ポジション/足つき/取り回し
ポジションと足つきはXJ6Nとかなり似ているが、取り回しは少し軽く、シートは極端にスリムじゃないのでXJ6のような内股感はない。
旧型と比較しても殆ど変わっていないと思う。タンクの高さが高くなったように書いてあったが違和感はなかったし、若干内股とのフィット感が増したかも。
シート高も身長が165cmもあれば問題ないレベルだが、シートクッションはかなり硬いので体重が軽い人にはちょっときついかも。
ポジションの前傾度はNinja250より少しきつく新型VTR250と同じくらい。
大型免許のバイクの中では、ストリートトリプルやモンスター696(前傾はきつい)と並んで最も軽量・コンパクトな部類で非常に扱いやすい。GSR400の方がむしろ大型(GSR600と同じだから仕方ないが)。
パワートレイン
従来モデルは2000rpm以下ではノッキングして使えなかったが、このニューモデルは問題なく使える。ポコポコという音は一見エンストしそうな気もするが、ちゃんと粘って回転しノッキングの兆候なし。そのままアクセルを開けてもスムーズに回転が上昇する。
また、過激すぎたレスポンスも穏やかになり、エンブレがまだ強めなことを除けば、従来モデルの欠点を完全に取り除いたと思う。
牙を抜かれたかと言えばそんな事は無く、軽くアクセルをひねれば3000rpmくらいからでも弾かれたように加速する実力は侮れない。
ストリートトリプルのようなサウンドの演出はないが、扱いやすさを含む実質的な速さは同等以上。つまり僕が乗った場合、ストリート&峠最速と言う事になる。
だた、バタバタしたちょっと安っぽいサウンドは旧モデルと同じなので、贅沢を言えばもう少し上質な排気音にならなかっただろうか。
ちなみに、ヴェルシスはエンジン特性はおそらく同じだが、サス・ストロークが長く大柄に感じるのでもっとマイルドな印象。
勿論、直4ネイキッドのようなジェントルなレスポンスやしっとりした安定感とも違うが、ギクシャクするモンスターなどの外車勢や昔のSVと比べると全然乗りやすい。
ハンドリング/乗り心地
実は同じ日に2回試乗したのだが、朝一に乗った時はセルフステアが思ったより付かず、逆操舵しているような感触があったが、昼前にもう一度乗ったら自然なセルフステアになっていた。
僕のZ750を含め、普通は気温が低いとタイヤ空気圧が低下(接地面の拡大&前荷重)するためセルフステアが強くなるものだが、このバイクは逆だった。
先日乗ったXJ6Nも同じような「逆セルフステア」感覚があったが、これも気温が上がると解消するのだろうか?
脱線してしまったが、このER-6nのハンドリングは基本的にはとても率直で軽快だと思う。XJ6Nと比べても頭が軽く一回り軽快。
サスペンションもストローク感があまり無かった従来型より、しなやかに動くようになった気がする。乗り心地はZ750のような底付き感はなく、ストーローク全域でほぼ一定の反力があるようなサスだった。
総合評価
旧型が登場した時は抜群の取り回しの良さに感動し、ガサツなエンジンさえ洗練されたらほぼ完璧なバイクになるだろうと思った。
そして、そのエンジンが希望通り改善され完璧になったはずなのだが、何故かそれほど感動しない。一度良さを味わってしまうとそれが普通のことと感じるようになり、次はもっと新しいモノを求めてしまう人間の贅沢さなのだろう。
デザインについては、写真の白い方は実は淡いブルーでとてもポップでお洒落な色だった。
ただ、旧型で有名になったおむすび頭は良くも悪くもインパクトが薄れた(見慣れただけか?)。三角のアナログメータにはこだわったのかもしれないが、タコメータと分けて上下2層にする意味は見当たらず、大きい一つのデジタルメータでよかったと思う。
色々書いたけど、トータルバランスでは文句のつけようがない。取り回しはCB400SF並に良いのにパワーは400の比ではないという、本当に大型初心者にお勧めできるバイクになった(リッターバイクを持て余したライダーにも)。
実用的で乗りやすくて充分速い、大きなVTR250。