イントロ
2018年から大幅にダイエットした車体とパワーアップされたエンジンをフィーチャーして、Ninja250がフルモデルチェンジした。が、実はこれと同じ車体に400のエンジンを詰め込んだ兄貴分が居た。それがこのNinja400だ。
2018年の大阪モーターサイクルショーの試乗会で乗ったが、例によって超スロー走行だったのでポテンシャルが判らず。翌週の八尾カワサキの試乗会で公道走行したらビックリドッカン…
ポジション/足つき/取り回し
フルカウル/セパハンのバイクとしてはポジションはかなりアップライト。250も殆ど同じポジションだが、400の方がハンドル幅が若干広く形状はフラットに(絞りが弱く)感じた。結果的に400の方が僅かにアップライトな気がしたが、車体は全く同じという(ハンドル形状もカタログの写真では同じに見える)。理由は恐らく、400の方がエンジンが重い分フロントサスを硬めにしてあるので、乗車した時には250より前上がり(尻下がり)な車体姿勢になるからだろうと店のスタッフが解説してくれた。
跨って左右に揺らした時の重量感は400の方が一回り重く感じたが、数値上の車両重量は1kgしか変わらない。この理由は上述のFサス設定の違いとタイヤの違い(250はバイアスで400はラジアル)だろうとのこと。僕は今どきのオンロードスポーツがバイアスタイヤを履いていることにちょっと驚いたが、タイヤが違ってFサスの設定も違えば車体が全く同一でもハンドリングや乗り心地が違っても不思議はない。
因みにNinja650は400より更にアップライトに感じた。流石に車格が違うので650の方がハンドルが若干遠いような気がするが、その代り高い位置にあるように思う。
パワートレイン
音はシャバシャバしたメカニカルノイズとボコボコという排気音の組み合わせ(ボコシャリ系)。Ninja250と比べると一回り野太いが音質はとても似ていて、良くも悪くもカワサキチックなツインサウンド。
しかし走り出すと、低回転からトルクがぜんぜん違う。250はノロノロ運転でも回転を上げないと走らない、というか自然に回してしまうのに対して、400はアイドリング+αくらいの感覚で走れる。そして渋滞を抜け前が開けると、トルク感50%増量のまま回転が上昇しバビューンと加速。アクセル開けたら2秒で免停も(悪)夢ではない素晴らしい動力性能。当然ながらギア比も250より大分高いので、6速100km/hでも未だ序の口的な回転数で走れるだろう。
因みに、同日同じコースをNinja650でも走ったが、400の方が車体が軽い上にアクセルレスポンスがシャープなので、(実際のパワーはともかく)パワー感は上だと思った。
ハンドリング/乗り心地
先ず乗り心地は250同様にカワサキらしい突き上げ感(^_^;)があるが、400の方がショックの角は丸いので若干マシだと思う。
ハンドリングは大阪モーターサイクルショーのタイトな試乗コースでも、寝ない・切れ込むと言った違和感は特に無かった。市街地で乗った時も(コーナーは交差点くらいしか無いが)、SSチックなバイクとしては公道フレンドリーなハンドリングだと思う。
当然、旧Ninja250のような曲がらざること岩の如しではないし、新型Ninja250と比較しても別段重さは感じない。GSX-250Rより若干軽いくらいかな。また、単体だとあれほど軽快に思えたNinja650が大きく緩慢に感じるほど、Ninja400が中型バイクとしては相当軽くてコンパクトなのは間違いない。
総合評価
1990年台以降、ガラパゴス400は車種的にも内容的にも衰退の一途を辿ったが、21世紀に入って20年近くたった今、カワサキから突然変異的に凄いのが出てきた。僕が名作エンジンに指定している旧Gradius400のVツインやGSR-400の61馬力直4も素晴らしかったが、パワーウエイトレシオ的には新型Ninja400には敵わない。そういう意味では中型リトルダイナマイトとして並ぶものなしだった旧390Dukeにようやくライバルが現れて、抜き去ってしまった感がある。
とは言え、大型免許保持者としては「250を超えたらどんなにデカくても維持費が一緒なのに400なんて損した気分」という何時ものセコい考えが頭をよぎる。実際、Ninja650は十分軽快で速いのに、エンジンも車体もマイルドで安楽に走れそうだ。おまけに税込み定価が400で70万円ちょいに対し、650なら約80万円(Z650なら更に2万円安)と10万円も違わない。
勿論、維持費や車格と言った邪念に囚われず、只管走りの楽しさを追求するピュアなライダーならぜひNinja400に乗って欲しい。「レプリカ」時代の栄光を再びというヤングな(メンタルの)ライダーも然りだ。更に中免(普通2輪)ライダーで最速の称号が欲しければもうNinja400しかないでしょ。