バイクインプレNEO by MCタイチ

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スクランブラー (ducati)

イントロ

大阪MCショーで見て気になっていたスクランブラーが遂に日本で発売された。試乗したのはアーバン・エンデューロという仕様だが、サスもタイヤも勿論エンジンも他の仕様と同じ。

ポジション/足つき/取り回し

ドカティの中では格段にコンパクトな車体。足つき性も大変良好で、Z250くらいの感じかな。600〜800ccクラスではこれほどコンパクトで足つきが良いのは、日本のバイクも含めて無いと思う(おっとHDのストリート750があった)。

アップハンドルで位置も遠くないので、ほぼ上体が直立したモタード風のポジション。ただハンドル幅だけはドカティらしく(外車らしく)やたらと広い(DRZより広い)。それに高さも高すぎるので、鉄棒してるみたいな姿勢で肩がこりそう。4タイプの中で「フルスロットル」だけはハンドルのライズが低いらしいが幅は不明。個人的には、より狭く低く近いハンドルグリップ位置が適当。少なくとも、上述のように車体構成はネイキッドなので、こんなに幅広にする必要はないと思う。

あとシート下には充電用のUSBポートと、財布と普通のスマフォくらいは入りそうな小物入れがある(ただしETC置き場でもある)。こういうのは細かい事だけどストリートバイクとしては重要。最近のバイクって財布すら入らないのが多いからね。

パワートレイン

スタートして早々、さほど回転を上げたつもりはないのに、ガツンと仰け反るほどのトルクに見舞われる。エンブレも強めなので相当スナッチーなエンジンというのが第一印象。

後でその話をディーラーのスタッフにすると、その通りかなり低速でトルクが出るチューニングになっているという。従来の空冷モンスターは低速トルクが意外と弱く、回転を落とすとストールしそうになるが、スクランブラーはかなり低回転で走れるので、普通の感覚より早目にシフトアップすると使いやすいとのこと。

僕もスタートから数分後には、アクセル開度控えめ回転を極力落として(多分3000rpmくらい)走ったが、確かにノッキングやストールの気配は無かった。トップギアで50km/hちょっとから加速出来、少なくとも80km/h台まではドコドコと穏やかにクルーズ出来る。

過激なレスポンスも使い方が判れば制御出来そうだが、気を抜くとガツンと背中を蹴られたようになる。やはりモンスター821のアーバンモードよりは、荒々しいエンジンだと思う。

ハンドリング/乗り心地

サスはしなやかによく動き、乗り心地が大変良い。ストロークはモタードみたいにないけど、奥で踏ん張るのか底付き感・突き上げ感がない。柔らかいけど、ドカティらしく高荷重に耐えられそうなドッシリしたサス。シートも外車にあるまじき柔らかさだが、これも奥で踏ん張るというかクッションがリッチというか、フニャフニャでお尻が痛くなるタイプでは無さそう。

ハンドリングは市街地しか走ってないので良くわからないが、ジオメトリ・重量配分から想像出来る通り、基本的にはネイキッドバイクのタッチだ。つまり、モタードやアドベンチャー系のようなヒラヒラ感は無く、適度に塊感(フロント荷重)があり、ドカティらしくややドッシリしたハンドリング。モンスター821より上体が起きているので入力はしやすいが、逆にオフロードよりのタイヤで動きが緩慢になるので、トータルのネットリ感はほぼ同じくらいだろう。

総合評価

コンパクトな車体、楽なポジション、しなやかなサス、ちょっとはダートも走れそうなタイヤ、大トルクエンジン、そしてカジュアルなルックス。パッケージングが良ければコンポーネントは平凡でも楽しいバイクは充分作れるということ。オフ車の軽快感は魅力だが、足つきの悪さとお尻の痛さとパワーの無さが問題と思ってる僕としては、理想とも言うべきコンセプト。

しかし問題なのはこの値段。ベーシックモデルでも100万円、それの外装違いが更に20万円アップって何じゃそりゃ。ハーレーですら85万円のエントリーモデルを出したというのに、現行ドカティで最も簡素なモデルがこのお値段とは我が道を行き過ぎてないか?

というわけなので、これと全く同じコンセプトで、グラディウス650かMT-07のエンジンを積んだバイクの開発をスズキとヤマハにお願いしたい。GSR250とかDuke250のエンジンでも良いけどね。

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