので、やはりパワーウェイトレシオでは同等でしょう。
また新型Vcore100はスピン性能を売りにしているようですし、実際にスピンが良くかかるというレビューも多いですが、僕はそれ程かかるとは思いませんでした。ただこれは、試打ラケットに張ってあるガットがバボラのパワジーというモノ系のナイロンだったせいもあると思います。実際ガットを触ると、滑りが悪くて中々動きません。これではスナップバックもし辛いのではないかと。
という訳で、最初はこれと言った取り柄が無い印象が薄いラケットでしたが、使ってるうちにこれはこれでアリな気もしてきました。と言うのも厚ラケに有り勝ちなトップヘビーさがこのラケットには余り無く、十分なパワーと取り回しの良さを両立しているからです。
他にはEzone100もあまりトップヘビーではない厚ラケで、更にホールド感と柔らかさを兼ね備えています。しかし残念ながら、分厚くヒットするとラケットのしなやかな部分を使い切ってしまい、それ以上は柔らかさもボールの伸びも無くなる『底付き感』がありました。ところが新型Vcore100はフレームの柔らかさはありませんが底付き感も無く、フラット系サーブを強めに打っても破綻せず、スパーン!と気持ちよく飛んでくれます。
軽いという事は、サーブもストロークも高いスウィングスピードで擦って行けますし、ガットをマルチフィラメントのナイロンかスピン系ポリエステルにすれば、売りのスピンをグリグリ掛けられるかも知れません。逆に押し出すようなショット、特にボレーはタッチが軽すぎてイマイチですが、取り回しは良いので速い動きには対応できそう。しかもガットを食いつくタイプにすれば、ホールド感が多少出てもっと打ちやすくなるかも知れません。
外観/スペック
今回は写真を撮り忘れました、すみません。ただ前の記事に書いた通り、正面から見た形状やサイズはVcore98とほぼ同じです。横から見た時の厚みは明らかに分厚いですが、フレーム厚のスペックとしては前作のVcore100と全く同じなんですね。
製品名
重量
バランス
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
Vcore100 2021
300g
320mm
24-25-22mm
320g
326mm
Vcore98 2021
305g
315mm
22.5-23-21mm
332g
319mm
CX200
305g
315mm
21.5mm
320g
326mm
CX400 Tour
300g
320mm
23.0mm
322g
324mm
Vcore 95 2021
310g
310mm
21.5-22-21mm
325g
320mm
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g
326mm
Vcore pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Vcore100 2018
300g
320mm
24/25/22mm
323g
Burn FST99S 輪ゴムカスタム
299g
305mm
19/22/19mm
318g
316mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
期せずして実測重量/バランス共にCX200と同じでしたが、Vcore100の方が若干軽く感じたのは球離れが良いからだと思います。それより意外なのは、Vcore100より遥かに重々しく感じたCX400Tourが2gしか重くなく、バランスは2mmトップライトな事です。これも球離れの良し悪しが関係してるとは思いますが、それだけでは説明が付かないような。CX400Tourのバランスを測り間違えたかな?
まとめ
重いけどパワフルでソフトな打感のVcore98に対して、軽いけど硬いVcore100という方向性は予想通りですが、その差は思った以上に大きかったです。新Vcoreシリーズは数字が少し違うだけで、性格が全く異なっていますね。寧ろVcoreシリーズとEzoneシリーズの棲み分けの方が良く判りません。
何れにせよ、Vcore100は第一印象はありきたりな厚ラケでしたが、暫く打っていると特徴が無い代わりに欠点もない、意外とオールマイティーなラケットに思えてきました。Vcore98は打感とパワーは素晴らしいですが、如何せん重すぎて自在に取りまわせる自信がありません。もし僕が何方かを使ってゲームをやったら、恐らくVcore100の方が強いでしょう。残念ながら、打った時の気持ち良さとゲームでの強さは必ずしも比例しないので。
さて今回は新Vcoreシリーズの中で本命視しているVcore98のレビューです。発売から暫くたって試打する人が一巡したのでしょうか、今回はすんなり借りれました。
試打レビュー
トップライトなVcore95とは打って変って、グリップ部分で持つだけでズッシリと重さを感じます。唯一の欠点は重さ(バランスも含む)だと書いたCX400Tourと比べても少し重く感じました
ところがボールを打つと、その重さの割には軽く感じます。ボールに対してラケットが重いから、ボールの重量感も含めたヒッティングウェイトが軽く感じるのかも知れません。それに加えて、反発力があるから軽い力でもボールが良く飛び、結果的に楽=軽く感じるのだと思います。兎に角、パワーアシストに関しては100平方インチ未満のラケット中最強かも知れません。
スピンも低弾道のVcore95と比べたら良くかかり、さりとてCX400Tourほど高弾道にならず、普通に打ったら弾道もスピンも適度なボールになります。しかもスピンをかけようと思えば十分かかりますし、ホールド感があるので軌道やコースもコントロールし易いです。
打感も近年の黄金系の中でもかなり柔らかい方だと思います。ただCX400Tourのようにしなりや撓みを伴う柔らかさではなく、フレーム自体はしっかりしているがVDMで振動を取ったり、ガットを動きやすくする事で実現した柔らかさ(マイルド感)だと感じました。だからこそインパクトのエネルギーがロスせず、飛びも良いんだと思います。しかもCX400TourやEzone100のように、柔らかさとパワーアシストを両立したラケットは強く厚く当てるとエネルギーロスが大きくなりがちですが、新Vcore98は強打しても同じアシスト率のままボールが伸び、かなり強力なボールになります。
以上は主にストロークでの感想ですが、ボレーもまた柔らかく吸い付くような打感と十分なパワーアシストでとても打ちやすいです。サーブもまたパワー・打感・コントロール性が高い次元でバランスされていると思います。但し重いので、ヘッドスピードが必要なスピンサーブはあまり得意ではないと思います。
使用ガットは黄色いしヨネックスのラケットだからポリツアープロかと思いきや、バボラのプロハリケーンツアー 125でした。このガットはポリ系だし柔らかい訳でも飛びが良い訳でも無いので、Vcore98が如何に優れているかという事ですね。
このようにあらゆる点で高性能なラケットですが、やはり僕には重さが堪えます。試打初日はまだ調子が良かったようで重さにそれなりに適応しましたが、そこで僕のトップライトなBurn FST99Sに持ち替えたら『軟式ラケットかい!』と思えるほど軽すぎて、どう扱って良いか判らなくなりました。
そして数日後、改めて打った時は調子がイマイチで、FSTを使って「やっぱい打ちやすいは」と思った後Vcore98に持ち替えたところ、『ウッドラケットかい!』と思うほど重く感じました。勿論、上述のようにパワーアシストはあるし打感もマイルドなので極端にしんどくはありませんが、操作性と言うかイザと言う時の小手先のテクニックが全く使えそうにありません。調子に合わせて使い分けるとか、打ち急がない練習の為に所有する事も考えましたが、FST99Sと余りにも性格が異なるため、僕にはもっと中庸なラケットが必要だと思いました。
外観/スペック
最近のYonexのラケットは長方形というより、左右の辺が丸く膨らみ上辺が長く平らで手元に近づくほど幅を絞っていますね。言わば角丸の逆三角形的な形状ですが、これによってスウィートエリアをラケットの先端に移動していると言います。実際、Vcore98でリフティングをすると確かに先端の方がスウィートなのが判ります。実際のプレーでは、僕はやはりラケットの先端の方でボールを捉える傾向があるようで、がつッとフレームショット気味になる事は少なかったです。
僕のBurnFST99Sを重ねて見ると、フェイス形状は意外と似てますが全周に渡り少しづつFSTの方が大きく、とても面積が1平方インチしか変わらないとは思えません。しかしスウィートエリアはVcore98の方が広く、FSTはフェイスの3か所に輪ゴムで振動止め兼おもりを付けても、センターを外してガツガツ振動を感じる事は多いです。
また、同時に借りた訳ではありませんが、新Vcore95は上下に短く逆三角形感が協調されるので並べなくても違いは明白です。一方新Vcore100とは、店内で重ねて比べてもフェイスのサイズ・形状共ほぼ一致し違いは殆どありませんでした。ただ横から見た時のフレーム厚は明らかにVcore100の方が分厚かったです。近年のラケットはフェイス面積は98とか100とか殆ど変わらないので、それによってパワーとかスウィートエリアが変わるとは思えませんが、フレームの厚みでパワーアシストを変えています。つまりモデル名の最期付く数値は、フェイス面積としては意味はあまり無く、パワーインデックスとして捉えるべきでしょう。
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
Vcore98 2021
305g
315mm
22.5-23-21mm
332g
319mm
CX200
305g
315mm
21.5mm
320g
326mm
CX400 Tour
300g
320mm
23.0mm
322g
324mm
Vcore 95 2021
310g
310mm
21.5-22-21mm
325g
320mm
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g
326mm
Vcore pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Burn FST99S
輪ゴムカスタム
299g
305mm
19/22/19mm
318g
316mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
カタログスペック上は黄金系よりやや重・ややトップライトな位置づけですが、実測してビックリ!より重い筈のVcore95より実際には7gも重かったのです。一方、バランスは僅かにトップライト、と言っても1mmなんて誤差の範囲なので殆ど同じですね。僕はてっきり重量的にはVcore98の方が軽いけど、バランスがトップヘビーだから重く感じるんだと思っていましたが、実は逆だったんですね。
もっともVcore98にはグリップテープが巻いてあったのに対し(しかも結構厚め)、Vcore95には巻いてありませんでした。なのでグリップテープ(5gとする)無しで比べたらバランスはVcore98の方がトップヘビーなのは判るとしても、重量的には同等なんですね。そりゃ重く感じますわ。
まとめ
パワー、打感、スピン性能、コントロール性能どれをとっても秀逸ですが、重さだけがネックです。同じ事をCX400Tourでも書きましたが、Vcore98の方がより高性能でより重い、つまり長所も欠点も増幅されてしまいました。勿論(これもいつも言ってますが)、この重さが気にならない人には最強のラケットとなるでしょう。
【2021-7-16 更新】実は最近、スクールの試打会で再びCX200 を打つ機会があったので追記します。最初の印象通りスウィングウェイトが軽く、素振りではとても好印象でした。ただ実際に打つと、スウィートスポットで捉えた時は飛びも打感も良好ですが、少しでも外すとパワーダウンが大きいですね。振動吸収性は良いので、ミスヒットでも悲惨な振動は感じませんがボールスピードは落ちるので、平均的に飛ばない印象になるのだと思います。
尚、試打会で張ってあったガットはダンロップのIconic Allでしたが、前回ショップ借りたCX200のエクセルと比べると軽快に飛ぶ感じでした。ただ、エクセルの方が粘りがある感じで、スピン性能は上だと思います。
今回もCXシリーズのラインナップとスペックの表を載せます。
重量
バランス
フレーム厚
フェイス面積
CX200 Tour(18*20)
315g
310mm
20.5mm
95 sq.in.
CX200 Tour
310g
310mm
20.5mm
95 sq.in.
CX200
305g
315mm
21.5mm
98 sq.in.
CX400 Tour
300g
320mm
23.0mm
100 sq.in.
CX200 OS
295g
325mm
21.5mm
105 sq.in.
CX200 LS
290g
325mm
21.5mm
98 sq.in.
