ポジション/足つき/取り回し
もう完全にCB400SFとかの軽さとコンパクトさと足つき性。あのER-6nよりさらに車高が低い感じで、足つきに関しては今まで乗った400超のバイクのなかでは最も良いのではないか。
タンク幅(腿に当たる部分)も同クラスの4気筒よりも明らかに狭い。股下もスリムだけど、Vツインのような不自然な狭さではなく、丁度いい感じ。
ポジションはハンドルが遠めで、形状も横一文字に近く幅は狭いので肩がこる。
タンク上面がフラットなのでタンクバックなどが置き易そう。ただし、リアシートは小さいしすぐそばにマフラーがあるので、あまり大きな荷物は積めなさそう。
パワートレイン
とにかく、超エキサイティングでスウィートなエンジン。2000rpmくらいからすでにトルクフルで、そのまま弾かれるように澱みなく加速する。
また、その時のサウンドもクォーーと割れたような音が回転の上昇につれて澄んでくる。それが実際の加速Gとシンクロしていてとてもドラマチック。
正直、加速感はZ750より一枚上。6000rpm位までなら、多分GSX-R1000(07)あたりの加速感に相当するのではないか。
4気筒はレスポンスが穏やかで楽な反面、常にエンジンの抵抗内部が足を引っ張ってる感じがするのに対して、トリプルはスカッと突き抜ける。
ただ、その裏返しというか、アクセルレスポンスが過敏すぎる(ドンつき)のが気になった。何気なしにアクセルを少し当てようとしたら、いきなりトルクが出て体が置いていかれそうになった事が度々あった。
また、少し街中を走るとエンジン周り(股下あたり)がすぐに暑くなる。春先でこれだと真夏はどうなるんだろう?
あと、メーターが多機能で燃費計が付いているが、試乗時の燃費は7L/100km位だった(過去100kmの平均燃費かな?)。リッターあたりに換算すると約14km/Lとなり、走った場所が結構渋滞とヒルクライムであることを勘案しても、もう少し好燃費であってほしい。
ハンドリング/乗り心地
実際に軽いので、変に軽快感を演出することもなく、セルフステアも付きすぎない、ナチュラルなハンドリング。細かく言えば、フォークの動きがZ750より少し渋く、そのせいか倒しこみで僅かに粘る感じ。
乗り心地は基本的に硬めで、段差に強めにヒットするとガツンと来るのはZ750に近い感覚。
しかし、ワインディングに入るとそんな事は気にならなくなって、ひたすらエキサイティングで速い。
ただ、コーナー立ち上がりでアクセルを開いてグッとリア荷重をかけると、ちょっと腰砕けな挙動を感じた。店のスタッフはその辺りを認識していて「街乗りを重視して、プリロードを抜いているから」と言っていた。ただ、締めたら締めたで、シビアな挙動になるらしく、いずれにしろあまり高品位なリアショックではないようだ。
ブレーキはしっかり握らないと効かないタイプ。ブレーキが甘いとよく言われるZ750の方がまだカクンと効く。ただ、このバイクは車体が軽くノーズダイブも少ないので、しっかり握れば制動力は強いし安定している。
総合評価
「外車だから」と言い訳せず、国産車と真っ向勝負が出来る価格。国産ネイキッドではありえない軽さとコンパクトさ。色んな意味で異例の力作バイク。
ただ、常にハイテンションを強いられてる感じで、乗っていて結構疲れることも事実。特にエンジンのドンつきは許容範囲外。サスも前後ともしなやかさと腰のバランスがイマイチ。
という具合に、詰めの甘さと作りの荒さは外車らしいといえるが、その反面全ての国産ネイキッドが鈍重に感じるほどの軽さとパワー。まれに見るエキサイティングなバイク。