ポジション/足つき/取り回し
これもモタードの対極にある前傾ポジションで市街地を走るのは快適とは言えないが、かつての(2003モデル位)R1に比べると楽かもしれない。
足つきもツンツン系だが、SSらしく軽量なので立ちコケ恐怖感はそんなに無い。
パワートレイン
これが「クロスプレーン」R1初体験。初期モデルである09型とこの10型はカラーリング以外変わってないそうだ。
第一印象は強烈!一応国内仕様だが、そんなのお構いなし。何しろトルクが凄い。「高回転型のSSにしては」とかじゃなく、スーパーデュークのようなロケットスタート。1速の多用は危険。3速40km/h位でも不用意に空けるとドバット前に出る。この強烈トルクと割と唐突に繋がるクラッチのせいで発進には気を使が、慣れたら何とかなりそうなレベル。
回転フィーリングはガラガラ・バリバリと騒がしく、スーパージェントルなXJ6とは対照的。喩えれば、低速ではVツイン又はTDM系のパラツイン、中速(4-6千回転)ではVFRなどのV4に似ていているか?それより上は試していないが、高回転になるほどスムーズかつレスポンスがマイルドになるような予感。
試乗コースは渋滞路が多く分が悪かったけど、空いた道ならこの加速感は病みつきになりそう。
ハンドリング/乗り心地
普段のDRZと180度違うSSのハンドリングに対応しきれないのは明白ながら、その割には交差点も普通に曲れた。多分SSの中では極端な前荷重では無いのかも。
乗り心地は当然引き締まっているが、ミシュランタイヤのせいか何処かふんわり・ねっとり感があって、不快なゴツゴツ感は殆ど無かった。
総合評価
今までのSSが精密機械だとすれば、このクロスプレーンR1は動物的。相当ワイルドな性格にも関わらず、乗りにくさやしんどさよりも面白さが印象に残る。KTMスーパーデュークのロケットスタート、ドガティーの中間加速、国産SSの高回転領域の扱いやすさを併せ持つ、一台で3度美味しい「三徳バイク」。
サーキットのラップタイム云々より「駆け抜ける喜び」を追求したバイクなので、SSカテゴリーに拘る必要は無いと思う。折角素晴らしいエンジンなんだから、これでアップハンドルのストリートファイターのようなバイクを作ったらとても面白いと思う。
とりあえず、何かと横並びな商品開発をしがちな日本メーカの中で、こうした個性的な新機構を出してきたヤマハを賞賛したい。