CX400
285g
330mm
24.0mm
100 sq.in.
CX200はCX400Tourに比べて若干重くトップライトでフレームが薄く面積が小さい、より競技志向の位置づけです。
外観/スペック
ところがガット付きで計測してみると、スペックに反して僅かながら重量はCX200の方が軽く、バランスはトップヘビーでした。これは多分、CX400Tourはグリップテープ(5gくらいらしい)が巻いてあったのに対し、今回のCX200は無しなので手元が軽くなってるからだと思われます。張ってあるガットは何方もエクセル130(48ポンド)でストリングパタンは同じ、フェイス面積が2%ほど違うだけなのでガットの重量差は無視できるでしょう。
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
CX200
305g
315mm
21.5mm
320g
326mm
CX400 Tour
300g
320mm
23.0mm
322g
324mm
V core 95 2021
310g
310mm
21.5-22-21mm
325g
320mm
FX500
300g
320mm
20~26mm
317g
330mm
FX500LS
285g
325mm
23~26mm
305g
340mm
Extreme MP
300g
325mm
23/26/21mm
312g
330mm
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g
326mm
V core pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
CX400Tourと並べて見比べた訳ではないので詳しい違いは判りませんが、フレーム厚が若干薄い事以外は見た目はほぼ同じです。横糸が中央で密になっていて横長のマス目になるストリングパタンも同じ。ただ気のせいかも知れませんが、CX200の方が中央部分の横糸の間隔が僅かに広いようにも見えます。
写真のように僕のBurn FST99Sと比較するとサイズも形状もほぼ一致しますし、横から見た時のフレームの厚みもほぼ同じ。ただスロート部分の三角形が、CX200の方が大きいというか手元の方まで伸びています。この形状で剛性を落としているのか、或いはフレームの素材(カーボン繊維の特性や編み方)や内部の振動吸収材が違うのか判りませんが、CX200の方が打感もしなりも遥かに柔らかいです。
試打レビュー
ガット込みの実測ではCX400TourよりCX200の方が重量は軽く、バランスはトップヘビーだと上で書きましたが、実際に使ってみると逆にCX200の方がトップライトで取り回しが良く感じました(つまりスペック通り)。これまでのラケットは実測と体感が比例していましたが、今回はそうではないのが意外でした。グリップテープ(つまり手元)の5g程度の重量差は実感に影響しないという事でしょうか。
打ってみると、第一印象はCX400Tourと似ており、高弾道でパワフルなボールが出ます。下手をするとスライスが吹け上がったりするので、スピンも結構掛かっているのでしょうw ただ比較的軽めに打ってる時は良いのですが、ハードヒットするほどボールの重量感が増し、返球の威力は伸び悩んでしまうように感じました。フレームの内部に防振ゴムのようなものを入れてるそうですが、それがインパクトのエネルギーをに吸収してしまうのでしょうか?それともフレームのしなやかさや球持ち感が一種の鈍さと感じてしまうのでしょうか?
例えばこれがWilsonの薄ラケ(特に昔の17mm厚のプロスタッフとか)だと、軽く打ってる時はやや硬めな打感なのに、ある程度ハードヒットすると不思議と打感が柔らかくなりボールが軽く感じられます。それに対してこのラケットは逆で、軽く打ってる時から柔らかく、強く打つと柔らかいままボールの重さが増す(振ってる割に飛ばない)感じです。ただこれはストロークの時の話で、サーブでの印象は打感もパワーも悪くありませんでした。
とは言え打感自体は意外にもCX400Tourより若干硬く感じました。というのも、フレームのしなりはCX200の方が大きいかも知れませんが、フェイスが撓んでボールを掴みこむ感じはCX400Tourの方が明確にあります。また旧型CX200も(レビュー記事は書いてません)経年劣化でフレームもガットもややヘタっていたのかも知れませんが、新型CX200より柔らかかった記憶が有ります(ただし鈍重)。もっともCXシリーズは基本的に柔らかいので、今回のCX200くらいの硬さでも問題無いと思います。ただその割にはパワーとか球離れの良さが感じられない事がちょっと残念です。
因みに新CXシリーズはグリップバンド(グリップテープ上端にはめるゴムのリング)が標準装備されていますが、試しにこれを外すと少しですがスウィングウェイトが軽くなったのを感じます。その代わり手に伝わる振動も若干増えたように感じました。つまりグリップバンドが振動止め兼おもりになっているわけですね。こんな場所でも体感できる程効くのが意外でした。
まとめ
CX400Tourは打感もパワーもスピンも良好ながら、唯一の(僕にとっての)弱点は体感的な重さでだったので、よりバランス的にトップライトなCX200を今回試しました。果たして結果は、予想通り重量感は少し軽減されましたが、同時にパワーもダウンしていました。差し引きするとパワーウェイトレシオはマイナスですね。特にハードヒットする程ボールが重々しくなる感じがして、全般的にしんどい印象のラケットでした。試打した時に僕の体調がイマイチだったのも影響してるかも知れませんが、言い方を換えれば疲れた時や追い込まれた時にサポートがあまりないラケットかもしれません。
Vcoreシリーズと同様に2021年初頭にモデルチェンジたダンロップのCX200/400シリーズ 。これもまた試打ラケットが皆貸出中OR予約で一杯になっており、暫く待った後偶然空いていたCX400Tourから試打する事になりました。
今回のCXシリーズはちょっとややこしいラインナップなのでスペックを纏めてみました。
重量
バランス
フレーム厚
フェイス面積
CX200 Tour(18*20)
315g
310mm
20.5mm
95 sq.in.
CX200 Tour
310g
310mm
20.5mm
95 sq.in.
CX200
305g
315mm
21.5mm
98 sq.in.
CX400 Tour
300g
320mm
23.0mm
100 sq.in.
CX200 OS
295g
325mm
21.5mm
105 sq.in.
CX200 LS
290g
325mm
21.5mm
98 sq.in.
CX400
285g
330mm
24.0mm
100 sq.in.
このように重量順に並べると200と400が入り乱れており、重量と大体相関関係にあるのはバランスポイントだけです(軽くなるほどトップヘビー)。200と400の基本的な違いはフェイス面積とフレーム厚(400の方が広くて厚い)ですが、200同士または400同士で同じかというと結構違いますし、中には逆転してるスペック(CX200 OSの面積)もあります。
それだったら200と400に分けずに、Vcoreみたいに面積でCX95、CX98、CX100等と分類して夫々にTourとかOSとか付けた方が判り易と思いますけどね。そもそも同一ラインナップの中でこんなに多くのモデル(スペック)が必要なのか良くわかりません。勿論選択肢が多い事自体はユーザーにとってはメリットですが、フレーム形状が多種類だと型(モールド)の種類も多くなり製造コストが上がってしまいますよね?
試打レビュー
何も考えず普通に打って弾道が高くスピンも良くかかりパワーもあります。パワー比較するとXR3を張ってパワフルになった私のBurnFST99SやFX500、Clash100辺りと同等。ExtrimeMPやVcorePro97(2018)より若干パワフルと言ったところ。打感も黄金系では最高ランクのソフトさで、厚ラケっぽい弾き感が微かにありつつも、フレームの撓みやボールのホールド感は薄ラケに近いと思います。もっとも使用ガットはナイロン・マルチの中でもかなり柔らかくて良く飛ぶというバボラのエクセル130(テンションは48ポンド)だったので、そのお陰も結構あるかも知れませんが。
体感的なバランスはトップライトな順にBurnFST99S<Vcore95<Ezone100<CX400Tour<FX500<Extrime MP(右に行くほどトップヘビー)と言ったところ。ただ打つともう少し鈍重に感じるのは、しなり感やホールド感からくる鈍さのせいかも知れません。まあいつも言うように僕は今のラケットは皆トップヘビーだと思っているので、一般的な基準ではミドルバランスと言ったところでしょうが。
ストロークはこのしなり感とスピン性能そして(僕には)トップヘビー気味のバランスを生かして、ゆったり巻き込むようにトップスピンをかけると良い感じで重い球が打てます。ただトップライトで球離れの良い私のBurnFST99Sの感覚だと振り遅れ気味になるので、それを見越して動作の開始を早める必要があります。これはリズム感なので慣れの問題だとは思いますが、追い込まれて時間が無い場合はちょっと厳しいかな。マッケンローっぽく振らずにタッチだけで返球する感覚を思い出す必要があるかも。ボレーもホールド感と重みを生かしてタッチだけで重い球が打てそうですが、やはり速い動きは苦手かも知れません。
一方、最初から最後まで自分のリズムで打てるサーブはなかなか打ちやすいです。基本的に重さを生かしたフラット系が得意ですが、ホールド感も良いのでそんなに擦らなくてもそこそこスピンはかかってるようです。
FX500の打感も柔らかいと思いましたが、CX400Tourと比べると厚ラケ然とした硬さや弾き感はあります。エクストリームMPは目が粗いストリング配置(フェイス全体に分散してる)事で柔らかさやホールド感を出してるのに対して、このCX400Tourはフレームのしなりで柔らかさを出しているように感じます。またCrash100はフレームが捻じれずに、(面と垂直方向に)しなる事で柔らかさとパワーを出しているのに対し、CX400Tourは面と平行な方向(面に正対して左右)にもしなっているように思います。
外観/スペック
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
CX400 Tour
300g
320mm
23.0mm
322g
324mm
V core 95 2021
310g
310mm
21.5-22-21mm
325g
320mm
FX500
300g
320mm
20~26mm
317g
330mm
FX500LS
285g
325mm
23~26mm
305g
340mm
Extreme MP
300g
325mm
23/26/21mm
312g
330mm
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g
326mm
V core pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
毎度申し合せたように300g/320mmという黄金スペックですが、ガットやグリップテープ込みの実測では322g/324mmでした。これは黄金系としては若干重めで若干トップライトなので体感と合致します。
フェイス形状は先端が幅広で手元が尖っている逆卵形状で、私のBurnFST99Sとほぼぴったり重なる程似ています。
しかしハッキリ違うのはストリングパタンで、FST99Sは18*17という縦糸が多いパタン(しかも中央が密)でマス目がかなり縦長になっているのに対し、CX400Tourは通常の16*19ではあるものの横糸が中央で密になっているため、珍しい横長のマス目になっています。ダンロップがパワーグリッドと呼んでいるこの配置は、フェイス中央と外側の打感を揃えるという昔からあるコンセプトのようですが、今回のCXシリーズはなんで横糸だけを密にしたのかが謎です。というのも所謂Sラケは横糸を疎にして縦糸のスナップバックが起きやすくスピンが掛かりやすくしていますが、これはその逆だからです。もっとも結果としてCX400Tourがスピンが掛け辛いわけでは無く、寧ろ上述のようにかけやすい方ではありますが。
あと見た目の問題ですが、CXシリーズは先端部分の形状がFSTのようにスムーズな円弧ではなく、さりとてヨネックスのようにハッキリ四角くなってる訳でも無く、両角が僅かに角張っているので、なんか精度が悪いように見えてしまいます。先端付近のスウィートエリアを広げたければ、ヨネックス形状の方が効果的だと思います(実際Vcore95は明らかに広い)。
まとめ
ちょっと判りづらい2021のCX200/400シリーズの中で、いきなり本命に当たってしまったかもしれません。パワー、スピン、打感全てが高次元。パワーが欲しければ硬いのは我慢しろというバボラ系厚ラケは最早過去のものではないでしょうか。個人的にはもっとトップライトなら理想ですが、多くのプレーヤーにとってCXシリーズ中どころか全ブランド/全モデル中でベストラケットオブザイヤーに輝くかも知れません。
Yonexの Vcoreシリーズが2021年開けにモデルチェンジしました。流石に人気があるようで、いつも試打ラケットをお借りしてるショップではVcore97や100あたりは既に貸し出し中&予約済みであり、唯一空いていたVcore95を先ずお借りしました。
試打レビュー
先ず意外なほど打感がソフトでホールド感もあります。前作のVcore97と比べても全然柔らかいし、飛び(パワーアシスト)も一回り上だと思います。2020のEzone98とEzone100の中間位の飛びと柔らかさですね。プリンスの白いTour95よりも柔らかくてやや飛ぶ感じ。ただ飛ぶと言ってもこの種のラケット(フレーム薄目、面積小さめ)にしてはという事であり、所謂黄金系の厚ラケ程には飛びません。
重量はそこそこありますが、バランス的には僕好みのトップライトなので持った感じや振った感じは良好です。更に空気抵抗が少ないのか、もっと面積が小さい僕のプロスタッフTour90と比べても振り抜きが良いのには驚きました。ただ飛び自体はTour90と大差ない上、スイングウェイトもVcore95の方が重く感じるので、パワーウェイトレシオと言う意味ではTour90の方が上になってしまいます。
弾道は普通に打つと低くフラット気味の球になります。擦り上げるようなスイングはし辛いし、無理に持ち上げようとするとフラットのまま軌道が上がってオーバーしそうな勢いです。薄ラケであるVcore Pro 97の方が遥かに軌道が上がりやすくスピンもかけやすいのはガットのせいだけとも思えません。
もっともスピンの掛かり難さは考え方次第で長所にもなり、例えばバックのスライスは吹け上がらず低弾道の重いボールになります。サーブも意外とスピードが出るのは、多分あまり回転がかからず自動的にフラットサービスになるからでしょう。ボレーも速い動きには向きませんが、十分準備する時間が有れば低く重い球を打てそうです。
外観/スペック
他のVcoreに比べて上下に短く、一見して95だと判ります。近年のトレンドに従い、先端にスウィートエリアを移動させるべく、フェイスの上辺が下辺より長いのは他のYonexのラケットと同じですが、上下に短いためより逆三角形感が強調されたユニークなルックスで、僕は嫌いじゃないです。ただこの色使いは頂けませんね。シックじゃない朱色と言うかオレンジベースにこれまた明るい青の挿し色。場所もテキトウに考えた感じ。悪いけどYonexの製品には美的センスを感じません。
まるで揃えたかのようにフレームと同色のガットは、ルキシロンのエレメント125 らしく、テンションは48ポンドとなっていました。ポリガットなのに柔らかい感触だと思ったら「ルキシロン史上最高のソフトフィーリング」だそうです。「モノ・マルチストリング」ってどっちやねん?という感じですが、モノのコアの周りに細いマルチフィラメントが巻いてあるとかでしょうか?
