ポジション/足つき/取り回し
ポジションは見た目に反して、国産のSS系に比べれば全然楽。とは言え、普段楽チンポジションに慣れている僕にとっては、市街地を走るとすぐに首筋がこり始める。多分SV400Sといい勝負。
スリムな車体とあんこ抜きをしたかのようなシートのおかげで、足つき性は多分ER-6F並みに良い。取り回しも、セパハンの分だけER6より若干不利と言うくらいで、充分軽快。
あと、よく言われるように、ウインカースイッチは外人並みに手が大きくないととても使いにくい。問題は左右に分かれたONスイッチよりも、右手のキャンセルボタン。普通のポジションからは親指が届かないので、アクセルを戻して握り直すか、左手で!操作するしかない。
パワートレイン
国産Vツインより乾いた音で軽やかに回って気持ちよい。決して神経質なエンジンではないが、弾けるようなトルクが気分を高揚させる(その分疲れるが)。
あまり回すと、振動もエンブレも強くなるので峠でも5000rpm位までが美味しいゾーンだと見た。そこまでのパワーはZ750とほぼ同じ(3000rpmくらいでは若干優位か?)。
ギア比が高目なようで、トップに入れるとエンジン回転がかなり低く抑えられ、高速巡航はかなり楽そう。しかし、逆に市街地や峠ではギア比が高い、又はワイドな気がする。
その他、細かな点で気になったことをリストアップしておく。
①「交差点の左折くらいの低速でエンストしそうになる」と以前書いたが、試すと案外粘るようで実際にはエンストしなかった。とは言えやはり直4のように極低速が得意なバイクではないと思う。
②緩やかに減速時、シフトダウンの為にクラッチを握ると、エンジンがストップしてしまう。(店員によれば、この車両特有の問題だろうとの事)
③停止時にニュートラルに入りにくい、又は入っていてもNランプが点灯しない。(これはそういうもの、つまり仕様らしい)
④アクセルON・OFFでカチャ・カチャと遊びがある。ベルトドライブは遊びが無いはずなので、エンジンの特性なのか?それともギアか?(どうやらこれも仕様)
⑤ブレーキングしつつシフトダウンすると、ブレーキペダルからカクッと衝撃がある。ABSがロックを感知して働いているんだ!と思ったが、店員によれはABSはそんな動きはしないとの事。じゃあ何故か?は判らない。
ハンドリング/乗り心地
BMWらしく低重心の安定感と軽快感を両立。F650CSを彷彿とさせる。
Z750と比較すれば初期の旋回性が弱く、特にフロント加重を少し残しつつコーナーに進入すると、思ったほど曲らず少々慌てるが、逆に減速が完全に終わり加速体制に入ってからは、リア旋回でとてもよく曲る。何だかSVのハンドリングを思い出した。
乗り心地はとてもよく、少々のギャップをものともしない。Z750では緊張するコーナー途中の凸凹塗装や、わだちも安心してクリアできる。
総合評価
今回近所の山で本格試乗が出来たので、インプレを大幅に修正。
「Versysのしなやかな車体とジェントルなエンジンにER-6の足つき性が備わっていたら理想なのにね」と言っていたが、ある意味それを具現化しているバイク。
「じゃあ、何で買わないの?」と聞かれたら、それは市街地や峠では何故か疲れるから。原因はポジションや使いにくいスイッチのせいもあるが、弾けるようなエンジンが、ついつい元気な走りを誘ってしまうからのような気もする。もちろんこれは慣れの問題が大いにあると思うが。
それと、上に書いたように、国産車には無い独特の癖がある。購入して距離を重ねるとさらに、トラブル未満の(それゆえ厄介な)現象が何か出てくるのではないか?と言う心配も無いではない。
そして最後にやはり値段。NewCBR600RRやR6、あるいはNewZ1000と実売価格が同程度ならまだまだしも、噂される値上げによってGSX-R1000やZZR1400に届きそうになったら?…かなり厳しい。
色々と難点を書いたが、それは購入を真剣に検討したらの話、普通にインプレすればとても面白いバイク。 それは、国産SSやストリートファイターとは違ったエキサイトメント。まさに、駆け抜ける喜び。