ポジション/足つき/取り回し
跨った印象をMT-09と比較すると、MTの方が明らかに軽量スリムで足つき性が良かったが、CB650Fも単体で見ればミドル直4としてはかつて無いほどスリムで軽量な車体だと思う。
ポジションも極浅い前傾でCB400Fに似ている。そう言えば重量感も400と殆ど変わらないような気がする。
これまでの印象より足つき性は悪かった。シートが高いというより、シートの角が硬いので股間が広がって足をまっすぐ下ろせない感じ。店内で乗り比べたNC750XのLD仕様の方が若干足つき性が良いくらいだった。
パワートレイン
ホンダの新世代直4エンジンにふさわしく、スーパースムーズでスウィートなエンジンだった。低速からトルクたっぷりでビュンビュン回り、静粛でありながら重厚なサウンドは気品すら漂わせる。4000-5000rpm位から音がザラつきフリクション感が増す従来型の直4とは一線を画し、GSR750やGSR400等と肩を並べる今のエンジンだ。
ただあまりにもフリクションが少ないせいか、回転の上昇も下降も急激。シフトダウンで煽りすぎるのは慣れで治せるとしても、エンブレも強めでややスナッチーなアクセルレスポンスと感じた。
試乗コースほぼ全域で40km/h未満という恐るべき低速走行だった為に、本領の1割も発揮できなかったが、極低速域でも難なく対応できる柔軟なエンジンであることは判った。
尚、同日同コースで試乗したこれのフルカウル版CBR650は、僅かながらザラツイた印象があった。通常はカウル付きの方が良くも悪くもマイルドになるのだが、何故だろう?
※05/25公道で試乗したので追記
店から出て最初の加速で40km/hの壁を破り^^;60-70km/hまで加速したら、とてもスムーズかつパワフルなエンジンだった。何気なく発進した時の加速感はマイルドなGSR750よりパンチが有るかも知れない。MT-09の方がどんな回転からも押し出されるパンチ力はあるけど、CBは回転上昇に比例して所謂リニアな感じ。試乗会のノロノロ走行ではレスポンスがちょっとシャープに感じたけど、公道の速度域では別段問題なかった。
ハンドリング/乗り心地
ハンドリングは軽快でありながら安定感もあり、コーナリング中の動きが自然でスムーズ。セルフステア期待より若干弱めの逆ハンテイストだが、自分のDRZの今のセッティングが少し切れ込み傾向だからそう感じるのかも。
フラットな駐車場コースだから乗り心地の評価は下せないが、サスの動きはNC700Sより上質と感じたCB400Fより更に上質っぽい。
【05/25公道試乗で追記】公道でもセルフステアが弱めの印象は変わらないものの、コンパクトな車体全体でクルクル曲がれる楽しいハンドリングだった。ただ普段モタードに乗ってるせいか、小さいのに重いという直4ストリートファイターらしい塊感があった。走っていれば問題ないが、足つき切り返しではちょっと冷や汗^^;
サスペンションはNC700Sは勿論、CB400Fと比べても上質感がある。勿論、モタードほどストロークはないし車体がコンパクトなので、住宅地の路地によく有る連続ギャップを拾うと揺さぶられるが、初期ストロークがスムーズなのでドタバタと安っぽい突き上げは無い。
総合評価
ホンダの直4と言えば、SS系は別として軽く10年以上前の前のバイクを使いまわしてたが(CB400SFは17年前!)、ここに来てようやく新設計の商品が登場した。当然ながら、ホンダがちょっとやる気を出せばYやSに追いつき追い越すことなど容易いわけだ。
しかし、展示車両のプライスタグを見て「アリャー」とため息をついてしまった。カウルなしで923,400円、カウル付きで999,000円(スーパーお肉かいな?)ときた。あのスーパーストリートバイクMT-09がABS付きで899,640円というのに、それはあまりにも唯我独尊プライスではないか?
もしMT-09と07の中間くらいの値段なら、リーズナブルで上質なミドルスポーツとして人気が出ただろうに。ただでさえ日本では人気のない600クラスが100万円もしたら、じゃあアレやコレの方が良いかなと、皆リッターバイクにひとっ飛びしてしまうでしょ。
タイホンダ生産の原付2種や日本のタイ(熊本)生産のNC700など、新生ホンダはトップバリュー&ロープライス宣言ではなかったのか?あるいはまさか・・・スズキに習って鬼値引き前提の定価とか?ひょっとしてそうなのか?!
【05/25公道試乗で追記】
試乗会があまりに低速走行だった為、公道で乗ると思わぬ弱点が見えるかもと危惧したが、そんなことはなかった。エンジンはスムーズでビュンビュン回りシッカリパワフル。車体はコンパクトでコーナーは率直にクルクル旋回。MT-09とGSR-750に並び現行ミドルネイキッドのベスト3に入ると思う。中でもCBのアドバンテージはレギュラーガソリン仕様ということと、正立フォークだということ(オイル交換が容易)。これにMT-07が参戦したらどういう戦いになるか楽しみだ。