打感は良いとしてスピンのかけやすさはどうなんでしょう?あとパワー(反発力)の点でもポリガットだからイマイチなのか?それともナイロンマルチ並みの性能なのか?皮肉にも使用ガットが低性能な程、他のガットに変える事でラケットの評価が向上する余地が大きいという事ですね。
フェイス形状は私のプロスタッフTour90と比べても上下長はあまり変わりませんが、先端部の幅が明らかに広くなっています。因みにボールをリフティングしてみると、スウィートエリアはVcore95の方が明らかに広く、特にラケット先端部分は広い範囲でブレずにがっつり飛びます。ところが実際にプレーすると、不思議とスウィートエリアの差を感じません。Tour90はスウィートエリアを外してもフレームがブレて衝撃を吸収してるようですが、Vcore95で外すと流石にガツンと腕に来て疲れそうです。
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
V core 95 2021
310g
310mm
21.5-22-21mm
325g
320mm
FX500
300g
320mm
20~26mm
317g
330mm
FX500LS
285g
325mm
23~26mm
305g
340mm
Extreme MP
300g
325mm
23/26/21mm
312g
330mm
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g
326mm
V core pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
スペック的にはVcoreシリーズ中、最もトップライトなバランスで310mm。重量は一番重く310g。何方もVcore Pro97と全く同じですが、実測では10g以上軽く、パランスは若干トップヘビーでした。振った感じはVcore95の方が少しですが確実に軽いと思いました。
まとめ
前作のVcoreは97であれだけ硬くて飛ばなかった事を考えれば、今回のVcore95は弱点が粗無くなり、格段に使い易いラケットになったと思います。技術的には例のVDMで振動を吸収し、ガットが動きやすい新グロメットでホールド感を出したと言ったところでしょうか。
結果的に打感の柔らかさとホールド感が有り、振り抜きの良い小さめのフェイスでバランスもトップライトという僕好みのラケットになりました。ただ飛びはツアー系としては良好というものの、パワーウェイトレシオでTour90に劣り(BurnFST99比だともっと劣る)、スピンもかけ難いなど扱いづらい面もあります。だからこのラケットが向くのは、80年代からテニスをやっていて小面積ラケットをフラット気味に振り抜くスタイルのベテランプレーヤーでしょうか。そういう意味では僕も該当しますが、 体力的に厳しいので最新テクノロジーで楽をしたいのです(;’∀’)
薄ラケのCX200、スピン系のSX300に続いて、コントロール性を重視したというFX500がデビューしたので打ってみました。ライトバージョンのFX500LSも借りたので合同レビューにしました。
試打レビュー
FX500の第一印象はパワフルです(いつも同じ事を言ってる気もしますが)。スピンもかけやすくスピン自慢のエクストリームMPに勝るとも劣らない感じ。実はエクストリームMPは意外とホールド感が強くフラット気味に分厚く当てた方がしっくりきましたが、FX500は弾きが良くスピン重視の縦振りでも威力が落ちない今時のタイプ。特にサーブに関してはスピードもあるしスピンもかけやすいと思いました。それ故に、打感と言う意味では厚ラケらしくシャキシャキしてますが、手に伝わる振動自体は意外とマイルドなのか、腕にガシガシ来る硬さは感じませんでした。
バランスはエクストリームMPより僅かにトップライトに感じましたが、ガット込みの実測では同じでした(重量は僅かに重い)。FX500の方が球離れが良いので、軽く感じるのかも知れません。ただそれでも僕にとってはトップヘビーな事に変わりなく、パワフルだけど体力の消耗の激しいラケットという印象です。
一方LSですが、重量は軽くバランスはトップ寄りでスイングウェイトはほぼ同じ、打感は硬くなるというライトバージョンの鉄則通りでした。ただその差が他の製品より小さいので、ノーマルより微妙に軽いのが良いという人には合うでしょう。もっとも僕が何方か選ぶなら、トップヘビー過ぎるのは同じなので打感が柔らかいノーマルの方ですが。
外観/スペック
外観はノーマルもLSも見分けがつきませんが、フレーム厚はLSの方が若干分厚いようです。写真が無くてすみません。
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
FX500
300g
320mm
20~26mm
317g
330mm
FX500LS
285g
325mm
23~26mm
305g
340mm
Extreme MP
300g
325mm
23/26/21mm
312g
330mm
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g
326mm
Vcore 100
300g
320mm
24/25/22mm
323g
未計測
V core pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
FX500に張ってあったガットはゴーセンのGツアー3 の1.23ゲージ、テンションは48ポンドでした。LSの方はチェックし忘れましたが、全く同じだったかもしれません。ショップのスタッフによると、このガットは打感が良く経済的なのでリピート率が高いとの事でした。それでもポリエステルなので、エクストリームMPに張ってあったナイロンのシンセ130 より打感はシャキッと硬めになる方向ですね。
まとめ
コントロール性重視というと硬くて飛ばないハードヒッター向けのラケットを連想しますが、パワーアシストはしっかりあるしスピンも良くかかりおまけに打感も柔らかめでした。
毎度書いてるように個人的には近年のラケットは全てトップヘビー過ぎるので、FX500が重量そのままでバランスポイントだけ手元に移動(スペックで305mmくらい)してくれたら最高です。逆に言えば黄金スペックのバランスで問題ない(恐らくほとんどの)プレーヤーにはトータルバランスに優れたラケットだと思います。
HEADというブランドは地味なジョコビッチがイメージリーダーなのと、硬くて飛ばないという世評だったのでこれまで試打せずじまいでした。そんなある日、グレーにイエローという素晴らしくクールな配色の製品が出たと知り、Youtubeのレビュー動画では割合打ちやすそうに見えたので試打する事にしました。
試打レビュー
持った感じと振った感じは近年の厚ラケらしくトップヘビーですね。軽量モデルのように軽いけどトップヘビーなのではなく、重量もソコソコある上にバランスがトップヘビーなのでスイングウェイト結構大きい方だと思います。例えば同じ黄金スペックに属するEZONE100や最近出たFX500と比較しても若干トップヘビーに感じます。
しかし打ってみると、ブランドイメージとは裏腹に打感は柔らかくホールド感も良好です。EZONE100やClashなど、ホールド感やしなり感のある厚ラケは最近増えましたが、このラケットはガットがボールを掴んでいる感じが一番強いです。かなりパワフルだしスピンもかけやすいです。褒めすぎかも知れませんが、CLASH100の柔らかさとパワーアシストにインフォメーションの豊富さを加えたラケットと言えるでしょう。
ただ問題はスウィングウェイトの重さです。HEADのラインアップの中ではこのエクストリームはスピンを売りにしたモデルらしいので、縦振りでグリグリ擦り上げようとしましたが、ヘッドが重いので大してヘッドスピードは上がりません。とは言え、フラット系で分厚く当てもピュアドライブのような破綻は無いので、無理に擦り上げなくてもゆったり押し出すように振ればパワーもスピンも十分なボールが打てます。
ただ折角スピン自慢のラケットなのだからバックスピンやサイドスピンも多用して相手を翻弄したいです。また私は普段トップライトなラケットで振り抜くスイングをしているので、それをセーブするようなスイングは逆に難しいとも言えます。特にサーブは自分の力だけでスピードもスピンも生み出さないといけないので、ゆったり振る訳にはいきません。結果的に腕に負担がかかって疲れやすく感じてしまうのです。
ボレーは振り抜く必要は無いので、重めのラケットでも何とかなるケースが多いですが、このラケットはそれでも重すぎるのか取り回しが悪く感じました。
尚、試打ラケットに張ってあるガットはトアルソンのシンセ130 というもので、反発力と耐久性と経済性をバランスしたナイロン・モノフィラメントだそうです。言い方を換えると突出した性能は無さそうなので、上述のパワーと掴み感はラケット自体の性能だと思われます。
HEADのラインアップ
今回初めてHEADのラケットのラインアップ を調べたのですが、種類が多くてややこしいので整理してみました。
先ず製品名としては6つあり、パワーアシストが少ない(よりパワーヒッター向けの)ものから順に;
プレステージ>グラビティー>スピード>ラジカル>エクストリーム>インスティンクト
となるそうです。ややこしいですね(;’∀’) 名前ではどれがどうなのか想像できません。ざっくり言うと、左のものほどフェイス面積が狭く、フレームが薄く、ストリングパタンが密に(同じ本数なら中央に集中)なっていくようですが、夫々コンセプトの違いもあるので単純に右に行くほど簡単という訳でもなさそうです。
そしてそれぞれの製品名の中に;
Pro>Tour>MP>MP lite>S
というグレードがあって基本的に右へ行くほど軽くなります。物によってはフレームが分厚くなったりフェイス面積が大きくなったりします。ようはより易しくなっていく方向です。
更にわかりやすくする為に、以上を表にし各モデルの欄にスペックの一部を記載しました。(上段:重量/バランス 中段:フレーム厚 下段:フェイス面積)
プレステージ
グラビティー
スピード
ラジカル
エクストリーム
インスティンクト
Pro
315g/315mm
22mm
95 in²
315g/315mm
20mm
100 in²
310g/315mm
23mm
100 in²
310g/315mm
20/23/21mm
98 in²
Tour
305g/320mm
21.5mm
95 in²
305g/320mm
22mm
100 in²
305g/315mm
22/23/21mm
98in²
MP
320g/310mm
20mm
98 in² (※)
295g/325mm
22mm
100 in²
300g/320mm
23mm
100 in²
295g/320mm
20/23/21mm
98 in²
300g/325mm
23/26/21mm
100in²
300g/320mm
23/26/23mm
100in²
MP lite
280g/325mm
22mm
100 in²
275g/330mm
23mm
100 in²
270g/330mm
20/23/21mm
98 in²
285g/325mm
23/26/21mm
100in²
S
295g/325mm
21.5mm
99 in²
285g/325mm
24mm
104 in²
280g/320mm
22/25/23mm
104 in²
275g/340mm
23/26/22mm
105in²
285g/320mm
23/26/23mm
100in²
Lite
265g/340mm
25mm
100 in²
260g/340mm
23/26/23mm
100in²
空欄になっているところは該当モデルが無いという事です。左上に行くほど難しい仕様なる筈ですがスペックを見るとそうとも限りませんね。また製品名(縦のライン)ならフェイス面積やフレーム厚が同じというわけでもありません。特に※印のプレステージMPは何故かTourやProより重くて薄いフレームです。これ公式サイトから抜粋しましたが書き間違いじゃないでしょうね?
