バイクインプレNEO by MCタイチ

バイク(&クルマ)試乗インプレ

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COMS (トヨタ車体)

居住性/ラゲッジ

試乗車はB.COMデリバリーというグレードでリアボックスが付いているが、ジャイロキャノピーより明らかに大容量で形状もほぼ長方形だった。ただ法律上はミニカーのため、最大積載量はカブなどと同じ30kgとなっている。

室内空間は一人乗りとしては左右高さ共充分余裕がある。オプションのキャンバスドアはファスナーで開け閉めする面倒くささがテントみたいで笑けてくる。上部はマジックテープ、サイドとフロアの部分はボタンで固定されているので当然防水性は無いが、冬場の寒さは凌げそう。

室内は防水仕様なのでシート表面もただのプラスチックだが、個人的には座り心地の悪さを感じなかった。そしてエアバック標準装備となった今はゲーセンでしか見かけることがない、昔懐かしいMOMO風ステアリングが泣ける。エクステリアも写真で見るとT-Rexみたいでごついが、実物を見るとコンパクトでキュート。

パワートレイン

試乗コースはディーラーの裏道をワンブロック2周しただけなので、最高速は40km/hも出していない。よって実際の最高速は判らない。その範囲での動力性能は、もたつくわけではないがEVに期待する力強さや滑らかさも感じなかった。

アクセル開け初めのトルクの出方をダルくしているのか、あるいはアクセルOFF時の回生ブレーキのレスポンスが遅いのか、レスポンスが全般的にリニアじゃないという印象だった。アクセル開度と発生トルクの関係については、我がデンキカブや出来が良い方の中華系電動スクーターの方がリニアでスムーズだと思う。

またモーター(コントローラ)音は外で聞いている限り静かだが、中のドライバーにとっては結構五月蝿い。音質も一昔前の鉄道か屋内用フォークリフト的な安っぽさなので、これも全般的な質感に影響しているかもしれない。

あとブレーキングだが、回生制御の問題なのかノンサーボブレーキの実力なのか、確か30km/h付近で「空走感」があった。

ハンドリング/乗り心地

車体が小さく挙動がクイックなのでカート的な楽しさはある。ノンパワステだが極低速でも重すぎず、ギアレシオとしても適度(スロー過ぎない)。ステアリングインフォメーションもちやんとある。

ただ、ちょっとした凹凸で車体が揺さぶられ乗り心地は悪いし、車体の安定感という意味でもNG。足は硬いのにロール剛性は低いという、超ナロートレッドの弊害だろう。30-40km/hでこの安定感だから、最高速の60km/hはちょっと怖くて出したくない感じ。

総合評価

カート的な面白さはあるものの、パワー特性/シャシ性能共ゴルフカートや遊園地の乗り物のレベルを脱しきれてないように思う。こうした狭小4輪車の挙動は普通の4輪は勿論、2輪車よりシビアになると思う。それをかなり厳しいコスト制約の中でまとめるのはかなり大変かも。

実際、試乗したディーラーの前の道は国道171という幹線道路だが、そこをこのクルマで走るのは危険すぎるので、客は勿論スタッフも走ったことがないという。バイクより幅があるため、抜く方も抜かれる方もかなりリスキーという認識は僕もスタッフも同じだった。その上、殆どクラッシュ耐性が無いボディーの中に固定され、ヘルメットも無しで走るのは2輪車よりも恐怖を感じる。

車両価格は68万円~80万円でキャンバスドアは全てのグレードでオプション扱い(55000円!)。鉛電池仕様のEVとしては割高と言わざるをえない。ちなみに当店舗でのこれまでの販売はゼロらしい(泣)

国交省はミニカーの上に超小型モビリティーというカテゴリーを作ろうとしているが、多少大きくしたところでこれを日常の足にしようと思う人は非常に限られると思う。まあ、カートのクイック感とシニアカーの走る棺桶感を同時に味わいたい人には良いいかも。いろんな意味で天国に一番近いクルマ?(・_・;)

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