イントロ
ハイブリッドの試乗から程なく別のディーラーにあったガソリン仕様に試乗できたので、別の記事として報告する。試乗車のグレードは最高級のLuxeだが、内装等は別の展示車両であるHomeのグレータイプも含めて記載した。
居住性/ラゲッジ
居住性等は先のe:HEVと同じなのでそちらのページを見て欲しいが、LUXEの黒レザー風内装は高級感も華やかさも無く、アルミホイールを含めてもHOMEより17万円も高い意味が判らない。一方、今回初めて見たHOMEのグレー(ほぼ白)内装は素晴らしかった。インパネ天板は黒一色の普通のプラスチックなのに、前面のパッドやドアトリムの一部を白いツイード風の素材にすることで解放感やおしゃれ感が全然違う。シートも粗真っ白だが、ツルツルの本革風でもなくツイード一辺倒でもなく、両者を上手く組み合わせて見た目も肌触りも良好。全体に高級というより上質でお洒落な今風の家具という感じ。この辺は、上質だがデザイン思想が陳腐なマツダ車とも、ポップでヤングなクロスビーとも違う。
パワートレイン
さて、一番気になっていたエンジンだが、先ず発進は十分力強いし、30㎞/hくらいまでの低負荷運転ではEV走行か?と思うほど静か。更に50km/hほど出しても平たん路の定速走行ならまだ静か。しかしそこから更に加速したり上り坂を登ろうとすると、ノイジーにエンジンが回り出しその割に出て来るパワーは控えめ。
現行スイフトのマイルドハイブリッドは勿論、先代の1.3ガソリンと比べてもやや非力。これだと坂の多い環境とか幹線道路をキビキビ走ろうとすると、不満が出て来るレベルだと思う。新型フィットは諸元を見ると1tを超えてしまってるので先代やライバルたちよりパワーウェイトレシオで不利なんだと思う。
アイドリングストップも付いているが、再始動する時のノイズが一昔前のキリキリ音ほど酷くないにせよ、若干耳に付いた。(マイルド)ハイブリッドのアイドリングストップ機構は、既にモーターで走りだした後に再始動する為、ロードノイズでマスキングされてしまうのかも知れないが、現行スイフトなどの始動音が殆ど聞こえないのに比べたらややノイジー。そもそも新型フィットのアイドリングは非常に静かだから、態々ストップさせて再始動する必要がそれ程あるのか疑問。
ハンドリング/乗り心地
ハンドリングは新型ヤリス程ではないが、ソリッドでシュアー。e:HEVと比べたらノーズの軽さが感じられより爽快。乗り心地もe:HEVのような重厚感が無いが、ボディーのしっかり感はスイフトと同等か若干上。スイフトのような全身軽快感は無いが、もうすこし落ち着いて上質な乗り味。
総合評価
ボディーがソリッドなのでハンドリングも乗り心地も上質。インテリアの見た目も感触も上質。非常に真っ当なコンパクトカーなだけに、非力なエンジンが惜しまれる。このボディーはヤリスのような新型プラットフォームではなく旧モデルをベースに補強したものだと何かで読んだ。だからヤリスのように値上げせずに済んだが、その代わりちょっと重くなってしまったということか。
とは言え単純に排気量アップして1.5Lくらいにすれば、左程コストアップすることなく非力さを回避できたはず。そうしなかったのは旧フィットの1.5Lガソリンが殆ど売れなかったからかもしれないが、旧型は軽くて1.3Lでも非力じゃなかったし、1.5Lの方は装備違いでやや高かったからじゃないの?ハイブリッド(e:HEV)も含め、パワートレーンの選択が雑な気がする。それともフィットの顧客はハイブリッドか最廉価グレードしか眼中になく、比較試乗してパワーが云々いう人はほとんど居ないのだろうか?