まあ同じ製品名なら下に行くほど軽くトップヘビーになり、場合によってはフェイス面積が大きくフレームも分厚くなり、良く飛んで易しい仕様になって行くようです。尚一番優しいスペックのPWRというグレードがありますが、これは他のグレードとはフェイス形状からして全く違う特殊な仕様なので、ここでは割愛しました。あと一番下の段の「LITE」というグレードも特殊で説明を読むとジュニア向けみたいです。
エクストリームMPの外観/スペック
という訳で前置きが長くなりましたが、今回試したエクストリームMPは2番目に簡単(パワーアシストが強い)な製品の中間グレードという事になります。
私のプロスタッフ ツアー90と比べると2回りくらい大きなフェイスですが、同じ100平方インチのラケットと比べるとやや面長に見えます。またガットの配置が中央部分で密にならず、大きなフェイスの端の方まで均等に並んでいます。これによってガットが良く動き、上述の掴み感に繋がっているのでしょう。
何時ものように、似たようなスペックとコンセプトのラケットと比較してみました。
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランス(実測)
Extreme MP
300g
325mm
23/26/21mm
312g
330mm
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g
326mm
Vcore 100
300g
320mm
24/25/22mm
323g
未計測
V core pro 97 2019
310g
310mm
20.0mm
335g
318mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
315mm
エクストリームMPのスペックは重量・バランスともお決まりの黄金系ですね。しかし実測では重量はやや軽く、バランスは最もトップヘビーな部類の330mmでした(測定誤差あり)。成程重いわけです。
フレーム厚は23/26/21mm、つまり真ん中付近が分厚く手元と先端に行くほど薄くなっている筈ですが、実物を見ると確かに手元は薄いですが、そこから先端に向かってリニアに厚くなり、リムの先端部分が一番分厚いように見えました。
まとめ
このエクストリームMPを一言で表すると、打感・パワー・スピンコントロール全てで高得点ですが、スウィングウェイトが重い事だけが欠点です。そういう意味ではBlade100 V7と似てますね。Bladeは掴み感ではなくしなり感が売りですが、何方も甲乙つけがたいです。
なので同じエクストリームでより軽量なMP Liteも今度機会があれば試したいと思います。ただ、軽量モデル(グレード)ってどれも手元の重量を削って(よりトップヘビーにして)軽量化しますよね。それだとインパクトの衝撃をラケットが吸収しづらいのか打感が硬くなってしまうんですよね。その上スウィングウェイトは殆ど変わらない。なので個人的な願望としては、MPと同じ重量でバランスを手元に移動したグレードが有れば良いのですが、残念ながらそういう商品展開をしているブランドは今はありません。
YonexのV-Core pro97は昨年(2018)試打しましたが、多分その直後にマイナーチェンジしたようで、大分打感がマイルドになったと聞いたので、遅まきながら試打してみました。
試打レビュー
先ず驚いたのはボールがとても高く上がるという事です。パワーもあるしスピンもかなりかかってるように思います。スライスなんて簡単に浮き上がってしまうので、下に叩きつけるようなスイングで丁度良い感じです。更に意外だったのは、以前のV core pro 97(2018)はあれほどシャープで軽快だったのに、新しいこれ(2019)は粘り感、玉持ち感が豊かなソフトで重厚なラケットに変わっていました。
ソフトさはグリップ内部にも追加したVDM(振動吸収材)で説明できるとしても、フレームのしなり感やボールのホールド感までアップするのはどういう訳でしょうか?私の感覚が余程振動特性や打球音に依存しているのか?何れにせよE-Zone98等より余程ソフトで良く飛び、E-Zone100か下手したらBlade100くらいの飛びともっちり触感のラケットになっていました。
なのでストロークではビュンビュン振り抜くのではなく、ゆったりと丁寧にボールを運んでいけば飛びもコントロールも良好というタイプ。サーブも同様に、余り頑張ってスピンをかけようとかヘッドスピードを上げようとかせずに、重さを生かしてフラット系のサーブをズドンと打ち込むのが合ってる気がします。重さと言えば私の元祖薄ラケProStaff Tour90よりも一回りスウィングウェイトが重く感じます。
尚、張ってあるガット:ポリツアーファイア !は、食いつきやスピン性能を訴求しているのでインプレと一致します。しかし一方で、玉持ち感より弾き、打ち応えより軽さに振ったガットらしく、実際にシャキシャキした感触(音?)はありますが、ラケット全体の基本特性とは真逆です。よってガットの特性を補って余るほど、ラケットの特性が重厚でもっちりという事になりますね。
まあ以前のVcorePro97もしなり系のラケットだと言ってる人も多いので私の感覚がちょっと特殊なのかも知れません。それでもこんなに変わったら、マイチェンというよりモデルチェンジ(年式変更)と言った方が良いと思いますが、ヨネックスの扱いはあくまで同じモデルの継続なんですね。
外観/スペック
18年モデルは濃いグレー(濃紺?)のベースに朱色のロゴや模様なんかイマイチなセンスだと書きましたが、19年モデルは配色を変えてきました。粗黒のベースにゴールドのロゴとグリーンの模様です・・・ウーンイマイチ。グリーンはまだしも黒にゴールドなんて仏壇ですねw 見た目は好みの問題とは言え、こういうセンスだと少なくとも女性は引いちゃうような。下に写ってる私のBurnFST99Sも地味目の配色であまり好きではないのですが、グラフィックがシャープな感じなので黒ベースでももっと精悍な感じですよね。
※私のプロスタッフツアー90を基準に何㎜ずれているか(先端方向がプラス)
重量もバランスもスペック上は変わっていませんが、実際に計ってみると7g重くなっていました。バランスは前回計っていないので比較は出来ませんが、この7gがグリップ部分に追加したVDMの差とは思えません。旧モデルはとても軽快で取り回しが良かったので、もっとトップライトだったと思います。私のPro Staff Tour90と比べても、新型は実測重量はほぼ同じ(計測誤差の範囲)でバランスが3㎜だけトップヘビーというとなりましたが、振った感じはもっと差があります。
まとめ
旧モデルを試打した時は、重量やバランスは最高だけど(その時点では)打感が硬すぎると書きましたが、その通りに打感をソフトにしたら今度は鈍重になってしまうとは皮肉な結果ですね。やはりラケットは何か問題があれば対策すればよいというものではなく、最初から狙った通りに作らないとダメなのでしょう。もっとも対策した結果、逆にある人にとってはベストのバランスになることも考えられるので、対策前とは別のモデル又は別の年式として売り出せばよいのではないかと。
Tennsy Audioの続きです。再び先の動画を参照しながら進めます。
VIDEO
物理的な配線は前回と同じ、下記の通りです。
スイッチ0、1、2 ⇒ Pin0、Pin1、Pin2
ノブ1、2、3 ⇒ Pin15(A1:オーディオボード上)、Pin16(A2)、Pin(A3)
一方ソフト的には、今回からAudio System Design Tool というのが新たに登場します。これはブラウザベースのGUIツールで、音声信号のルーティングをデザインするものです。音源から始まり、エフェクトやミキサーを通して最終的にアウトプットに至ります。なんかReaktorみたいでシンセデザインぽくなってきましたね。
ルーティングが出来たら、それをコードとしてエクスポートしArduino IDEでスケッチの中にコピーしてTeensyに書き込みます。つまりこのデザインツールだけでスケッチ全体が自動生成されるわけでは残念ながらありません。
Part_2_01_First_Design_Tool_Use
このツールを使った最初のサンプルスケッチは、Arduino IDEのファイル>スケッチ例>Audio>Tutrial>Part_2_01_First_Design_Tool_Useです。やってる事はSDカードにある3曲目を繰り返し再生しているだけです。
デザインツールのルーティングも下図の通り最もシンプルなものです。基本的に音声信号は左から右に流れますが、インプットとアウトプットしかありません。
右の【playSdWav】はSDカード内のWAVファイルで、今回は1つのファイルしか扱わないので一つだけです。左側の【i2s1】はオーディオボードのアウトプット(L/R)です。そして下で浮いてる【sgtl5000】はオーディオボードのチップを表してるそうです。
ここまで作ったらツール上部の「Export」ボタンを押し、出てきたコードをコピーします。それをスケッチの// copy the Design Tool code here
以下にペーストすればOKです。ペーストした部分だけを抜き出すと以下のようになります。
Part_2_02_Mixers
次のスケッチPart_2_02_MixersはDJミキサーのように1つのノブで2つの曲を切り替えます。デザインツールでは下図のようにMixerオブジェクトを使います。Mixerひとつはモノチャンネルですが、入力は最大4つ可能です。
例えば【playSdWav1】のLチャンネルをMixer1に入れたとすると、RチャンネルはMixer2へ。【playSdWav2】も同様にLをMixer1、RをMixer2に繋ぎます。つまりMixer1/Mixer2はミックスバスのようなもので、2つの音源(チャンネル)がミックスされ最終的に出力されるわけです。
これでコードを生成しスケッチに張り付けると次のようになります。
オリジナルスケッチでは
// uncomment this code to allow Knob A3 to pan between songs
以下はコメントアウトされていましたが、ここでは最初からアンコメントしています。やっていることは、ノブ3を左一杯に回せば(読み取り値がゼロなら)SDTEST1.WAVだけが再生され、右に回していくと徐々にSDTEST4.WAVの割合が増え、右一杯回し切れば(読み取り値が最大なら)SDTEST4.WAVだけが再生されます。
元のスケッチはコメントアウトされているのでミックス機能は無く、2つの曲が同じ音量で張り続けるだけです。コードとしてはsetup()の中の以下の部分でゲインを固定しています。
mixer1.gain(0, 0.5); mixer1.gain(1, 0.5); mixer2.gain(0, 0.5); mixer2.gain(1, 0.5);
Part_2_03_Samples
これまではSDカード内の音声ファイルを扱ってきましたが、このスケッチではTeensyのメモリに直接音声ファイル(サンプルネタ的な短い音)を読み込みます。
従ってデザインツールのルーティングは次のようになります。ソースがplaySdWavからplayMemに変わっていますが他は同じです。
これをまたExportしてスケッチに組み込んだのが次のコードです。冒頭で幾つかのライブラリをインクルードしていますが、夫々にドラムのワンショットサンプルが含まれているようです。Arduino IDEでこのスケッチを開くと、スケッチ自体のタブの他に幾つもタブが出てきますが、中を見ると何とWAVファイルをバイナリに変換した生データです。
ここでやっていることは、3つのサンプルを3つのスイッチにアサインして押すと鳴る。つまりサンプラーです。ただオリジナルのスケッチでは”/*Switch 2 drum sets by knob3*/”(私が追記)以下の部分がコメントアウトしてあったので、それを外して動くようにしています。
何をしているかというと、ノブ3を左右に回す事でドラムセットを切り替えているのです。ノブの位置が真ん中より右なら最初の3つのサンプルが、真ん中より左なら後半の3つサンプルが鳴ります。つまりここでのノブ3はアナログ制御ではなく切り替えスイッチとして使っているだけです。
実際にどうなるか撮影したのが下のビデオです。ピンボケですみませんが、音はPCでライン録音しているのでオリジナルに近いです。
VIDEO
Teensy Audioのテストは一旦置いておいて、今回は表示装置の話です。
ルーパーやサンプラー的な機材の操作系として、最初はLED付きのスイッチを並べようと思っていました。しかし先の記事 の通り、Teensy4.0に専用のAudio boardを載せると使える入出力ピンが残り僅かなので、それだとスイッチ4つ(8pin)くらいしか使えません。
OLED なら電源(VccとGND)含めたった4つの端子で、様々な表示が出来ますが安いのものはあまりに小くて、大きくなると値段が急に上がってしまいます。
MAX7219の7セグLEDモジュール
ネットショップを彷徨って目に留まったのが、写真のような7セグメントLEDのモジュールでした。
これは8桁(4桁*2)の7セグLEDが基盤に配線された状態で売られており、電源を除けば3つのピンだけで全て制御できるようです。値段はe-bayやAliexpressあたりだと何と数百円なので1個買ってみました(ただし最近は送料が高いので注意)。
因みに基盤の裏に付いてるチップはMAX7219 と言って、シリアル接続のディスプレードライバらしく、7セグメントLED(ドットを含めると8LED)を最大8個=64個のLEDを制御できるとの事。従って8*8のドットマトリックスLEDの制御に使わたりもします。
MAX7219ライブラリ
Arduino IDEのツール>ライブラリの管理で”MAX7219”を検索すると関連のライブラリが4つほど出て来るので一応全部インストールしてみました。
今回はオーディオのように重い処理ではないので、以前買っておいたArduino UNO互換ボードで実験する事にしました。ところがいざサンプルスケッチを走らせると、どのライブラリも妙な文字が表示されてすぐ消えたりしてちゃんと動きません。何度も配線を確認し、別のUNO互換ボードでも試しましたが同じ状態です。
そこで本命Teensy4.0で試したところ、まともに動くではないですか!ただよく見ると若干おかしな挙動が見られます。これはMAX7219ボードの方が壊れてる可能性もあるのでebayのセラーに問い合わせたところ、案の定技術的な事は全く分からないようで「使えなければ返金する」としか言いません。
仕方ないので別の店でもう一個買ってみるか等と考えながら放置していたある日、ふと思い立ってVCCの端子をArduinoの3.3V供給ピンに繋いでいたのを5Vピンに変更してみたら何と正確に動くではないですか!
