イントロ
期待のイグニス、2WDのMX(中間グレード)に試乗した。
居住性/ラゲッジ
乗り込んで直ぐ、普通のコンパクトカーより視点が一回り高いのが判る。また、スイフトなどより乗車姿勢がアップライトで、Aピラーも比較的立っていて頭上空間にも余裕がある。更にボディー形状もボクシーなので取り回しも良いという、コンパクトカーとしては非常に真っ当なパッケージングだと思う。
ボディーのサイズ感はスイフトより幅も長さも一回り小さく、スプラッシュと同等でマーチより若干大きいくらい。室内空間はスイフトより頭上に余裕があるが、前後にはあまり広くない。これもスプラッシュと同じくらいだと思う。
ラゲッジは写真の通りかなり上げ底。倒した後席の高さと合わせるためのパネルの下は、4WDで10cmほどの深さの空間があり(2WDだともっと深いらしい)、その下はパンク修理キットがある。
パワートレイン
エンジンそのものはスイフトのデュアルジェットと同じらしいが、車体重量が軽いせいか発進加速のもたつきが無くなっていた。低速でややカリカリと甲高い音を発するがトルク自体は充分。一旦速度が乗ってから(50km/hくらいかな)の加速は従来通り伸びやか。80km/hくらいの巡航なら、かなり静かだと思う。
ハイブリッドシステムはスイフトとは違うがハスラー等とは一緒とか、相変わらず仕組みが良くわからない。充電等の条件によっては、加速時に最大30秒間モーターが駆動力アシストをするらしいが、短い試乗では殆ど発動せず、しても殆ど体感できなかった。店員によると、このシステムは加速性を向上させるものではなく、エンジンの負荷を減らして燃費を向上させるものらしい。
ただ一点感知できるのは、アイドリングストップからの復帰が静かなこと。スイフトのようにカリカリとしたセルモーター音は聴こえず、ブルンとエンジン自体の始動音がするだけ。また、アイドリング時のエンジン音自体が静かなので、アイドリングストップしていてもしていなくても、あまり差がわからない。
ハンドリング/乗り心地
一応、クロスオーバーだと意識して乗れば、それなりに揺さぶられるようなピョコピョコした挙動かなとも思うが、何も考えずに乗れば普通のコンパクトカーと殆ど変わらないと思う。
雑誌などで乗り心地が硬めとの評価もあるが、バキバキなアルトワークスに比べたら遥かにマトモ。ターボRSと比べても、ボディサイズの余裕がある分若干良好だと思う。因みに代車で現行マーチに乗ったことがあるが、イグニスよりゴツゴツしてた。
ハンドリングは上述のようなクロスオーバーらしさ(やや硬めのバネとロールセンターの高さでロールを抑えてる感じ)はわずかにあるが、アルトワークスのような無理に固めた突っ張り感はなく、少ないロールで軽やかにコーナリング出来る(例によって40km/h以下の低速コーナーだが)。
総合評価
スタイルやスペックから期待していたが、それを裏切らない素晴らしい出来栄えだった。勿論、突出した性能や刺激性を期待されては困るが、コストやサイズの制約の中で最大限の成果を出していると思う。特に800㎏台という下手な軽を下回る車重は素晴らしい。GSX-Rで培った軽量化技術が生きているのか^^;
アルトターボがいくらハイパワー・高剛性と言ってもやはり軽。同じメーカーの同じ時代の技術を使った、リッターカーの上質さとは格段に差がある。なのに、日本の歪な自動車税制のお陰で、売れるのは軽ばかり(それを超えるといきなり3ナンバー)という現状が改めて勿体無い。
ただ、ちょっと気になるのが価格設定。殆ど売れないだろう最廉価グレードが138万円から。売れ筋中間グレード2WDが150万円からと、スイフトより一回り高め。一応クロスオーバーで大きめのホイールを履いたりしてるので、コストが高めなんだろうけど。
そういう意味では、イグニスのノーマル車高の車種がどんな走りでどのくらいの価格で出るのか気になる。それが次期スイフトになるのか、別の車種になるのかは判らないが、まさかこのプラットフォームではクロスオーバーのイグニスだけってことはないよね?