居住性/ラゲッジ
マイチェン前はシートの背もたれの面が妙に膨らんでいて、背中から腰のフィット感が悪かったが、今度のは普通にフラットな背もたれで違和感は解消された。また、マイチェン前は着座位置が低くてウエストラインが高い=>包まれ感が強い印象だったが、今回は良い意味で普通のポジションだった。シート座面の形状なども変わっているのかも。
パワートレイン
デュアルインジェクションとオルタネータ回生を搭載したマイチェン後のDJE(デュアルジェットエンジン)仕様に乗った。
先ず、マイチェン前(発売当初)の1.2Lに見られた出だしのどんつき(トルクがドバっと出てくる)はなくなっていた。そして30-40km/h付近で踏んでもトルクが出てこない症状(というか仕様)も大分改善され、「ちょっと鈍いかな」という程度になった。一方、50km/hを超えた辺りからの回転上昇は伸びやか。それ故に、低速時のトルクの谷はやはり気になる。ここは最も加速度が欲しい速度域なので、燃費の為に燃料の出し惜しみはやめて欲しい。
エンジン音がとても静かなのはマイチェン前やスイスポと同様。エアコンファンの方が五月蝿いくらい。ただ、アイドリングストップから始動音がやや耳障りで頻度も多く感じられた。例えば、渋滞のノロノロ運転時に完全停止前にエンジンストップしているようだが、そのまま再加速するとエンジンも再始動というのを繰り返してしまう。また、完全停止してアイドリングストップしたと思ったら、直ぐに再始動してしまった。暑い日でエアコンの負荷が大きいとか、走り出しでまだ殆ど充電できていないせいかも知れないが、30分弱の試乗では高価なLIBの恩恵は感じなかった。
ハンドリング/乗り心地
どっしりと落ち着いた挙動はやはりこのクラスでは傑出していると思う。マイチェン前はサスにやや突っ張った感じがあったが、今回はしなやかで乗り心地良好。
ハンドリングはシャープとか軽快というより、タイト・シュアーといった方が適切だと思う。交差点を曲がるくらいしかしていないが、サスを固めているわけではないのに、ロール感が少なくクルッと向きを変える。
総合評価
DJE仕様とノーマル仕様の価格差は12万円弱で、高価なLIBや2倍の本数のインジェクタを使った割には、価格は抑えたなという感じ。ただ、デュアルインジェクタはともかく、LIBまで使ったコストに対して実際の効能が見合っているのかどうかはよく判らない。もしJC08燃費記録の更新と電気的ギミックがないと売れないから、という理由なら悲しい限りだ。そういう意味では、実はノーマルエンジン+CVTもマイナーチェンジで改善されているかもしれないので、機会があれば乗ってみたい。
1.2LクラスでスイフトDJEに価格が近いのは、日産ノートのミーラーサイクル+スーパーチャージャー仕様(ちょい高)のようだ。メカニズムの珍しさはともかく、実際のフィーリングでは断然スイフトが良い。ただ、先ごろ発表された新型フィットには、また販売台数で太刀打ちできないだろう。
スイフトは後席が狭い事を問題にされるようだが、コンパクトカーが皆室内を最大限にとった狭小住宅のようなパッケージングである必要は全くないと思う。どんなに広くても後席に人が座ってるクルマは稀だから、スイフトは割りきって3ドアでも良いと思う。なんで日本では5ドアだけなんだろう?
スイフトがもし欧州車なら、「広さだけでは無い、本物の上質感」などと褒められ、あと20万円高くても「この内容ならバーゲンプライス」とかメディアに書かれそう。確かに、スイフトは先代からすると価格は右肩上がりだが、走りの上質さに対して今でも十分コストパが高いクルマだと思う。なのにスズキというだけで、やれ値段が高いだの後席が狭いだの文句を言われたり見向きもされないようなら、スズキは軽以外日本市場から撤退してしまうかもよ。