実は商品説明では「compatible with 5V and 3.3V」とあったし、3.3VでもLEDが眩しいくらいで5Vは過剰だと思いそのまま使っていたのです。ただTeensy4.0も実は3.3Vピンで使っていたのに、こっちはもっとまともに動くのはやはり謎です。
DeditLedDisplay
取敢えずUNO互換機で5V出力を使えば上手くいくことは判ったので、この方法で先に進みます。
4つほどライブラリがあると書きましたが、その中で比較的文法が優しそうだし何より任意のパタンを表示出来るDeditLedDisplay を選んでみました。ルーパーでは録音レベルやループ長のインジケータとして、7セグの上下の小さな丸を表示させたかったからです。
とは言えこのライブラリの公式Webサイトは無く、上にリンクしたGitHubに超簡単な説明があるだけです。ただ、Digit7SegmentDemo.ino というサンプルスケッチを見ると大体文法が判ってきました。
スケッチに書かれた順で関数を解説していきます。
DigitLedDisplay ld = DigitLedDisplay ( 7 , 6 , 5 );
ArduinoのどのピンとLEDボードのどのデータピンを繋ぐかを宣言します。ここでは下記のようにアサインしています。
Pin 7 to DIN
Pin 6 to CS (load)
Pin 5 to CLK
ただしここで注意が必要なのは、Arduino IDEのツールからこのライブラリをインストールした際にできる同名のスケッチでは、何故かこのピンの順番が7,5,6になっています。なので何方でも動くはずですが、スケッチの記述と配線を間違えずに合わせる必要があります。
LEDの輝度を設定します。最小が1で最大が15です。因みにデフォルトの10では眩しいほど明るいので私は3~5で使っています。
7セグLEDを何個使うかを設定します。ここでは最多の8個なので8になっています。
ここからはvoid loop()内に記述する実際の表示命令です。示したい8個の数字をそのまま書くだけです。ただしアルファベットは表示できないようです。
これは表示した数字を一旦クリアする命令です。ここでは500msec毎に別の数字を表示しているので、クリアしなくても上書きされるだけだと思いますが…
これは表示したい場所を指定する方法です。最初の引数は表示したい数字ですが、このスケッチではiという変数にしてfor文で1から99まで表示させています。
2番目の引数は表示させる場所(桁)で、右から0,1,2,3…で左端が7です。もしここに何も書かなければ0(右端)を指定したことになり、最初の8文字の命令と同じです。このスケッチではポジション0と4でそれぞれ1~99まで表示させています。
これは直前に表示させた数字を点滅させているだけです。
これがこのライブラリの肝ともいうべき関数です。数字やアルファベットに限らず、7セグメント+1ドット中任意のLEDを表示させられます。先ず、左の引数は表示する場所を示しています。さっきの関数とは逆の位置なので混乱しますね。
そして右の引数が表示させたいパタンです。最初のBは多分バイナリの意味で必ず付くようです。次の桁はドットの点滅で、当然0=Off、1=Onです。更に次の桁は7セグメント(数字の8)の一番上の横線のOn/Off。以下右回りに一周して、最後は8の真ん中の横線となります。
このスケッチでは”B01100011”というパタンですが、右図に従って見ていくと、最初のドットは無しで次のAはOn、BもOn、C,D,EはOffでF,GはOnですから、A,B,G,Fで構成される小さな丸というか「ロ」の字が表示されます。
オリジナルスケッチの作成
上述のスケッチをベースに、ちょっと改造してみました。最初の方はほぼ同じですが、一番違うのは上のロの字を使って左から右、右から左に順次点灯させているところです。下にコードを記載します。
/* Include DigitLedDisplay Library */
#include "DigitLedDisplay.h"
/* Arduino Pin to Display Pin
7 MOSI to DIN,
6 i/o to CS(load),
5 SCK to CLK */
DigitLedDisplay ld = DigitLedDisplay ( 7 , 6 , 5 );
void setup () {
/* Set the brightness min:1, max:15 */
ld . setBright ( 3 );
/* Set the digit count */
ld . setDigitLimit ( 8 );
}
void loop () {
/* Prints data to the display */
ld . printDigit ( 12345678 );
delay ( 500 );
ld . clear ();
ld . printDigit ( 22222222 );
delay ( 500 );
ld . clear ();
ld . printDigit ( 44444444 );
delay ( 500 );
ld . clear ();
/*Display from 0 to 99 on digit 0 and digit 4*/
for ( int i = 0 ; i < 100 ; i ++ ) {
ld . printDigit ( i );
/* Start From Digit 4 */
ld . printDigit ( i , 4 );
delay ( 50 );
}
for ( int i = 0 ; i <= 10 ; i ++ ) {
/* Display off */
ld . off ();
delay ( 150 );
/* Display on */
ld . on ();
delay ( 150 );
}
/* Clear all display value */
ld . clear ();
delay ( 500 );
/*Display from 100 to 199 */
for ( long i = 100 ; i < 200 ; i ++ ) {
ld . printDigit ( i );
delay ( 25 );
}
int dtime = 100 ;
/*upper & lower small circle move left to right & right to left */
for ( int i = 0 ; i <= 5 ; i ++ ) {
ld . write ( 8 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 7 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 6 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 5 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 4 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 3 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 2 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 1 , B01100011 );
delay ( dtime );
/* start lower circle*/
ld . write ( 1 , B00011101 );
delay ( dtime );
ld . write ( 2 , B00011101 );
delay ( dtime );
ld . write ( 3 , B00011101 );
delay ( dtime );
ld . write ( 4 , B00011101 );
delay ( dtime );
ld . write ( 5 , B00011101 );
delay ( dtime );
ld . write ( 6 , B00011101 );
delay ( dtime );
ld . write ( 7 , B00011101 );
delay ( dtime );
ld . write ( 8 , B00011101 );
delay ( dtime );
}
/* Clear all display value */
ld . clear ();
delay ( 500 );
}
そして下の動画がこのスケッチを走らせた時の表示です。ここではLEDが白っぽく光っていますが、肉眼で見るともっと暗いオレンジ色です。
VIDEO
次はスイッチの操作に対して何か表示するようなものを作りました。以下がスケッチです。
/* Include DigitLedDisplay Library */
#include "DigitLedDisplay.h"
/* Arduino Pin to Display Pin
7 (MOSI) to DIN,
6 (i/o) to CS(load),
5 (SCK) to CLK */
DigitLedDisplay ld = DigitLedDisplay ( 7 , 6 , 5 );
void setup () {
/* Set the brightness min:1, max:15 */
ld . setBright ( 3 );
/* Set the digit count */
ld . setDigitLimit ( 8 );
/* Arduino pin to 4 switch
pin1 to switch1
pin2 to switch2
pin3 to switch3
pin4 to switch4
all other terminals to the GND */
pinMode ( 1 , INPUT_PULLUP );
pinMode ( 2 , INPUT_PULLUP );
pinMode ( 3 , INPUT_PULLUP );
pinMode ( 4 , INPUT_PULLUP );
}
/* initialize intervals for loop below */
int one = 1 ;
int two = 0 ;
int three = 1 ;
int four = 0 ;
void loop () {
/* set delay time for scripts below */
int dtime = 250 ;
/* display from "1" to "10" by each push switch1 */
if ( digitalRead ( 1 ) == LOW ){
ld . printDigit ( one , 6 );
one = one + 1 ;
if ( one == 11 ){ one = 1 ;}
delay ( dtime );
}
/* display from "0" on digt 0 to "7" on digit 7 by switch 2 */
if ( digitalRead ( 2 ) == LOW ){
ld . printDigit ( two , two );
two = two + 1 ;
delay ( dtime );
if ( two == 8 ){
two = 0 ;
}
}
/* turning circle by switch3 */
if ( digitalRead ( 3 ) == LOW ){
ld . write ( 3 , B01100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 3 , B00100011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 3 , B01000011 );
delay ( dtime );
ld . write ( 3 , B01100010 );
delay ( dtime );
ld . write ( 3 , B01100001 );
delay ( dtime );
}
/* moving circle from left to right by each pushing switch 4*/
if ( digitalRead ( 4 ) == LOW ){
if ( four == 0 ){
ld . write ( 4 , B01100011 );
delay ( dtime );
four = 1 ;
} else if ( four == 1 ){
ld . write ( 3 , B01100011 );
delay ( dtime );
four = 2 ;
} else if ( four == 2 ){
ld . write ( 2 , B01100011 );
delay ( dtime );
four = 3 ;
} else if ( four == 3 ){
ld . write ( 1 , B01100011 );
delay ( dtime );
four = 0 ;
}
}
/* Clear all display value */
ld . clear ();
}
Arduino UNOのピン1~4を入力モード(プルアップ抵抗付き)に設定して、各スイッチに繋いでいます。もっとスマートな書き方がありそうですが、ここでは気にしないでください。 そして下がその結果です。やってる事は見ての通り、スイッチの順番(左から)で;
7桁目に1-10の数字を表示し繰り返す。1回押す毎に数字が1増え、押し続けるとそれを自動的に繰り返す。
右端から桁を左に移動しながら、1から7まで表示して元に戻る。スイッチ1と同じく押し続けると自動再生、
3桁目で上のロの字がグルグル回る(消えてるLEDが順次移動する)。これはコマ送り不可。
4桁目から1桁目に上のロの字が順次移動して元に戻る。連続再生/コマ送り両方OK。
VIDEO
Teensy4.0のその後
さて次は一旦棚上げしていたTeensy4.0です。3V供給のまま上の2つのサンプルを走らせると、最初のは書き込み直後は表示しないループがあり、一度リセットボタンを押した後はちゃんと動きます。
そして2番目のスケッチは書き込み直後はちゃんと動きますが、何十秒か放置した後スイッチを操作すると、LEDが格段に暗くなってしまいます。そして更に何十秒か放置した後、再びスイッチを押すと遂に何も表示されなくなります。
因みに最初から休まずに操作し続けると、LEDは明るいまま正常に表示されます。これは最初のスケッチと同じで、LEDを点滅させ続ければ正しく表示するが、休ませると電源供給が減衰していくという事でしょうか?
