イントロ
昨年発売されたZ1のオマージュ的なバイク。舞洲で開かれた試乗会(カワサキコーヒーブレイクミーティングと同時開催)で初めて試乗した。
ポジション/足つき/取り回し
昨年の梅田での展示会(写真)ではハンドルが広くて遠い大柄なポジションに感じたが、今回はリッターバイクにしては前傾は緩やかだし足つき性も悪くないと思った。ぼってりと横に張り出した形状のタンクは今のバイクのように盛り上がっていないので、何となく重心が低いようなポジションの自由度が高そうな感じがして良い。
パワートレイン
ドロドロとした排気音とは裏腹に、エンジン自体はヒュンヒュンと軽やかに回る今時の直4。以前乗っていたZ750(2004モデル)だと4000rpmくらいで既にガーガーと煩かったが、このバイクは同じ回転域でも至ってスムーズ。かつパワー自体は強力なのでビュンビュン加速する。
ただ、低速トルクが強力な上にレスポンスがシャープなので、特に低速・低ギアでは忙しないというかギクシャクしやすい。なのでフライホイールマスを増やしてもっとまったりしたレスポンスにするか、低速トルクを強化したりせずにZ900のエンジン特性そのままでも良かったかもしれない。
ハンドリング/乗り心地
サスペンションは(恐らく車体剛性も)しっとりしてるけど腰もある。寝かし込みもスムーズで適度に軽快。セルフステアも自然に付くので実に扱いやすいハンドリング。勿論Z650あたりと比べるとお腹に重いものを抱え込んでるような鈍重さはあるが、嘗てのZRX1100みたいにタイヤが車重に負けてるような感覚は全く無い。リッター直4と言っても1100~1200クラスではなく750~800くらいの重量感で、六甲あたりのちまちましたワインディングを流しても気持ちが良い大型バイクだと思う。
総合評価
個人的には旧車っぽいデザインには全く興味がないし、このバイクは量産モデルに近づくほどボッテリ・ズングリになってしまい、Z1のオマージュというよりはイナズマ400と言った趣。しかし走りは重々しく古臭いかというとさにあらず。今の技術でリアルワールドでの扱いやすさを追求した感じ。マッタリとした安楽さが有るのにスポーティーにも走れる。レスポンスはやや過剰だがスムーズによく回る今時のエンジンを使ったり、見た目重視でツインショックにしなかったのも好判断だと思う。
ただ価格を見ると何じゃそりゃ!と言わざるを得ない。135万円って、なんでベースのZ900より40万円も高いの?仮に値引き幅を大きく想定ているとしても、MT-09やそのレトロバージョンより定価で30万円も高いなんて唯我独尊すぎる。もっともこれでかなり売れてるらしいから、カワサキの商売としては大成功と言ったところだろう。2匹めのドジョウ狙いで他社も追従するのかなあ?