ポジション/足つき/取り回し
ドカティの中で僕の足がちゃんと地面に付く唯一のバイク^^; 獰猛なエンジンも重い車重もこの足つき性の良さに随分救われている。
ポジションも長大なタンクから想像するよりはマトモに思えた。しかしそれは跨った時の話で、走ってみるとやはりハンドルは遠く、常に急加速に備えているような姿勢を強要されるので肩がこった。
ただ救いは、アメリカンのような足を投げ出すステップ位置にはなっていないところ。だから、上半身は疲れても腰に来ることは無さそう。
パワートレイン
バビューンとう獰猛なサウンドと猛烈な加速Gは、4輪でいうとアメリカンV8の如し。トルクは凄いが、一瞬力を溜めるようにしてドローンとトルクが出てくるので唐突感はない。
ただ、パーシャルスロットルは苦手で、特に60km/h以下で一定速度を保つのは楽じゃない。常に加速せよとエンジンが命じているかのよう。エンジンからの排熱も排気量なりにあり、特にマフラーがある右足は低温やけどしそうなくらい熱くなる。当然ながら混んだ街中を走っても疲れるだけ。
シフトポジションインジケータがあるのだが、スタッフによるとプログラムの誤作動で、Nに入っているのに2速とか3速と表示される事があるという。実際走るとその通り頻繁に誤作動を起こした。しかも、それとは別に普通のニュートラルランプもあるのだが、これも同じように誤作動を起こしていた。何度かNに入れ直したら正しい表示になったりするが、これじゃ意味ないね。あと、シフトタッチそのものもガチャガチャしてて入りにくい。日本車だと原付2種クラスでたまに遭遇する位のシフトタッチの悪さ。
ムルティストラーダと基本は同じエンジンだと思うが、ディアベルのほうがバリバリ・ガチャガチャと荒々しかった。ワザとそういう味付けにしてるのかも知れないが、ワイルドというより単に機械としての精度が悪いだけという気がしないでもない。
ハンドリング/乗り心地
まず跨ると、見た目から想像するより遥かに軽快に左右に振れる。走りだしても同様に、巨体の割りには軽快に寝かせるし、高重心でバタッと倒れる感じも無い。セルフステアも強すぎず弱すぎず、個性的なスタイルに反して真っ当なハンドリング。
ただ、上述のエンジン特性のせいで、低速ワインディングでは扱いが難しく楽しくない。モタードと比べるのは酷かも知れないが、やはり絶対的な重量は如何ともしがたく、細かなライン修正は出来そうにない。見通しの良い中・高速コーナーで、ちゃんと出口が見えてからワイドオープンにするような曲がり方が合うのだろう。
乗り心地は、リアサスのストローク感が殆ど無く、路面からのショックは重い重量で抑えこんでいる感じだった。しかし、試乗後自分のDRZに乗るとこれはこれで結構硬い足回りに感じられたので、ディアベルも実はそれなりにストロークしてたようだ。
総合評価
見た目から想像するより乗りやすいという噂は本当だったが、それでも快適なバイクとは言い難い。混んだ町中で乗れば、ACコブラに乗って出かけたのに都心の渋滞にはまってガックシな所ジョージの気分を味わえるだろう。
やはりこのマシンは、何処までも続く道路を何処までも加速するような乗り方が似合うと思う。これは正に、イタリアで作られたアメリカン=マカロニ・ウエスタンなのだ。よって、細かい部分の品質を気にしてはいけない。問題は製造コストが決して安くない事だけだ。