居住性/ラゲッジ
ポルシェボクスターより低いという着座位置だが、ボンネットが低いので扱いにくさは感じない。足を投げ出すポジションもしばらくすると慣れてくる。ただ、車から降りる時に「ああ、低い車に乗ってたんだ」と判るだけ。
このR仕様の下は競技ベースの仕様なので、実質的にはこれが廉価バージョン。なのでインパネも簡素なのだが、上級グレードのように下手に飾り付けるより、こっちのほうが潔く質感の低さが目立たない。
パワートレイン
3000rpm位が音色的に心地よいというのはトヨタ86と同じながら、それ以上回しても何故か86ほど五月蝿さを感じなかった。基本的に分厚い低速トルクが気持ち良いエンジンで、音の割りにはパワーはそんなに盛り上がらないという点は同じ。
高回転まで回したワケじゃないけど、200馬力というスペックはホンマかいなという感じ（途中で豹変するようなタイプじゃなさそうだし）。体感上は136PSのスイフトスポーツとそんなに差がない。またインプレッサG42.0L（150馬力）と比べたらもっと変わらない(^_^;)
シフトタッチも良いしクラッチは軽め。だた、クラッチミートでエンジンがスナッチを起こしやすい気がする。ビッグシングルみたいに、トルクはあるけど粘りはないということか？
ハンドリング/乗り心地
乗り心地が固くマンホール等で揺すられる感じは86と同じながら、BRZの方がややマイルドで少しだけ精度感や落ち着きが増したような気がする。サス関係の仕様上の違いはフロント（リア？）ショックのセッティングというが、それだけの問題なのだろうか？
何れにせよ、これぞ正しきスバルの4WD（駆動力配分0：100の）という感じで、86はトヨタ色を出そうと変に弄っちゃったのかも。尚、試乗したのは中間グレードのRだが、オプションの17インチタイヤを履いていた。ノーマルの16インチだと、これより多少軽快な感じになるらしい。
今回初めてワインディングを走ったが、FRの割に回頭性が重いのは86と同じだった。低速コーナーではロールが殆ど感じられず、ただハンドルを切った方向に進むだけで操ってる面白さはない。繊細な操作に対する挙動がつかみにくいというか、平たく言うと大味なのだ。
まあそんなに突き詰めなければ、アメリカンマッシブスポーツを乗り回してるような感じは（乗ったこと無いけど(^_^;）それなりに面白い。しかしそれは「スポーティー」とはちょっと違うし「ライトウェイト」であろうはずもなく、折角こんなに小さく作ったのに勿体無い気がする。
ただ営業マンによると、速度域が上がるともっとシャープな一面が顔を出すという。それはつまり、渋めのサスは低負荷領域では鈍いが、高G領域では反応が良くなるということかもしれない。更にそれを超えると、フロントヘビー＝リアライトの素性が顔を出しリアが流れるみたいな（またはASCが頻繁に介入する）。
しかし、そうしたドリフトマシンはプッシュアンダーをリアスライドで消してるようなもので、前後タイヤ本来のグリップを生かしきれておらずコーナリングスピードは落ちる。それをもって「速さより楽しさを追求した」とか言われてもねえ。
FFと同じでフロントヘビーだと旋回初期の応答性は良いが、その後の切り増しは効きにくい。後輪駆動本来の特性は逆で、切り始めは緩慢だが旋回に入ってからも切り増しが効くと言うこと。FFなら駆動輪＝操舵輪なのでコーナー内側に引っ張る事ができるが、フロントヘビーな後輪駆動ほど情けないものはない、というのがかつて乗っていたR32スカイライン（直6 2Lノンターボ）からの教訓。
だから86のインプレでも書いたように、エンジンをもっと後ろに搭載すべき（前後重量配分だけでなく慣性モーメントの小ささも重要）。それでフロントサスをもっと柔らかくすれば、低速域での回頭性も乗り心地もよくなる筈。
総合評価
トヨタ86の印象がちょっとガックシだったので暫く興味を失っていたが、BRZに乗って好感度がUPした。まあ、例によってその時の気分や体調、そして走った場所が違うのでインプレもあまりあてにならないが、僕が何方か選ぶならBRZだ。営業マンの知識もトヨタとは全然違うしね。
ただ、ジャーナリストがやってるようにクローズドコースでドリドリとか、箱根などの高速ワインディングでぶっ飛ばさないと本来のスポーツ性を発揮出来ないクルマは、少なくとも僕にとっては否現実的なスポーティさだ。逆に競技志向の人にとってはエンジンと言いシャシと言い、弄ってもタイムの伸びしろが少ないような気がする。
勿論、高速ツアラーとして快適だし、逆に普段使いでもOKな扱いやすさもあり、そのへんのワインディングで乗ってもツマラナイ訳ではない。ただそれならインプレッサ2.0Lと大差ないし、実質2人乗りなのにコミコミで300万円近くするクルマとしてはもっと別な付加価値が欲しい。