何れにせよ、Teensy4.0でも3V供給では正常に動かない事が判ったので5Vに切り替える事にしました。ただ、Teensy4.0にはUNOのような5Vピンは無く、代わりに3V~5Vまで対応するVinというピンがあるだけです。
このVinはその名の通り外部電源を繋ぐ為のピンで、電力供給用のピンではないと思っていましたが結論から言うと私の勘違いでした。全く別の事例でTeensyシリーズのVinピンを電力供給に使っているのを見つけたので、MAX7219の電源にも使ってみたら全て上手く動作するようになりました。
結論から言うと、MAX7219の電源は5V一択という事になりますが、それなら3.3Vと互換性が有るみたいな表記はやめて欲しいですね。それにTeensyシリーズのVinピンに関する説明も公式サイトには見当たらず、ちょっと不親切ですね。
3月末に試打して良い印象がずっと残っていたので、9月初旬に再び借りて打ってみました。スイングウェイトが比較的軽いのとボレーがやり易いのは前回と同様でしたが、ストロークとサーブの打感がちょっと変わったので最下部に追記しました。実測スペックも修正しました。
試打レビュー
スイングウェイトとしてはEZONE 98と同じバランスで全体に一回り軽くした感じでしょうか。私のTour90やBurn FSTと比べたらやや手元が軽いですが、ゴールデンスペックの中では最もトップライトな部類だと思います。
それに打感が非常にスウィート。しなやかでホールド感があるのにパワーもあってスピンも強力です。スウィートエリアも(Yonex形状に慣れたからかもしれませんが)EZONE98より広いと思います。勿論、厚ラケらしく分厚くヒットするとフレームの硬い領域に入ってしまいますが、巻き込むようにスピンをかけるモダンスイングを心がけると、楽にマッシブなショットが打てます。
サーブも同様に、軽いからビュンビュン振れるし、更にホールド感があるからコントロール性もスピン性能もパワーも高次元で両立しています。更に好印象だったのがボレーですね。ちょっと押してやるだけで十分なパワーが出ますが、ホールド感があるのでコントロールもし易いという正にボレーマシン。ダブルスなら問答無用で強力な武器になりそうですが、シングルスでも省エネで勝ちに行く実践的なプレーが出来そうです。特に体力的に厳しいので楽をしたいと思っている中高年には魅力的なラケットではないでしょうか。逆に言うと上級者同士でバシバシ打ち合うような状況だと、意識してスピンをかけたりパワーをセーブしないとホームラン性の当たりになるかも知れません。
因みに、前回のEZONE98はVcore98に近いと書きましたが、このEZONE100は順当にVcore100に近いですね。Yonexのラインナップは、フレームが分厚くパワーアシストが強くなるほどタッチが柔らかくなるようです。ただVcore 100はスイングウェイトが重めでしたが、EZONE 100は軽快なのに柔らかさとパワーを両立しているところが素晴らしい進化だと思います。
外観/スペック
EZONE98と並べて比較したわけではありませんが、見た目は非常に良く似ています。ただ横から見るとEZONE100のフレームの厚さが際立っています。Wilsonのラケットはどのシリーズもフレームの断面形状が手元から先端まであまり変わりませんが、ヨネックスのラケットはリムの部分がかなり扁平で分厚くなっていますね。リムの部分は内側に撓ませる事でホールド感を出し、スロートの部分はやや薄めにして撓らせるという役割分担がハッキリしてるようです。
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランスP(実測※)
EZONE 100
300g
320mm
23.5/26/22mm
315g 323g
+13mm +11mm
EZONE 98
305g
315mm
23/24/19mm
321g
+8mm
Blade 100 V7
300g
320mm
22mm
316g
+18mm
Blade 98 V7
305g
320mm
21mm
325g
+16mm
Vcore Pro 98
305g
315mm
22/22/21mm
335g
未計測
Vcore 100
300g
320mm
24/25/22mm
323g
未計測
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
0mm
※私のプロスタッフツアー90を基準に何㎜ずれているか(先端方向がプラス)
2度目に借りた時に測定しなおしたら前の数値が間違っていました。上の表の通り重量が8gも違っており、Ezone98より何故か重くなってしまいました。バランスは2mmほど手元寄りに修正されたもののEZONE98よりは先端寄りなので、EZONE100の方が重く感じる筈。ところが実際に打った感じではEZONE100の方が一回り軽く感じたのでEZONE98の計測ミスか?
ガットですが、今回のEZONE100はアスタリスタ125 が50ポンドで張ってありました。このガットは柔らか系のナイロンですが、EZONE98に張ってあったG-Tour3 はポリエステルで、掴み感が特徴だけどさほど柔らかくはないようです。この違いはEZONE98と100の打感の違いを強調する方向ですね。ただガットの違いはラケットの違いほど大きくないので、EZONE100は98より柔らかくてパワフルなラケットであることには変わりないと思います。
【9/13追記】尚、2度目に借りた時はミクロスーパー16 (50ポンド)に張り替わっていました。時期的には7月初旬なので借りてから2か月ちょっと経っています。これって80年代からある定番のナイロンモノストリングですが、古い割に今でも普通に使えますね。ただ少なくともEZONE100との組み合わせではアスタリスタの時より硬くて飛ばない感じになっていました。その前に試打したFX500やExtremeがパワフルだからそう感じたのかも知れませんが。
YonexのEZONEが新しくなったので試してみました。先ずはシリーズ中最も面積が狭く、最も競技志向だと思われるEZONE98です。
尚、これまでは外観とスペックについて先に書いていましたが、今回から試打レビューを先に書きたいと思います。スペックから始めると前置きが長い感じがするし、実際の順番も先に試打して後でスペックを調べるからです。
試打レビュー
この前に試打したBlade100 V7がかなりトップヘビーだったので、今回のラケットは格段に軽快に感じました。多分私が試したYonexの製品の中でもVcore Pro 97に次いで軽いスイングウェイトだと思います。これならトップヘビー嫌いな私でも特に違和感なく、自然に振ることが出来ます。
とは言えイザ打ってみると、いきなりフレームショット気味に当たってガツンと弾かれてしまいました。慣れて来るとそれなりに当たるようになりましたが、スイートエリアが広々という訳ではなさそうです。また、厚ラケ的な強力なパワーアシストが無いのは判るとしても、分厚く捉えてもホールド感も球速もあまりないので報われない感じがします。Yonexは硬くて飛ばないラケット=上級者向けという考えなのでしょうか?
因みに、リフティングをすると柔らかいタッチで結構はねるし、手で曲げてみるとそこそこ撓ります(私のFSTより余程しなります)。なのにショットでは硬めであまり飛ばないのは、強めのインパクトだとしなり代を使い切ってしまい硬いゾーンに突入してしまうからでしょうか?
この感覚に近いのは2018モデルのVcore98だと思いますが、EZONE100はスウィングウェイトがもっと軽いのが救いです。またVcore Pro97みたいにキンキンした振動は感じませんが、Vcore Pro97ほど取り回しは良くありません。勿論、Bladeのように重々しくはありませんが、Bladeのしなやかさには遠く及びません。つまり大きな欠点は無いけど、これと言った長所も無い。残念ながら中途半端なラケットという印象でした。
もっとも、このラケットを借りている期間、天候不順などであまり打てなかったので、もっとコンディションの良い時に沢山打てたらもう少し好印象だったかもしれません。ただこの次に借りたEZONE100がかなりスウィートなラケットだったので、敢えてEZONE 98をまた試す気が起きないのが困ったところです(;’∀’)
外観/スペック
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランスP(実測※)
EZONE 98
305g
315mm
23-24-19mm
321g
+8mm
Blade 100 V7
300g
320mm
22mm
316g
+18mm
Blade 98 V7
305g
320mm
21mm
325g
+16mm
Vcore 98
305g
315mm
22/22/21mm
335g
未計測
Vcore 100
300g
320mm
24/25/22mm
323g
未計測
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
0mm
※私のプロスタッフツアー90を基準に何㎜ずれているか(先端方向がプラス)
今回のスペック比較は直近のBlade(100/98)V7に加えて、昨年試打したVcore98と100にも再登場してもらいました。
重量はスペックではVcore 98と同じですが、実測では14gも軽いという結果でした。バランスポイントもスペック上はTour90と同じ。ガットを含めた実測でも+8mmですからトップライトな部類です。この辺は振った時の体感的な軽さと合致します。
ガットはGツアー3 117(ゴーセンのソフト系ポリらしい)でテンションは48ポンドとやや低め。
Tour90と比べて判ったのですが、フェイスの幅も長さも思ったほど差がありませんでした。よく考えたら、同じ面積でもYonexの四角いフェイスは角の部分で面積を稼ぐので、全長と全幅は普通の楕円フェイスより短めの筈です。更に四角いフェイスはスウィートエリアが外に拡大するらしいので、その外側はいきなりフレームショットになるという事でしょうか?
