イントロ
新型ジムニーの普通車バージョン。ボディーは軽のジムニーと共通で、トレッドが拡大。エンジンも1.5Lにキャパシティアップされている。
居住性/ラゲッジ
軽のジムニーと同じボディながら、スクエアなデザインのお蔭で、5ナンバーの普通車として考えても全く狭さを感じない室内空間だった。視点は高すぎず低すぎず、今日の車としては非常に稀な運転席から隅まで見えるノーズのお蔭で、取り回しは当然良い。
ただ室内の前後長はハスラーやワゴンRと比べるとかなり短い。まあ助手席の人が前目に座ってくれたら、後席でもそれほど窮屈ではない。ただ、大きなホイールハウスが後席を完全に挟む形になるので中央寄りに座る事になり、センタートンネルと内側の足が干渉してしまう。当然ながら、シエラの乗車定員は軽ジムニーと同じ4名。もっともこの車で後席に大人が乗ることは殆ど無いと思うが、シートを倒してラゲッジにした時でも、ハスラーなどに比べて奥行きが短いし何よりフロアの位置が大分高い。
パワートレイン
試乗したのは4AT仕様だが、動力性能は低速・短距離の市街地走行では必要十分と言ったところ。ただ1.5Lという最近のコンパクトカーの中では大きめな排気量から期待されるほどのパワー・トルクは感じられなかった。1.2Lのスイフトやイグニスの快活さに及ばないのは、200kg近く重い車重のせいか。
ただ試乗したのが暑い日で、走り出しでエアコンがフル稼働していたが、それに因るパワーダウンはあまり感じられなかった。もっともエアコンを完全にオフにしては走ってないので、その場合のパワーは解らない。実はもっとパワフルのなのか?
ハンドリング/乗り心地
走り出して最初に感じたのが乗り心地の良さ。サスペンション自体も靭やかによく動いていると思うが、この独特のフンワリタッチはエアボリュームが大きい大径タイヤのお陰だと思う。ただその代り、ステアリングの手応えもゴムボールを捻っているようにグニャッとしていた。まあこれは車のキャラだと割り切ってゆったり気分で運転すれば気にならなくなるかも知れないが。
高重心かつ不整地を走る前提のラダーフレーム車は、ロールセンターを高く設定してロール剛性を上げようとする。そのため自分を中心に車が横転するような違和感を覚える事が偶にあるが、この車では(少なくとも市街地の交差点やUターンでは)そうした問題は感じなかった。また前後リジットアクスルはバネ下のドタバタ感や突っ張り感・ボディーのゆすられ感が出やすいが、そうした挙動も特に感じなかった。
総合評価
スペックを見ると、新型ジムニーは先代より車重が重くなり、1tを超えてしまったので流石に軽のエンジンでは非力だろうと思った。一方、普通車のシエラは1.5Lもあるのに(先代は1.3L)車重は軽のジムニーと30kgほどしか変わらないので、動力性能的に大分余裕があるだろうと予想していた。
ところが実際に乗ってみると、シエラ(AT)は思ったほどパワフルでないのに対し、軽のジムニー(MT)は思ったほど非力ではなかった。シエラのアドバンテージは乗り心地で、ハンドリングも若干安定感があるが、室内は全く同じ。圧倒的な維持費の違いを考えると軽の方になびいてしまう。