ポジション/足つき/取り回し
足がべったり付くのは、Go&Stopが多い状況ではやはり安心感は高い。ハンドル位置もさほど遠くなく、一部のアメリカンのように腕を伸ばしきって前屈運動を始めそうな姿勢にはならない。
ただし、股の内側は右が角ばったエアクリボックス(多分)、左はシリンダーヘッドが出っ張っていて邪魔。ニーグリップするようなバイクじゃないのは分かるが、全くフィットしない形状だし、特に右側は熱的に大丈夫なのかと思ってしまう。
パワートレイン
国産アメリカンとしては勇ましい排気音だと雑誌のレビューで書かれていたが、それほどでもなかった。低めの排気音ではあるがハーレーのようなドロドロ・バコバコした音ではなく、比較的軽快でバリバリと乾いた音だと思った。
1速のギア比はかなり高そうだが、30km/hくらいの極低速でも特段ギクシャクせず走れた。蹴飛ばされるような大トルクも無ければ、回転上昇/下降の重々しさもない。ストリーt-バイクとして普通に扱えるキャラクタだと思う。
ハンドリング/乗り心地
殆どUターンのようなコーナーでも、さほど苦労せず曲がることが出来た。全長の長さはそれなりに感じるが、ハーレーXL883Nのように「何時になったら向きが変わるのか?」と言った感じはない。
VT750Sと同様にアメリカンというには軽快なハンドリングで、ワインディングもそれなりに楽しめそう。また、VT750は極低速でセルフステアが強く出る時があるが(アクセルONでリセットできる)、BOLTではそうしたキャスターが寝たバイクの癖は感じられなかった。
総合評価
誰もがハーレーのスポーツスターを連想するプロポーションながら、多少角ばった造形にするなどヤマハらしく洗練されたスタイルだと思う。クロームメッキ&ボッテリ形状のいかにも「アメリカン」はオッサン臭いが、BOLTはシンプルかつシャープな造形で、マッドブラック/グレーフィニッシュがとてもクール。
エンジンの回り方もハンドリングも見た目に違わず軽快。一見アメリカンだけど実はネイキッドに近い走りという意味でVT750Sにかなり近いコンセプト。ヤマハ自身もBOLTをアメリカンとかクルーザーとは言っておらず、あえてカテゴライズすればストリートバイクだと思う。
ただ、乗りやすいがワインディングが最高に楽しいわけでも、乗り心地が特別良いわけでもない。変な癖も無い代わりに、飛び抜けた個性もない。それでいて値段はMT-09より少しだけ高め。この辺をユーザーがどう考えるかによってこのバイクの評価が決まると思う。