前回紹介したようにハードウェアの準備は出来たので、プログラミングをして音を出していきます。
Teensyduinoのインストール
先ず開発環境としては、Teensyシリーズも通常のArduino IDEを使ってスケッチ(プログラム)を書き込みますが、それに加えてTeensyduino というアドオンをPCにインストールする必要があります。
やり方は上のリンク先の通りで、インストーラーをダウンロードして起動したらあとは皆「NEXT」でOKでした。インストールするライブラリを選択できますが、よくわからないのでALLにしときました。尚、Arduino IDEを起動した状態でインストールしようとするとエラーが出ますが、焦らずシャットダウンすればOKです。
インストール完了後Arduino IDEを立ち上げると、下図のようにメニューの「ツール>ボード」にTennsyシリーズの一覧が出て来ます。そこで(私の場合は)Teensy4.0を選択すると、今度は「ファイル>スケッチ例」に「Teensy4.0のスケッチ例」というのが出てきます。
これでインストールは完了ですが、その後ちょっと問題が発生しました。Arduino IDEをアップデートする際、旧バージョンをアンインストールする必要がありますが、その時にTeensyduinoも一緒にアンインストールされてしまったのです。
これを回避する方法は見当たらないので、Teensyduinoをインストールし直すか、それが面倒な場合はIDEのアップデートは保留するしか無さそうです。
Teensy Audio library
という訳で開発環境が整ったので、インストールしたライブラリやスケッチを使って音が出るか試していきます。
そこで私が参考にしたのは本家PJRCのチュートリアル です。下に抜粋した解説ムービーではオタクっぽい男女が出てきてボソボソ喋っていますが、何度か聞いてるうちに凡そ過不足なく説明しているのが判りました。
VIDEO
Part_1_02_Hardware_Test
とは言え、面倒なので手っ取り早く何か試したいという人は、スケッチ例> (Teensy4.0用のスケッチ例)Audio>Tutrial>Part_1_02_Hardware_Test が良いと思います。これはスイッチやノブ(ポテンショメータ)を何も接続しなくても、SDカードに何も入れなくても、テスト用のビープ音が断続的に出てきます。
次にSDカード内の音声ファイルを再生したい場合は、予めこちらのページ から4つのWAVファイルをダウンロードしてSDカードに書き込む必要があります。因みに私の場合はSDカードのフォーマットは不要で、PCからSDカード(PCから見えてるドライブ)に直接コピー&ペーストで書き込めました。
Part_1_03_Playing_Music
この音声を再生するスケッチは、同じくTutrialのPart_1_03_Playing_Music が多分一番単純でしょう。これは4つのうち2番目の曲が自動的に再生されるだけです。これもスイッチやノブは必要ありません。何も手こずる事無く音楽が再生されました。DACやSDカードリーダーのドライバ(ライブラリ)を探してインストールしたりしなくても、所定のスケッチを実行するだけでSDカード内の音楽が再生されるのにはちょっと感動します。流石音楽に強い(多分)Teensyですね。
Part_1_04_Blink_While_Playing
次のスケッチPart_1_04_Blink_While_Playing は再生中にオンボードLEDが点滅するものです。しかしこれを試したところ、コンパイルと書き込みは問題なく出来るものの、音楽がさっぱり再生されません。
そこでスケッチの中身をチェックすると、LED出力用に13番のピンを指定していますが、これはオーディオボードとの通信に使っているピンなのです。調べるとTennsy3系のオーディオボードではこのピンは空いているので、このスケッチで動きそうです。つまりこのチュートリアルはTeensy3系用で、Tennsy4.0とそれ用のオーディオボードには対応していないんですね(;´д`)
Part_1_05_Do_More_While_Playing
仕方ないので、取敢えず次のPart_1_05_Do_More_While_Playing に進みます。ここからはスイッチとノブ(可変抵抗)が必要です。配線を簡単にいうと次の通りです。
スイッチ0、1、2 ⇒ Pin0、Pin1、Pin2
ノブ1、2、3 ⇒ Pin15(A1:オーディオボード上)、Pin16(A2)、Pin(A3)
このスケッチは何もしなければ4つの音楽ファイルを順番に再生するだけですが、スイッチ0と2で曲をスキップ又は後ろにスキップ出来ます。またノブ2で再生音量調整できます。
しかし!コンパイルして書き込むと、またもや音が出てきません。再びスケッチをチェックすると…前と同じでPin13をLED点滅に使っていました。
そこでスケッチのsetup部分の
pinMode(13, OUTPUT); // LED on pin 13
と、loop部分の
// blink the LED without delays
以下を削除すると、LEDの点滅以外はちゃんと作動するようになりました。
因みにSDカードに入れた4つのファイルはテスト用のショボい音声ではなく、全てちゃんとした曲の抜粋です。特に4番目の曲が私のお気に入りです。これも流石Teensy(⌒∇⌒)
音質レビュー
さてここで、このオーディオボードの音質について書きます。第一印象は淡泊でやや軽めの音でしたが、聴き慣れると率直な音で16bit/44.1kHzなりの解像度は感じます。ただラズベリーパイで使っているDAC( UDA1334A) のようなリッチな低音や伸びやかな高音は感じません(同じ解像度で比較しても)。
このDACにはレギュレータやバンドパスフィルタが搭載され、20~20KHzまで歪や減衰が無いとあり、見た目にも大きなコンデンサが付いてたりします。一方Teensyのオーディオボードにはそうした記述は無く、ただCDクオリティーで録音・再生できると書かれているだけです。
またDACは最初から付いてるステレオミニジャックより、自分で半田付けするAudioOut端子の方が音質がややリッチですが(説明にもそのような記述がある)、Teensyのオーディオボードは何方で聴いても違いが判りませんでした(多分同じ回路を通ってるだけ)。
これは多分に製品コンセプトの違いでしょうね。方やハイエンドオーディオを志向し、方や高音質なマイコンボードといったところでしょうか。とは言えTeensyオーディオボードでも1万円弱のハンディーレコーダーくらいの音質はあると思います。またサンプラー・ドラムマシンとして考えた場合も、Volca Sampleは勿論、Uno Drumと比べても出音自体はやや良質に感じます。
という訳で次回もサンプルスケッチを使って、音楽関係の別の機能を試して行きたいと思います。
前回のBlade98 V7のレビューで、タッチや飛びは最高だけどバランスは未だトップヘビーだと書きましたが、それより重量が若干軽くバランスポイントは同じBlade100 V7を借りてみました。
外観/スペック
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランスP
(実測※)
Blade 100 V7
300g
320mm
22mm
316g
+18mm
Blade 98 V7
305g
320mm
21mm
325g
+16mm
Blade 98 CV
304g
325mm
21mm
330g
+22mm
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
0mm
※私のプロスタッフツアー90を基準に何㎜ずれているか(先端方向がプラス)
先ず重量ですが、Blade98V7と比べるとスペックでは5g軽いだけですが、実測(ガット込み)では9g程軽くなっています。今回のガットはアスタリスタ130 (50ポンド)というものですが、前回のBlade98V7に張ってあったポリプラズマ1.28 と比べて重量にそれほど差があるとも思えないので、多分ラケット本体の重量差でしょう。バランスポイントもスペックでは同一ながら実測ではBlade100の方が僅かにトップヘビーでした。
計測前に持ったり打ったりした感想も、重量的に軽めでバランスはややトップヘビーにするという厚ラケ(ゴールデンスペック)化を感じたので、粗実測値通りの結果ですね。見た目もBlade98V7と並べて比較したわけではありませんが、フレームの厚みが少し分厚いのは判りました(他は見分けがつかない)。ノギスで実測したところ、根元から先端まで22.5mmくらいでした。
試打レビュー
第一印象はシャンシャンと軽く硬い打感で、中厚的なBlade98とは違い厚ラケ的な性格にしてきたなと思いました。ただ普通の厚ラケと違ってしなり感はかなりあるし、ボールをしっかり掴んで打ち出すようなホールド感もあります。その反面、分厚く当ててもそのしなりが底付きせず、インパクトのエネルギーをちゃんと反発力に換えている感じがします。パワーアシストも十分あるしホールド感によってスピンもかかりやすいです。
因みに、Clash100はより弱い当たりで撓りますが、強く当てるとそれ以上は撓らずに衝撃が手に伝わりました。またClashシリーズは撓りだけ許容して捻じれは極端に抑制していましたが、このBlade100 V7は普通に捻じれるので私が好む薄ラケに近い感覚です。試しに机にグリップを固定し、ラケット面に対して力を加えていくと、Clash100に次いでよくしなりました(私の薄ラケTour90よりしなる)。
このように打感については理想ともいえるこのBlade100 V7ですが、やはりトップヘビーすぎる重量バランスが個人的には唯一の欠点です。それなりに振り回すスピン系のストロークでは手首への負担は大きいので、ゆったりとボールを運ぶようなスイングに切り替える必要があります。
一方、ボレーはボールに合わせるだけで十分なパワーが得られますし、ソフトタッチでホールド感もあるのでコントロールも容易です。もっともトップヘビーで取り回しは良くないので、接近戦など速い動きは苦手かも知れませんが、普通に時間的余裕があるボレーならかなりやり易いと思います。
サーブについては、先ず普段使っているラケットと重量バランスが違い過ぎてタイミングを合わせ辛いですが、慣れれば重さを生かしてパワフルなボールが打てそうです。ストロークと同様、速く擦ってスピンをかけるような打ち方はできませんが、ボールのホールド感を生かせば左程擦らなくてもそこそこの回転はかかるようです。
総じて言えばこのラケットに向いているのは、厚ラケのパワーと薄ラケのしなりやホールド感を両立したいが、Clash100は撓り過ぎと感じる人でしょう。個人的には、打感がもう少し硬くなっても良いからもう少しトップライトにして欲しいですが、近年主流の厚ラケ(ゴールデンスペック)のバランスに慣れている人には問題ないと思います。
因みに、試打ラケットには前に借りた人が輪ゴムのような振動止めを付けたままで、最初はそのまま打ったのですが、実はこれが意外と効果的でBlade98V7と変わらない打感でした。この輪ゴムは中央の3本くらいのガットにしか触れてないので、こんなの効果が無いだろうと思って外して打ってみたところ、厚ラケ然とした振動が発生したわけです。もっともその後はずっと振動止めを外したまま上のレビューも書いているので、何もなくても十分柔らかい打感ではあります。
先の記事 で挙げた候補のうち、やはり最新最強のTeensy4.0を選ぶ事にしました。圧倒的な処理能力もさることながら、SDカードスロットも付いた専用オーディオシールドは便利だし、Teensy系はシンセ製作のノウハウや開発環境が充実しているからです。
注文と発送
でそのオーディオボード ですが、従来のTeensy3系用と新しいTeensy4.0用では見た目は殆ど同じですがピン配置が異なっており、互換性がありません。しかしこのTeensy4用ボード、PJRCでは直ぐに発売されたのに、本家のSparkFun では何故か発売されませんでした。PJRCが開発元でSparkFunは代理店みたいなもんなんでしょうか?
