イントロ

250Dukeを見ようと最寄りのKTMディーラーに行ったが無かったので、代わりにサイズも重量も同じ390Dukeに試乗した。実は390Dukeにもう一度乗って、感触を再確認してみたかったのもあるけどね。

ポジション/足つき/取り回し

相変わらず軽量・コンパクトな車体は跨るだけでポジティブなイメージが湧いてくる。押し引きも軽いので駐輪場で汗（冷や汗も含む）をかくことはないだろう。

ポジション的にはハンドルは近くて広いモタード風なので前傾はいたって軽い。ただ、ステップは高くて後ろなレーサー風なのも相変わらず（変わってないんだから同然だが）。体感的にも窓に写った自分を見ても、正座をしてやや前かがみになって茶を立ててるような滑稽さ。ただ、体全体に前かがみになってるので、ステップが前過ぎるMT07のように腰に来そうな予感はない。膝はだるくなるかも知れないけど。

足つき性も基本的に良いのだが、シートの角が硬いので足を地面に伸ばそうとすると内股が痛い。というかこのシート全体がメチャクチャ硬い。体重80kg近くあって人より硬めが好みの僕でも硬いと感じるのだから、普通の日本人が乗ったら木板くらいにしか感じないのでは無かろうか？まあ3000kmも走れば、幸か不幸かヘタって柔らかくはなるけどね。

パワートレイン

昨年乗った初期型はDRZと比べても弾けるようなハイパワーだったので、PCXに慣れた体にはさぞ刺激的だろうと身構えて乗った。

ところがスタートは至ってスムーズ。スカスカだった低速も400としては普通にトルキーになっていた。ただ、その後の弾けるようなパワーの上昇が無くなり、シングルエンジンらしく穏やかにトルクが盛り上がる感じ。恐らく、低速とのギャップが少ないからそう感じるだけでなく、実際に上のパワーというか回転上昇率は落ちてる気がする。

バリバリしたフィーリングは以前と同じながら、以前のスコーンとした回り方から、若干振動が多いというかフリクションが大きいというか、やや重々しい回り方になった。なんかDRZの前期型と後期型の違いとそっくりだ（この時は確かキャブの形式が変わった）。

僕が指摘した弱点（低速スカスカ感）が改善されたのに、それに文句を言うようで悪いが、15モデルだとDRZの後期型と同じ普通の400シングルという感じ。勿論この方が実用的で扱い易いし、他の国産400と比べたら依然パワフルだと思うが、かつての傑出したパフォーマンスが失われたようでちょっと惜しい気もする。まあこういうのを無い物ねだりというのかも知れないが。

尚、この2015モデルからスリッパークラッチが付いたらしいが、試乗中にそれを感じる事は無かった。2-3速でちょい回すと（5500rpmくらいかな）エンブレ強めだなという感じだったので、もっと回さないと作動しないみたい。Ninja250だと常用域で作動感があったので、そのくらいの設定でも良いと思う。一方、トップ6速なら76km/hくらいで穏やかに回ってるくらいのギア比なので、当然ながら200Dukeよりは快適なクルーズが出来そう。

ハンドリング/乗り心地

エンジンに負けず劣らず、サスも大変化。先ず跨ってバイクを揺すった時、昨年モデルはフォークが殆どストロークしなかったが、このモデルはちゃんとストロークする。走っても低速でピョコピョコ揺さぶられるような感触は無くなっていた。ただ、硬めのサスであることに変わりなく、細かいギャップをよく拾いゴツゴツした乗り心地だ。

ハンドリングは市街地だから殆ど試せないが、400クラスの中ではダントツに軽快で率直だと思う。まあ、PCXと比べるとハンドルの切れ角が小さく重心も高いので、Uターンとか8の字はやりにくいけど、これは仕方ないだろう。

総合評価

エンジンにせよサスにせよ、昨年モデルとあまりに変わってたのでビックリした。マイルドで乗りやすい方向に変化するのは基本的には歓迎で、サスは間違いなく良くなったと思う（少なくとも一般公道では）。一方、エンジンも間違いなく乗り易くはなっているが、以前のようにエキサイティングでは無くなってしまった。

これを進化と取るか退化と取るかはライダーの考え方次第。例えば僕ならDRZと比べて「あんまり変わらんやん」と思ってしまったり、80'sのレーサーレプリカ世代は「2ストのピーキーさが戻ってきた！」と喜んだのに、今年から「普通にもどってしもた(;_;」と嘆くかも知れない。一方、この種のバイクが初めてで全く先入観がない人にとっては、15モデルの方が断然マトモで充分速いという評価になると思う。

因みに、店員に昨年から今年で仕様変更があったのか尋ねたら、KTMは公式アナウンスは出さないが年式毎のランニングチェンジをよくやるらしい。すると毎年試乗しないとダメだね(^^) 来年はまた別の方向に変わってるかも知れないし。