ポジション/足つき/取り回し
ポジションはやはり腕を高く遠くに付き出したようなアメリカンスタイル。と言っても、ハーレーでよく見るバンザイの格好(後ろから見ると貼り付けにされたカエルの標本みたい(^^ゞ)ほど極端ではない。
シート高は見た目通り滅茶苦茶低いので足つき性は抜群。その分、重い車体を跨って引き起こすのに力が必要かと言えばそれほどでも無かった。車両重量は259kgもあるらしいが、その割には取り回しの不安感は無かった(多分重心がかなり低いのだろう)。もっとも、押し引きするとそれなりに重いんだろうけど。
実は人が乗ってる図を見ると、意外にもハンドル位置の関係はネイキッドのそれとあまり変わらない。しかし特殊なのは下半身で、椅子に腰掛けたように足を前に突き出している為、前屈運動をさせられているようなストレッチ感がある。やはりアメリカンに自然で楽なポジションを期待するのは無理なのか?
パワートレイン
まず1速からしてギア比が高く、普通のバイクの2速スタートのような感じ。勿論トルクが充分あるのでエンジンストールするような気配はなく、スルスルとスタートして柔らかなサウンドとレスポンスのまま40km/h位までカバーする。
2速以降のドドドド・・・と押し出される加速感はとても気持ちが良いし案外速い(^^ゞ 流石に大陸生まれだけあって、ギャンギャン回ると疲れるしスムーズすぎても退屈な単調な直線路で楽しめる感じ。
コーナーでシフトダウンしても回転数はそれなりなので、レスポンスが良すぎてギクシャクするような事はない。終始ドロドロと良い意味で緩慢。
ハンドリング/乗り心地
ハンドリングもエンジンとマッチして全てが緩慢/安定志向。寝かしこみはゆっくりだがスムーズ。途中で手応えが変わったりハンドルが切れ込むような事はない。シャープな回頭性とは対極にあり、普通の感覚で操作するとかなり大きな円弧でコーナリングしていく。
これは舞洲のような広いコースなら良いのだが、交差点とか中低速ワインディングでは辛いかも。特に体重の軽い小柄のライダーだとかなり気合入れてバイクに入力しないと真っ直ぐしか走らないとか(・_・;)
見た目にストロークが短いリアサスだが、フラットな舞洲のコースでは突き上げなど無かった。ただ、ストローク感も最小限なので、一般公道ではちょっとキツイかも。
総合評価
HDに乗るのは多分初めてだが、思ったより率直で扱い易かった。タイトなコーナーは苦手だが、北海道とかで乗りたい感じ。あと都会の湾岸道みたいなところでも合いそう。
個人的にはアメリカンのぼってり巨体&クロームギラギラのセンスが理解できないのだが、スポーツスター系はかなりコンパクトだし、特にこのローダウン/ブラックアウト仕様は非常にカッコいい。
ただ、110万円という価格はブランド外車としては安い方かも知れないが、僕のコストパ感覚からすれば半額が妥当。まあ、そういう売り手に美味しくないライダー向けなのが、ホンダのVT750Sなんだろうと思う。この883は完成度が高すぎで弄りようが無いが、VT750は適度にダサく作ってくれたのでカスタムのし甲斐が有るというもの。