いずれにせよ、PJRCではエコノミーシッピングが使えないので、SparkFunでの発売を待っていたところ、2019年末に買えるようになっていました。見積もりは以下の通り。
Teensy4.0
Audio board
送料
総額
$19.95
$14.95
$3.49
$38.39
細かい事を言えば、オーディオボードがPJRC では$13.75なのにSparkFun では$14.95になってるのが不可解ですが、送料が圧倒的に安いので良しとしましょう。PayPalで1 JPY = 0.0088 USDのレートが適用され、総額で4,386円でした。
12/17に注文しカリフォルニアをFedexで出発、その後予定通り音信不通になり、翌年の1/4に突然日本の我が家に届きました。注文から18日なので、何時もebayで深センや香港から無料配送される商品よりむしろ早いですね。
micro SDカード
PJRC によれば、SDカードはSanDiskのUltraがお薦めらしい(他のブランドは規格が同じでも速度が出ないらしい)ので、日本のAmazonで別途購入しました(税+送料込み400円台)。
Tennsy4.0とAudio boardの合体
Teensy4.0の現物を見ると、覚悟はしてたけどかなり小さいですね。ちょっと短いUSBメモリスティックという感じ。オーディオボードも長辺は同じで、短辺が2倍強のほぼ正方形です。
さて裏面にある例の表面実装端子ですが取敢えず使わずに、Teensy4.0をAudio boardの上に直接載せる事にしました。何方も汎用基盤に載せて互いに配線する方式なら、表面実装用のピンヘッダ を半田付けして信号を取り出せますが、このはんだ付け自体が難しそうだったので。
ただ直接載せると言っても、PJRCの写真のようなピンだと一旦はんだ付けすると外せないのでNG。また普通のピンソケット(メス)は10ピン単位のものしか無いので、Teensy4.0(14ピン)だと途中でぶった切る必要があります。
そういう場合非常に便利なのが上の分割式のピンソケット。ですが現状では秋月電子 くらいしか扱っておらず、Amazonでは在庫切れ、ebayやAliexpressでは見当たりませんでした。1個100円位の商品に送料が500円ほどかかるのは馬鹿らしいなと思っていたところ、何時もよく行く宝塚のテクノパーツにありました!一応同店の通販 でも買えますが、これなら秋月の方がまだ安そうですね。
ピン配置
さてここからが本番、下の図はオーディオボードがTeensy4.0のどのピンとどういう役割で繋がっているかを示しています。詳細はPJRCのページ を見て欲しいのですが、I2S DAC及びSDカードアダプタとして、合計16ピンで繋がっています。
逆に言うと、その他の12ピン(14*2-16₌12)は使われていないので、これらをスイッチや可変抵抗用等の操作系として何とかやり繰りする必要があります。正確にはうち1個は外部電源入力なので信号には使えません。逆にオーディオボードの可変抵抗取付用の「VOL」端子はTeensy4.0のA1ピンと繋がってるだけです。また3.3VとGNDもオーディオボードの端子から取り出すことが出来ます。
という訳で上の図などを参考に、空いてる12ピンが何に使えるか書き出したのが下の表です。Digital AudioやCAN Bus関連はもう使わないと思うので省略しています。
serial port
PWM
Pin No.
PWM
analog read
I2C
GND
Vin
RX1
PWM
0
GND
TX1
PWM
1
3.3V
PWM
2
23
PWM
3
22
PWM
A8
PWM
4
21
PWM
5
20
6
19
7
18
8
17
A3
SDA1
PWM
9
16
A2
SCL1
10
15
PWM
A1
11
14
PWM
A0
12
13
スイッチ類はどのピン(digital Read/Write)でも使えますが、可変抵抗が使えるのはAnalog Readの5ピンだけです。しかもこのうちA3とA2はI2S用のピンでもあるので、LCDなどに使ってしまうと残るは3つだけになります。
ピンヘッダの半田付け
まあピンの使い道どころか、そもそもどんな楽器を作るかまだ決まってないので、取敢えず必要な箇所だけTeensy4.0にピンヘッダ(オス)をAudio boardにはピンソケット(メス)をはんだ付けしていきます。
ピンソケット側も分割できるので、必要な分だけ繋げば余ったピンはL字ヘッダ等をTeensy4.0の下面から出して高さを節約できます。しかしご覧の通り、ピン配置が歯抜けのようにバラバラで、特に隅のGNDは1本だけ孤立してるので強度が心配です。なので結局、歯抜けはTeensy4.0側(オス)だけにして、背の高いAudio board側のソケットは1列丸ごと立てる事にしました。
因みに、普通はブレッドボードを治具にして半田付けしますが、私のブレッドボードは精度が悪いようで、列の間隔がTeensy4.0と微妙にズレ、ピンヘッダが平行になりません。なので最初から、Audio boardと共に全部組んだ状態でマスキングテープで固定し、やりやすい所から半田付けしていきました。結果、ボードに対してやや斜めにソケットが立ってしまいましたが、平行四辺形なので問題無く抜き差し出来ました。
Audio boardの可変抵抗の3ピンとTeensy4.0の短辺の5ピンは、テクノパーツに在庫があったEHコネクタ(恐らく2.5㎜ピッチで最小)を装着しました。長辺の余ったポートもEHコネクタのサイド(L字)タイプを付けたいのですが、6局とか4局のものは取り扱っていないので、L字ピンヘッダをTeensy4.0の上面に付ける事にしました。
Burn FST 99Sの問題点
昨年(2019年)の夏にBurn FST 99Sを購入した事で「ラケット選びの旅もようやく終わりの時が来ました」と書いておきながら、また試打ラケットを借りてレビューを書き始めました(‘◇’)ゞ
というのもこのBurn FST 99S、最初に感じたようにちょっと軽すぎて、無駄にに振り回し勝ちになります。意識して丁寧に振ればパワーも正確性も良いのですが、タッチが硬くホールド感が希薄なので、しっかり捉えてラケットの重さをボールに与えるというイメージがし辛いのです。また久々のゲームをこのラケットでやったのですが、壁打ちよりも当然スウィートエリアを外しやすいので、普段以上に手に伝わる振動が大きく、1時間ほどで手首や肘が痛くなってしまいました。
逆に考えると、重いラケットはパワーがありタッチも柔らかく感じるのは(勿論物理的に慣性モーメントが大きいせいでもありますが)、振り回しにくいから丁寧に振って結果的にスウィートエリアで分厚く捉えているからだと思います。もっともゲームでは、ショットに時間的余裕が無い事も多いので、より重く取り回しの悪いラケットではやはりスウィートエリアで捉えにくいという理屈も成り立ちますが。
そんな折、Wilson Bladeの新型が出た事を知りました。前作のBlade 98CVはタッチは最高だけどスウィングウェイトが余りにも重いと書きましたが、新型は若干ながらバランスポイントが手元に移動しているようなので、期待を込めて試打する事にしました。
外観/スペック
ページタイトル通り、試打したのはBladeシリーズの中では最も一般的なBlade 98 16*19(フェイスが98平方インチでストリングパタンが16*19)です。
製品名
重量
バランスP
フレーム厚
重量(実測)
バランスP(実測※)
Blade 98 V7
305g
320mm
21/21/21mm
325g
+16mm
Burn FST 99S
299g
305mm
19/22/19mm
320g
0mm
Blade 98 CV
304g
325mm
21mm
330g
+22mm
Prince Tour 95
310g
310mm
22/22/20mm
336g
+5mm?
Pro Staff Tour90
315g
315mm
17mm
336g
0mm
※私のプロスタッフツアー90を基準に何㎜ずれているか(先端方向がプラス)
前作の98CVと比べると、スペック重量は1gだけ重くなっていますが、実測では5g重く軽くなっています。バランスポイントはスペックで5㎜、実測でも6㎜ほど手元寄りになっただけですが、実際に持つと前作より明らかに軽く(スウィングウェイトが小さく)感じました。
その下のPrince Tour95は今回のBlade 98 V7よりもっと重々しく感じたのでスペックを比較してみたのですが、確かに重量は10g強重いもののバランスポイントは10mmも手前にあるんですね。これだと体感上は粗同じスイングウェイトになる筈ですが、そうならなかったのは私が試打レビュー開始直後でトップヘビーなラケットの扱いに慣れていなかったからかもしれません。或いはPrinceの反発力が(ガットのコンディションも含め)比較的弱いから、頑張ってるのに報われないと感じたとか?
見た目をBurn FST 99Sと比べると、正面から見たフレームの厚みはBlade 98 V7の方が大分薄いですね。フレームを除いたガット面だけで比べると、Blade 98 V7の方が幅はわずかに狭く、縦には若干長いようです。
側面から見ると何方も薄い部類ですが、スペック上通りBurn FST は先端と手元がやや薄く中央部が相対的に膨らんだ形状ですが、Bladeは先端から手元まで均一の厚みなのが見ても判ります。
試打レビュー
先ずスウィングウェイトですが、持った時の印象同様、先代モデルBlade98CVより明らかに軽く感じます。先代は重すぎてスピン系のヘッドスピードが速いショットを試す気にもなれませんでしたが、新型は自分でも意外なほど違和感が小さかったです。だからスピンサーブやトップスピンのストロークなども試す気になるし、実際普通に打てます。
もっともこれは『余りにも重かった先代と比べて』というバイアスがかかった評価なので、私本来の好みからすれば新型もちょっとトップヘビーすぎるラケットではあります。実際1時間程度の壁打ちで、肘や手首にちょっと負担感を覚えました。ただ先代がどう扱ってよいか判らないというレベルだったのに対し、新型は重いラケットなりの打ち方に変えれば、これはこれで武器になりそうな気がしました。
打感については先代同様、私が試した近年のラケットの中ではベストと言えます。フレームがしなやかでホールド感も適度にあるからコントロールしやすいし、痛い振動が無いのに反発力もちゃんとあるからパワーもちゃんと乗ります。上でスピン系のショットも打ちやすいと書きましたが、ラケット(ガット)がボールを掴みやすいから、擦る方向にヘッドスピードを上げなくてもスピンがかかるのでしょう。
因みに試打ラケットに張ってあったストリングは、シグナムプロというドイツのメーカーのポリプラズマ1.28 という製品です。リンクしたラケットショップやユーザーの評判は上々で、トータルバランスに優れたストリングのようです。ただ118ゲージは弾きもスピンも良好とありますが、これは2段階太い128なのでハードヒッター向かもしれません。なのにパワーアシストも上々なのはラケットのお陰でしょうか。テンションは48ポンドと緩めで張ってから間が無い(ヘタりが無い)という、一番良い状態だったからかも知れませんが。
次回は、このラケットより5gだけ軽くバランスポイントは同じBlade 100 V7(1/18日現在未発売)を試してみようと思います。