バイクインプレNEO by MCタイチ

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CX-5 XD Proactive (Mazda)

イントロ

今年発売された新型CX-5。パット見、顔だけが変わったマイナーチェンジかと思いきや、ボディーも内装も完全に変わったフルモデルチェンジだった。試乗したのは2.2Lターボディーゼルのグレード。

居住性/ラゲッジ

先端がシャープに尖った長いノーズ、やたらと高いウエストラインと巨大な19インチホイールを見ると、とても取り回しが悪そうだが、実際に運転してみると至って尋常。狭い道でやや車幅に気を使う事以外は、普段の5ナンバー車と然程変わらない感覚で走れた。恐らくアイポイントが高いことと、ノーズの先端が判るから見切りが良いのだと思う。またAピラーが無駄に寝てないので、横の視界を変に遮る事が無いし、キャビンに適度なタイト感があるのも好印象。

ただ、ボディー幅(フェンダー間)が1840mm、ドアミラーを含めると2mを軽く超える巨体なのは事実で、走ってる時は良くても、5ナンバー仕様の自宅ガレージやショッピングモールの駐車場にはギリギリのサイズ。隣のクルマや壁に当てないようドアを慎重に開いて乗り降りする時、果たしてメタボ人間が出入りする隙間があるのだろうか?

コクピットは戦闘機の照準器のように、外界の視野にスピードメータが浮かび上がるのがとても見やすい。僕はハンドルの中から覗き込むメーターは視点移動・焦点移動が大きすぎて危険だと思ってるので、無限遠視点でなくともフロントガラス中央付近にメーターを置いてくれると有り難い。運転席回りで敢えて欠点を挙げれば、FRでもないのにやたら幅が広いセンタートンネルくらい。特に僕はガニ股なのでスネの外側が直ぐに当たって窮屈なのだ(;´∀`)

パワートレイン

アイドリングは非常に静かで、ドアを締めて運転席にいると微かに聞こえるチリチリ音以外はガソリン車と殆ど変わらない。ただ一旦走り出した後、信号で停まった時は何故かもっと大きなアイドル音になっていた。同乗したディーラーのスタッフに因ると、排ガス処理の都合で状況によってはアイドル回転数を上げることが有るという。

さてパフォーマンスだが、最初の出だしのレスポンスは意外と鈍くちょっとトロい印象だが、その後は軽いディーゼル音を発しながらしっかり加速する。まあ流石にスイフトターボの静粛性と加速には及ばないが、重いSUVの中では活発でその割に静かな方じゃなかろうか。

多少慣れてきた頃にやや大きめにアクセルを開けてみると、最初と違いドバっと加速してちょっと驚いた。スタッフに因ると、アクセル開度だけでなく開く速度も検知して、パワーデリバリーを制御しているとの事。つまりジンワリ開けたらモッサリ加速、パッと開けたらガツンと加速させる訳だが、その度合がちょっとやり過ぎというか不自然に感じた。好みや慣れの問題も有ると思うが、他の多くのクルマと比較するとやや異質。もっと普通のリニアな制御で良いと思う。

ハンドリング/乗り心地

マツダ車はゴツゴツ硬くストローク感がないサスが多いが、このクルマは普通にしなやかで快適だった。スタッフに因ると、先代CX-5も初期モデルは非常に硬かったが、ランニングチェンジでドンドン柔らかくなり、最終的にはサスの取り付け位置まで変わったとか。この新型はその流れを組んで最初からしなやかみたい。

柔らかいと言ってもマツダ車だから基本的にはガッチリしており(ボディーもガッチリ)、ギャップでブルブルしたりコーナリングでもっさり向きを変えたりしたりはしない。今回は低速ワインディングを走ったが、SUVの腰高感や大排気量FFのノーズヘビー感もミニマムで、ロール剛性やコーナリングフォースの度合い及び前後バランスも自然だった。車幅にやや気を使うことを除けば、この巨体に有るまじき自然さと軽快さで走れた。

敢えて言えば、粗直進状態で少しハンドルを取られたのがちょっと気になったが、太いタイヤが路面のアンジュレーションに反応してるのかもしれない。またブレーキの踏み初めの効きが鈍いので、思いの外前車に近づいてしまったことがあった。これもアクセルレスポンスと同じで、ブレーキ踏力と効きの関係はリニアな方が助かる。

実は後でカタログを見て知ったのだが、全グレードにトルクベクタリングシステムが搭載されているらしい。このハンドリングのどこまでがこのシステムのお陰で、どこまでが素の車体やサスのお陰なのか判らないが、トータルではとても自然な挙動だった。

更に試乗したグレードには、ブレーキアシストやレーンキープサポートと言った運転支援システムが山ほど付いてるようだ。試乗中にハッキリ判ったのはサイドラインを割った時の警告音くらいだが、これを常にやられるとウザいので僕ならOFFにすると思う。

総合評価

この巨体だから車重は軽く2tはあるだろうと思いきや、カタログを見ると1.6tしかなかった。値段は2WDディーゼル仕様で300万円前後だが、昨今は「ライトウェイトスポーツ」や「エコカー」でもそのくらいするので、それに比べたら割安に感じる。オマケにディーゼル仕様とガソリン仕様で10万円も差がないというのは良心的(普通は50万円くらい差があると思う)。

実はこういう厳ついアクの強いスタイルが意外と中高年に人気があるらしく、何とあの日産ジュークですら結構売れてるという。またブランドで言えば、今一番スタイルが良いのがマツダらしい。年取ってからデカイクルマを転がすと何処かにぶつけないか心配だが、メーカーやディーラーにとっては景気の良い話では有る。マツダは今のSUV路線で相当財務状況が改善してると思う。

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