バイクインプレNEO by MCタイチ

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SZ552M(原付1種) (Scootech)

ポジション/足つき/取り回し

シート高が低めなのか、とても大きなシートなのに足つき性はあまり悪くない。ただステップボードが高めなこともあって、相対的にシートとの落差が小さい。よって、極端に言えば風呂場の椅子に座ってるような膝が曲がったポジションになる。ステップボードの下は空洞だし、さほどバンク角を気にするバイクでもないので、あと少しでも下げたほうが良いと思う。

LIBの恩恵を最も感じるのは押し歩きの軽さだった。外観はボリュームがあるのにサラッと押せてしまい、ちょっと寝かせてもズッシリ倒れそうになったりしない。鉛電池だったらこうはいかないだろう。

シート下にはアタッシュケースっぽい形状のバッテリーパックが縦に搭載されている(オプションでもう一個搭載可能)。重量は気軽に持ち運べる感じではないが、容量が一個60V*24Ah=1440Whもある事を考えると、かなり軽いのではないだろうか?例えば、その半分の容量しかないe-Let'sのバッテリーパックは、これの7割くらいの重量感だったと思う。

ただ、このバッテリーパックの角とシート裏側の樹脂骨格が干渉してしまい、何とシートが完全に閉まらないのだ(ラッチがちゃんとロックしない)。設計的なミスか製造精度がよっぽど悪いのか知らないが、これは何とかしないと不味かろう。シートに座って体重をかければ走行中にシートがガタつく事はなかったが、ずっとこのまま走ってるとどちらかが割れてしまいそう。

その他全般的にボリューム感のあるカウリングの下は実は空洞が多く、ある種ハリボテ的だ。特にシート下はかなりボリュームがあるのに、細いバッテリーパックで専有してしまいラゲッジスペースが全くないというe-Let'sの真似をしてしまっている。

パワートレイン

先ず旧モデルと同様に、出だしのアクセルレスポンスが唐突。普通のエンジンスクーターの感覚で何気なく開けると、バイクだけが股間から飛び出してしまいそうなほど強烈なトルクが一気に出てくる。20km/hも出せば穏やかなレスポンスになるので、ギア比の問題ではなく使ってるコントローラの癖ではないだろうか。

その後の加速は原付1種としては十分で、平地での最高速はメーター50km/hくらいで頭打ちになる。店の人によれば全開区間が十分取れれば(400m位?)60km/h位出るらしいが、普通町中ではそこに行くまでに信号などで止まらざるを得ないだろう。

幹線道路の立体交差の効果の上りでは全開でも40km/hくらいで頭打ちになるが、その際駆動力がブツんと切れたように感じる瞬間があった。過電流防止の為にコントローラが一瞬回路を切ったのではないかと推測するが、お店の人は判らないとの事。いずれにせよ、減速感は僅かだし直ぐに復帰するので、さほど大きな問題ではないと思うが。

タイヤのロードノイズなのか駆動系のノイズなのか判らないが、従来モデルより若干静かでスムーズになったような気もした。ただ、全般的な動力性能は軽量なLIB仕様になったのに違いはさほど感じられなかった。まあ、従来の鉛電池仕様のパワーフィーリングが好印象だったので、どっちにしろ僕が乗った原付EVの中では良い方だと思う。

ハンドリング/乗り心地

サスペンションのストローク感がないという中華バイクらしさは残っているが^^;以前よりゆすられ感が少ないというか、若干だが乗り心地や安定性が良くなった気もする。LIB仕様になって車体が軽くなった分、サスへの負担が減ったのではないだろうか?コーナリングも軽快になったというほどは変わっていないが、変なバタッと倒れるような重量感はなく率直だと思う。

あとブレーキは超強力で、何気なく減速しようとしてリアをロックさせてしまった。とは言え所謂カックンブレーキではなく、握る力に比例して効くタイプだが、絶対的なストッピングパワーが凄い。特にリアはGromの10倍くらい効く感じ(*_*; あとで見たらディスクの割にごついキャリパーが付いていてなるほどという感じだが、ディスクへの攻撃性は大丈夫なんだろうかとつい思ってしまった。あと、回生ブレーキ付きとあるけど、良い意味で回生ぽい感触は皆無だった(もしかしてON/OFF出来たりするの?)。

総合評価

スタイルは日本車の劣化コピーという、これまでの中華バイクの常識から一転、造形系センスもオリジナリティーも格段に進歩したと思う。ただ、中身は見た目ほどには進歩していなかった(*_*;まあ、元々走りは良い方なので悪くはないんだけど。

このバイクの売りは何と言っても新型リチウムイオン・バッテリーパックだろう。その1440Whという容量はEC−03(700Wh) やe-Let's(716Wh)の2倍以上になる。航続距離は実測で40km走れるというが、これは上述の日本車2台が20km走れる事と等価なので、非常に現実的な値だと思う。

なのに値段はバッテリーパック一個の仕様でEC-03とほぼ同じで、e-Let's(バッテリ一個仕様)より6万円も安い。細かな品質に問題があるとは言え、バッテリ容量/価格比2倍以上というコストパは圧倒的だ。

ただ敢えて言えば、電気バイク同士で比較したら競争力が高くても、エンジン仕様の原付(特に最近人気の2種)と比較してしまうと状況は一変する。さほど変わらない値段で買えるPCXやGromが、航続距離は勿論最高速でも圧倒し質感も高い。おまけに燃費が良いので、ランニングコストも大差ないとなると非常に辛いものがある

なので今の所電動バイクは、静かとかクリーンとか電動で有ることに特別な意味を見いだせる人の乗り物なんだと思う。これがもっと一般的な商品になるためには、バッテリーに破壊的イノベーションが起きないと難しいだろう(特にコスト面)。誰かとっとと開発してくれんかな?

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