バイクインプレNEO by MCタイチ

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CRF250L (honda)

イントロ

2017年にRallyの登場と共にマイナーチェンジされたCRF250L。変更内容はエキゾーストパイプの大径化と前後サスの設定。RallyのLD(ローダウン仕様)には大阪モーターサイクルショーで試乗したが、後期型の素のCRFに乗るのは初めて。尚、試乗車は2018年モデルだが、写真は色違いの2019年モデル。

ポジション/足つき/取り回し

試乗車はLDではない標準車高のCRFだが、ショップのカスタムでフォークを10mmほど突き出してあり、シートも少しアンコ抜きされていた。跨るとノーマルと比べてさほど違いは感じなかったが、スタッフによるとノーマルとLDの中間くらいになっているという。何れにせよ私の場合、片足だけなら少し腰をずらすだけでべったり地面に付く程度にはなっていた。

しかし実際に街中を走ると路面は何時もフラットとは限らないし、停まった時に車体が必ず垂直に立っているとは限らないので、実質的な足付き性はもっと悪くなる。例えば信号待ちでアスファルトの轍の凸部分にタイヤが乗ってしまった時にはかなり焦った。少し車体を傾けると簡単に足が付くスクーターに慣れてしまうと、傾けるとサスが伸びて逆に足が地面から遠のいてしまうオフ車の特性はかなり怖い。これに比べると、以前乗っていたセロー225やDRZはリバウンドストロークがこれほど長くなく、静的足付き性と動的足つき性が近かったと思う。

なので一応目安としては、CRFのノーマルに平地で跨った時、両足が指の付け根あたりまで付く人ならノーマルでOKだろう。もし片足ベッタリでも、両足つま先が同時に地面に触れる程度なら、普段使いでも荒れ気味の林道でも厳しいと思う。私もオフ車らしい柔らかな乗り心地に惹かれてノーマルが良いなと思ったけど、公道で試乗したらLDにしとけと言われてるような気がした。それにホンダの水冷セローと考えれば、LDは中々良い立ち位置だしね。

ポジションは流石に上体直立で楽ちんだが、ハンドル形状は思った以上にフラットで幅広に感じた。これは普段絞った形状のPCXのハンドルに慣れているからだと思うが、DRZでもSMはモタードだからもう少し絞ってあったような気がする。

パワートレイン

エギゾーストもショップカスタムでモリワキ製に替えられていたので、ノーマルよりパコパコと勇ましい音と振動がある。スタッフ曰くパワー特性はノーマルより高回転型らしいが、乗ってみると低速トルクが不足しているわけでもなく、むしろ近年の250としては力強い気がした。回転を上げると単気筒らしく音や振動はバタバタと大きくなるが、フリクション感が少なく意外と伸びやかな印象だった。

大阪モーターサイクルショーで試乗したRallyはノーマルのエギゾーストだったが、意外とバリバリして低速トルクもそこそこありながら上も割と伸びそうな印象だったので、これはCRF用エンジンの特性かもしれない。因みにベースは同じエンジンのCB250Rの方がむしろ穏やかでまったり系だったと思う。

ハンドリング/乗り心地

フルサイズのオフ車らしく、寝かしても前輪が中々向きを変えない鈍重なハンドリングだが、RallyのLDと比べたら幾分軽やかな身のこなしだと思う。試乗コースが全く違うのでRallyの時のようにUターンはしていないが、市街地で乗った限りこの特性に慣れたら何とかなりそうに思えた。

ただ発売直後の初期型に試乗した時から、足元をすくわれるようなバンキングだと言ってきたけど、後期型もその特性は受け継いでいた。セルフステアが弱い為、寝かすと逆ハンを切ったように感じるのだが、その際に前輪がズルっと滑りそうな気がする。しかも気がするだけならまだしも、今回の試乗では実際に交差点で曲がろうとして(白線に乗ってたかも)一瞬滑ってかなりヒヤッとした。

オフ車だからオンロードでのグリップに劣るのは当然とは言うものの、これでは舗装路で苦痛なバイクになってしまう。これは純正タイヤの性格も影響していると思われ、見た目にもブロックが高く(谷が深く)面積は小さ目。公道走行可能なトレールバイクにしてはオフ寄りの製品かも。あるいはホンダがIRCタイヤの仕入れ値の安さに負けて、剛性やグリップの低さに目をつぶったとか?何れにせよこのバイクは、車重的にオフロードを攻めるタイプではないので、純正タイヤはもっとオン寄りのもので良いと思う。

乗り心地についてはオフ車らしさが良い方に働いて非常に快適。当たりはフカフカと柔らかいが奥で急に固くなって突き上げるようなことはない。シートもオフ系にしては幅広なので(DRZより広い)、比較的お尻が痛くなりにくいと思う。

総合評価

初期型発売直後のインプレにSUVみたいなバイクだと書いたが、ネットのレビュー等で同じ表現を使っている人を複数見かけた。本格的なオフロード走行には向かないが、舗装路でも乗り心地がよく見晴らしも良いので快適という意味でCRFは正にSUVだと思う。それに、CB250Rなど最近のネイキッドが妙にストリートファイター的なジオメトリになる中、アップライトなポジションという意味でもバイクのSUVは必要だしね。

そういう世評をホンダは知ってか知らずや、マイチェンで追加したRallyにSUV的な役割を負わせ、従来のCRFはオフロード志向を強めたようにも見える。しかしノーマルのRallyは問題外の車高だし、LDは直線なら良いがタイトコーナーや取り回しがあまりにも鈍重。その点CRFの方が、日常的に気軽に乗れるSUVに適した素材だと思うので、もう少しオンロードグリップがマシなタイヤを履いたり、ハンドル形状を絞って欲しい。

更に欲を言えば、ホイールサイズを一回り小さくし(F19/R16インチくらい)、タンクやシートもストリート系にして全般的に車高を下げたスクランブラー的なモデルを出して欲しい。あるいはホンダの水冷トリッカーみたいなのでも良いけどね。醜いキャニスターからチューブで繋がれ延命させられる昭和の空冷エンジンなんて哀れにしか見えないから。

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CRF250L に関するコメント

Versys乗り

純正だとGPA21,22ですが、多分、空気圧が高かったんじゃないですかね?
空気圧調整だけで割と、ONでもOFFでも食うタイヤなんで。

MCタイチ

そうなんですね。言い方を替えると空気圧の依存度が高いタイヤというわけですか。
ただ、そうこう言ってる間に新型が発表されましたけどw

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