イントロ
関西ではライドオンフェスタが無くなってしまったし、ドリーム店で試乗車がなかなか出てこなかったが、発売から1年遅れでようやく試乗できた。
ポジション/足つき/取り回し
先ず問題の足つき性だが、危惧したほど悲惨ではなかった。確かにシート高は795mmでPCXより35mmも高いが、シートの幅が見た目以上にスリムなので大分相殺されている。結果的にどのくらい違うかというと、例えば停止して自然に片足を付いた時、PCXなら足の裏がベッタリ接地するがADVは20mmほど浮く程度。平均身長の日本男児や足長めのバイク女子みたいな人ならまあ問題ないと思う。
ポジション的には、ハンドルバーがスクーターにしてはかなりフラットで幅広だが、ハンドルクランプの位置はPCXと同様に近いので、スクーターの範疇に収まるアップライトさ。
ただ腕の何処にも力が入らないPCXのハンドルと比べると、ADVはやはりオフ車風に肘を上げ気味にしてハンドルで車体を抑え込むような感じになる。またシート高に対するハンドル位置がスクーターとしては低く、丁度Forza250に近い感覚。
パワートレイン
アイドリングも含めてエンジン音(排気音)はパコパコとビート感が大きく、「ビー」というPCX150より勇ましい。また発進加速ではPCXより回転を上げ気味にするCVTの設定のようだ。
ただPCXと違うのはその程度で、アクセルレスポンスも車速の伸びもPCXにそっくり。つまり街乗りで扱い易く、クルマどころか普通に加速するMTのバイクをリード出来るパフォーマンスがある。車両重量が実はスペック以上に増えてるのではないかと心配したが、杞憂だったようだ。
ハンドリング/乗り心地
PCXよりタイヤ幅が大分広いのでねっとりとしたハンドリングになっていないか気になっていたが、結論から言うと純正以外のタイヤを履いた2代目PCXと殆ど違わなかった。つまりスクーターに有り勝ちなフロントが切れ込みや粘りが無く、率直に寝て比較的ゆったり切れていくPCXの特性がちゃんと継承されていた。
また、着座位置も車体重心も高くなっている筈だが、低速でバタッと倒れこむような感じもない。スラロームや180°ターンをやったりしたらPCXの方が軽快かつ安定しているかも知れないが、普通に街中を走っている限りpcx同様率直で扱い易い。尚リアディスクになったブレーキは利きもタッチも明らかに向上していた。
ただ乗り心地はかなりハード。シートのクッションが石のように硬いのもさることながら、サスペンションも相当硬い。新品のPCXもかなり硬い乗り心地だったが、ADVはそれを上回る硬さだ。まあサスが底付きしたかのような突き上げ感のある硬さではなく、引き締まった感じの硬さなのが救い。PCXの時と同様に、走りこんでいけば角が取れて気にならなくなるのだろうか?
総合評価
見た目は個人的にはちょっと細部がゴチャゴチャしすぎの感もあるが、全般的には適度にワイルドで適度に都会的。中身(走りや使い勝手)はPCX150ほぼそのまま継承。それ故にPCX150ユーザーが乗り換えてもあまり変わり映えしないともいえるが、PCX125も含めた原付2種ユーザーやMTバイクはしんどいけど普通のスクーターは嫌というライダーには魅力的なバイクだと思う。
ただどっかの記事で読んだのだが、実測燃費は幹線道路主体で35Km/Lくらいとか。どんなに悪条件でも40Km/Lを切らないPCX150と比べたら明らかに悪い。しかも定価が45万円って最早250クラスの値段。上等な足回りや強そうな見た目と引き換えに経済性を失ってしまったPCXと考えると何だか複雑な心境だ。