イントロ
おまたせしました^^;遂に乗ってきました。珍しく試乗前に色々と情報を得ていたので、やや先入観が生まれつつあったけど、乗ってみると実にナイスなバイクでした。
※11/10 別の店で2度めの試乗したので追記。PCXに適応しつつある僕の体が一番戸惑ったのが、実はエンジンではなくハンドリングでした。えっ!こんなに重々しかったっけ?と。これから試乗する全てのバイクが重く感じそうで怖い(*_*;
ポジション/足つき/取り回し
MT-07で唯一気になったのがポジションだ。先ず、MT-09よりハンドルが遠く上体は前傾する。幅広で直線的なハンドルがモタードみたいと評される09のポジションは、僕には当然違和感がなかったが、07のハンドルは遠くて狭くて絞ってある。結果として前傾度はZ750と同等くらいかな?
まあこれがオンロードバイクの標準で、僕がそれに慣れてないだけかも知れないが、下半身とのバランスは普通じゃないと思う。というのも、ステップ位置が前過ぎで高すぎるのだ。
それで上体がモタードのようにアップライトならバランスが取れるのだが、上体は上述のように結構前傾姿勢。だから、椅子に腰掛けてテーブルの一番奥に置いたキーボードを操作しているような、腰の曲がりがキツいポジションになってしまう。
まあこのへんは、ライダーの体型や好みに次第というのが無難なまとめだが、MT-09と比較して明らかに違うのは確か。07のポジションに違和感を覚えない人は、09のハンドルは近すぎステップ位置は後ろ過ぎと感じるはず。
足つき性は250のオンロードバイクに勝るとも劣らないほど良好。ただ、上述のステップ位置の為に、止まって足を出すときにステップの後ろに足を出したほうがしっくりくる。そんなバイクはアメリカンしか無い!と思いきや、僕のDRZもそうだった^^;普通のネイキッドやセパハンのバイクって、ステップの前か後ろのどちらに足を出すんだっけ?
あとタンク形状は見た目に長く、シートの先端からそそり立つような形状だが、走ってみてやはり股間が窮屈な感じが若干あった。勿論、少し後ろに座れば良いのだが、そうするとハンドルやステップが益々遠のいてしまう。
押し歩きも試してみたが、跨った時の印象と同様にあまり軽くなかった。これより数値上は15kgくらい重いGSR250と体感的には変わらないと思う。まあ、GSRの方が重心は低いんだろうけど、169kgという車体重量はちょっとサバ読んでるのかな?
パワートレイン
スタートから感じる豊かな低速トルクは700ccのツインとして期待に違わぬものだった。最初はエンブレが強めに感じたが、DRZの感覚で回したからかも知れない。実際にはもっと低い回転でもDRZと同等の加速が得られると思う。
MT-09のようにパワーのモード切り替えは無いが、シャープすぎず鈍すぎず自然ななレスポンスだった。回転上昇もパワーカーブも自然。これに比べると、やはりMT-09のレスポンスはどのモードもどこか人工的で扱いづらいと思う。
パワーそのものも09は過剰感があったのに対し、07は扱える範囲という感じ。勿論、ちょっと頑張れば発進から数秒で一発免停ゾーンに突入できる力は持っているのだが、過渡特性が自然だとパワーが手中に有る感じがする。
サウンドや振動も予想外に良かった。ヤマハのサイトで聴くとカリカリ・ギャンギャンと安っぽい音だが、実際にはもっと円やかで低音寄り。と言ってもアメリカンのようにドロドロしてないし、NC700のようにバタバタしてない、もっと軽快なポロポロと心地よい音だったし、振動もマイルド。
あと、上の方のギア比が感覚的には高めで、トップギアかと思ったら実は5速だった。これならかなり楽々高速クルーズが出来そう。これとは逆にもう1段上があると思って、幻の6速に入れようとしてしまうDRZ乗りからすると羨ましい限りだ。
【11/10追記】スウィートでパワフルなエンジンに変わりはないが、2速-3000rpmくらいでアクセルの開け始めがややスナッチ-に感じた。もっとも、700ccのツインとしては極普通のレベルだと思うし、MT-09のスタンダードモードのようはドンツキはない。
ハンドリング/乗り心地
非常に軽いと評判のハンドリングだが、先ず静止状態で跨がり揺すってみた所、さほど軽くない。隣にあった09と比較しても違いが良くわからなかった^^;店員にガソリン残量を聞いたら、ほぼ満タンだと言ってたが、走りだして燃料計を見るとほぼエンプティーやんか!(*_*;
で、走ってる時のハンドリングだが、やはりそんなに軽くない。そればかりか、サスがよく動きヒラヒラ感がある09よりむしろどっしりしている気さえした。ただこれはネガティブな意味ではなく、このくらいは安定感があった方がむしろ好ましいと思った。実はDRZだってこれに比べて劇的にクイックな訳ではないし、あまりシャープだとタイトコーナーでかえって扱いづらいものだ。
サスの動き自体は、09程では無いが柔らか目でスムーズ。09はノーズダイブの速度が早すぎてピョコピョコしているが、07のストロークスピードは尋常だった。当たりはやらかいけど腰は有るという意味でも良好。実はこの辺の感覚もDRZにやや近い(フロント荷重が小さめなことも含め)。
Z750のようにフロントはスムーズだけどリアは硬くて突き上げるなんてこともなく、乗り心地も良好だった。ただこれは、非常にしなやかな事で知られるミシュランのPilotRoad3の恩恵も少なからす有ると思う。
【11/10追記】ハンドリングがYSPで試乗した時よりネットリと重々しかった。これは僕がPCXの超軽いハンドリングに慣れてしまったせいもあるかも知れないが、搭載燃料の差(今回は5/6目盛りで前回はほぼエンプティー)が大きいのではないだろうか? タイヤは前回と同じPR3
総合評価
事前に色んな情報を得すぎてやや混乱していたが、乗ってみてすっきりした(^^) ひとことでいうとMT-09の欠点を潰したようなバイクだった。過激で不自然なレスポンス、動きすぎるサス、ハイオク仕様、倒立フォークという不具合(?)が全て対策済み。
いや、09は09でアメイジングなバイクなので、これはちょっと悪く言い過ぎだな。正しくは、良くも悪くも特殊で尖った09を普通にしたのが07といったところか。
よってかなり好印象なのだが、ただ一点しっくり来ないのばポジション。だからといってアップハンドルに換えるとハンドリングが変わるからなあ。バックステップは専用品で高そうだし。
あと、タンクがほぼ空なのにアレだけどっしり感があったということは、満タンにしたらどんだけ重くなるんだろう?という一抹の不安はある。しかも、MT-07は今日のオンロードスポーツとしては異例なほど前輪分担荷重が小さいのだから、ガソリン搭載量の違いが車体バランスに与える影響はより大きいはず。
それ以外は本当にナチュラルで良いバイクだと思う。店員が言うには、今までずっと軽量/ハイパワーな昔のオフ車に乗ってた人がよくMT-09や07を買っていくと言ってたが、それは判る気がする。やはりバイクにとって軽量/ハイパワーは正義なのだ!
その意味では、Duke390や690も同じようなキャラだが、単気筒だからもっとバリバリ感があって柔軟性にちょっとかけるところがある。輸入車だから購入時の諸費用が高く、コストパという点でもMT-07の圧勝だね。というか、国内400と比べても全然安いんだけどね。これはホントに素晴らしいことだ(^^)